桐蔭横浜大学

桐蔭横浜大学Toin University
of Yokohama.

教育・授業実践

仕事社会に思考を繋げる大学共通科目
Vol.21 松井 晋作先生・上畠 洋佑先生(教育研究開発機構)

掲載日:

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 「分野横断型プロジェクト」は、2021年度より本学で新たに設置された大学共通科目です。全ての学生が履修できるこの講座では、問題発見・解決の能力を身につけた社会で必要とされる人材を育てます。オンデマンドでの事前学習を経てオンラインで一般企業の方からお話を聞き、そこで提示された課題について個々の考えを持ってグループワークに臨みます。そこでは、課題解決に向けた様々な立場でのアイデアを共有して整理した上で、企業の方に向けてオンラインで発表して意見や感想を伺います。その後、再度思考を整理して全員でリフレクションを行います。

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 コミュニケーションを大切にしている講座なので、とくにグループワークでは多様な見方・考え方ができるように先生方がヒントを示しながら、その中身が濃くて豊かなものになるように導きます。今回は、新規事業系の2社にご協力をいただきました。

 この授業の内容や学生の学びについて、松井先生・上畠先生にお聞きしました。

 

先生へのインタビュー


――本授業の目標と主な内容を教えてください。

松井先生:本授業では、さまざまな企業の協力の下、企業が求める人材について理解しつつ、社会で活躍するために必要な“他者と協働的に学ぶスキル”を活用しながら、自ら問題を発見し解決する能力を養うことを目的としています。
今回は企業が求める社会人に必要なスキルについて、経済産業省が定義した「人生100年時代の社会人基礎力」が現状でどの程度身についているかを認識し、それに基づいた形で、企業の方からの課題を解決していく授業の形態を取りました。
今回の協力企業は横浜信用金庫と株式会社アントレです。個人とグループワークの2方向で学びを進めました。

参考:「人生100年時代の社会人基礎力」


――授業で取り組まれている工夫について教えてください。

松井先生:「個・協働・個」の学びを重視し、自分で考える内容と、他者と共有して学びを進めるところをしっかりと区分けしながら進めました。
なお、課題発見から課題解決につながるプロセスは、独自の発想やアイデアだけを重視するのではなく、他の参考となる事例を調べる必要を指摘し、自分自身で文献調査、フィールドワークなどを行うことを時間外学習で作るような授業の設計をしました。
また、発表の後のリフレクションの時間は多めに取り、自分だけでなく、仲間がどのように学びを進めていたのかを共有する時間を設定しました。


――この授業を通した学生の学びについて教えてください。

松井先生:企業の方々から話を聞くことによって、これまでは外側からしか見ていなかった社会を内側から見て考えるという新しい経験があります。そして、その役割や動きを知って社会に興味・関心を持ち、企業から提示された課題に取り組むことを通して、自分が社会に出て働くイメージにつながります。
また、物事や事象に対して疑問を持ち、その問題解決に向けて深く踏み込んで考えることの大切さを知るとともに、グループワークの場ではその良さを学んでプレゼンテーションの経験をします。

授業の様子


受講生の感想

松藤 裕樹さん(法律学科 4年生)
 企業からの課題に取り組んだことで、これまで自分が考えなかったことを考えるようになったと思います。今までは、ニュースなどでの企業の考えや社長の話などには興味を持てなかったのですが、この講義で横浜信用金庫とアントレのトップの方の話を聞いて興味を持ち、その課題について前向きに考えるようになりました。
横浜信用金庫の課題では、「広域連携を進めるべきか」とか「アクティブユーザー数を上げる方法」といったことが提示されました。自分の発表の時には“広域連携”自体がわからなかったので、調べてみて進めた方がいいと思いました。アクティブユーザー数を上げる方法としては、You Tubeの広告を提案しました。今、動画を見る若者が多いことからそういった考えになりました。
 アントレの課題では、「ペルソナを想定して、どういったサービスを立ち上げるのか」ということを考えました。ペルソナをもっと具体的に想定できればよかったし、難しいと思いました。こういった課題解決を考えることが大事だということを学べたと思いました。
 プレゼンテーションについては、個人で発表する場合は一人で調べたりまとめたりするので時間もかかりますが、自分のペースでやれるのでいい部分もあります。でも、発表する時には一人だから緊張したりもするので、不安の方が多いのかなと個人的に思いました。グループの場合は、個人では苦手なことでも一緒に捉えることができるので安心感も違うなと感じました。グループでのデメリットとしては、意見がぶつかり合った時にまとめたりするのは難しくなるなと感じたことと、他の人も調べていると思ってしまうと責任感にも違いが出てくるのかなと思ったことです。

木村 幸聖さん(スポーツテクノロジー学科 3年生)
 大学入学前、「自分も社会人になったら働かないといけない。通勤しないといけない。」などと社会の外側しか見ていなかったのですが、「分野横断型プロジェクト」の授業を通して「社会はどんなことをしていて、どんな取り組みをしているのか。」という社会に関する内部的なことを初めて知ることができました。そして、自分の中では、「会社がどんな動きをしているのか。どんな問題解決をしているのか。」というイメージがつかめました。「自分が社会に出た時にはこういうことをしているのかな。」というイメージも想像できたので、嫌がっていた自分とは逆に興味がわくようになったと思います。
 授業内では実際に社会人の方と話をして、提示された課題について解決策を考え、試行錯誤する場がたくさんありました。そこでは、「どのように考えたらいいのか。どのようにペルソナを設定するのか。」など、問題解決をする際の重要な考え方を知る機会にもなったと思います。これをきっかけとして、これから自分が社会に出た時にうまく活用できるようにビジネスの類は勉強し続けたいと感じました。また、学年が下の人と話す機会も多く、違う世代の流行りや自分が知らないことがあったりして、この年齢の差も意見を出し合う上で重要なことだと感じました。
 これらを通してキャリア意識は高まったと思うので、この経験を次に活かせる材料としてこれからもさらに高めたいと思いました。

佐藤 花音さん(法律学科 2年生)
 この授業では三つの学びがあった。一つ目は、「なぜ、どうして」を追求することによって自分の考えを深める練習につながったことである。発表や課題のフィードバックの際に質問や疑問を示されたことにより、事前準備で考えていたことがどれだけ浅かったのか、また、自分の考えなのに分かり切っていなかったということがよく分かった。そのため、アントレの菊池さんからのアドバイスにもあったように、仮設の具体化をしていく必要があると感じた。二つ目は言語化の練習である。これは、グループワークで自分の考えを言語化することの難しさを痛感したからである。私は普段、擬音やこそあど言葉に頼って話すことが多いので、自分の考えていることを相手にきちんと伝えることが非常に難しかった。三つ目は、いろいろなジャンルにアンテナを張る必要性である。二回のプレゼンテーションがあり、アントレの時にサービスの提案で「店舗型にこだわる理由」を聞かれた。その時、松縄さんがニュースをもとに回答していたことから、常日頃からいろいろな物事に興味・関心を持ち、情報収集をする必要があると感じた。
 グループの発表の良い点も感じた。まず、物事の視点である。グループの中でもそれぞれが持っている知識・情報や興味のあることが当然違うので、考え方の幅が広がり、自分にないアイデアが出てくるところがグループの強みだと感じた。次に、お互いのアイデアをより良いものに発展させることができる点である。それぞれの意見を互いに客観視することができるので、いい点・悪い点を挙げつつ疑問を投げかけることでアイデアを改善することができ、また、組み合わせることによって欠点を補うことができる。さらに、話し合いながら自分の考えを整理することができると感じた。そして、プレゼンテーションに必要な資料を相談することができる点である。私は検索をかけることが下手くそなので、資料を集めるのに時間がかかったり、必要な情報の取捨選択を相談しながら発表準備ができるという点が良かったと感じた。

松縄 栞奈さん(法律学科 2年生)
 この授業では、まず「疑問を持つことが大切だ」ということを学んだ。与えられた情報の中で「何故そのようになるのか」など、抱いた疑問に対して自分なりに考えることが大切であると感じた。次に、「リアリティを追及する」という学びがあった。プレゼンテーションや自分の考えをグループ内で発表する時に、「どうしてそう考えたのか」という考えの根拠が示されることにより、より自分の考えが鮮明化されるリアリティが生まれるということが分かった。三つ目の学びは、「データから何が読み取れるのかを踏み込んで分析する」ということであった。データをただ示すのではなく、そのデータから読み取れることを一段階深く踏み込んで考えることが課題解決につながるということを、この授業で改めて学んだと思う。
 プレゼンテーションについては、個人では自分の考えや視点が軸になるが、グループではペアのそれも含めて考えるので、より発想が広がり、新たなアイデアや考え方が生まれると感じた。グループ内で持っている知識を合わせることで、考えの根拠の部分が厚くなってリアリティの追及につながり、さらに相手から意見をもらえることでアイデアの改善点が明確化されることも感じた。考えを言語化する時に、自分一人では上手くまとめられないことが多かったが、グループではアドバイスがもらえるので言語化しやすかったと思う。また、一人の時は自分のペースで考えることができるのに対して、グループでは迷惑がかからないように歩調を合わせることが大切になるので、一人の時より気が引き締まる思いで取り組んだ点も挙げられる。そして、発表時には隣にグループのメンバーがいるのでとても心強く、一人の時より緊張せずにプレゼンテーションが行えたと思う。

戸田 充浩さん(スポーツ健康政策学科 1年生)
 この授業を受けて、普段考えないことや社会に出た時に行いそうなことを知ることができました。何気なく過ごしている毎日ですが、日々思ったことや感じたことを課題に置き換えて考えるようになりました。そして、「どうすればその問題が解決されるのか」を考えられるようにすることが次の課題です。また、自分なりに出した課題の答えに対して企業の方からアドバイスをもらったりしたので、様々な視点から考えることの必要性などを感じました。
 グループワークでは初め、皆の意見も大事にしつつ自分の意見をしっかり発信することの大切さと、自分の考えや意見を主張する時の言語化がとても難しいと感じました。そして、言葉にして発表する時の視点や、周りの反応を見ながら行うことが難しかったです。しかし 、グループワークでは個人の意見ではなく皆の意見と交えて考えるので、自分の意見を評価してもらうことができて良い案を出せたり、皆の意見を合体させたりできるといういい点があると思いました。


教員プロフィール:松井 晋作

松井 晋作

教育研究開発機構 専任講師

 松井 晋作 MATSUI, Shinsaku – 教員紹介



教員プロフィール:上畠 洋佑

上畠 洋佑

教育研究開発機構 准教授

 上畠 洋佑 UEHATA, Yousuke – 教員紹介



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