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「改革へ!①~新しい小学校になるために~」

桐蔭学園小学校 教育研究推進部

 私たち桐蔭学園小学校教員は、『真の「生き抜く力」を養い、使命感溢れるリーダーとして、主体的、能動的に未来を開き、世の中に貢献できる人材の育成』を目指し、改革を行っています。そのために、児童主体の活動を重視し、授業や生活の中でコミュニケーション能力、責任感、企画力、そしてリーダーシップを養うための教育活動を展開しています。その実現のためにカリキュラムマネジメントを実行しています。
マネジメントの流れは、(カリキュラム・チェックリスト作成)➡(長期的ルーブリック作成)➡(課題ルーブリック作成)です。これにより、「思考・判断・表現」「深い学び」をきちんとアセスメントします。
現在では、小学校が子どもたちの資質能力として育みたい「6つのキーコンピテンシー」について「カリキュラム・チェックリスト(行事版)」と「カリキュラム・チェックリスト(教科版)」が作成できました(下参照)。それと共に「長期的ルーブリック」を作成しています。この「長期的ルーブリック」を基に教科ごとの「課題ルーブリック」も同時進行で作成しています。実践を重ね完成に向けて今後も取り組んでいきます。
カリキュラム・チェックリストとは、「6つのキーコンピテンシー」のどの項目と関連するかを一覧表の形で示したものです。このカリキュラム・チェックリストによって、「6つのキーコンピテンシー」の各項目が、具体的にどの項目によって実現されるのかがわかります。

行事編
(カリキュラムチェックリスト行事編)
※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

行事編
(カリキュラムチェックリスト教科編)
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ラーニングスペース、拡大中!その1

2020年10月20日に、小学校に今年度からラーニングスペースができました、というご紹介をしました。
あれから5か月がたち、ラーニングスペースはその間もどんどん進化しています。どのような変化があったのか、ご紹介します。

まず、季節に合わせた飾りなど、ラーニングスペースは時期に合わせていろいろな様子に変わります。12月はクリスマス飾りでにぎわっていました。
保護者会役員の方々が飾ってくれた大きなツリーもありました。社会科資料コーナーの土器もクリスマス仕様です。

   

2月からはこちらも保護者会の役員の方々が立派なひな人形を飾ってくれています。なかなか家庭では見られないサイズで、多くの子どもたちが驚いていました。中には、「これに刺激を受けて自作した」という子もいたり、興味を持って雛飾りのことを調べたりした子もいました。

10月末はハロウィン飾りがあったり、お正月には鏡餅があったりしました。暖かくなってきたら花の飾りなども出していこうと思っています。一面の窓から見える景色の移り変わりとともに、季節を感じられるようになっています。

展示もかなり充実しました。ラーニングスペースは本を読むだけではなく、いろいろな刺激を受けてもらいたいので、子どもたちが興味を持ちそうなものを、教員がたくさん展示しています。
以前、教育実践でも取り上げた記事になった「いそはた水族館」もその一つですが、他にもたくさんの展示があります。
先程のクリスマス飾りでの社会の土器以外にも、社会関係では石器なども展示されています。地図もいろいろ掲示されており、電車の路線図などは子どもたちに大人気です。
また、古代米という、昔から食べられてきたお米の実物などもあります。

   

他にも珍しい石や、植物なども展示されています。石はポスターに貼り付けて写真と実物が見やすいように展示しています。植物は時期によって変わりますが、今はこんにゃくや春の七草などがあります。この春の七草は七草粥のセットに入っていたものなのですが、鉢植えに植えるとどんどん成長して、葉っぱがこんなに伸びました。

   

社会関係のものは主に玉井先生が、植物などは「いそはた水族館」管理人の磯畑先生がお世話をしてくれています。水族館と並んで大人気の展示です。
音楽科の先生にも協力していただき、電子ピアノも設置しています。こちらは自由に弾くことができるので、休み時間はいつも誰かのピアノの音が聞こえてきています。先生たちも時々弾きに来ていて、音楽の岩井先生がピアノを弾いて、まわりで子どもたちが曲に合わせて歌ったりもしています。

このように、ラーニングスペースはさまざまなことに活用される場所です。授業でも活用していますが、休み時間は他にもいろいろなことに活用しています。課外活動の練習などでも使い、図工科の作品展示にも活用しています。

   

この5か月間、ラーニングスペースはいろいろなことに活用され、その時々に合わせて大きく様子が変わってきました。
これからもラーニングスペースはどんどん変わり続けていきます。
こうした多くの活用があることから、校内の他の場所にも少しずつ、ラーニングスペースの機能が増えています。

 

桐蔭学園小学校「子どもたちの深い学びを追求!~シンキングツール導入の全体像~」


(小学校 教育研究部主任 瀬山 郷平)
桐蔭学園小学校では、子どもたちの深い学びを実現するための方法の一つに、シンキングツールを導入しています。導入にあたっては以下の3つのポイントを大事にしました。

A.シンキングツールを活用できる場を多く用意すること。
B.シンキングツールを子どもたちが活用してよかったと実感を得ること。
C.シンキングツールで思考を可視化したことで、子どもたちの学びが深まること。

このことを踏まえ、以下の図のようにシンキングツールを活用する場を3つ設定しています。

 1つ目は、「シンキングツールタイム(T3)」です。シンキングツールを使っていくためには、まずその使い方を学ぶ必要があります。その指導時間を教科学習や行事指導の時間とは別枠で設定しました。1・2年生は週1コマ授業時間を、3~6年生は朝学習の時間(週2回)をそれぞれシンキングツールの使い方を学ぶ時間としています。ここで指導するテーマは、例えば「リンゴとトマトを比べると?」といった簡単で身近なものにしています。些細なものでも改めて考えてみることで、子どもたちは意外な発見があるということに気づいていました。こうした時間を通じて、シンキングツールの使い方が分かり、教科学習や行事活動に活用することができました。ここでは、上記の3つのポイントのAとBの要素があり、特にAの要素が強い活動です。
2つ目は、「行事における思考の変化」です。「シンキングツールタイム(T3)」で学習したシンキングツールを、行事の中で活用します。「アイデアを創造する」や「ここまでの活動を振り返って、今後の活動を考える」などといった場面でシンキングツールを活用し、思考を可視化して整理します。すると、子どもたちは自分たちのアイデアが整理されてやるべきことが明確化され、行動を振り返って次に生かしたり、面白い発見に出会ったりして、活動が活性化するようになりました。ここには、上記の3つのポイントのBとCの要素があり、特にBの要素が強い活動です。
3つ目は、「教科学習における思考力の向上」です。例えば、算数で何気なく見ていた形を、分類していくことで、自分が着目していることが言葉としてあらわれ、特徴を見て整理することができます。また、総合学習での話し合いで、自らの主張の理由を書きあげていくことで、主張のポイントや足りないことが分かり、さらに主張の論理を強くすることができます。このように学びを深めている様子が見られました。思考を可視化することで、自らの思考を構造化し、単元の目標に、子どもたちが自発的、自律的にたどりつくことができるようになりました。教科での実践は、教員間でも共有しており、より効果的な指導方法を模索し、実践しております。これは、上記の3つのポイントのCに特化した活動です。

こうした取り組みによって、現在子どもたちが徐々に自然とシンキングツールを自発的に活用し、思考を深める様子も見られるようになりました。アクティブラーニング型授業の「個→協働→個」の展開における、「個」の場面でも「協働」の場面でも今までに見られなかった思考の深まりが見られるようになっています。
いろいろな場面やすべての教科で使う場面を設定する組織的な取り組みによって、シンキングツールの導入と活用が、子どもたちに思考させることを活性化させています。

      

      

 

桐蔭学園小学校「子どもたちの深い学びを追求!~シンキングツールの活用~」

桐蔭学園小学校では、子どもたちの「学び」を深めるために「思考力の育成」を目指した授業改革に「シンキングツール」を導入して、組織的に取り組んでいます。関西大学の黒上晴夫教授をアドバイザイーとして迎えてご指導いただきながら、日々実践と研修を重ねています。
本校では、シンキングツールを導入した新たな授業展開を今年度4月から開始しようと、昨年度中から黒上教授に指導を仰ぎながら準備を進めてきました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響による休校や自宅学習対応等のため、学校再開後の7月から授業で導入し始め、9月より本格的に取り組んでいます。そして、10月からは児童に1人1台のタブレット端末を導入し、現在、デジタル版のシンキングツールを授業等で活用しています。
今後の本校の新しい教育展開に大いにご期待ください。

◯ 桐蔭学園小学校が挑戦する『考える文化』の醸成に期待(関西大学 黒上晴夫 教授)

世界中を襲ったパンデミックが、学校に落とした影響はとても大きい。ただ、前向きにとらえることができる影響もある。遠隔での授業や、個人学習などを視野に入れた教育の在り方を、否が応でも考えざるを得なくなったことだ。そして、全ての子どもにタブレット端末を与える施策が一気に動いた。そこには、AIドリルなどを使った個人学習への期待もあるが、もっと大事なのは、どこにいても一人一人が考え、それを一気に共有する学びがサポートされることだ。
桐蔭学園小学校は、今年度から、シンキングツールを活用した授業改善を目指すことになっていた。しかも、当初想定していなかった「デジタル版
シンキングツール」を年度の半ばを過ぎてから使い始めた。
シンキングツールの活用は、学校全体で長期間取り組むことがとても大事だ。使い方を学び、それに慣れ、一人一人が考えをつくり出し、それを共
有してブラッシュアップしていく。それにどの学年も取り組み、入学時から卒業するまで使い続けることで「考える文化」が学校に根付く。公立学
校では、これが難しい。一貫教育の中で、「考える文化」をじっくりと醸成していってほしいと思う。
◯ シンキングツールの導入と活用(小学校カリキュラムマネージャー 小林 勉)

本校では、アクティブラーニング型の授業を積極的に実践しています。その中で「個→協働→個」の展開をより深めていく方法を試行錯誤してきました。子どもたちに「思考力」をつけさせることを系統立てて、組織的に取り組むことは学校としての大きな課題でした。教員の中には、ベン図を使ったり、クロス表を使ったりして、子どもたちの学びを深めようとチャレンジする人もいましたが、教科を越えてつなげることはなかなかできませんでした。
そのような中、シンキングツールと黒上先生との出会いが、本校の抱える悩みを解決する方向に導いてくださいました。現在、黒上先生から多くのアドバイスをいただきながら、シンキングツールを積極的に活用して授業改善に臨むというミッションに学校全体で組織的に取り組んでいます。

 

改革仕事人登場!桐蔭学園小学校の挑戦

桐蔭学園小学校では,コロナ禍を代表する急激な社会に子どもたちが対応し,「豊かに生き抜く力」の育成を目指しています。具体的には,10年後の2030年に子どもたちが身に付けるべき資質・能力を「6つのキーコンピテンシー」として取りまとめました。「思考力,チャレンジ力,創造力,メタ認知力,思いやり,エージェンシー」です。そして校長,教頭,カリキュラムマネージャーを中心に,実際にそれらを身に付ける教育プログラムの開発・見直し・評価を行うべく,20のプロジェクトを立ち上げました。教職員一同,オール桐蔭で取り組んでまいります。


(左:カリキュラム・マネージャー,中:校長,右:教頭)


(会議の様子)

授業システム向上 シンキングツール
教育実践/HP ブレンド型学習
幼小入試改革 探究学習
個人面談 キャリア教育
登下校・バス運行 小中プログラミング
アフタースクール 小中英語教育
行事再編 授業改革(在り方・進め方・協働学習)
児童が前向きな気持ちで自発的・意欲的になる活動 カリキュラム・マネジメント/3つのポリシー(AP・CP・GP)/カリキュラム・ツリー/チェックリスト
ラーニングスペース ICT教育/メディアリテラシー
図書推進 クラス作り

(20のプロジェクト)

 

具体的なプロジェクトは,「シンキングツール・プロジェクト」をはじめ,「キャリア教育プロジェクト」や「探究プロジェクト」など,授業に関係があるものから,「ラーニングスペースプロジェクト」など授業外での学びを豊かにする取り組みのほか,今のあり方を見直す「行事整理プロジェクト」などもあります。それぞれプロジェクトリーダーの先生方を中心にICTを活用したSlackで情報を共有しながら先生方もエージェンシーを発揮しています。
今後,この教育実践内でもプロジェクトの様子をお知らせいたします。


(Slackでのやりとり)

 

小学校『ラーニングスペース、開設中!』

昨年度より小学校4年以下で読書の授業、今年度より幼稚園で絵本の時間が始まり、子どもたちの読書活動推進活動を行っています。
しかし、昨年度末より新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、図書室は入室禁止になっています。本年度の図書室は、自由に開閉できる窓がなく、短時間での換気が難しいためです。このままでは「子どもたちの自由な読書活動の早期再開が難しい」と考え、思い切って図書室を引っ越しすることにしました。
図書室の引っ越しは、今回のこととは関係なく以前から計画していました。「より開かれた場所」として、「意識しなくても学校の中心に常にある存在」としての学校図書館を目指していたので、引っ越し先やその際のプランなども検討していました。
そこで、夏休み明けからすぐに動き出しました。場所の確保が終わり、仮の本棚としてカラーボックスを購入してみんなで組み立て、せっせと本を運び込み……。9月17日に多くの人の協力のもと、図書室出張所としての「ラーニングスペース」が開設しました!
とは言え、運動会までの期間は練習スペースにもなっていたので仮の本棚と蔵書の一部を置いただけの簡易的スペースでした。運動会終了後は本棚やワークスペースなどを増やし、「読書・学び・情報の中心地」となるべく少しずつ進化していくことでしょう。
桐蔭の子どもたちとともに進化を続けるラーニングスペース、どのようなものになるのか、とても楽しみです。


教室4つ分の広いスペースを使っています。(今はがらんとしていますが……)


休み時間にはたくさんの児童たちが集まります。


ベンチに座ってたり、床に座ったり。


ラーニングスペースで読書の授業もしています。この日は階段に座って読み聞かせを聞きました。


授業でおすすめ本に帯を作りました。みんなの作品で、ラーニングスペースがにぎやかになってきました。

※10月16日(金)に運動会が終わったので、本格的にスペースを作成しています。
また、ご報告いたします!

 

幼稚園・小学校 教員研修の実践「問題行動対応ワークショップ」

小学校から中等教育学校への連携として、中等教育学校1年の生徒たちに行われた入学時のワークショップを幼稚園・小学校の教員で取り組みました。中等教育学校1年学年主任が生徒にやったものと同じように、私たち幼小の教員に行ってくれました。卒業生がどのような指導を受け、どのように成長していくのかを幼・小の教員は肌で感じ、とても有意義で良い時間になりました。以下、研修内容を紹介します。

①中等教育学校1年生の実際のテーマを紹介 ⇒ 大きなテーマは、「学校の『ありたい姿』」を見つけること!
   

② ①を基に、教員たちも自分たちに置き換えて同じように取り組む。
   
〇当日のワークショップの活動を聞いている教員たちの様子です。
   

〇個人ワークをしている様子です。
   

〇グループワークをしている様子です。
   

最後に、演劇を通して、実際の生徒の気持ちを考えたり、そのときに指導している教員の気持ちを考えたりしました。「お互いの気持ちを察し合うことの大切さ」も改めて考えることができました。
これからもこのような機会を設けて、園児、児童、生徒たちの気持ちを察し、共に成長できる環境を作っていこうと確認することができました。とても貴重な研修になりました。