桐蔭横浜大学

桐蔭横浜大学Toin University
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教育・授業実践

学生が企画・運営する暢子ゼミ スポーツを通じて社会とつながる
Vol.17 日比野 暢子先生(スポーツ健康政策学部)

掲載日:

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 スポーツ健康政策学部のゼミナール(ゼミ)は、3・4年次生の必修科目「専門演習Ⅰ~Ⅳ」として位置づけられています。この中で日比野先生が担当するゼミ(学生の命名により「暢子ゼミ」)は、スポーツ政策学やスポーツマネジメント学、国際交流等に関心のある学生が学んでいます。その暢子ゼミには、学生が「月1ゼミ」と呼ぶ活動があります。この「月1ゼミ」は、学生自身の研究テーマから、スポーツに関する見識と実績を備える方々の生の声を聞いて、学びを深める機会として設計しています。「月1ゼミ」の企画や当日の司会進行、お礼に至るまでの運営は学生が担当し、幅広く知識を得たり社会的な問題に目を向けたりできるような学びの場を、学生自らが創造していくことを日々試みています。スポーツ科学研究科(大学院)の日比野先生を指導教官としている院生も参加しています。

  取材した当日は、日本代表の水泳選手としてオリンピック競技大会(2008北京・2012ロンドン)、世界選手権大会(5回)に出場された伊藤華英さんとオンラインで繋がり、月1ゼミを実施しました。

 冒頭に、伊藤さんはご自身がリーダーとして情報を発信している『1252プロジェクト』について示され、女性アスリートが抱える生理に関する問題について、トップアスリートとしての経験談を織り交ぜて話されました。ゼミには男子学生もいることから、女性アスリートの生理に関する問題理解と共感を深めるために伊藤さんと学生との間での丁寧な対話を通して、学生が真剣に学んでいる場面を見ることができました。また、伊藤さんから学生へは質問への回答だけでなく、目標設定やメンタルコントロールのアドバイスもあり、大きな励ましとなったようです。

 学生の自主的な活動を尊重する学生主体型の「暢子ゼミ」について、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事も務めている日比野先生にお聞きしました。

 

先生へのインタビュー


――「暢子ゼミ」の目的と主な内容を教えてください。

日比野先生:ゼミでは、学生自身が持つ問題意識をもとに学生発信の運営や企画をすることにより、確かな企画運営力を身につけていくように働きかけています。今回の「月1ゼミ」は女性の社会的地位の向上や女性アスリートの生理について問題意識を持つ学生4名が中心となり、伊藤華英さんを講師とする本企画の実現に至りました。我が国の女性の社会的地位の現状や、女性の身体的特徴に目を向けることの重要性などについて、具体的なデータをもった説明がなされただけでなく、女性に関する問題を男子学生も共有することで、自分の問題として理解する場となりました。


――「暢子ゼミ」で取り組まれている工夫について教えてください。

日比野先生:学生が自発的に学ぶ機会、学びたいと思う気持ちを何よりも大切にしています。問題意識、関心、研究のテーマについては学生個々で異なりますが、企画立案の機会があることにより、学生が自ら学びたいことを先行研究として取りまとめ、それを全員でシェアし、プレゼンテーションし、議論できる場を創造するようにしています。


――「暢子ゼミ」を通した学生の学びについて教えてください。

日比野先生:自分自身が持つ問題意識や疑問に対して、普段の学生生活ではお会いすることが難しい方から直接お話を聞くことができたり、質問したりする機会があることは貴重な経験となります。また、そうした機会を学生たちが自らプロデュースすることにより、社会に出て生きていく上での必要な力、たとえば確かな企画力と運営力、議論できる力、さらにはプレゼンテーション力の獲得につながることを期待しています。
 これまでに、川崎フロンターレ職員、公益財団法人日本サッカー協会技術部副部長/グラスルーツ推進グループグループ長、東北楽天イーグルス職員、Bリーグ理事、精神科医、新体操の日本代表選手、イギリスの大学の教授、プーマジャパン職員、キャノンイーグルス職員など多様なバックグラウンドを持つ方々(以上、お越し頂いた際の役職)にご協力をいただいています。

授業の様子


受講生の感想

[以下、スポーツ健康政策学科4年生の感想]

木下 侑乃さん
 今回、伊藤さんからお話を聞いて、相手を理解するためには、まず「知る」ことが大切だということを改めて感じました。「人と接する時、私たちは無意識のうちに女性と男性に二分化して考えている」というお話があり、ジェンダーの問題もそういった根本的な部分が変わらない限り、無くすことは難しいと感じました。ただ、女性と男性以外の様々な性があるという事を多くの人が「知る」ことによって、少しずつ減っていくような気がします。
 また、生理に関するお話でも、多くの男性陣が「知らなかった」と答えていたので、今回の月一ゼミの中で「知った」ことによって、女性への理解につながったと思います。性別は様々であっても身体は男女で分かれているので、お互いに尊重し合い、リスペクトし合うことで性別を超えた理解につながると感じました。伊藤さんから聞いたお話を今後の活動に活かしていきたいと思います。

渡邉 結羽さん
 私は新体操をベースに摂食障害について研究をしているので、月経についてのお話がとても勉強になりました。競技力が一番成長する10代で、いかに自分の体と向き合い、生理について理解しているかが重要だと再認識させられました。今回のお話を、自分自身や卒論に活かしていきたいと思います。

佐藤 俊祐さん
 今回の月一ゼミでは、生理や女性のスポーツにおける課題など多岐にわたるテーマで伊藤さんにお話しいただきました。生理などは自分自身が男性であるため経験がなく、男性が触れてもよい話題なのかわかりませんでした。しかし、女性が生理で悩んだり苦しんだりしないためには、男性も女性と同じように生理について理解を深め、コミュニケーションを図ることがとても重要だということがわかりました。
 私は教員を志望しているので、保健体育における生理などの授業の工夫や、部活動やスポーツにおけるサポートの仕方など、学校現場での課題解決に向けた具体策もご指導いただきとても勉強になりました。伊藤さんが「今どんなに最善である考え方や方法であっても社会は変わり続けるので、常に価値観や知識をアップデートしていく必要がある。」とおっしゃっていたので、私も学び続ける姿勢を忘れずに努力していきたいと思います。

青野 響さん
 今回、伊藤華英さんのお話を聞いて、男女関係なくそれぞれの体のことについて、互いにもっと理解する必要があると感じました。現状として、男子は女子の生理のことなどには触れづらい、触れてはいけないような状況であったと実感していました。学校教育の中でも女性の体については男子にはあまり教えられていない事も問題であると感じました。男女の体についてお互いが理解し合う事で、過ごしやすく、女性アスリートもより競技に打ち込める環境になると感じました。私は教育実習に行くので、今回伊藤さんから学んだ事を少しでも生徒たちに伝えていきたいと思います。


教員プロフィール:日比野 暢子

日比野 暢子

スポーツ健康政策学部 スポーツ健康政策学科, スポーツ科学研究科 スポーツ科学専攻 教授

 日比野 暢子(田中 暢子) HIBINO, Nobuko – 教員紹介



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