高校受験生の皆さん、今どのような心境ですか。
次に紹介するエピソードは、私(岡田)が高校3年生を担任していたときのことです。
毎年1月の土日に行われる大学入試センター試験(現在の大学入学共通テスト)の当日朝、私は桐蔭生の試験場に指定されたある大学の正門前で、次々にやってくる生徒たちを激励していました。
すると、よく見知ったAさんがこちらに向かってくるのが見えました。いつも友人たちと賑やかにやりつつも、学習に対しては人一倍集中力をもって取り組んできた生徒です。
いつも通り、仲間と一緒にワイワイやってくるのだろうと思いきや、この日はひとり。
私の前に立ったAさんは、口を真一文字に結び、顔はこわばり、握手する手はぎこちない。緊張しきっているのが痛いほどわかります。
たしかにセンター試験の出来が合否に大きく関係するといわれる国公立大医学部志望のAさんが緊張するのは無理もありません。ただ、この緊張度合は尋常ではない。結果は…惨敗でした。
本番では、練習で出来なかったことが出来るなどという奇跡は起きません。今までに培ってきた力を100%発揮できるかどうかにかかっているのです。
そのためには、試験場という「非日常」に、いかに「日常」を持ち込めるかがカギになります。
Aさんが失敗してしまった原因として、受験を特別視してしまったあまり、完全に「非日常」モードで突入してしまったことがあります(後日、見事第2志望の国立大医学部に合格したAさんもそのように自己分析していました)。
いつも仲間と賑やかに過ごすタイプなら試験当日もそうすればよいし、逆にひとりで行動することが多いタイプならやはりそうすればよいのです。
受験に向けて気持ちを持ち上げることはもちろん大切です。しかし、試験場に「日常」を持ち込み、普段の力を100%発揮するためには、受験をあまりにも特別視することは禁物です。
いよいよ高校入試が始まります。皆さんの「日常」を胸に秘めて、がんばってください。
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