桐蔭学園シンフォニーホールについて

学園内に放射状に延びる各校舎の要の位置にそびえ、銀色に輝く円錐を斜めに切り落としたような建物。

これが桐蔭学園シンフォニーホールです。
その斬新なデザインには、未来都市の建造物を思わせるものがあります。
このホールは、桐蔭学園の創立25年を記念して建てられたもので、学園の教育および文化の諸活動の拠点としての役割を担い、
同時に学園全体のシンボルにもなっています。

≪緞帳について≫

ホールの緞帳は、桐蔭学園歌にある「雁が未来をめざして飛翔する」イメージを描き出したものです。
デザインは、学校施設にふさわしいものを生徒自身の手で、という考えで、学内から公募した作品の中から選ばれました

(高校女子部生徒4人=井上陽子、斉藤茜、篠原道子、鈴木裕子の合作)

ホール緞帳 作者の言葉 

未来を求めて阿夫利嶺(あふりね)をわたる雁は、私たち自身の姿です。
何かを求めて飛び立つには、夜明けにかかるころがふさわしいと考え、山と空の全体の色調を決めました。
まだ太陽は山の向こうです。山は阿夫利嶺です。阿夫利嶺は、学園からもよく見える丹沢の大山のことです。
雁は、太陽が昇ってくるのを待つのではなく、無限の力を持った太陽を自ら求めて、より高く、さらに高くと飛び立ちます。
高みをめざして羽ばたきつづける雁に、理想を求める者の意志、力強さ、それに私たちの若さを託しました。
雁を白く描いたのは、白はどんな色にも染まる、つまり、求めるどのようなものも吸収することができる色、と考えたからです。
表現の方法としては、古典的な、和紙を使ったちぎり絵の手法をとりました。
校歌の詞の、俳句の味わいに合わせると同時に、長く受け継がれてきたものには、変わらぬ良さがあり、自分たちの作品もそうであってほしいと思ったからです。柔らかい感じを出すために、和紙はお風呂の水につけて、ぬらしてからちぎりました。色は、昔の色を調べて、できるだけその色に近くなるように工夫しました。
考え始めてから一週間、最後は徹夜になってしまいました。
じつは、私たちには、まだ未来の夢、希望、目的として、具体的にはっきりしたものがあるわけではありません。
何に向かっていま何をしたらいいのか、いつも迷っているのが実状です。
それだけに、応募したデザインに込めたような気持ちが強いことも事実です。

女子部高校6期生(当時高校2年生)
井上陽子、斉藤茜、篠原道子、鈴木裕子