2014年に創立50周年を迎えた桐蔭学園、今まさに教育改革の真っ只中です。2018年4月に高等学校が男女共学となり、2019年4月には中学校と中等教育学校が中等教育学校に一本化され、男女共学となります。
今回はその背景と展望を岡田直哉校長がじっくりと語ります。6000字超のロングインタビュー、4回連続掲載の第1回目です。
―中等教育学校に一本化、そして共学化の背景について
2014年、本校は創立50周年を迎えました。それを機に私たちは桐蔭学園の「次の50年」について考えてきました。次の50年、社会がどう変化していくかを考えると、キーワードはやはり多様性とグローバル化です。
そのような社会の中で、主体的に、しかも人と協働しながらひとつのものを作り上げていく力が大切と考え、新しい教育ビジョンを掲げました。それが「自ら考え判断し行動できる子どもたち」の育成です。
このビジョンを実現するために、他校に先がけてアクティブラーニング型授業を取り入れていくことにしました。
アクティブラーニング型授業の導入によって、生徒たちが能動的、主体的に学びに向かう姿勢、そして学びを通じた協働性を身につけていく、ということです。
―アクティブラーニング型授業の先に中等教育学校への一本化、共学化がある、と
これまで桐蔭学園には、中学校男子部、中学校女子部、中等教育学校がありました。また、男子と女子が同じ敷地の中にいるのに、別々に勉強やクラブ活動をしている状況でした。
これが複雑でわかりにくい部分でしたので、中学校と中等教育学校を中等教育学校に一本化し、6年一貫した形のカリキュラムを再度デザインして教育を強化していこうと考えました。
アクティブラーニング型授業というのは、多様性を認め、その中で協働性を培う授業です。
アクティブラーニング型授業を熟成させ完成させるには、男女が共に生活する環境のほうが、より効果的に機能すると考えました。
多様な環境の中で協働的な学習することが、桐蔭の「次の50年」に必要であると考えた次第です。
―共学化する中等教育学校、新しい学びについて教えてください
アクティブラーニング型授業を中心に据え、協働性を養うということが目標であれば、おのずと他者の話を「傾聴」することが基本になります。
そして他者の意見を「承認」する、「承認」したうえで自分の意見を述べる、という姿勢が重要になります。
後ほど詳しく述べますが、桐蔭学園では「アクティブラーニング型授業」「探究(未来への扉)」「キャリア教育」を教育の3本の柱に据えていきます。
その根底となる姿勢として、「傾聴と承認」の文化が全員に浸透することが重要と考えています。
―「全員に」に力が入っているように思います
桐蔭には様々な引き出しがあり、それぞれに活躍の場があると評価していただいていますが、新しい中等教育学校では、「全員が取り組む」という考えを基本に置いています。
例えばA君は勉強を中心にがんばる、B君はスポーツを中心にがんばる、といった偏りのある学校生活では、必ずしも十分な力をつけることはできないと思っています。
桐蔭に入学した生徒は、勉強もスポーツもしっかりとバランスよく力を身につけて卒業してほしい、そしてひとりも残すことなく全員が社会につながる力をつけてほしいと思っています。これが新しい中等教育学校の考えです。
―そのような力を身につけるための具体的な教育内容は
例えばグローバル化が進むと、当然英語の力が大切になってきます。
今までの桐蔭だと、できる子はどんどん英検を受けましょう、中学生のうちに2級を取得しましょう。あるいは取れる子は準1級を取ってしまいましょう、と奨励してきました。
もちろん向上心を持って新しい知識を習得していく姿勢を推奨しますが、新しい中等教育学校では、全員が3年次までに準2級を取得しましょう、1人も残すことなく全員が取れるようにしましょう、という発想でいきたいと考えています。
3年次の春休みにはフィリピンのクラークに海外語学研修に行きますが、希望者が行くのではなく、全員で行くという形で考えています。また数理教育においても全員が取り組み、そのスキルを身に付けていく。
新しい中等教育学校ではすべての生徒が取り残されることなく6年間を過ごしていける、そんな学校を目指しています。
mail koho@toin.ac.jp
TEL 045-971-1411(代表)