教員・研究紹介
スポーツ健康科学領域
スポーツ文化科学領域
桐蔭横浜大学大学院
スポーツ科学研究科
Graduate school of Sport sciences
研究内容
河崎賢三 教授
アスリートのための
「スポーツ傷害の治療法」
スポーツ傷害(スポーツ外傷とスポーツ障害)はアスリートにとって競技レベルの低下を引き起こすだけではなく競技継続さえ困難になりいわゆる選手生命を脅かすものになります。膝前十字靭帯(ACL)損傷に代表されるスポーツ外傷は手術的治療とその後の集約的なリハビリテーションが必要になってきます。本学赴任以降実施した3000例を超えるスポーツ選手に対する手術のうち700例を超えるACL損傷に対する手術的治療の結果は概ね良好ではありますが、間違った身体操作、未熟な動きから生じる受傷反対側の受傷例はそれぞれ3%程度発生します。また肩・肘などの投球障害を代表とするスポーツ障害に関してもコンディショニング不良やオーバートレーニングなどが原因で起こる場合が多く、器質的損傷というよりもむしろ機能的な問題のほうが重要であります。本研究室では関連医療機関(横浜、東京、青森など)と連携してスポーツ外傷や障害の発生原因である身体機能の改善や向上を目指したトレーニング法やリハビリテーションの確立を目指すとともに、障害そのものの予防法についても主に本学の野球、サッカー、バスケットボール、ハンドボール、水泳などの強化部の協力のもと現場の声を反映し、「現場の希望に則し、早期かつ確実に復帰する治療法および運動療法の確立」を目指した研究を行ない、その成果を報告しております。また学童〜高校野球およびサッカー選手に対して検診・メディカルチェックを実施し障害の早期発見とともに指導者、保護者、選手に対する障害予防の啓蒙活動を行なっています。
研究内容
小山桂史 准教授
足部装具開発に
役立てる足の機能の研究
私達の多くがシューズは怪我の予防や競技力の向上に欠かせない道具であると思っていないでしょうか?しかしながら、今もシューズを履かずに裸足で生活する民族が存在し、一昔前までは日本人も裸足で生活していました。裸足とシューズで走った時の違いについて、この様な写真と実験データが存在します(Jungers, 2010; Lieberman et al. 2010)。いずれも同一人物が同じ速度で走った時の写真で、左側は裸足の時、右側はシューズを履いた時です。写真を見比べると、裸足の走りでは足の前方、指先側から着地してます。一方、シューズを履いた走りでは足の後方、踵側から着地していることがわかります。シューズを履くことで走りの動作が変わり、着地時の衝撃力が高くなることが解ってきました。同様に、私達の研究では、トレーニングで実施されるドロップジャンプの着地動作もシューズを履くことによって変わり、トレーニング効果も裸足とシューズで異なる可能性を考えてます(Koyama and Yamauchi, 2018)。駅伝やマラソンといった陸上競技の長距離種目では薄底のシューズが良いのか、厚底のシューズが良いのか、論争が続いてます。我々の研究室では現在、「足」の機能を検証して、シューズを含めた足部装具の開発に貢献することを目指してます。足の機能は非常に興味深いです。スポーツバイオメカニクスの視点から足の機能の解決に取り組むことは怪我の予防、健康の維持増進、競技力の向上に有益な情報をもたらすのではないでしょうか。
研究内容
清水智美 准教授
ヒトを対象とした生物学分野の
基礎について 幅広い視野から研究
自律神経機能は、交感神経と副交感神経の活動を負荷前後で応答を数値やグラフから検討します。女性は自律神経機能の変化が性周期の中で黄体期に大きく変動する傾向がみられました。運動群と非運動群の酸化ストレス・抗酸化力を比較検討します。酸化ストレス・抗酸化力は、運動選手の大会や試合に向けた自己管理(コンディショニング)に有用です。呼吸機能検査から、各体位変換による変化や呼吸筋力との比較を研究したいと考えています。また、健康な大学生の精神的疲労度についての調査研究、嗅覚や味覚等ヒトの感覚の研究も行います。適正飲酒啓発を目的としてアルコール体質検査の実施と結果提供を行っています。市民マラソンランナーの生体応答の調査とともに、マラソン前後の健康チェックボランティアにより、コミュニケーション力の向上を目指します。
研究内容
成田崇矢 教授
アスリートの傷害発生予防から
産褥婦の腰痛予防、筋肉痛へ介入研究、
生活期リハビリテーションまで、
理学療法の幅広い領域を
科学的知見にてサポート
近年は、スポーツ現場や医療現場で培った経験を活かし、超音波を用い、セラピストが筋や筋膜に介入した際の効果の科学的検証や産褥婦の体幹筋の形態、機能の経時的変化に着目し、研究を進めています。 また、大学院生は、野球肘の発生機序の解明、生活期リハビリテーションにおける活動量の変化、高校、大学サッカー部の障害予防におけるアプリの導入、筋筋膜性腰痛の滑走性等幅広い分野の研究を進めています。 これらの研究結果を学会やメディアを通し発信しています。また、各種企業との共同研究も活発に行っています。
研究内容
林田はるみ 教授
運動トレーニングが健康な
身体作りに役立つメカニズム
なぜ、運動が必要なのでしょう?食生活や生活改善が必要なのでしょう?実は、多くの生活習慣病に「酸化・糖化・炎症」の3つが関与していることが分かってきました。本来、人の体には酸化に対して抗酸化酵素などの防御システムが備わっていますし、炎症そのものは正しい免疫反応です。しかし過剰なストレス(運動も含む)や食生活の影響で、これらのレベルが必要以上に上昇してきます。適度な運動は身体に良いとされていますが、過度な運動はダメージを与えます。これには「酸化・炎症・糖化」が関連しています。これまで私たちは、特にスポーツを行う女性のコンディショニングをサポートしてきました。
現在の主な研究プロジェクトは次の通りです。
1.身体活動と酸化ストレス・炎症に関する基礎研究
2.女性アスリートを対象とした身体パフォーマンス・コンディショニングに関する研究
3. 高齢期における身体活動や運動指導による健康増進に関する研究
4.唾液などを用いたストレスに関する非侵襲的な(採血を行わない)研究
性別や年齢を問わず、生涯を通じて健康で充実した生活を送るにはどうすれば良いのか、“Lifestyle for health and well-being” をテーマに研究を進めています。近年では働き方も学び方も多様化してきましたので、スポーツコーチや運動指導者の皆さんにもより学びやすい環境づくりを目指しています。ご興味のある方や企業のご担当者様はお気軽にご連絡ください。一緒に研究を進めませんか?
研究内容
亀岡聖朗 教授
対人関係が環境への適応に及ぼす
影響を心理学の視点で考える
人が2人以上集まれば、1人でいるときとは別の行動が生じたり意識がはたらいたりします。競争、協調、葛藤、対立、反発などは、人との関係性から生じるものですし、人とのかかわりが動機づけを左右することもあるでしょう。こうした行動や意識は、学校生活でもスポーツ競技でも見られます。私たちはさまざまな場面で、多様な関係性に取り巻かれています。こうした対人関係上の行動や意識のはたらきを心理学的に探究することを研究テーマのひとつにしています。たとえば、対人関係の良し悪しは環境への適応に関連します。ソーシャル・キャピタルという言葉を聞いたことはあるでしょうか。簡単にいえば「人と人とのつながり」のことです。このつながりを多く持つ人は、そうでない人に比べて心身が健康で環境への適応も良好と考えられています。しかし、人が置かれている環境によってつながりの質は相違するという考えもあって、一概に多いからいいというわけでもありません。そうしたつながりが持つ意味を、学校適応の問題と関連させて研究しています。また、このつながりの問題をよりマクロな視点で捉えるならば、地域と人とのかかわりの問題にも適用できるでしょう。たとえば、地域へのつながり感をその場所への愛着と捉え、スポーツを通した愛着形成が人々の地域活動にどう影響するかが検討されています。こうした環境と人の行動や意識のはたらきとの関係性にも関心を持っています。
研究内容
清水 由 教授
すべての子どもにとってのよい
体育授業の探究
高校運動部員が経験する心理的ストレスのネガティブとポジティブの両側面に注目して,図に示すような「部活動ストレス-適応モデル」を作成しました.このモデルでは,部活動におけるストレスを単なる解消されるべき対象ではなく,ストレスとの関係によっては個人の成長を介して適応をもたらすものであるというように捉えています.すなわち,「ストレス体験」は部活動への不適応の原因にもなりますが,その一方で「ストレス体験→克服→成長→意味づけ」のプロセスを部員が辿ることによって,部活動への適応が次第に実現に向かっていくと考えます.このような,部活動適応に向かう循環過程を含んで部員のストレスモデルが描かれたことによって,部活動ストレスに対しても部員が部活動に適応していくための重要な機会として捉えることができるようになりました.したがって,これからの部活動指導では部員が部活動で遭遇するストレッサーをただ単に解消すればいいというのではなく,むしろそれを利用しながら部活動適応に向かっていくという考えが重要になってきます.ただし,ここで注意が必要なのは,部活動ストレスにポジティブな意味が加わったとしても,そのことが部員に多大なストレスを与えるということを奨励してはいないということです.指導現場においては,部活動ストレスが部員の部活動への適応や不適応に及ぼす影響を敏感に感じとり,部員の実態との関わりから部活動ストレスを適切に扱うことができる指導能力が一層求められるといえます.
研究内容
並木浩一 教授
メディアとネットワークの
時代を生き抜くスキル
私はおよそ26年間のメディアでの実務経験(市販雑誌編集長2誌ほか)を経て、大学教員に転じた。その前後に大学院で博士号を得ている。実務と教育・研究の間を行き来する移行期間を経て現在、メディアの現場との繋がりも維持しながら、メディアにおける新しいトピックを学生に教えることに努力している。また、日本語教師の資格も所持している。ほんらい雑誌・書籍の編集者としての経験が長いこともあり、学生の日本語表現の能力涵養は、興味と使命感を持っている点でもある。 同様に、私が研究や経験をもとにして学生に教える対象はメディアそのものであると同時に、新聞社・出版社・レコード会社・映画会社・広告会社といった、多岐にわたる「メディアの主体」でもある。というのも自分自身、各種のメディア企業と共同作業を行ってきた。動画、音声CD、CD-ROM、e-ラーニング教材といった非・活字メディアの製作も数多く、また自分自身が著者として表現するスキルを得ている。そうした活動のなかで、各種メディア系企業の実態をリアルタイムで観察してきている。それを実践的な教育としてフィードバックすることも、教員としての私の役どころではないかと思う。
研究内容
日比野暢子 教授
エリートスポーツの
競技環境に関わる政策提言と
具体化するマネジメントの視点
「スポーツの環境を良くしたい」。「スポーツをもっと盛り上げたい」。そうした声を学生さんから聞きます。スポーツを取り巻く課題に私たちはどのように向き合い、解決し、多くの人がスポーツを楽しみ挑戦する社会を実現していけばよいのでしょうか。我が国では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会等の開催が決まり、たとえば産業がスポーツ政策に位置付き、競技団体に向けたガバナンスコードが公表されるなど、競技環境の整備が進められています。こうした動向は、ジェンダーや障害などを理由に、スポーツの機会を十分に享受されていない人たちのスポーツ権利を保障する動きも後押ししています。 スポーツ政策学は、スポーツを取り巻く環境がどのような社会背景や課題のもと政策が打ち出され、その政策に対し、どのようなアクションプランが示され、推進されているのか(いくのか)、そして誰がどのようにその政策決定に関わるのかを読み解く学問です。大げさに言えば、日本のスポーツを変えてみたい!と思う方には、自身が思うスポーツの課題を読み解く力をつけ、それらを解決しうる力をつけるという意味において、スポーツ政策学ほど面白い学問はないかもしれません。スポーツを取り巻く政策動向が目まぐるしく変化する時代だからこそ、スポーツ推進とは何かを今一度考えてみませんか。
研究内容
李 禧承 准教授
「効果的・効率的・魅力的」な
学びの支援に関する研究
近年、学校教育での学びの支援では、学習者に「正解」を獲得させるための工夫ではなく、学習者が様々な問題に対し、仲間と協力しながら最適な答えが得られる「学習環境」がカギとなっています。そして、教師の授業づくりでは「正解はただ一つ」「教科書は正しい」という指導から、学習者が学習活動に積極的に取り組める「魅力的」な学び、より高度で多様な課題に学習時間が当てられる「効率的」な学び、さらに学習者集団の全員の学力向上につながる「効果的」な学びへの支援が求められ、今まで以上に教師の授業改善が迫られています。 一方、従来授業改善の手法としては、教師一人ひとりが先輩やベテラン教師から助言を受けながら、授業実践を積み重ねることで、その教師だけが知る「カン」や「コツ」を体得していくことが一般的でした。勿論、このような教師一人ひとりの‘試行錯誤の経験’は重要でありますが、より普遍的で科学的な授業改善の手立てはないでしょうか。この問いに応える学問がインストラクショナルデザイン(Instructional Design、以下ID)です。IDは、「教育活動の効果・効率・魅力を高めるための手法を集大成したモデルや研究分野、またはそれらを応用して学習支援環境を実現するプロセス」と定義されています。言い換えると、教育活動は「効果・効率・魅力」の向上に目的があり、そのための具体的な要素とプロセスがあることを意味しています。次の図は、教育活動の要素間の最適な関係性を表す代表的な「IDモデル」の「ADDIEモデル」であります。 学校教育におけるIDは、教師自らが学習者に到達してほしい「教育目標」を設定し、そのためにどのような計画を立てるのか、またよりよい授業づくりにするための客観的な手立てを提供する理論です。したがって、IDは教師の授業改善の手法でありながらも、その根底には学習者の学習を保障する学習者中心の授業づくりの考えがあるといえます。そして、学習者中心の授業づくりへの具体的な手立てを提供するID研究は、今後ますます学校教育で求められる研究領域であります。
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