桐蔭学園高等学校は2018年4月に新たに入学する生徒から男女共学となります。また、2019年4月には中等教育学校が男女共学化の予定です。
大きな学校再編成の背景にあるものとは―。岡田直哉校長のインタビューを3回にわたってお届けします。
―率直に、なぜ共学化なのでしょうか
共学化については、大変多くの反響をいただいております。ありがたいことに、共学化するのならば桐蔭に入学したい、または入学させたいという声をたくさんいただいております。
2年前の4月にさかのぼりますが、桐蔭学園の大きな教育改革の柱としてアクティブラーニング型授業を本格的に導入するということを決定しました。このアクティブラーニング型授業をつきつめていくと、最終的には「多様性」を尊重し「協働性」をしっかり身に付けることが必要であることがわかってきました。
つまり、桐蔭学園が新しい教育を推進していく中で、「多様性」を尊重し「協働性」をよりしっかりと育める環境づくりが必要になってきたということです。アクティブラーニング型授業を継続して行ってきて、私たちは次のステップに進まなくてはならないと考えるようになり、その流れの中で自然と男女共学化へ歩を進めたということです。
桐蔭学園にはもともと男子部と女子部がありますので、我々としては特に大きな違和感は感じていません。教員としては常に男子生徒も女子生徒も見ている環境ですので、それを合わせることでより多様性を生み出したい、それが共学化に至ったプロセスであるとご理解いただきたいと思います。
長い年月の中で、本校は男女それぞれに適した教育を行ってきました。そのノウハウをしっかりと堅持したうえで、男女共学の取り組みを行っていきますので、保護者の方々にもご安心いただきたいと思います。
―アクティブラーニング型授業と「多様性」がキーワードとなるのですか
桐蔭学園でアクティブラーニング型授業を導入して3年目となりました。講義を中心とした従来型の授業は、生徒の立場からするとインプット(Input)の授業となります。このインプットの授業は、知識を習得するために非常に重要な形だと認識しております。
しかし、次の50年、よりグローバル化した先の見通せない社会を生徒たちは生きていかなくてはなりません。そのような社会では、より「多様性」を尊重する姿勢が求められていくことになります。つまり、習得した知識をそのままアウトプット(Output)するだけでは対応できない時代になるだろう、と。
習得した知識をどのように活用していくのか、そしてどのように活用し探究していくのかが必要になると思います。言うなれば、個人が社会に対してどういう形でイノベーションを起こせるか、ということに尽きると思います。
そのためにアクティブラーニング型授業は有効だろう、つまり習得した知識を自分の中で内面化して、その内面化されたものをさらにアウトプットすることが深い学びにつながっていくと考えています。
例えば議論する、あるいはプレゼンテーションすることで、能動的な学びが展開され、多様性の尊重が磨かれる、これがアクティブラーニング型授業というふうにご理解いただきいと思います。
そして、アクティブラーニング型授業を通じて我々が生徒に求めているものは、「傾聴」と「承認」です。「傾聴」とは、他の人の話をしっかり聞くこと、「承認」とは他の人の話を聞いた後でその人を認めることです。
アクティブラーニング型授業を通じて、この「傾聴」と「承認」という姿勢を育てたいのです。他者を認めることによって自分も認めてもらえる。そして自己肯定感が醸成されることになります。学びのベースにあるのは自己肯定感です。自己肯定感がなければ、学びを深めることはできません。
―高等学校は2018年度から3コース制になります。その意図は
先ほど述べたように、桐蔭学園は今後「多様性」を重視していきます。入学してくる生徒たちも多様な進学先を志望していると考えています。本校には、もともと難関国公立大や医学部、難関私立大や特定の私立大へ進学したいと、様々な目標を持って入学してくる生徒がいます。
第一に、そのような多様化した進学志望先に我々も対応していかなければなりません。3つのコースを作ることによって、例えば難関国公立や医学部を目指したいと考える生徒にはプログレスコースを、国公立、早慶を始め難関私立を志望する生徒にはアドバンスコースを、国公立や特定の私立大学を志望する生徒にはスタンダードコースを、というようにコース分けをすることによって、それぞれの生徒の夢の実現に我々は関与していきたいと思っています。
自分の志望によってコースを選択し、それぞれのコース内でひとりひとりが夢を実現できるようサポートしていきます。なお在学中の3年間は、そのコースの中に在籍していただくことになっていますので、コース間の移動は原則できません。
mail koho@toin.ac.jp
TEL 045-971-1411(代表)