2020年最終登校日に思う

12/24(木)、生徒たちにとって年内最後の登校 日となりました。

思えば、高校ラグビー部が花園での全国優勝を成し遂げるという、桐蔭学園にとって大変嬉しい出来事でスタートしたのがこの2020年でした。しかし、その後わずか2か月弱の間に新型コロナウイルスが猛威を振るい、世界を混乱に陥れてしまいました。

桐蔭学園でも3月初旬に予定していた学年末考査は急遽中止になり、卒業式も中止あるいは規模を縮小しての実施とせざるをえませんでした。4月になっても対面授業は行えず、結局6月までオンライン授業を継続することとなりました。この間、多くの学校行事や各クラブ活動の大会も中止になり、さらには来年1月に実施予定であった修学旅行やウインターキャンプも中止となってしまいました。

私たちが今までに経験したことのない状況です。

一方で、オンライン授業では「コロナ禍の中でも学びを止めない」を実現。また、このブログでも紹介しましたが、10月、11月、12月と学園祭の代替企画となる「オンライン学園祭」(個人的には「代替」などというレベルにとどまらない素晴らしいものになったと思っていますが…)も実施できました。これは生徒たちの企画力・実行力、そして熱意によるところ大。

【下の写真は、自宅学習期間が終わり、生徒たちが学校に戻ってきた朝の様子(6月)。この光景は一生忘れることはないでしょう】

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今回の一連の出来事は、私たちに未来をどう生きていくのかを強制的に問う匕首のように思えてなりません。本当に今まで通りに生きていくつもりなのかと。

だから私は、コロナ禍を経験した私たちだからこそできることがあると信じています。それは未来に向けてイノベーションを起こすことです。オンライン授業や生徒たちが協力して創り上げたオンライン学園祭は、その端緒となったはず。

私たち大人は、このような時代を中高生として生きる生徒たちのことを「不運な中高時代を過ごした可哀そうな世代」と捉えがちです。しかし、その捉え方は本当に正しいのだろうかと疑問に思っています。もちろん、私も今の中高生たちを気の毒だと思う気持ちは人一倍持っているつもりです。その上で、彼ら彼女らのことを「被害者」と捉えてしまうことにはどうしても違和感を抱いてしまうのです。

「私たちで新しい鵬翔祭の歴史を作り上げる」「今しかできないオンライン鵬翔祭を心から楽しみたい」──先日行われたオンライン鵬翔祭の実行委員長・高橋美希さん(高2)の言葉です。実際、画面に出てきた桐蔭生の中で「被害者」然としていた生徒など1人たりとも、本当に1人たりともいませんでした。「被害者」などという捉え方はむしろ失礼ではないかとさえ思います。

私はこの大変な時代を中高生として生きる彼ら彼女らこそが未来を作っていけると信じています。イノベーションを起こせるのは間違いなく彼ら彼女らです。

【校長室から見る学園の桜の木。すっかり葉が落ち、いよいよ冬本番を迎えます】

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四季の移ろいを体現する学園の桜の木。人間界のコロナ騒動を尻目に、まるで悠々と自然を謳歌するかのようです。

皆さま、どうか良いお年をお迎えください。1日も早く落ち着いた日々が戻ってきますように。