桐蔭横浜大学

桐蔭横浜大学Toin University
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教育・授業実践

ハイブリッド型で授業構成 実技科目の深い学びにさらなる成果
Vol.18 髙瀨 武志先生(法学部)

掲載日:

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 「健康スポーツ演習(剣道形)」は法学部 法律学科の全学年で履修できる一般教育の選択科目です。前期全15回の授業をオンデマンド型授業と対面での実技授業をバランス良く構成させたハイブリッド型授業で実施しました。

 受講生は、オンデマンド型授業を通して剣道の技術や知識を十分に理解した後、対面での実技授業に臨みます。ここでは、オンデマンド型授業で得た技術や知識の裏付けとして、実技を通して実際にできる・わかるということを、学生同士の協働学習を通して学びます。

 さらに、探究学習として、実技で体得した知識と技術を活用しながら、学生がペアとなってオリジナルの「創作剣道形」を個々で考案し、全体発表で披露します。

 学生は教え合いや意見交換を通して、剣道の経験・未経験に関わらず多角的な視点で考えながら理解を深めることができました。

 この授業の内容や学生の学びについて先生にお聞きしました。

 

先生へのインタビュー


――本授業の目標と主な内容を教えてください。
 本授業では剣道形の学習をとおして、日本の伝統的運動文化である武道(剣道)の呼吸法や足捌きや体捌きといった「身体技法」、刀(木刀)の扱い方である「刀方」、集中力や心の在り方を考える「心法」を体得することが目標です。  対面の実技授業では、予め定められた動作である「形(かた)」を二人一組のペア学習として演武してタブレット端末等で録画し、それらを題材にしてグループワーク等を行います。それぞれの良い点や改善点について指摘し合ったり、教え合ったりしながらのアクティブラーニング型授業です。


――この授業を通した学生の学びについて教えてください。
 剣道形のアクティブラーニング型授業を通して、「日本の伝統的運動文化を体験する」「自身の動作(学習)を多角的に捉える」「内化と外化の重要性」「他者の気持ちを考える」「自身の到達レベル・関心に適した学習」「学習の深化」等の学びを得ています。


――授業で取り組まれている工夫について教えてください。
 学習者が学習の中心にあるという「学習パラダイム」を念頭に授業計画をしています。また、剣道経験者も未経験者も共に学び合えるように「アクティブラーニング型授業」を活用しています。「動画分析」や「教え合い」等を通じて「知識や技術の内化と外化」を促し、各学習者の学習レベルや関心度に適した「個別最適化した学び」と「協働的な学び」ができるように工夫をしています。

授業の様子


受講生の感想

[以下、法律学科の学生の感想] 佐藤 伶美さん(2年生)  剣道形の授業は、前期の前半は緊急事態宣言下であったことから対面授業は少なかったですが、調べ学習を通して多くの学びを得ることができたと思います。検温と消毒、マスク装着、窓開け換気などの感染症予防対策がしっかりとられた対面授業では、ペアや少人数グループになることで学生同士での意見交換がしやすかったです。また、スマートフォンを使って自分たちの演武を撮影することで、自分自身を客観視することができました。それによって自分の良かった点や改善すべき点が明確になったので、次は何を課題にして取り組むべきなのかを頭でしっかり整理しながら進めることができて良かったです。  少人数グループ学習では、先生役と生徒役を決めて教え合う時間がありました。私は一人で教えることが初めてだったので上手く教えられるか不安でしたが、どのような表現をすればわかりやすく伝わるのかを考えました。そして、実際に教えることで自分が理解している部分とそうではない部分を把握することができたので、より一層学びを深めることができたと思います。  この授業を通して剣道形について学ぶことができたのはもちろんですが、教え合いや意見交換をすることで、自分の理解度や気づくことができなかった視点からの意見を知ることができました。これからは自分と他者の意見を共に大切にし、より深い学びを得られるように取り組みたいと思います。 荻野 里帆さん(2年生)  剣道形の対面授業では始業前の検温報告や消毒が徹底されていて、マスク着用でソーシャルディスタンスを保ちながら授業に参加しました。今は、誰が新型コロナウィルスに感染してもおかしくないような状況ですが、感染拡大を防ぐためにもできるだけのことをして、それを理解した上で授業に取り組むことができました。  授業の中ではいくつかのグループに分かれる場面がありました。剣道の未経験者にとってわからないことがある時には、質問や意見交換をして“形”についてお互いの理解を深め合うことができました。また、スマートフォンを使用して自分たちが実践している場面の動画を撮って見ることで、それまで気づけなかった部分にも気づくことができました。動画を見ることで他者に対しての説明もしやすくなり、それは自分自身にとっての学びにもつながりました。その後に、振り返りや改善点を記録する時間があり、ここでは次の授業までに何を改善すれば良いかが自分の中でイメージしやすくなって良かったです。  コロナ禍の影響で対面の授業が少なくなり、家で授業を受けることが多くなりました。オンデマンド授業になって良かった点もあるけれど、実践的に行う科目だとわかりづらい部分も出てくると思います。“形”の授業だけでも対面で受けることができたので、自分自身の学びとなり、剣道経験者でも学ぶことがたくさんあると感じました。  まだ、このような状況が続いていくと思いますが、気を抜かずにしっかり授業や課題に取り組んでいきます。 太田 柾さん(2年生)  剣道形の授業では国内の感染拡大状況を踏まえて感染リスクを考慮し、一時的に対面授業からレポート課題のオンデマンド型授業に切り替えて行う時もあり、感染の心配はありませんでした。  対面でアクティブラーニング型の授業を受けて、剣道形の一本一本に対してより深く理解できたと思います。アクティブラーニング型は普通の座学とは違って、“形“の説明から実践までの取り組みの中に「教える」という工程を挟んでいます。グループ内での客観的な意見 から互いの改善点を指摘し、アドバイスとして教え合うことができます。また、教える側も相手にわかりやすく教えなければならないので、教本を読み込むなどで一から学び直すことができて、さらに理解を深めることができました。先生の話を一方的に聞くだけではなく、実践する中で相手に教えながら自分自身が学びを得ていくことは新鮮であり、また、教えることの難しさと、相手に伝わった時の達成感が嬉しさを湧き上がらせてくれるので、楽しく授業に取り組むことができました。このように、予習と復習ができる授業形態で、経験者も初心者と一緒に一から“形”を見直すことができることはとても学びやすく、剣道形の理解にとても合った授業でした。  最後の課題として創作剣道形がありました。これは、各グループの考えた剣道形を一本ずつ紹介し、披露していくというものです。打太刀の構えや動きから仕太刀はどう動くのか、どのタイミングで技を繰り出していくのかなどを一から考えて、一本の技を作っていきました。私の班はお互い経験者で、新鮮な気持ちになって創作しながら楽しく取り組むことができました。他のグループの剣道形も素晴らしいものが多く、良い経験になりました。  新型コロナウィルスが発生してから今までの間、感染リスクを避けた新しい授業形態や対策がされてきており、私自身不慣れながらも意欲を持って取り組むことができています。今後も授業に取り組む姿勢を崩さずに楽しく学んでいきたいと思います。 杉山 潤さん(1年生)  コロナ禍ということで、対面授業では自分を含めて不安を感じる方が多かったのではないかと思います。しかし、この授業では必ず事前に検温などを行って体調を万全に整えての参加だったので、安心して取り組むことができました。  アクティブラーニング型の授業では学生同士の交流が多く、剣道経験者以外の意見を聞くことにより固定された考え方から離れることができたので、初心に帰って新しい考え方を取り入れることができました。また、自分たちの演武を動画に撮影してそれを見返すことで、剣道経験者として未経験者に指摘をしつつ、自分自身の欠点を見つけることができました。剣道形の演武は相手があって成立するもので、演武中は相手とコミュニケーションをとることができないため、お互いに呼吸を合わせる以外はないと考えています。このことで、相手の気持ちを考える力が身についたと思っていますし、授業で日本の伝統的運動文化である剣道形を経験し、学ぶことができるのは貴重だと思いました。オンデマンド授業では剣道形の歴史や概要について、より一層深く学ぶことができ、そこでは私自身が知らなかった多くのことを課題形式で学びました。  この授業を受けて、お互いに教え合うことはわかりやすいと感じ、それは歳が近い者同士が同じ目線で指摘し合えるからだと思いました。そして、経験者同士が指摘し合うと各個人の経験が活きるため、別の観点から自分を見つめ直して自身を振り返りながら成長させることができたと思います。協働的な学びをはじめとしたこれらの経験を、社会に出た時に活かしていきたいと思います。


教員プロフィール:髙瀬 武志

髙瀬 武志

法学部 法律学科 准教授

 髙瀬 武志 TAKASE, Takeshi – 教員紹介



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