茂木洋平准教授のゼミがフィールドワークを行いました。
2024年6月29日
茂木洋平准教授の2~ 3年生のゼミが、「タワーマンションは何故できたのか?―法学、政治、国際情勢、経済情勢の観点から考える―」をテーマに、6月21日(金)(2年生)と6月28日(金)(3年生)に武蔵小杉でフィールドワークを行いました。2024年春学期は2年生ゼミと3年生ゼミで同じテーマを設定し、フィールドワークの向けた準備を進めてきました。
テーマ設定について、茂木准教授は次のように語っています。「法学の勉強は教室だけで行うものではありません。タワーマンションは日常で目にする光景ですが、このような大型の建造物が都心やその近郊で建設されるにようになったことは、法制度や政治などの観点から、説明することができます。」 タワーマンションが都心とその近郊で建設されるようになった理由について、茂木准教授は次のように説明しています。「タワーマンションが建設されるようになったのは、1990年代後半以降です。これは公共事業費が削減され始めた時期と一致しています。公共事業費が減らされると、建設会社の仕事がなくなってしまうため、民間の建設需要を高める必要があります。そのため、土地の利用法の規制が緩和され、タワーマンションの建設が可能になりました。」 さらに、茂木准教授は、タワーマンションは国民の連帯意識が毀損されていることの象徴であるとも述べています。「本来、日本国民は災害などの有事があった際には、助けあう精神を持ちあわせています。しかし、2019年の豪雨の際に、武蔵小杉のタワーマンションの電源設備が浸水し、マンションの機能が停止した際には、『浸水の危険のある危ない土地に住居を購入するのがいけない』という自己責任論がネット上で拡散しました。規制緩和は非正規雇用を作りだし、社会経済的格差を拡大しました。これは武蔵小杉にタワーマンションを購入できる収入のある人々に対して、底辺に置かれた人々のねたみやしっとが現れたものだと思います。国民意識が揺らいでいることを象徴するような事件であったと思います。」
ゼミ生たちはゼミの時間に規制緩和とタワーマンション建設との関係性や規制緩和により生じた社会経済的格差の拡大による国民意識の毀損について、知識を学んだうえで、フィールドワークを行いました。ゼミ生からは「教室で学んだだけではなく、実際に現地を見たことで、知識がより定着しました。」、「日常に目にするタワーマンションと法制度の関係性を学んだことで、街を歩くときに今まで見えていたのとは全く違う景色が見えるようになりました。」といった感想が聞かれました。