中等教育学校4年生は、この夏「学校の外へ出よう」を合言葉にさまざまなプログラムにチャレンジしました。学校で用意した企画は「アカデミックキャンプ」と「模擬裁判」という、いずれも希望制のプログラムでした。
今回は模擬裁判について報告します。
このプログラムは、熊田総合法律事務所の熊田彰英先生が企画してくださった3日間のプログラムです。
8月1日に横浜地方裁判所で実際の裁判を傍聴し、その経験を活かして8月4日・5日の2日間に学園内で模擬裁判を実施しました。成年年齢の18歳への引き下げで、選挙権だけでなく「裁判員」にも選出されるようになることを背景としたプログラムでもありました。
4日の冒頭に参加生徒18名は裁判官・検察官・弁護士の3グループに分かれ、検察官・弁護士チームはそれぞれ立論を開始し、裁判官チームは裁判手続きの確認を行いました。
この指導に5人の弁護士が当たってくださいました。検察官と弁護士は別の部屋で準備をしたため、裁判当日まで相手方がどのような論展開をするのかはわからない、という緊迫した状況でした。
一方裁判官チームは、公平公正な判断を行うため裁判当日まで証拠を見ずにすごします。
8月5日桐蔭学園アカデミウム内に移築・復元・保存されている、横浜地方裁判所特号法廷(陪審法廷)に入った途端、生徒たちの緊張は高まりました。マスコミの方も多く取材する中、裁判官役は本物の法服をお借りして着替えたことで高揚感もみなぎりました。
設定された事件は、男性が元同僚の男性に腹部を刺されて大けがを負ったというもので、検察は殺人未遂を主張する一方、弁護側は傷害罪を主張し、それぞれ証人尋問で自らの主張を証明しようと試みました。
被告・証人・被害者の全てをプロの弁護士の方がアドリブで演じます。
最終的に裁判官役の生徒たちが、1時間に及ぶ議論の結果下した判決は、傷害罪での実刑・懲役3年でした。判決が言い渡されると検察官・弁護士ともに悔しそうな顔になったのが印象的でした。
検察側は自らの主張を立証しきれず、弁護側も自らの主張を立証しきれなかったという思いがあったようです。
最後に、生徒のふり返りを紹介します。
「模擬裁判は3日間のプログラムでした。1日目には横浜地方裁判所の法廷へ行き、なんと殺人未遂事件の傍聴をしてきました。それは私が考えていたドラマのような裁判というより、いわゆる”普通の”会議といった感じで、新鮮でした。
またその後、実際にその裁判を担当していた裁判官の方や、検察官の方の話を聞いたり質問をしたりすることができ、とても勉強になりました。
学園に戻っての模擬裁判では、自分は検察官役として法廷に立ちましたが、実質的には弁護士側の勝利となり、悔しい思いをしました。
今回の企画が今までと大きく違ったのは、実際の社会との関わりが多くあった事です。実際の法曹の方の仕事を見て、司法に関わるいろいろな人と話す機会がありました。
チームで責任を持って仕事をするという貴重な体験を通して、成長することができました」
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