7月に入り、教室での授業が再開されました。待ちに待った授業です。私たち教員も軽い興奮を覚えながら教室に向かいました。やっぱり教室の授業は楽しいです。
中等教育学校1年生の地理の授業の様子を紹介します。ペアワークによる意見交換、一生懸命、楽しそうに行ってくれていたのが、印象的でした。今日は「沖縄県の人々の生活の変化」がテーマです。
ペアワークの問いは、「沖縄から東京などの大都市に、飛行機で出荷されている代表的な野菜は何でしょう? 理由とともに答えてください」「オンライン授業の九州の工業で扱ったICがヒントです」
まずは、1分間、自分で考え、ワークシートにメモします。次に、隣の席の人と2分間、意見交換を行います。教室では全員マスクを装着し、昨年度までのように机をくっつけたりはしていません。「まずは、向かって左の人から話始めましょう」「聴く側の人は、うんうんと。時々笑顔でね」男女の違いを意識することなく、自然に対話ができています。
生徒「飛行機を使うということは、軽くて小さいものだと思います。でも、それが何の野菜かはわかりませんでした」
生徒「飛行機を使うとということは、軽くて小さいだけでなく、高価なものだと思います。それは、マンゴーでしょうか?」
私「果物に注目したのはいいね! 果物は、ほかの作物に比べて、高い値段で取引されるね。でも、今回は野菜ね。」「軽くて、小さくて、高価だと、飛行機で運ぶことで、何がどうなるんだっけ?」
何かがピンときた顔をしている生徒が見て取れます。教室の空気が温まると、次々と挙手による発言が始まります。
生徒「ゴーヤです」
私「確かにゴーヤは沖縄の特産物だけれど、大根と同じくらい安くて重いよ」
生徒「メロンです」
私「メロンは高価だが、重たいな。スイカもそうだが。飛行機で運ぶ、ということに注意してみよう」
私「飛行機で運んでも、輸送費の負担が小さいものだよ。答えはオクラです」実物のオクラのネット小袋をみせます。
私「ほかにも、万能ねぎなんかも、飛行機で福岡から運ばれてくるよ。最近は、オクラはフィリピンから飛んでくるよ。沖縄産が200円の時、フィリピン産は100円」
授業後、生徒に感想を聴いてみました。
「私は、飛行機で運ぶのだから、軽くて小さいものだというところまでは言えたのだけれど、ペアの人は、それに加えて、高価なものと付け加えてくれて、気づきました。オクラや万能ねぎは、軽くて高価な野菜なんですね」「オンラインでやるより、理解しやすかったです。ものすごく集中しました」
「前に出て発表」については、ドキドキ、もじもじで、うまく話せなくなってしまう男子がいる一方で、はきはきと相手をフォローするような発表ができる女子がいたりして、皆の前で「外化」することがいかに大変か、できるとカッコいいかを感じました。うまく話せなくても、はじめは、それを感じることに意味があります。そして、これはランダム指名(iPadアプリでルーレット)だから、だれもが、前に出る可能性があるのだ、という緊張感が授業に走っていました。だからこそ、うまく話せない子に対しても、温かい拍手がおくられます。あっという間の授業時間と感じたようです。
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