2019年4月に男女共学化される予定の中等教育学校。現在プロジェクトチームが新しい中等教育学校でのさまざまな教育活動を準備しています。
今回は橋本雄介中等教育学校プロジェクトチームリーダーに、中等3年次に行う予定のプロジェクト「15歳のグローバルチャレンジ」について聞きました。2回連続掲載の第1回です。
―「15歳のグローバルチャレンジ」とは
世界の様々な国の立場から、より良い世界を作るために世界が団結して取り組むべきこととは何かを考えるという授業です。今までにない視点から世界を見ることで、柔軟で深いものの見方ができるようになることを期待しています。
―具体的にはどのような授業になりますか
まずは、自分が割り当てられた国についての理解を深めます。その国の位置や地理的な特徴、文化や歴史などを調べて、少しずつ担当国の「国民」に変身します。
もちろん、知ると言ってもただ調べるだけではなく、その国の食文化や音楽など、五感で理解することも大切かな、と思います。
そのうえで、その国が抱えている政治的な問題、国内、国外の問題どちらも調べていきます。グローバル化が進む現代において、国内で完結する問題はほとんどありません。
自国が困っている問題を解決するためには、どのような国と協力する必要があるのか、どうして問題解決が進まないのかを深く考え、年度末の「模擬国連会議」につなげます。
―模擬国連とは?
国連総会では、様々な国際問題について193の国連加盟国の政府代表が議論し、問題解決に向けた決議を作成しています。
模擬国連会議では、参加者一人一人が国連に派遣された一国の政府代表・全権大使となりきって議論を行います。
議題は「ジェンダー平等」「サイバー空間の安全保障」「国際移住と開発」「食糧安全保障」など様々なものがありますが、各国の大使は自国の国益を守りつつ、より良い世界の実現を目指して議論をします。
この活動を通じて、自分たちが生きる世界がいかに複雑なものか、自分のことばで話せるようになるはずです。また、今までとは違った視点から物事を考える柔軟性も身につきます。もちろん、会議を通じて分析力や論理的思考力、交渉力、英語力の向上も期待できます。
―中等教育学校での伝統的な部活動である「模擬国連部」について教えてください
中等教育学校の模擬国連部は今年で創部12年目を迎えます。5回の優勝(最優秀大使賞獲得)を含め、8回全日本大会を勝ち抜き、世界大会への出場を果たすことができています。
これは歴代の部員たちが築き上げてきた大きな財産です。先輩から後輩へと、議論のスキルなどが受け継がれてきているのです。
模擬国連部が築いてきたその伝統を、今回「15歳のグローバルチャレンジ」という授業で、全生徒に継承することができることを嬉しく思っています。
―「15歳のグローバルチャレンジ」は探究の授業の一環として行われるのですね。
本校では、週に1回「探究」という授業があります。1,2年生では「課題の設定」⇒「情報の収集」⇒「情報の整理・分析」⇒「まとめ・発表」というサイクルで授業を構成します。
「探究」の授業は、自分で課題を設定してその解決方法を探る、という点が従来の授業と異なる点です。
この「15歳のグローバルチャレンジ」を3年次に行います。それを4,5年生ではさまざまな視点から世界を捉えた経験をもとに、4、5年生の探究では自ら課題を設定します。多角的なものの見方は一生使えるものだと思います。
また、「15歳のグローバルチャレンジ」を経て、その問いがより豊かな、世界に接続されたものになると期待されます。
(vol.2へと続きます)
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