日別アーカイブ: 2022年3月15日

読書記録アプリ「Yomumo」開発!

読書担当 石故 裕介

 桐蔭学園では1年から4年生に週に1時間の読書の授業があります。ICT機器が盛んに活用され、画像や映像からの情報収集が容易にでき、力も伸びていきます。それらに加え、東ロボプロジェクトにもあるように今後は「文字から意味を読み取る力」や「抽象的なことを具体的なことに言い直す言語スキル」などが必須となることから3年前より始まった、新しい授業です。その中で、読んだ本を記録する、読書記録カードを書いてきました。「読んだ本をより深く心に刻み、読んだことの価値を高めてほしい」ということや、「のちに振り返ったときにこんな本も読んだな、と思い出してほしい」ということで読んだ本を短い感想とともに書き残しています。

日々読んでいるとなかなか気づきませんが、書き残してみると自分は物語をあまり読んでいないな、ミステリーが好きなんだな、この作者が好きなのか、などの自分の思わぬ読書傾向などもわかり、意外な楽しみにも繋がります。

しかし、これまでの記録カードは紙ベースのため、読書ファイルを手にしたときにしか書けない、書いたものを共有しづらい、どこに書いたか見つけられない、などの課題がありました。そこで、iPadの導入を機に、この記録カードの電子化を検討してきました。

流通している読書記録アプリなどもいくつか調べてみたのですが、学校外の人とつながれてしまったり、小学生にふさわしくない本の情報が検索出来てしまったりと、授業で使うのは難しいということで、当時は実現には至りませんでした。どうしたものか、と考えていた時に、いっそ小学生にふさわしい読書記録アプリを開発してしまおう、ということになりました。

そこで、株式会社ETeqの片山さんにご協力いただき、アプリの開発を進めてきました。片山さんは東京理科大学で先生をしながらSTEAM教育・ICT化教育に関する教材等の開発・コンサルティングを行うETeqの代表をされている方で、今回のアプリ開発に興味を持っていただき、開発をしてくださいました。

6月より開発がスタートし、何度も打ち合わせを重ね、出てきた課題を少しずつ解決し、テストを繰り返し、9月にβ版を子どもたちに実際に使い始めてもらえるところまできました。

実際に使ってみるとまたエラーが発生したり、実際の運用に困るところがあったりしましたので、そちらを修正しながら3か月、運用を進めています。この冬休みにも大きな改修をしていただき、より使いやすくなりました。また、先日、学校にもお越しいただき、子どもたちと直接やり取りをしていただきながらより使いやすいように改修プランもご検討いただきました。

子どもたちも他の人の読んだ本が見られたり、テーマで検索出来たりするのでとても楽しみながら使ってくれています。また、すべての本ではありませんが、本の裏のバーコード(ISBN)をスキャンすると作者名や書名などが自動入力され、表紙画像も出てきます。文字だけだった時よりも視覚的にもわかりやすいですし、入力の手間もかかりません。また使っている様子などはこちらでもお知らせさせていただきますが、Yomumoを使ってこれからもより良い読書体験が進められるようにしていきたいと思います。ご家庭でもぜひどんな本を読んでいるか、共有してみてください。

また、こちらのアプリは今後は日本全国の他の小学校でも活用できるように検討中です。桐蔭学園小学校での活用が日本に広がっていくかもしれないこと、とても楽しみです。