中等教育学校の学びの柱の1つ、探究(未来への扉)授業。4月から12月の様子を紹介する2回目です。第2回は、2学期(8/20~)、毎週1回、図書室で行った全10回の「偉人探究」の様子を紹介します。
「尊敬する人」と言われて、紹介できる人物はいますか? 中学生~大学生あたりだと「親」をあげる人が多いようです。良いことだと思うのですが、「他の大人を知らない」ことも大きな要因だと思います。
中等教育学校1年生の2学期、「みらとび」の授業では、自分が気になる「偉人」について熱く語ろう! というテーマで探究を行っています。
学園内にある複数の図書館から、「伝記」を一か所に集めてもらいました。「学習マンガ」も多くありますが、実は、ここにも意図があります。
まずは、気になる伝記を手に取ってみます。「偉人探究」のルールは、図書館の中にある「本」から選ぶこと。すでに亡くなった偉人を選ぶこと。同じクラスで調べる偉人が被らないこと。
インターネット情報は使わずに調べ学習を進めます。デジタルネイティブの子どもたちは、なぜ?と疑問に感じます。
インターネットと新聞、書籍の情報の特徴、違いについて、考えます。情報の速報性と信頼性の関係に気づくと、そこからは、本の中の情報=信頼性の高い情報からの「語り直し」が始まります。
「伝記」の情報をもとに、履歴書をつくり、偉人になったつもりで、自己紹介を行います。
一番おもしろいエピソードはどこなのだろう? そのエピソードの背景となった出来事は何だったのだろう? 偉人が残した名言は? 本から情報を得るために一生懸命になっていきます。教員は、適宜、相談に乗っていきます。
書籍の読書記録の変化です。はじめは、漠然とした表現でしかなかったものが…
具体的なエピソードに変化していきます。
「偉人になったつもりで自己紹介する」ためには、何を言葉にしたらいいのだろう?「外化」するために情報を俯瞰したうえで、大切な情報を選択していく必要があります。
学習マンガは、実は、それがすでになされているのですが、その中で、さらに自分が気になったエピソードについて、自分の言葉で語り直せるようになります。そして、「偉人が偉人たりうる」時代背景への理解が欠かせないことが分かってきます。「時代観」がつかめてくると、「違和感」を改めて感じるられるようになり、伝えられるようになります。
例えば、北里柴三郎について調べている生徒は、「破傷風の血清療法」の何が画期的なのかを、自分の言葉で説明しようと一生懸命になります。「病気の人から菌を取り出し、毒素を抜いたうえで、人に投与すると、抗体ができる。ワクチンの開発の基礎をつくりました」
「課題の設定」、「情報の収集」、「整理・分析」ができたら、次は「まとめ・表現」です。(その3に続く)
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