花冷え

今日は3/29(火)、桐蔭学園の桜はちょうど見ごろ。ただ、昨日までの暖かさとは打って変わって花冷えとなっています。

春の陽光のもとでの桜はもちろん美しいのですが、今日のような曇天の下での桜も、その淡い色合いが控えめな風景を生み出し、また趣深いものです。

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「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」──この世に桜というものがなかったならば、春における人の心はどれだけ落ち着いたものであったろうに──桜の美しさ、素晴らしさを逆説的に詠んだ在原業平の有名な歌です。

私はこの季節になるとこの歌を思い出します。「平安期の古代人も私たちと同じ心境になったのだな」と思うと、千年の時を越えて強い共感を抱くのです。

「春は桜のせいでどうもソワソワして仕様がない」──この歌をくだけて解釈すればこのようになるのでしょう。私のここ何年かの「ソワソワ」感はもっぱら「この桜、入学式までもつかな」というものです。以前と比べて桜の見ごろは確実に早まっているようで、例年4/6前後に行われる桐蔭学園の入学式のころには残念ながらすでに半分葉桜となっているのが近年の状況です。

近年の見ごろは──そう、ちょうど生徒たちが春休みの期間なのです。「もっとたくさんの生徒や保護者の方にこの桜を見てほしいな」と少々苦々しい思いを抱きつつ満開の桜を愛でることを、ここ数年くり返しています。