桐蔭学園中等教育学校は、この春より男女共学校として新たなスタートをきりました。学園で展開する「アクティブラーニング型授業」の様子をお届けする【連載・まなびの窓】。第2回は、体育の授業(ハンドボール)です。
【連載・まなびの窓】第2回は、中等教育学校1年生の体育(ハンドボール)の授業です。担当は、熱田先生。「いつでも前向きに」がモットーの、熱い信念をもった先生です。生徒が困っていると、いつでも真剣に話を聴いてくださる先生です。
8/31授業「ハンドボールの基礎的技能とゲーム」
「チームで協力してゴールを決める」ことが目標の6時間構成の授業で、今日は3時間目。本時の目標は「ロングパスを使うことができる」でした。
桐蔭学園のアクティブラーニング型授業では、基礎的な知識・技能を活用していく場面が多くあります。そこでは、「学んだことを友人に説明してみる」など、自分の頭だけでなく口や体を使って「外化」することで理解が深まっていく過程を大切にしています。体育の授業は、体を使って「気づき」を得るのにうってつけです。
準備体操にも工夫がいっぱいです。柔軟体操で体をほぐした後は、体の使い方を学びます。仲間に「自分を預ける」ワークです。お互い顔が見えない中で、背中合わせの仲間に対して4人全員が思い切って自分の体重を相手に預けてしまわないと、立ち上がることができません。何度かチャレンジする中でやっと立ち上がれた時は、仲間への信頼で大きな笑顔が生まれます。
準備体操に続いて、ハンドボールの基礎的な技能の練習を行います。続いて、より強く遠くへボールを投げる工夫を実演します。これまでよりも、パスする間隔を広くとり、体を大きく使ってボールを投げる練習です。この技能がいったいどのようなシーンで活用できるのかは、まだ言いません。
ゲームで、基礎練習で身につけたことを活用します。パスやドリブルを使って楽しくゲームを行います。真剣な表情でゲームを行う中にも、笑顔があちこちに見られれました。
授業の終わりの「ふり返り」の時間です。2試合やってみて、勝ったチームの生徒が勝因として考えられることを発表します。「パスがうまく通った」「縦のパスが通って、速攻が上手くいった」というコメントに対して、「そうだったね。今日練習したロングパスも通っていたね。では、来週、動きながらパスを出したり受けたりする練習をしてみようか」
基礎的な技能が、ゲームにどのように活用されるか。「生徒が自身の体験を言葉にすること」、それをみんなで「共有すること」で、「パス」が「身体性のある知識」に変わった瞬間でした。
負けたチームの生徒も、敗因として考えられることを発表します。温かい学びの輪がパッと広がったのは、「ボールに人が集まりすぎてしまった」というコメントを拾った時。「ボールに人が集まってしまうのは、まだボールがうまくキャッチできない人も多いので、お互いをカバーしようと思っているからでもあるね」と、生徒の行動を「承認」したうえで、「どうしたらいいかな?」と投げかけ、言葉を待ちます。一人一人の仲間を信頼してコートに広く散らばったほうが良いこと。ボールをキャッチしたり、ボールを握るように投げるのが難しいこと。生徒自身の言葉でふり返ることで、生徒たちが基礎練習の意味に気づくきっかけをつくっていました。
熱田先生の授業は、「ゲームのふり返り」で生徒の意見を「承認」し、「気づき」を促す。そして、次の授業の「基礎的技能の習得」のための練習を生徒と一緒に考える、という点に特徴があります。生徒の「運動を通した気づき」を大切にしている様子が伝わってきました。
桐蔭学園が大切にする「傾聴」と「承認」の文化。アクティブラーニング型授業における「個」→「協働」→「個」の流れは、すべての授業に共通です。
和気あいあいとした体育の授業で、生徒の資質がぐんと伸びていきます。
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