2020年3月、新型コロナウイルスにより私たちの生活は一変しました。
安倍首相による3月2日からの臨時休校要請に端を発し、教育の現場においては現在も様々な面で影響が出ています。
この未曽有の危機下において、桐蔭学園は私学としてどうあるべきか、岡田直哉校長の言葉で皆様にお届けします。3回連続掲載の第1回目です。
―安倍首相より3月2日からの臨時休校要請がありました
実は、この臨時休校要請が出る前から、3月初旬の学年末考査が終わった時点で生徒は自宅学習にしようと考えていました。
学年末考査が終わるまでは何とか授業が行われるよう願っていましたが、2月27日に安倍首相からの休校要請の発表があり、3月2日からの自宅学習ということになりました。
学年末考査については、問題と解説をオンラインで配信し、各自で問題を解き、自己採点してふり返りを行うという形になりました。
生徒たちにとっては、どれだけ自分が学習し、達成度があったのかを確認する機会になったと思います。
自宅学習の判断については、県内外から通学してくる生徒がいて必ず公共交通機関を利用することになりますので、生徒の安全を第一に考え、自宅で学習することが好ましいという結論に至りました。
重視したのは、何よりも生徒の学びの機会を止めないということです。生徒たちは自宅での学年末考査にしっかりと取り組んだと思います。
―この危機の中、生徒には何を考えながら過ごしてほしいですか
今回の危機は、大人にとっても子どもにとっても初めてなので、大人が子どもに対して「何かを教える」という立場にはないと考えています。
子どもたちがこの危機に対して「自分は何ができるか」ということを考えた時、現時点では圧倒的な無力感を感じると思います。医療的な問題に関しても危機管理に関しても、知識も判断力もありません。
ただ、大人たちがこの危機に対してどう動いているのか、ということをしっかり見てほしいのです。大人たちがきちんと考えているか、もしくはそうではないか、というところをぜひ見てほしい。
そこで彼らが感じたこと、考えたことが、将来同じような危機に陥った時、必ず生きてきます。次の危機の時には、彼らが中心になって物事を考えて判断し、行動していかなくてはなりません。
この時代を中学生として過ごした、また高校生として過ごしたという経験を、将来自分の言葉で発信してほしいと思います。
―コロナ禍において、校長自身何か変化はありましたか
変化というか、改めて気づきがありました。それは、日常どれだけ人に支えられ、関係性を持って生きていたのか、ということです。
教育現場の中では、私たちは毎日人との関係性をベースとして過ごしています。その人たちとの関わりがなくなってはじめて、その関係性の尊さに改めて気づいたということです。
―残念ながら学校行事も中止が相次いでいます
学校行事の中でも、年間最大の行事である学園祭の中止を決定したわけですが、生徒が一番楽しみにしている学校行事を中止にしたことは苦渋の決断でした。
学園祭は外部の方々に桐蔭学園を知ってもらう機会ですので、何とか開催したいと考えていましたが、来場者の安全を考えると中止せざるをえない、という判断に至りました。
中止にはなりましたが、また別の形で生徒から何かをやりたいと言う意見が出たら、親身になってやり方などの相談に乗っていきたいと思っています。
―未曽有の危機の中、あらためて私学人としての矜持が問われる
このような未曾有の危機に遭遇した際には、我々教師が生徒たちにどのようなメッセージを送り、どういう態度を示すかということが重要です。危機に際して大人たちが子どもに示すプライドが、いわゆる「私学人としての矜恃」だと思います。
後ほど詳しく述べますが、一連のオンライン授業に対して、保護者の方から非常に高い評価をいただいています。
これは何より、桐蔭学園の教員が授業に対して非常に「真面目」であるということに尽きると思います。生徒の教育の機会を守るために、学校が一丸となって取り組んでいる成果であり、桐蔭学園の底力を改めて認識しました。
インタビュー第1回では、コロナウイルスの危機下において桐蔭学園は私学としてどうあるべきか、についてお届けしました。
第2回では、3月からの自宅学習期間の取り組みについてお届けします。
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