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フィルターなしで円偏光を高感度に検出 ~応力など物体表面の可視化技術として期待~大学院工学研究科 石井あゆみ特任講師

ポイント

  • 物体表面の応力分布などを可視化するために、円偏光を高感度に検出する技術が求められていた。
  • 鉛ペロブスカイト系化合物と光学活性有機分子からなる結晶薄膜により、円偏光を高感度に検出するフォトダイオードを開発した。
  • 偏光検出装置の高感度化、小型化や新たなセンシング技術への展開が期待される。
 

概要

JST 戦略的創造研究推進事業において、JSTの石井 あゆみ さきがけ専任研究者 (桐蔭横浜大学 大学院工学研究科 特任講師)は、鉛ペロブスカイト系化合物に有機キラル分子を導入した結晶薄膜により、フィルターなしで円偏光を検出するフォトダイオードを開発しました。

物体表面の傷、異物、ゆがみなどを可視化するために、光の振動方向「偏光」を検出する技術があります。さらに、偏光した光が左右に回転する「円偏光」を検出すると、応力の強度や分布も識別できます。

現在カメラや光センサーなどの光検出部に使われているフォトダイオードは、偏光を直接識別できないので、各種のフィルターと組み合わせ、光を空間的に分離する必要があります。このような素子構造のため光の検出感度が低く、特に円偏光の検出は非常に困難です。そこで、偏光をフィルターレスで検出できるセンサーの開発が望まれていました。

本研究では、鉛ペロブスカイト系化合物と、右手と左手のように重ね合わせることができない掌性(キラリティ)を持つ有機分子からなる有機-無機ハイブリッドのキラル結晶薄膜を作製し、その1次元鎖状構造のらせん方向によって左右の円偏光を選択的に吸収できることを明らかにしました。さらに、これを用いて作製したフォトダイオードで、円偏光の回転方向をフィルターレスでは世界最高の感度で検出することに成功しました。

これまで可視化できなかった物体の情報や応力の認識など、新しいセンシング技術としてさまざまな可能性が期待されます。

本研究成果は、2020年11月11日(米国東部時間)に国際科学誌「Science Advances」のオンライン版で公開されます。


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