桐蔭横浜大学

桐蔭横浜大学Toin University
of Yokohama.

教育・授業実践

デジタル社会を生き抜く学び 多様なコミュニケーション
Vol.20 溝口 侑先生(教育研究開発機構)

掲載日:

0102

 「データコミュニケーション入門」は、2021年度より本学で新たに設置された大学共通科目で、学生は教室で受講するか自宅等からZoomで受講するかを選択することができるハイフレックス型授業中心で行います。授業の到達目標は、デジタル社会を生き抜くための基盤となる知識を学び、パソコンでのデータ分析の基礎的な技術を習得することです。この到達目標を達成させるために、授業時間内には学生が個々のパソコンでデータ分析演習を行いながら、後日配信されるアーカイブ授業動画を活用して学生自らが反復演習もすることができる仕組みも取り入れています。

 ハイフレックス型授業では教室全体の様子をオンライン画面で共有し、溝口先生は学生のデータ分析演習の状況を確認しながら全員とコミュニケーションも取ります。学生の質問には丁寧に個別対応して解決に導いていました。

 この授業の内容や学生の学びについて溝口先生にお聞きしました。

 

先生へのインタビュー


――本授業の目標と主な内容を教えてください。

溝口先生:本授業では、デジタル社会を生き抜くための基盤となるデータサイエンスやAIについての基礎的な知識について学ぶと同時に、データ収集・分析の技能を学び、データを活用した説得的なコミュニケーションができるようになることが目標です。
 授業の前半では、Society5.0やDX、AIや機械学習といった現代社会で必須のキーワードを身近な事例を交えながら講義し、授業の中盤では、Excelを用いた分析を行うためのスキルを学び、後半ではデータをどのように集めるのか、データを集めるときのプライバシーに関わる問題や倫理の問題について学びます。


――授業で取り組まれている工夫について教えてください。

溝口先生:学生が主体的に学ぶために特に次の2つの点を工夫しています。
1つは、自分の理解に合わせた個別学習ができる環境を整えていることです。データを分析するためには、高校までの数学に関する知識やExcelの操作に関する知識がある程度必要になります。授業内で行ったアンケートでも、事前の知識について幅があり、全員で足並みを揃えていく一斉講義形式の授業では、できる学生にとっても、苦手な学生にとっても自分のペースで学習することが難しいと考えています。そこで、一人一人が自分の理解に合わせて学ぶことができるように、数学と統計の基礎知識と、Excelの操作についての解説動画を授業アーカイブとは別に配信しています。
もう1つは、個人で考える時間と協働で問題に取り組む時間それぞれを大切にしています。授業のなかでは、1つのテーマに対して、考える時間を設けています。1人で考えたアイディアを持って、グループワークに臨み、様々な意見を交換した後で、授業のふりかえりとして、もう一度自分なりの考えをまとめてもらうというサイクルを作っています。


――この授業を通した学生の学びについて教えてください。

溝口先生:大きく3つあると考えています。1つは学生の興味・関心が広がっていると感じています。データサイエンスやAI、機械学習というテーマを自分たちの身の回りの生活と関連付けながら学ぶことで、現在社会のなかで起きている変化や、これから起こりえる変化を、自分には関係ないものではない大切なことだと気づいたことが大きな学びと考えています。また協働的な学びの中では、同じ資料・データから異なるアイディアが生まれること、相手に考えや意見を伝えることの難しさを知ることで、他者と一緒に活動するための素地を養うことにつながっています。さらに、毎週の授業のふりかえりを通して、自分の学びを言葉で表現する力も成長しています。はじめは授業の内容をまとめるので精一杯だった学生も、授業内容から発展させた自分の考えや、学びを深めるための質問を考えることができるようになってきました。

授業の様子


受講生の感想

[以下、法律学科1年生の感想]

大長 凜さん
 「データコミュニケーション入門」では、Excelでのデータ分析の楽しさや説得的なコミュニケーション技能を身につけることができます。この授業の到達目標としては、「データサイエンスやAIについての基礎的な知識について学ぶと同時に、データ収集・分析の技能を学びデータを活用した説得的なコミュニケーションができるようになることを目指す。」となっています。これだけを読むと、「何だか難しそうだな」「たった14回の授業でここまでできるようになるのか」と思うかもしれません。私も初めはそう思っていました。しかし、基礎から始まり先生が丁寧に教えてくださるおかげで、私自身、技能の成長を感じています。この授業で学んでいることは、この先、社会に出た時に求められる知識の基礎の部分になります。そういったことを今、大学で教えてもらっていることを私は嬉しく思っています。
 この授業の特徴的な部分としては、その授業形態が挙げられます。それがハイフレックス型という授業形態です。大学の多くの講義・授業は、対面・オンライン・オンデマンドの三つのうちのどれかになっていると思います。しかし、この「データコミュニケーション入門」ではハイフレックス型という、対面でもオンラインでも受講可能な環境になっているのです。昨今、通学が困難な学生にはとても便利なものになっていると私は思います。ですが、Excelなどの使い方を学ぶ上でオンラインでは限界があるため、私は対面での受講をお勧めします。
 在籍が法学部だからといって法律の知識だけを学ぶのではなく、こういった情報の知識なども学んでいることで、自分の視野が広がったとも感じています。そういったことで様々なことに関心を持つようになり、将来の可能性が広がっていくのではないかと私は思います。「データコミュニケーション入門」で学んでいることは、社会に出たら誰も教えてくれないことです。それを今、大学で教えてもらっていることは、とても大きなことだと思っています。学んでいて難しいと感じることもありますが、今後の自分のために邁進していきたいと思います。

S.H.さん
 この講義は、現代の文化系の大学生にとっても必要な学びだと思います。
 まず、「弱いAIと強いAIの違い」「シンギュラリティとは何か」「ビッグデータとは何を意味し、データサイエンスにより、社会は次の段階に向けてどのように移行しようとしているのか」など、社会人になれば今更聞くことのできない、当たり前だけど詳しく説明できないような、新しい一般常識を丁寧に教えてもらうことができます。
 そして、Excelの使い方や、関数の基礎的な説明を受けることができます。この基礎的なデータサイエンスの技術を1年生のうちから会得しておけば、これからの大学生活も社会人としての人生も効率よく送ることができ、苦労が減ると思いました。
 実は、授業の様子をまとめたアーカイブ動画を後日配信してくれるので、後で何度も同じ内容の授業を受けることができるお得な講義になっています。それ以外にも、動画配信では授業で扱った内容を超えて、更に発展的な講義も行われているので、「学生のもっと知りたい」に答えてくれるような仕組みになっています。でも、成績判定の基準は授業時間内で行われた内容のみですので、得意不得意の差はあっても、みんな平等に成績をつけてもらえる仕組みになっています。大変画期的で先進的な学びだと思いますので、学ぶ意欲が湧きます。今日も復習を行い、次の講義に備えようと思います。

宮﨑 凜さん
 「データコミュニケーション入門」を受講して、新しい講義方式に驚きました。事前に、この講義はオンラインと対面を同時に行う特殊な講義方式(ハイフレックス型)をとると聞いており、オンデマンド講義に比べて質問もしやすくて、自分で講義の参加形態を選べることに新しいものを感じました。座学だけを続けるのではなく、オフィスソフトを用いて実際に演習を行いながら話を聞く実践型なので、内容も理解しやすい講義でした。
 基本的な知識についての講義を聞き、桐蔭ユニパのクリッカーという機能を使って「指定された関数を実現するにはどの関数が正しいのか」という問題に解答します。そして、その関数を実際にExcelで実行してみることで、どこが違うのかを自ら見つけ、先生からの解説で関数について学んでいく流れでした。「関数を実際に実行する」という実践を通して関数について学ぶことができるので、オフィスソフトを苦手とする人でも一つ一つ分からない部分を潰していけるので、一般的な講義に比べて個々の学習レベルが高くなり、学んだ内容を日常生活や他の授業にも活かすことができるという優位点があると思います。
 しかし、自分で講義内容を積極的に取り込もうとしなければ、内容が理解しにくい部分もあると思います。本来であれば、こういった実践的な授業は対面式の方がより真価を発揮すると思いますが、新型コロナウィルスなどの社会情勢や環境によっては、オンラインと対面のハイフレックス型講義をもっと活かせればいいなと思います。
 総論として、実践型の講義は一般的な講義と違い、自分でその内容をその場で実践に移すことで、より理解しやすいと思います。このような実践型の講義を、他の講義にも活かしていってほしいと思います。


教員プロフィール:溝口 侑

溝口 侑

教育研究開発機構 特任専任講師

 溝口 侑 MIZOGUCHI, Yu – 教員紹介



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