月別アーカイブ: 2022年2月

中等教育学校入試(第2回)

2/2(水)、中等教育学校の第2回入試が行われました。本日は午後実施、穏やかな天候に恵まれました。

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〇受験生としての「顔」

桐蔭学園の入試では、保護者の方が付き添うことができるのはシンフォニーホールの前まで。そこから先は受験生が1人で受付、そして試験場へと進むことになります。試験が終了するまで、保護者の方と会うことはできません。

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お子様の肩を抱いて励ますお母さん、グータッチをして送り出すお父さん、そして顔を紅潮させて少し足早に受付へと向かうお子様──毎年、このシンフォニーホール前での光景には大きく心を揺さぶられます。

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子どもが補助輪なしで自転車に乗れるようになった日──半べそをかきながら何度もトライし、ついにこちらが荷台から手を放したタイミングで自力でしっかりとペダルを踏みこんだ瞬間の、胸が熱くなる思い──これを思い出すのです。

保護者の皆さん。1人で試験場へと向かうお子様、さぞかしご心配でしょう。でも大丈夫。お子様はしっかりやっていますよ。私たち教員が見ています。

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お子様の行動範囲が広がるにつれて、「場」の数が多くなっていきます。幼いころはそれこそ家庭が「場」のすべてであったものが、保育園・幼稚園という「場」、小学校という「場」、友人関係、習い事や塾…といったように次第に多彩になっていくのです。そしてお子様は、それぞれの「場」におけるそれぞれの「顔」を持つようになります(これは決して悪い意味ではありません)。お子様の人格は、この「顔」の集合体から形成されています。

今回、お子様には中学受験生としての「顔」が加わりました。保護者の方が知りえないお子様の「顔」です。これは、半べそをかきながら自転車の練習をしていたころとは違う、凛々しく逞しい「顔」です。成長とは、多くの「顔」を持つようになることなのかもしれません。それだけ多くの「場」(=世界)を知るということ。

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保護者の皆さん。新たに受験生としての「顔」を得たお子様に対してできること──それはお子様が帰ってきたときに温かく迎えてあげることです。自分の力でペダルをこいで新しい世界を見てきたお子様を、両手を挙げて、笑顔で、迎えてあげてください。「よくがんばったね。頼もしいよ!」──この一言で十分。生まれたときから持っている、家庭での「顔」に戻れる瞬間です。

これがお子様の自己肯定感につながります。

本日受験してくださった受験生の皆さん、保護者の皆さま、ありがとうございました。

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中等教育学校入試(第1回)

2/1(火)、いよいよ中等教育学校の入試が始まりました。本日は午前、午後両方の入試が実施されました。

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〇中学受験の意味?

毎年、桐蔭学園では中等5年生・高校2年生を対象とした、5人の著名な卒業生によるパネルディスカッションを開催しています(コロナ禍の中では開催できていませんが)。その中のお1人は、桐蔭に在籍していた6年間、周囲の森林に入っては虫を採集し、その名前を覚えたそうです。また他の方は、3年間で相撲関係の本を400冊読破したそうです。そして、このお2人は口をそろえて「中高時代の経験に無駄なものなど一切ありません」と断言されます。

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教員としての経験の中で、次のようなことを口にする生徒にしばしば出会います。

「今やっていることに何の意味があるのかわからない。無駄だ」

先のお2人は、虫の採集をしているとき、相撲の本を読んでいるとき、果たして「意味がある」と思っていたのでしょうか。「将来役に立つ」と信じていたのでしょうか。

たとえば修学旅行や合宿などの学校行事。それが現在進行形で行われている間は、その意味などわからないでしょう。現役の小学生に「小学校生活の意味は何か?」などと尋ねてもわかるはずがありません。今やっていることの意味は、今はわからない。すべてが終わったとき、初めてその意味がわかるものなのだと思います。

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ただ、意味がわかるようになるためには、そのことについてふり返ることが必要。あることを「体験」したら、それをそのままにすることなく、しっかりとふり返る。こうすることでその「体験」が「経験」となり、自分の中に蓄積されます。「体験」をそのまま放っておくと、蓄積されずに消え去ってしまいます。体験が、それこそ「意味のない」ものになってしまうのです。

中学入試の真っただ中にいる受験生には、なかなかその意味はわからないもの。それでよいのです。大切なことは、すべてが終わったときに、しっかりとふり返りをすることです。中学受験を「体験」したことで自分はどう変わったのか。これを自覚することで、中学受験の「体験」が「経験」となって蓄積されます。

それが成長です。

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本日受験してくださった受験生の皆さん、保護者の皆さま、ありがとうございました。

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