2021年4月、桐蔭学園中等教育学校は探究授業「15歳のグローバルチャレンジ」を始動しました。
生徒は3人~4人のグループで或る国の大使となり、学年末の模擬国連会議に向けて1年間かけて諸問題の解決に取り組みます。
世界大会7年連続出場を誇る模擬国連部での活動をベースとした日本初の試みで、グローバルな視座を獲得する意欲的なプログラムです。
連載最終回は、2学期の総会で可決した「国連弁当」実食会のレポートをお届けします。
最終回 「国連弁当」実食会
「15歳のグローバルチャレンジ」では、2学期に「全国連大使が同じお弁当を食べるとしたら、どのようなメニューができるだろう」という架空の設定のお弁当(通称:国連弁当)について国連総会を行いました。
お弁当にどんな願いを込め、具体的にどんなメニューにするか、国連総会の形式で話し合うのです。
宗教で禁じられている食材(牛肉:ヒンドゥー教、豚肉:イスラム教)などを避けつつ、各国の理念を実現したメニューは・・・
3か月の準備期間を経た11月の国連総会で可決したメニューは次の通り。
主食:ウガリ(穀物の粉を湯で練り上げたアフリカ伝統食)
主菜:ポトフ(ジャガイモ・タマネギ・にんじん・大豆ミート・キャベツ・トマトを使ったスープ)
副菜:スモークサーモンとスイスチャード・ベビーリーフとレタス・トマト・キュウリのサラダ レモンとバルサミコ酢のドレッシング
デザート:チョコバナナ
桐蔭学園食堂部の全面協力を得て、何度も打ち合わせを重ねて国連弁当は完成しました!
今日はお待ちかねの実食会。大使たちは期待に胸を膨らませ、そしてお腹をすかせて食堂に集合しました。
最初に食堂部から使用した食材と栄養面の講義を受け、いよいよ実食!
お皿の中央にどんと鎮座するのはアフリカの伝統食、主食のウガリ。アフリカでは日常的に食されているそうですが、大使たちは(私もですが)見るのも食べるのも初めて。
肝心のお味は・・・一言でいうと「香ばしい」でしょうか。
モチモチした触感を楽しんでいると、麦を思わせる香りが鼻を通り抜けます。
実在の食べ物に例えると、かためにできた水分少なめのザラザラしたわらび餅で、味は深煎り小麦のパンに近い感じです。
全然伝わらなくてスミマセン・・・
ウガリを食べた大使たちは「おいしいです」「何とか食べられます」「がんばってます」「つらいです」など様々な反応でした。
アフリカの国を担当した大使と「これを毎日食べることすらできない人が何億人もいるんですよね・・・」と話したときは、私も世界の現実について考えさせられました。
主菜のポトフは日常でも食べる機会があるメニュー。ウガリをちぎってポトフの中に入れ、一緒に食べるとなお美味です。
副菜のサラダは彩りも鮮やかでドレッシングとの相性も抜群。デザートはみんな大好きチョコババナ。でも「デザートはごはんとおかずを全部食べてから」が暗黙のルールなのか、ウガリに苦戦してなかなかデザートにたどり着かない大使もチラホラ。
大多数の生徒が笑顔の完食^^食堂部の方に感謝を述べつつ実食会はお開きとなりました。
国連弁当を食べてみての大使たちの感想を紹介します。
「おなかがはち切れそうでしたが、『フードロスは許さない』という議論をしたことを思いだして完食しました!」
「これだけ食べてもカロリーが足りないとは・・・ アフリカの人々はこんなに食べられていないはず。栄養も偏在していることを実感した」
「日本食の豊かさ、栄養のバランスの良さに改めて気付いた。世界にはさまざまな問題があることを体で知った」
「キャッサバの粉が日本で手に入り、そして食堂の方々が私たちの考えたメニューを再現できてしまうことに驚いた。ありがとうございました」
担当の橋本教諭は「話し合いの結果が五感に繋がり、また気づきが深まったようです。会議当日に話し合った理念を思い出しながら食べている姿が印象的でした」と実食会をふり返りました。
【15歳のグローバルチャレンジ 関連リンク】
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