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桐蔭学園小学校ラーニングスペース 「ようこそ!いそはた水族館!」

本校にはマルチパーパスホールというフリースペースがあります。そこには、学びにつながる種がたくさん散らばっています。
そこを今年度からは「ラーニングスペース(学びに向かう場所)」として子どもたちに提供しています。

今回は、その一角にある「いそはた水族館」を紹介したいと思います。
本校では理科を「科学」と称しています。理科の各専門分野を持つ4人の教師が、子どもたちを科学的観点から、知的好奇心をくすぐる学習指導をしています。

このラーニングスペースの一画にある「いそはた水族館」を管理する磯畑先生は、生物のスペシャリストです。みんなが見たことも無いような生き物を各地を飛び回ってGETしてきては、子どもたちに紹介しています。
   

下の左の写真は、ビーシュリンプです。品種改良をした結果、白と赤のシマシマ模様になった綺麗なエビです。今は子どもたちのアイディアで、クリスマスツリーに見立てた藻を入れました。赤と白のシマシマなエビと藻のクリスマスに向けたコラボレーションになりました。
下の右の写真はマタマタというカメです。普段は落ち葉に擬態していて動きませんが、餌を食べる時だけ、とても素早く動きます。
   

こちらはマリモです。昨年の6年生が教室で育てていたものです。みんなへの紹介文も書きました。今では、この水族館に仲間入りです。飾っていると、子どもたちが集まってきてジーッと眺める子もいれば、自分でその生物を調べて写真のような説明文をじっくりと呼んでいる子もいます。

こちらは食虫植物です。とっても珍しい品種で、生育させるのは難しいのですが、そこは専門家です。しっかりと元気に育っています。虫を食べる植物に子どもたちも興味津々です。
   

理科室にはもっとたくさんの生き物がいますが、このラーニングスペースの良さは、休み時間などに低学年から高学年までが交流しながら一緒に学べるところです。各学年には生き物の知識にとても詳しい子、とても興味をもった子がいます。ラーニングスペースではそんな子たちが大活躍しています。他の学年の子に教えてあげたり、意見交換したりしながら、生き物を通して「学びの輪」ができています。
このような、子どもたちだけの空間を準備することも「学びに向かう力」の育成には大切だと感じています。

 

3年科学・図工・行事「からだいっぱい秋を感じよう!」

一つの木の実がつなぐ子どもたちのストーリー

桐蔭学園の鉄(くろがね)の森に秋の訪れを知らせてくれる「どんぐり」を使って、教科横断的な学びを経験しました。

●3年科学「どんぐりGO!」
「今日は、このどんぐり図鑑(1人1人にどんぐりが調べられる冊子)を使って、この桐蔭学園に落ちているどんぐりの種類を調べてみましょう!」
大自然に囲まれる桐蔭学園は、季節を感じ創造力を目一杯高めることのできるエリアがたくさんあります。
幼稚園から小学校6年まで、科学(理科)の授業で、季節ごとにフィールドワークをしています。

①まずは鉄の森の中へ
「どんぐりGO! First stage スタート!」
   
「うわ!どんぐりたくさん落ちている!」「こっちのは帽子つきだ!」
早速、森の中で、どんぐりを見つけ、楽しそうに子どもたちはどんぐりを拾っていました。
「拾ったどんぐりは、図鑑を見て、どの種類なのか、みんなで調べてみてね。」
   

   

②次は、桐蔭学園実習田の方へ
「次はこちらが Second stageです!」
   
「あれ?さっきと形が違う? すごく細長い!」「こっちにまんまるのがあるよ!」
「ここが夏に5年生がお米を作る田んぼか~」
   
桐蔭学園の「秋」をたくさんGETすることができました!

③そして、ここからが本番です。理科室に帰ってきて、どんぐりたちを分別し、種類ごとにタブレットPCで写真を撮り、自分だけの「どんぐり図鑑」を作ります。
   

   

   
「これとこれは同じ種類だね。」「でもここが少し違うよ? 違いが分かるように写真に撮っておこう」
みんなで話し合いながら、どんぐりたちを仕分けするのは楽しいようで、黙々と分けては写真に記録していました。
レアな形があると、みんなで共有しました。こうやって実際に秋の自然に触れながら、興味を持って見ることができると、ただの知識ではなく、他にも活用できる「生きた知識」の育成につながります。

みんなで集めた、このどんぐりの山。この後いったいどうなるのでしょうか…?
●図工 造形遊びの日

桐蔭学園の自然を駆けまわり、科学の授業でみんなで集めた「どんぐり」たちは、子どもたちの創造力を爆発させる活動に一役買いました。このどんぐりは、「造形遊び」という行事に使います。3年生の造形遊びは、「あつまれ桐蔭の島!~みんなでつくろう秋の島~」と銘打って、自分の想像する自分だけの秋の島を目の前の素材に触れながら作りました。
「あっ!僕がとってきたどんぐりだ!」
「これはコナラかな?ミズナラだな!」
先週科学の授業え自分たちで図鑑を見ながら取ってきた影響もあり、興味津々でどんぐりを手に取りながら、どう使おうかと考えていました。
   

   
科学と図工の融合がフロア全体で起きていました。科学的知識に裏付けされた物体を、芸術・造形活動に活用する心の動きは、教科横断的活動学習の良いところで、子どもたちののめり込む深さは桁違いです。
   

   

午前中は個人で自分の思い描く秋の島を作りましたが、午後は、各自が作った島を友だちとつなげる活動を入れました。「それぞれの良さが光る島を、どうやってつないでいくか?」これもとてもより思考となりました。

「うわぁ~ キミの島、いいね!なるほどそうやってどんぐりを使うのか~」
「これを、ここに使ったら、2つの島をつなぐいい感じの橋になるんじゃない?」
「真ん中に置くモニュメントのために一緒にねんどをこねよう!」
「これはみんなの島につながるいのちの木ね♪」
   

   

数週間にわたる大きな思考の流れが創造力を刺激し、その成長を支えます。科学科の教員と図工科の教員がそれぞれ協力し、見事に融合しました。とても3年生が作ったとは思えない素晴らしい島がたくさんできました。あらためて子どもたちの創造力が無限大なことに驚かされました。
例えば、松ぼっくりが落ちているのを見た時、子どもたちは「この松ぼっくりは種なのかな?そして何か作れないかな?」という発想になるのに間違いありません。

 

4~6年 課外活動 鼓笛隊「次世代吹奏楽練習!」

一人一台のタブレットPCを持つようになって2か月が経ちました。
早くもオンラインやデジタル環境に親和していく子どもたちですが、それに伴い、今まであったものも大きく変化しています。

こちらは4~6年生の希望者による課外活動「鼓笛隊」です。
金管・木管・打楽器など多彩な楽器を奏でる「鼓笛隊の練習」にも、タブレットPCが導入されています。

こちらはパート練習の様子ですが、合奏用の音源をそれぞれのタブレットPCを使って流し、それに合わせて練習をしています。
   

   
タブレットPCを使ったパート練習について子どもたちに聞いていみると、
「何度も何度も同じところを同じリズムで練習できるので、とても練習しやすいです!」
とのこと。たしかに、デジタル機器の強い一面を活かした良い練習です。
   
パートリーダーたちも、タブレットPCを上手に使い、どこの、どの音がずれているのか、どこを意識するとよいのかをロイロノートで共有しながらメンバーを導いています。

パート練習を終えた後は、みんなで合奏練習です。
この時も、記録撮影チームが合奏の様子を撮影し、どこがずれているのか、自分のパートのハーモニーはどうかなどの確認に活用しています。
      
桐蔭小の3つの課外活動「鼓笛隊」「合唱団」「鉄~KUROGANE~」は、それぞれタブレットPCを取り入れた次世代の取り組みに挑戦しています!!

 

6年科学「酸とアルカリ!話し合って同定実験 最短距離を狙い撃ち!」

6年科学の「酸・アルカリ」の分野の一コマです。
5つの無色透明の水溶液を判別します。
「塩酸」「水酸化ナトリウム水溶液」「アンモニア水」「炭酸水」「食塩水」
これら5つの水溶液を、最も少ない手順で同定する方法は何か?みんなで予想し実施しよう。
   
先週行った実験の結果が載っているワークシートをタブレットPCで確認し、手順と結果を予想し、フローチャートを作成していきます。
「先にBTB溶液のほうがいいんじゃない?」
「それだと、みんな染まってしまうから見えづらいかも。」

話し合いの結果を各班ともロイロノートで共有しながら、今日の実験手順を決めていきます。
   

たくさん並ぶ指示薬の中で最低限必要なものを選ぶのも、話し合いの賜物です。

「きっと3ステップで判明する!」
「いや2ステップだっ!」

   

実験のステップをタブレットPCを使って班内で共有したのち、自分たちで決めた実験フローチャートに沿って安全に実験を行いました。

「うぁ!この匂いはアンモニア水だ!」
「…そうか、匂いをかぐという選択肢があった!」
「BTB溶液がどっちも青くなったので、この2つはアルカリ性だな。さて次はどうしよう」

   

与えられた実験を正確に行う力も必要ですが、「知識と手順」を自分たちで選択し、答えにたどり着く「問題解決能力」を高めていくのが桐蔭小の『科学』です。

実験結果と手順は、ロイロノートでクラスメイトと共有して次の実験に臨みます。

 

3年科学「私が出題者!光の反射をフル活用!」

「光の反射冒険」→「鏡文字の世界」→「ミラーアーティスト」という流れで、光の性質を学んできた3年生たちは、興味・関心の高まりとともに知識もどんどん増えてきています。

ここで、ペーパーテストをすれば、個々の知識の定着は測れますが、一人一台タブレットPCがある今なら、それ以外の選択肢もあります。

「今日は、皆さんに、先生になってもらいます!」
「君たちの資料箱には懐中電灯とクリスタルの画像データを入れておきます。」
「懐中電灯の光をクリスタルに当てるという活動は2週間前に実際にやりましたね!」(※教育実践「3年・光を反射し、お宝をGETしよう!!」参照)

「今日はロイロノートを使い、光の反射問題を作ってもらいます!」
「おお!やった!どんな問題にしよう??」
「条件は懐中電灯とクリスタルは所定のデータを使うこと。鏡は青線、光軸は蛍光ペンの黄色。それ以外の工夫は全てきみたちに任せます。」

「まずは、問題作成タイム!開始!」
   

   
子どもたちは、今までの実験結果を基に、光の直進と鏡の入射角、反射角が同じという特徴を上手に使いながら、問題を作成していきます。

「ここをこうして、一度光をまげてもらおう!」
「これは難しすぎるかな?これだと問いてもらえないかも…」


(5分後)「一度終了。そこまでで出来た問題をロイロノートで提出しましょう。」
「では、友だちの問題に挑戦タイム!開始!」
子どもたちは、友だちが作った問題を開き、盛り上がりました。
「〇〇さんの問題、難しい! …でもできた!やった!」
「〇〇君の問題、かっこいいな どうやってそのマーク作るの?」

自分が作った問題と友だちが作った問題とを見比べて、良いところを吸収し、さらに新しい工夫を思いつく瞬間です。この時間がとても大切です。
「個→協働→個」の流れの中で、なぜ仲間のアイディアを吸収したいと心が動くのか?それは、自分が主体的に問題をつくり友だちに届けようと気持ちが前を向いているからです。

「それでは、2回目の問題作成タイムです!開始!」
ここから先、子どもたちの作った問題の内容は、多様性が一気に上がります。
まさに百花繚乱!

学んだ知識を「問題作成」という形で具現化し、さらに仲間の工夫に刺激を受けて創造力を上げていく取り組みになりました。

この反射問題は、授業終了後も、たくさん提出されました。
「先生、土日に問題作って提出しました! 海に沈んだクリスタルをタコとイカをよけながらGETする問題です!」
   

子どもたちの創造力は無限大ですね。

 

3年科学「誕生!ミラーアーティスト」

鏡の導入の授業です。

今日は皆さんには「ミラーアーティスト」になってもらいます!
そう伝えると、子どもたちは「はて?ミラーアーティスト????」と不思議そうな顔をしていました。

そこで、合わせ鏡の中に一本線を引く様子を、タブレットPCのライブカメラで見せました。

すると、「おぉ凄い!線は何本にも見える!」
線をふやすと「きれい!」という声が上がりました。

二人で合わせ鏡をつくり、角度を変えながら、どのような世界が広がるか確認してみよう!
そして、「これはクラスのみんなと共有したい」と思う作品ができたら、ロイロノートで提出するよう、呼びかけました。それは即座に電子黒板に映るので、みんなにとっていい刺激となります。

この説明をしている段階で、子どもたちはやりたくてウズウズしている様子。
「では、ミラーアーティストのみなさん!みんなが感動する作品をめざして、鏡の世界へ入っていきましょう!」の合図で、実験開始。
   
「先生!角度を狭くすると、たくさん増えます!」→「カメラに撮ってみんなに見せてあげよう!」
「きれいなのできました!」→「ロイロノートで提出し、みんなと共有しよう!」→「〇〇さんのコレ、きれい!真似しよう!」→「真似することは第一歩として大切です!そして自分のアイディアも出せたらさらに素敵です!」
   

ここでは一人一台のタブレットPCとロイロノートが効果的に子どもたちの創造力を刺激します!
ものの数分で、提出箱は無数のアイディアで溢れかえりました。
さらに、これも!これも!と仲間から刺激を受けた自分のアイディアをどんどん投稿してきました。

鏡の世界は左右が反対になること。二枚の鏡の角度が小さくなると、反射する像の数が増えること。
   


そういった科学的知識は、自分たちで活動しながら、自然と身についていきます。中には、鏡の中でしか読めない字を書いて、それをなぞなぞにして友だちに出している子もいました。
あふれる子どもたちの創造力には毎回驚かされます。

 

3年科学「光を反射し、お宝をGETしよう!!」

鏡を使って、光の入射角と反射角が同じであること学ぶ単元。
懐中電灯の光を太陽光として、その光軸を考えて手鏡を使い反射していく実験です。

教員が導くのではなく、自分たちで気が付くためには、思考のストーリーが大切です。

そこで、この授業は、全員に「インディージョーンズ」になってもらいました。

「君たちは、考古学者。(考古学とは…)」
「この宝石(ビー玉)に、太陽の光が当たるとき、古代エジプトの財宝が手に入るであろう!」
「この宝石は堅牢な洞窟(段ボール箱)の中に隠されている。さぁ未来の考古学者たちよ。知恵を絞り、仲間と協力しmissionをクリアしたまえ!」

太陽と洞窟の入り口には4つの難易度があり、それぞれの班が一つずつクリアを目指します。
   
「よ~し!やるぞ!」「どうやってやる?」と子どもたちは謎解きにのめり込んでいきました。
実際に鏡を動かして、光がどのように反射されるのかを体験しながら学んでいき、それを自分の知恵としてみるみる活用していきます。
「先生!できました!」→「まだまだ光が足りぬ。」→「え?まだまだ明るくなるの?」
試行錯誤の繰り返し……
「本当だ!すごく宝石が輝いた!」「よし!mission2へ行こう!」
   
「光が直進する」ことと「入射角と反射角が同じなる」という知識を、自分たちで考えて活用した結果、生きた知識として身に付けることができたようです。
仲間の小さなひらめきや工夫が自分の良い刺激になる経験も、実験の良さです。

一度成功したmissionも、「ちがうルートの光の道も探してみよう!」と貪欲に挑戦する姿は、まさに小さな考古学者でした。

子どもたちの創造力を育むためには、授業の設定と思考のストーリーが大切だと思います。

 

5年算数「あっ、ぴったり重なる!~合同な図形~」

単元『合同な図形』
(ねらい)
・合同な図形(色紙)を敷き詰めることで、綺麗な模様になることを確かめる。
・幾何学的な綺麗さに気づく。
・特徴のない四角形を敷き詰めることができるか、予想をたてた上で実際に取り組む。
・敷き詰めができる理由をみんなで考える。

(流れ)
①ロイロノートのアンケートカードを使用して、見通しを立てさせてから実際にやってみるという活動を行ってみました。初めに、寄木細工の写真を見せ、「どんなところに綺麗さを感じるのか」ということを考えていきました。
   

~子どもたちの意見~
・同じ形がたくさん並んでいる。
・綺麗に整列している。
・三角形や四角形がたくさんある。

②綺麗だと感じる理由を確認したところで、どうして綺麗に敷き詰めることができるのか?

(子どもたちへ質問)

→綺麗な形(直角二等辺三角形、正方形など)だからという意見が出てきました。
その後、アンケートカードを使って、「特徴のない四角形だったらどうなるかな?」と聞いてみました。
③予想はほぼ半々に分かれました。
そして、実際に手を動かしてやってみて、試行錯誤し、できるということに気づくことができました。

(子どもたちの予想)

   

④最後には、どうして「きれいに敷き詰めることができるのか」を考えて、「合同な図形だから同じ長さの辺がある。」「四角形の角の総和は360°だからぴったりひと回りする。」ということに気付いて共有することができました。
   

(まとめ)
ロイロノートでカードを提出したり、アンケート機能を使ったりすることで、自分の考えや予想がはっきりとするので、自発的に授業を受ける児童が増えました。

 

4年図工『マイ エンブレム』

文部科学省は、小学校高学年における発達段階の特徴を以下のように説明しています。
『自己肯定感を持ち始める時期であるが、反面、発達の個人差も大きく見られることから、自己に対する肯定的な意識を持てず、劣等感を持ちやすくなる時期でもある。』
4年生は、自分のことを客観的にとらえられるようになりますが、一方で発達の個人差も顕著になる時期です。本単元では、「自分らしさ」を形で表すと「どのように表現できるのか」を考えながら、エンブレムづくりに取り組みました。子どもたちにとって、「自分らしさを考える」きっかけとなるような授業になってくれたら嬉しいと思い、この制作を取り入れ、実践しました。

まずは、世の中にある様々なエンブレムを鑑賞し、その中で日本の家紋を紹介しました。
はじめは「かっこいい」「かわいい」といった、見た目の感想が聞こえてきました。次に「向かい合っている鳥だ!」「何の葉っぱかな?」など、描かれている形に注目したつぶやきが聞こえてきました。次第に「この家紋は忍者の家だ!」と家柄まで想像する声も聞こえてきて、子どもたちの発想の豊かさを感じました。
ここで家紋のモチーフについて解説し、モチーフにはそれぞれ意味があることを押さえさせました。
「じゃあ、自分のエンブレムをつくるとしたら、どんな形になるかな?」
すると、子どもたちはプリントにそれぞれアイディアを描いていきました。
   
活動中、たくさんのアイディアを考えた子、失敗しながらも試行錯誤の末に自分なりの表現方法を見つけた子、最後まで妥協せずに丁寧につくる子、友だちと相談しながら表現方法を模索する子などの様子がみられました。こんな子どもたちの様子を撮影し、それらをプロジェクターで投影し、みんなで共有しました。図工の授業で学ぶべきことは「作品のつくり方」だけではありません。その根本にある「思考のプロセス」こそ重要なのではと、私は考えています。自分だけの視点で物事を見つめ、自分なりの答えを生み出していく過程を大切にしていきたいと思っています。

 「自分らしさ」を子どもたちは様々な方法で表現していました。その中に「自分でも何を表現したかはわからないけれど、自分らしい形ができた。」と作品を見せてくれた子がいました。「自分らしさ」を抽象的に表現したのです。もしかしたら、「自分らしさ」は、どんな形にしようかと自分で考え、自分で表現を決定していくことで、自然と出てくるものなのかもしれないという話をみんなで共有しました。
    

   
エンブレムづくりを終えた子に、本単元で学んだ技術をつかって、自分なりに思いついたものをつくってみようと投げかけてみました。課題をただこなすだけではなく、「他にはどんなものがつくれるかな?」という新たな問いを生み出せる人になってほしいという願いから、基本的にどの単元でもこのような時間を設けています。そんな時間こそ、大切にしていきたい時間であると考えています。
   

 

4年図工『いつもの教室じゃないみたい…~ステンドグラスづくり~』

学校が再開して、コロナ禍の子どもたちのために図工は何ができるのか考えながら子どもたちと過ごしていく中で、子どもたちは教室で過ごす時間が長くなり、友だち関係や学校での時間の過ごし方について悩む子が見受けられました。そんなとき、この教室という空間が少しでも子どもたちにとって、あたたかく過ごしやすい空間になってくれたらいいなと思い、ステンドグラス制作を始めました。

まず導入として、私がスペインのサグラダファミリア教会を観光した際に撮影した写真をみんなで鑑賞しました。子どもたちは建物の形の面白さや高さなどに驚いていました。しかし、ステンドグラスの写真を見せると、子どもたちからで歓声があがりました。ステンドグラス自体も美しいのですが、ステンドグラスに光が差し込み、周辺を彩っている様子は圧巻です。「なぜこの写真をみんなで見たのかわかる?」と問いかけると、「え…?まさかステンドグラスをつくるの…?」といった反応が返ってきました。ステンドグラスをみんなでつくることを伝えると、喜び・驚き・期待・諦め…様々なつぶやきが聞こえてきました。たくさんの反応が返ってきたことが、私には嬉しかったことを伝えました。
   
カッターを使って、黒い画用紙を切り抜いていきます。紙がすれる音やカッターを動かす音が聞こえてきました。教室が自然と静かになっていきました。活動中の様子を撮影し、スクリーンに映し出してみました。子どもたちは一人ひとり真剣に向き合っている様子をみんなで共有し、こういった雰囲気を自分たちでつくれたことを称賛しました。
完成した作品は教室の窓ガラスに飾り、今、教室を彩っています。子どもたちにとって、教室が楽しく過ごしやすい空間だと感じてもらう手助けになっていたら幸いです。