これから法曹を目指す社会人の方にも、
桐蔭の環境を活かして人生の幅を広げてほしい。
「誰だ君は」。K先生は、私の顔を見るなりそう言いました。無理もない。今日は先生の民事法総合演習の授業。私はその最初の授業に一時間以上の遅刻をしてしまったのです。心の中では、「違うんです」と思っていました。今日は授業開始の30分前には学校に着いていた。それなのに緊急の呼び出しを受けて…。言い訳ばかりが得意になる。仕事が、子どもが、友人が…。桐蔭での3年間は、こうした生活の連続でした。
社会人がロースクールへの入学を決意するのは、簡単ではありません。生活や仕事を投げ出して勉強に専念することのリスク。アメリカの著名な教授の「暴走する路面電車」の話ではありませんが、本線のまま走り続けていいのか、待避線に入るべきか。私たちの場合、線路の先に何が待ち受けているのか分からないだけに、その選択は一層困難です。
桐蔭には、そうした問題をクリアするために、仕事を辞めずに、法曹への道を開く第3の線路が用意されています。確かに、その線路が平坦でないことは、私の例を挙げるまでもなく明らかです。しかし、多様なバックグラウンドを有する人材の輩出という理念を実現するために、桐蔭が試行錯誤して作り、磨き上げたその線路は、他の法科大学院に容易に真似できるものではありません。
「社会人の合格ノウハウあります」。そう宣伝できるほど単純な話しではありませんが、これから法曹を目指すみなさんには、ぜひその磨き上げた線路を走り抜いて、人生の幅を広げてほしいと思います。