6/3(水)待望の初登校を迎えました。最初に生徒に伝えたのは「傾聴と承認」の姿勢。これから桐蔭学園で始まる学びの全ての基本です。
「話し手は、相手を見て、笑顔で話そう。聞き手は、うなずきながら笑顔で受け止めよう」という、一見、当たり前の会話のルールなのですが、意外と社会人でも(「先生」も!?)できていないことと感じます。
自分が話をした時、相手が笑顔でうんうんと聞いてくれる環境があって、はじめて、安心して自己を開示して話ができるようになる。対話をする際には、聞き手の態度がとても重要になってくることを「傾聴のワーク」で体感しました。
(当日の様子はこちらをどうぞhttps://toin.ac.jp/timeline/gakuen/21779/)
初登校日の自己紹介と「傾聴のワーク」を経て、6/8(月)オンラインHRでは、お互いの姿を見せながらの1分間スピーチが始まりました。
一対一の対話でも、一対40人の教室でも、そしてオンライン授業においても、学びの場において、安心して自己開示できる環境づくりこそ最重要項目であると、私たちは考えています。
お互いの状況が把握しにくいオンラインの場合、なおさら、他者を意識したコミュニケーションが必要になります。
オンライン・テレビ会議方式での双方向型授業・HRの可能性も探りましたが、多くの生徒が「ただ聞いているだけ」や「そこにいるだけ」の状態になる危険性があること。
主体的にオンライン授業・HRに参加する状況をつるくためには、むしろ、送信された動画を視聴して、それに対してレスポンスする形のほうがよいと判断しました。(上級学年では、テレビ会議システムを利用した学年企画や、授業も試行されていましたhttps://toin.ac.jp/timeline/gakuen/21553/)
初回のスピーチテーマは、「私の一番〇〇」。安心して話ができる環境を学校が用意しようとしていることが伝わったのかもしれません。1組で最初に話をしてくれた生徒は、一番の友達=親友についてスピーチしてくれました。
「トモダチは裏切ることもある。本当の友達と言える友達は、少ない。本当の友達は、自分の間違いを指摘してくれる。だけど、決してそれを笑わない」と、思わずドキッとするような、でも、自分で考えたことを、真剣に伝えようとしている、熱を感じるスピーチを披露してくれました。
メッセージカードを送る側も、自分の気持ちにどのような変化が生じたか、温かい「I(アイ)メッセージ」を書いてくれました。生徒のメッセージの一部をご紹介します。
「すごく話が深くて考えさせられました。私も本当に友達だと言える人はすごく少ないです。だけどその事を〇〇さんのように言う勇気はなかったです。なので〇〇さんは凄いなと思いました」
「今、自分が友達を大切にできているのかというのを考えさせてくれるようなスピーチで、これから友達との関わりが多くなるので今までよりもっと大切にしようと思いました」
6/13(土)には、保護者会をオンラインにて実施しました。岡田校長による学校説明はYouTubeを利用したオンライン中継方式で約30分間。学年の指導方針や各クラスの説明については、動画配信の形で約30分間実施しました。
同日のLHR(ロングホームルーム)では、先輩との対面式に代わるオンラインイベント「90秒teacher」を行いました。動画の中で「1年生の皆さん」と呼びかけてくれている通り、2年生(19期生)が新1年生に「贈り物」として届けてくれた新入生歓迎の動画です。この動画の視聴を通して、「先輩と出会う」経験をしました。
1年生は、先輩がつくってくれた7本の動画を視聴して、先輩に「よろしくお願いします」というメッセージを送りました。
メッセージを書く際のポイントは、動画の感想ではなく、そのような贈り物を用意してくれていた先輩の思いを感じて、先輩たちへのあいさつ+Iメッセージ「自分がどのように感じて、気持ちが変化していったか」でした。
生徒のメッセージの紹介です。
「それぞれの先輩が、自分の個性を発揮していてすごいと思いました。僕も来年には、自分の個性を発揮できるまで成長したいと感じました」
「動画をみていて、先輩方がすごく優しそうだなと思いました。一番心に残ったのは、ノートの取り方の紹介で、先輩のノートを参考にしてみたいと思いました」
「桐蔭学園には、こんな特技をもった先輩方がいるのかと知ることができ、7月からの本格的な授業再開が楽しみになりました」
コロナが無ければ、上級生に4人グループ程度のチームになってもらい、1年生も4名グループ程度になって、いろいろなことを先輩から教えてもらう、という「メンター」のような試みをしたいと、考えていました。
部活動以外のところでも、先輩・後輩の関係ができて、メンターが見つかるといいなと思っています。秋以降、アフタースクールなどで試行してみたいと考えています。
6/16(火)第2回登校日。校舎を案内するだけでなく、中等教育学校での6年間も案内しました。
体育館を使った5分間の体感ワーク(タイムトラベル)で、最高の6年間を送った自分を想像してもらい、そこから、入学したての自分に「今、何を言ってあげたい? 今、できることは何だろう?」という問いかけを行いました。(当日の様子はこちらhttps://toin.ac.jp/timeline/gakuen/21798/)
6月の学校の様子はこちらでも紹介しています。
(「桐蔭学園の学び」を学ぶワークhttps://toin.ac.jp/timeline/gakuen/21949/)
(安心・安全な学校であるために、いじめに対してできることを学ぶワークhttps://toin.ac.jp/timeline/gakuen/21978/)
6/27(土)のLHR(ロングホームルーム)で、3月から続いた全国的な臨時休校と桐蔭学園でのオンライン授業の取り組みを大きくふり返り、1分間スピーチの形で思いを残すとともに、学校再開を前にお互いの想いを伝え合う、という企画を行いました。
①感じたこと ②取り組んだこと ③やろうとしたけれどできなかったこと ④学校再開で一番楽しみにしていることは? をメモした上で、1分間スピーチを録画(録音)してクラスで共有しました。
オンライン授業を肯定的に捉えている生徒が思った以上に多く、驚きました。よいコンテンツがあってこその感想だと思いますので、努力が報われた思いです。
生徒のメッセージの紹介です。
「オンライン授業のほうが受けやすい。自分のペースで受けられる」
「iPadを使った授業だと、わからなかったところをすぐに見直せる」
「オンライン授業でも、動画、写真、音声が使えるので、分かりやすくて良かった」
「はじめて外に出たいと感じた」
「学校へ行けることは当たり前でなく、幸せなこと」
「友達に会えないこと、学校にいけないこと、習い事にいけないこと、すべてにストレスを感じた」
「どんなふうに授業が行われるか楽しみです」
学校再開で一番楽しみにしていることについては、「みんなでうける授業」「友人との会話」と答えてくれる生徒が、「部活」に次いであげられているところも、うれしく感じました。
学校という「場」の魅力は、対話や協働なのだと、皆が再確認したのだと思います。
しかし、肯定的な意見の陰で、オンラインがしんどい生徒はこのLHR課題が出せない、ということも痛感しました。クラスによりますが、10名前後いました。
7月の約2週間の対面授業と、期末考査を終えて分かったことは、「オンラインがしんどい子どもは、対面でもしんどい」ということでした。
例えば、オンライン授業で「自分の考えを文章にして提出する」課題。教員は添削した課題とコメントを返すのですが、そのコメントの意味を受け取るのが難しいのか、次も同じような文章を出してしまうことも。
このような子どもは、対面授業における「前に出て発表」の際に議論がかみ合わないことがままありました。
さらに言うと、オンライン授業で課題を出せなかった子どもの多くは、対面授業が始まっても課題が出せませんでした。
コロナ禍を経て、学校という「場」に求められる課題の1つに、このような子どもたちのコミュニケーション力と主体性を高めるという課題があることがはっきりしたのでした。
桐蔭学園では、7月から対面授業が始まり、教室でのアクティブラーニングを通して、時間を区切ってその場で文章をひねり出したり、他者に自分の考えを伝える「外化」の経験を積むこと、また「他者と対峙している自分」を経験し、「やってみたら、できた」という実感を積み重ねることで、少しずつ、変化が表れています。
例えば、授業後の「ふり返り」について、質・量ともに、オンラインに比べて対面授業を終えた後のもののほうが、言葉が具体的で豊かになっています。この先も、「自己効力感」を育む実践を重ねていきたいと考えています。
7月以降の学校の様子はこちらをどうぞ
(平常授業再開の様子https://toin.ac.jp/timeline/gakuen/21999/)
(アクティブラーニング型授業の様子https://toin.ac.jp/timeline/gakuen/22007/)
(「密」を避けつつ、学びを深める工夫https://toin.ac.jp/timeline/gakuen/22084/)
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