今から約1年前、新型ウイルスの感染拡大が本格化し、あっという間にパンデミックとなってしまいました。高校受験生として過ごしたこの1年間、皆さんは何を感じてきましたか?
今、日本は、そして世界は、誰もが経験したことのない大変な問題を抱えています。先が見通せない閉塞感も漂っています。このような状況を「何とかしたい」と思う人も皆さんの中にいることでしょう。
しかし、残念ながらそれは不可能だと私は思います。「何とかする」のに見合った知識、経験、判断力がまだ備わっていないからです。しかし、それは中学生である皆さんとしては当然のことなのです。
大切なことは、現在の状況をしっかりと記憶しておくこと。日々変化する事態を現在進行形で把握し、心に刻んでおくことです。そして、この瞬間の自分の「思い」を忘れないこと。新型ウイルス問題の中、高校受験生として過ごした自分はどう思って何を感じていたのかを、のちの自分のために胸に焼き付けておくことが大切なのです。
決してあってほしくないことですが、将来同じような問題が起きた時、進むべき道を冷静に見極め、指し示すことができるのは、まさに今回の問題を高校受験生として経験した皆さんの世代です。その時初めて「何とかしたい」という今の切実な思いが達成されることになるのです。
私(岡田)はつねづね、桐蔭生に「夢を追うこと、夢を語れる情熱を持つこと」の大切さを話しています。「何とかしたい」という夢。これを達成するのは、今の、強い思いにほかなりません。新型ウイルス問題で先が見通しにくい今だからこそ、未来に目を向けてほしいのです。そして、皆さんの夢に思いを馳せてほしいのです。
高校に入学したら、ぜひとも「夢を語れる情熱」を持ってください。そして、「どんな未来を生きたいか」考えてください。
まずは本日の受験、本当にお疲れさまでした。公立高校の受験を控えている皆さん、体調を万全に整えて頑張ってください!
桐蔭学園高等学校
校長 岡田直哉
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