ニュージーランドの提携校との交流、TIESプログラムが行われました。このプログラムはコロナ禍や地震などの影響を受けて実施をお休みする時期もありましたが、25年の歴史を誇り、桐蔭学園伝統のプログラムの一つとなっています。桐蔭グローバルセンターからの報告です。
この交流のきっかけは高等学校32期ラグビー部初の海外遠征であるニュージーランド遠征でした。その時の練習試合相手の一つであるScots College(当時男子校・今は共学校)から「ラグビー以上の関係を」とお声がけいただき、女子校のSamuel Marsden Collegiate Schoolも交えた相互派遣が今世紀に入る直前から始まったのです。
コロナ禍を経て国際交流が元に戻りつつある中、今年は9月27日~10月12日にマーズデン校から9名の女子生徒が来校しました。
1月から12月にかけて4学期制を採用するニュージーランドの、第3と第4学期の間にある2週間の休みを利用して、このプログラムは実施しています。当然ですが桐蔭学園の学期中であり、ニュージーランドから来る留学生にとってはホームステイや学校生活で日本の日常垣間見ることができる貴重な機会となります。
同時に、日常生活の中に外国から来た同年代の方々との交流機会がは、6月の米国提携校とのプログラムと並んで桐蔭生にとっても大切な場です。
中等教育学校では、中等2年生全員(学年集会・英語授業など)が授業時間内に複数回交流を行います。それは翌年夏の米国からの留学生との交流や年度末の韓国語学研修へとつながります。
高等学校では、希望者全員がランチ交流やシンポジウムなどで交流機会をつくれるようになっています。その高校での交流では、米国プログラムに続いてグローバルラウンジの実行委員が交流内容について考え、準備し、実行してくれました。
また学園にはさまざまな日本文化系の部活があり、留学生は日々、和太鼓・筝曲・茶道・書道・少林寺拳法といった部活で体験をすることができました。桐蔭生が動作の意味を説明するなど、ホスト側としての役割を果たし、大変意義のある交流になりました。
また、留学生にとっては、普通の日本の家庭を体験できるホームステイも、貴重な機会となりました。コンフォートゾーンから飛び出て、より自分を表現するようになった留学生の様子を見て、引率の先生方が感銘を受けていらっしゃいました。
最後に、人格形成に大きく影響しうる異文化体験を咀嚼する一助として、ふり返りのシンポジウムを実施しました。その様子は学内で公開し、留学生がどのように考えているのか、留学生が普通に英語で議論するとどのようなスピードで話すのかなど、桐蔭生にも気づきの場となりました。
桐蔭学園には、横浜地方裁判所から移築された陪審法廷があります。そこでは、第二次世界大戦後、B・C級戦犯が裁かれました。
その桐蔭学園が所在する横浜市内には英連邦戦死者墓地があり、ニュージーランドの兵士が26名埋葬されています。同墓地ニュージーランド区に埋葬される13名に、B・C級戦犯の手により亡くなった方はいらっしゃいません(他、イギリス区3名、オーストラリア区1名、戦後区9名)。派遣元の学校と相談し、過去を直視した上で今の両国の平和の尊さについて考える目的で、同墓地を訪れました。
横浜港・関内を観光した日は、日米和親条約締結地や、そこから開港資料館へ移植されたたまくすの木を見学し、横浜のシンボルである3つの塔(県庁=キング、税関=クイーン、開港記念会館=ジャック)などを巡っただけでなく、陪審法廷の移設元の横浜地方裁判所も訪れました。
留学生にとっては、「横浜」について、多角的に学べる機会になったはずです。
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