桐蔭の教育は、実務と学問がよく融合し、知識の
伝授にとどまらず、法曹としての実力を醸成する。
私は、桐蔭法科大学院修了後、裁判官として法曹の道に入りました。広島や浜松で勤務した後、米国スタンフォード大学ロースクールへの留学を経て、現在は東京家庭裁判所で家事事件を担当しております。
家事事件の分野においても、もちろん法律に関する基本的な理解は大切ですが、のみならず、家庭の実情等に応じた適切な解決を導く思考力や、人の気持ちを理解し、充実したコミュニケーションを通して、関係者とともにより望ましい結論を目指していく、そんな能力が求められるように思います。私も、そのようなプロセスに耐えうる柔軟かつ論理的な思考力、対話や文章作成などにおける表現力、説得力を身につけるべく、日々の勉強を重ねている次第です。
さて、法科大学院は、法曹に求められる基本的な能力を身に着ける場です。したがって、その教育は、法律に関する基本的な理解を目指すことはもとより、具体的な事案において、適切な解決のために法律をどう用いるべきか、そして、自身の考えをどう伝え、関係者を説得するのか、といった点にも及びます。
桐蔭法科大学院の教育は(思えばスタンフォード大学ロースクールも同様でしたが)、実務と学問がよく融合したものであり、そのメソッドも、教員による一方的な知識の伝授にとどまらず、具体的なケース検討や、教員や他の学生との議論等を通して、幅広く法曹としての実力を醸成するものであったと思います。また、様々なバックグラウンドを持つ社会人学生との交流を通して、自身の視野を広げることができたのも、大きな収穫でした。
これから法曹を目指される皆様が、桐蔭で学び、悩み、考え、そして多くの友人を得て、将来、それを財産に法曹としてご活躍されるようにと願っております。