中等教育学校2年生では、キャリア教育の取り組みとして、クラスから学校、地域へと「出会う他者・協働する他者」を広げています。「地域の人々、地域を支える企業と出会い、地域の課題解決を通して触れる人や世界を広げ、他者と親和し、協働する力を高めてほしい」と考え、地域連携企画を展開しています。今回は、横浜市・東急株式会社が取り組む「次世代郊外まちづくり」と連携して行ったワークショップについて、2回に分けて紹介いたします。第1回は事前学習編です。
4月の授業、2年生では、「クラスの外」でどんな貢献ができるか考えました。「学校の中で」そして、「学校の外」でどんな貢献ができるか考えよう。ところが、「学校の外」では、なかなか、「通学路のゴミ拾い」の先が浮かんできませんでした。
東急の「次世代郊外まちづくり」担当者によると、実は、中学生だけではなく、大人も同様とのこと。大人が地域貢献したいと考えた時、ゴミ拾いのようなボランティア活動はすぐに思いつくのですが、その先にある、自分の特性を生かせるような地域貢献活動をどのように実現していくのか? まさに、いま、横浜市と東急が取り組みはじめているテーマとのことでした。こうして、「ゴミ拾いの先にある地域貢献って何だろう?」という「問い」が生まれました。
コロナ禍中の9月、学校はオンライン授業になりました。この間、「探究」の授業内で、自分の住む街について「Xチャート」を用いた「多角的・多面的視点での分析」を行い、街の魅力を考えていきました。
生徒たちは、自分の住む街の意外な一面を発見し、自分の言葉で伝えてくれました。生徒たちは、よく自分の街には「何もない」と言うのですが、若者が、街に「何もない」という時の「欲しい何か」とは何なのか、突き詰めて考えるのは、とてもおもしろいのではないか? そのような話をしながら、横浜市、東急、そして「次世代郊外まちづくり」プロジェクトにおいて市民との橋渡し役を担っている石塚計画デザイン事務所と、ワークショップ型授業「まちなかに中学生のこだわりの居場所をつくってみよう」をつくっていきました。
石塚計画デザイン事務所からは、「いきなり提案は難しいため、日々感じていることからアイデアを考えては」と助言いただきました。これには、思わず膝を打ちました。わたしたち教員は、「ありたい姿」を子どもたちに考えてもらいたいと常々思うのですが、子どもたちの言葉は、実感の伴わない道徳論みたいになってしまいがちです。「こだわりたいこと」をいきなり考えるより、例えば、自分が居たいと「感じている場所」には、何があるのか、言葉にしていくのは? どういうモノがある? どういう風景がある? どんな音楽が流れている? それを言葉にしていくワークから始めることになりました。(つづく)
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