桐蔭横浜大学

桐蔭横浜大学Toin University
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教育・授業実践

ハイフレックス型の対話的授業で知見とリフレクション
Vol.19 升 信夫先生(法学部 学部長)・吉田 功先生(法学部)

掲載日:

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 「アクティブラーニングⅡ(地方公務員)」は、地方公務員を目指す法学部の2年生以上が受講する専門科目です。この授業では、まず地方公務員になる上で欠かせない社会状況に関する知識をオンデマンド型授業で学びます。その後に実施する対面型授業は、Zoomとカメラを用いてオンライン同期配信もします。これにより、学生は対面型授業かオンライン同期型授業かを選ぶことができます。そして、学生はフェイス・トゥ・フェイスのグループワーク又はZoomブレイクアウトセッションのグループワークによってお互いの考えや視野を協働的な学びを通して広げながら、個々のリフレクションに繋げていきます。

取材当日は升先生による対面型(オンライン同期型)授業が行われました。ここでは、農業(協同組合)をテーマに学生に身近な題材が取り上げられていました。

この授業の内容や学生の学びについて升先生にお聞きしました。

先生へのインタビュー


――本授業の目標と主な内容を教えてください。
升先生: 「アクティブラーニングⅡ(地方公務員)」では、地方公務員を目指す上で必要とされる3つを学びます。第一に、地方公務員試験への準備対応。第二に、現代における一般的な社会状況(少子高齢化・財政赤字・グローバル化等)についての知識。第三に、現代社会における具体的な課題についての知見です。 この授業ではとくに三番目に焦点を当て、グループワーク等の協働学習を通して知見を深めていくことを目標としています。その課題は広範囲にわたりますが、「公的領域と市場社会の交錯」という観点から複数の事柄を検討していきます。具体的には、「水道法改正(水道事業での民間活用)」「保育(待機児童)」「農業(協同組合)」「TSUTAYA図書館」等々です。


――授業で取り組まれている工夫について教えてください。
升先生: 現在、多くの領域でオンラインとオフラインの融合(Online Merges with Offline)が課題となっています。コロナ禍における教育では、オンライン授業(特にオンデマンド型)での学びに大きな可能性があることがわかりましたが、それと同時にその限界も明らかになっています。オンラインの有効性を生かしつつ、オフライン(対面)でしかできない学びを充実させることが求められています。


――この授業を通した学生の学びについて教えてください。
升先生:まず、各授業のテーマをオンデマンド動画で学ぶので、学生個々が自分のペースで十分な理解を得ることができます。その後に対話的な授業に臨むことで、自分の理解が不十分であった部分に気づいて補うことができます。さらに、グループワーク等の協働的な活動を通して、自分とは異なる価値判断に出合ったり、他者の考えを認め合ったりすることで、多面的な理解が広がるとともに多様性のある学びにつながります。

授業の様子


受講生の感想

[以下、法律学科2年生の感想] 太田 柾さん  アクティブラーニングⅡの授業はZoomと対面を同時に行うやり方を実施しており、新型コロナウィルスの感染予防対策を最優先に考えた授業形態となっています。私は対面授業もZoomでの授業も受けてみたのですが、やはり対面の方が集中できて教授の話を理解しやすかったので、一刻も早く全員での対面授業ができるようになればいいなと思います。  授業内容は、気候変動から起こる様々な社会的問題や日本の様々な社会的現象について細かく知り、過去の地形や地理に関する記録や今までの統計データから将来的にどういった世の中になっていくのかをグループで話し合うシステムになっていました。4~5人のグループ内で賛成意見や反対意見が飛び交う中で自分たちなりの答えを出していくのは、とてもやりがいがありました。例えば、現代の農協(以下JA)がどう発展しているのかを調べ、その特徴や性質から、「地方公務員との併願で農協への就職を考えている友人がいたら、それを勧めるか否か」というテーマが示されます。日本のどの地域のJAの利益が大きいと思えるかなどを考えると、その地方で販売している作物で有名なものや地理的な特徴などといったことについても調べることが多く、意見交換をするには多くの情報量が必要だということを学ぶことができました。また、相手にわかりやすく伝えるために内容をまとめ、コミュニケーションをしっかりとることもできたので、私にとってとても良い経験になる授業でした。  今後の学業面では、フランシス・ベーコンの「知は力なり」という名言があるように、「自分が興味を持って調べた分だけ自分の力になるのだ」ということを頭に入れ、本や授業内で気になる言葉や興味のあることについて積極的に調べていきたいと思っています。 I.T.さん  アクティブラーニングⅡでは、その講義ごとにテーマが毎回異なっています。保育やTSUTAYA図書館などのように、より身近に感じるテーマのこともあれば、自分が知らなかったようなテーマのこともあり、そのテーマについて前提知識を得た上でグループワークを行い、各々の考えをまとめていきます。自分と同じ考えの人や、全く逆の考えの人がいることがわかるので、その日のテーマによって自身の考えの他に新しい考えが浮かんでくるようになります。このようなグループワークでは、自分の中だけでは考えられなかったような新しい発見が他の人によって生まれ、それがテーマごとで新たな学びへと繋がるのではないかと思いました。  個人的ではありますが、この講義で週末に出される課題は取り組みやすく、他の課題と並行しても苦ではないと感じています。そして、その課題から得た前提知識を講義の中で改めて詳しく学び、さらにグループワークも行うので、講義での復習が分かりやすくなっていると感じました。現在この講義を受けていて面白いと感じていて、時には講義内容で難しく感じるようなものもありましたが先生の詳細な説明で理解できるので、グループワークを含めて自分としては取り組みやすい講義だと感じています。


教員プロフィール:升 信夫

升 信夫

法学部 法律学科 学部長 教授, 法学研究科 法律学専攻 教授

 升 信夫 MASU, Nobuo – 教員紹介



教員プロフィール:吉田 功

吉田 功

法学部 法律学科 専任講師

 吉田 功 YOSHIDA, Isao – 教員紹介



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