2014年に創立50周年を迎えた桐蔭学園、今まさに教育改革の真っ只中です。2018年4月に高等学校が男女共学となり、2019年4月には中学校と中等教育学校が中等教育学校に一本化され、男女共学となります。
今回はその背景と展望を岡田直哉校長がじっくりと語ります。6000字超のロングインタビュー、4回連続掲載の第2回目です。
―教育の3本の柱のひとつ「アクティブラーニング型授業」について
まず、桐蔭学園の「アクティブラーニング型授業」とは何か、について話させてください。
アクティブラーニング型授業というのは「個」から始まります。桐蔭では、協働作業をするばかりがアクティブラーニングとは考えてはいません。
講義型、いわゆる従来型と言ってもいいのですが、桐蔭ではこの従来型の授業形態も重視しています。
なぜなら、議論というのは知識がなければ成り立たないし、知識なき議論は薄っぺらで時として危険なものになってしまうからです。
生徒たちが楽しそうに活動している場面だけを見て、「いい授業をやっている」という理解をしない、ということから桐蔭のアクティブラーニング型授業は出発しています。
まずは「個」の段階で知識をしっかり身につける、その上で「協働」作業に入る、そして協働作業で学んだことを最後にまた「個」にフィードバックして自分の中に落とし込んでいく。
最後に「個」にフィードバックする作業を「ふり返り」と言っています。これを毎時間繰り返す、つまり「個⇒協働⇒個」というサイクルを繰り返すことによって個人個人が伸びていく。そしてそれが社会に繋がる力になる、という考え方です。
―校長自身も授業を担当されていますが、生徒の様子は
アクティブラーニング型授業を導入してからは、以前に比べ教室で生徒から自然に拍手が起こるような文化が育ってきています。他者の承認ですね。
アクティブラーニング型授業で身につけることは、まず「人それぞれ違うのだ」という理解です。そして多様性の中でいかに他者と協働していくかを考える。このプロセスを繰り返すことで、社会につながる力を育むことができると考えています。
多様化が進んだ社会において協働性を発揮するには、自らの考えをアウトプットし、他者のアウトプットをキャッチする力が必要です。
受け止めてそれを承認し、そして自分の考えを相手に伝えていく。この相互間のやり取りが求められる時代において、アクティブラーニング型授業で身につけた力は社会に出てからも通用すると確信しています。
―教育の3本の柱としての「キャリア教育」「探究(未来への扉)」については
桐蔭学園の教育の3つの柱である「アクティブラーニング型授業」「探究(未来への扉)」「キャリア教育」は、それぞれが別々の単独の柱ではありません。
むしろ3つを総合して初めて桐蔭学園の学びの中核ができると考えています。
「キャリア教育」が目指すものを少し限定的に定義すれば、「自分自身の人生をデザインする力」だと思います。明確な目的をもって学んでいく意識を持つと、日常生活のすべてが学びにつながっていきます。
また、「探究(未来への扉)」の定義は「自分自身で学び方を探っていく」ということになります。
一生涯自分をデザインしていく「キャリア教育」と、一生涯学び続ける「探究(未来への扉)」には非常に密接な関係があります。
それは当然アクティブラーニング型授業と関連していますので、やはり3つの柱を総合的に考えることで桐蔭の学びの中心ができるのです。
「キャリア教育」「探究(未来への扉)」の具体的な内容は、3月下旬の学校説明会にぜひ足を運んでいただいて、詳しい話を聞いてほしいと思います。
―それが「新しい進学校のカタチ」ということになりますか
その通りです。今後桐蔭学園は「新しい進学校」を目指していきます。
進学校というと大学に入学すること自体が目的になりがちですが、それだけでなく、私たちは社会に出てから活躍できる人間を育てていきたいと考えています。
社会の中核として活躍する時になっても、世界に目を向けて学びを一生涯続けていける、そんな力を彼らに身につけてもらいたいと考えているのです。
(vol.3へと続きます)
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