2/2(水)、中等教育学校の第2回入試が行われました。本日は午後実施、穏やかな天候に恵まれました。
〇受験生としての「顔」
桐蔭学園の入試では、保護者の方が付き添うことができるのはシンフォニーホールの前まで。そこから先は受験生が1人で受付、そして試験場へと進むことになります。試験が終了するまで、保護者の方と会うことはできません。
お子様の肩を抱いて励ますお母さん、グータッチをして送り出すお父さん、そして顔を紅潮させて少し足早に受付へと向かうお子様──毎年、このシンフォニーホール前での光景には大きく心を揺さぶられます。
子どもが補助輪なしで自転車に乗れるようになった日──半べそをかきながら何度もトライし、ついにこちらが荷台から手を放したタイミングで自力でしっかりとペダルを踏みこんだ瞬間の、胸が熱くなる思い──これを思い出すのです。
保護者の皆さん。1人で試験場へと向かうお子様、さぞかしご心配でしょう。でも大丈夫。お子様はしっかりやっていますよ。私たち教員が見ています。
お子様の行動範囲が広がるにつれて、「場」の数が多くなっていきます。幼いころはそれこそ家庭が「場」のすべてであったものが、保育園・幼稚園という「場」、小学校という「場」、友人関係、習い事や塾…といったように次第に多彩になっていくのです。そしてお子様は、それぞれの「場」におけるそれぞれの「顔」を持つようになります(これは決して悪い意味ではありません)。お子様の人格は、この「顔」の集合体から形成されています。
今回、お子様には中学受験生としての「顔」が加わりました。保護者の方が知りえないお子様の「顔」です。これは、半べそをかきながら自転車の練習をしていたころとは違う、凛々しく逞しい「顔」です。成長とは、多くの「顔」を持つようになることなのかもしれません。それだけ多くの「場」(=世界)を知るということ。
保護者の皆さん。新たに受験生としての「顔」を得たお子様に対してできること──それはお子様が帰ってきたときに温かく迎えてあげることです。自分の力でペダルをこいで新しい世界を見てきたお子様を、両手を挙げて、笑顔で、迎えてあげてください。「よくがんばったね。頼もしいよ!」──この一言で十分。生まれたときから持っている、家庭での「顔」に戻れる瞬間です。
これがお子様の自己肯定感につながります。
本日受験してくださった受験生の皆さん、保護者の皆さま、ありがとうございました。