桐蔭横浜大学

桐蔭横浜大学Toin University
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教育・授業実践

コロナ禍対応の実技授業。ブレンド型授業でALの学びを継続
Vol.6 髙瀨武志先生(法学部)

掲載日:

体育実技科目「剣道基礎Ⅰ・Ⅲ(前期)」は1・2年生が履修し,基本技術や武道の礼作法等に関わる「剣道の基礎」を学習する授業です。4月からはオンライン授業で知識や情報を発信しながら受講生から提出された課題レポート(動画)を集約し,少人数グループ単位で共有して協働学習を継続しました。学生の利便性を第一に考え,LINEアプリを活用したオンライン授業が展開されました。それに続いて7月には,感染予防対策(検温・手指消毒・マスク・フェイスシールド・換気・ソーシャルディスタンス等)を整えた環境の下で対面授業を集中型で実施し,技術の直接指導やグループ学習などが行われました。ブレンド型(オンライン&対面)で実施した授業内容と,その工夫点などについてお聞きしました。

先生へのインタビュー

取材班:授業の目的と主な内容を教えてください。 髙瀨先生:法学部における体育実技科目の「剣道基礎」は,剣道経験の有無に関わらず,履修者が授業を通じて剣道における攻撃や防御の身体技法をはじめ,武道の伝統的な思想ならびに礼作法などの行動様式も含めて「剣道の基礎」を学習し,理解を深め,習得することが目的です。主な内容としては,竹刀の構え方や振り方,足捌きや体捌き,相手との打突や攻防といった剣道の基礎的な技法の理解と習得,武道における伝統的な礼作法や武士道思想等を学習し,理解を深め,習得します。受講者は剣道部員が15名,一般学生が14名の合計29名での開講でした。 取材班:コロナ禍において実技授業を行う上での工夫点はどんなことですか? 髙瀨先生:実技系科目である以上,対面形式の実技授業は欠かせません。そこで,授業前の「検温と記録」「手指の消毒」「マスク必着」「フェイスシールドの必着」「教場の窓を全開にして換気通気の確保」「受講生同士のソーシャルディスタンスの確保」を徹底して実施しました。特に「マスク必着」「フェイスシールドの必着」での授業は受講生も慣れない授業環境となりましたが,「なぜ、必要なのか?」をよく理解し実践してくれました。授業内での協働学習等のグループワークでは極力,大きな声での会話は避け,感染防止対策を徹底したうえで「深い学び」への挑戦をしました。 取材班:授業全体での工夫点について教えてください。 髙瀨先生:まず,オンライン授業と対面授業を混合した「ブレンド型授業」を実施する中で,ICT機器を活用した「反転授業」とAL型授業として「個-協働-個の学習サイクル」ならびに「習得-活用-探求の学習サイクル」を実践した授業に力を入れて取り組んだ点と,可視化教育教材を活用することによって受講者の改善すべき課題の発見や気づき,理解を促した点があげられます。 授業全体における前半はオンライン授業を実施し,事前に設定される教員からの課題に対し受講生が取り組み,レポート動画を作成しました。“個の学習”として受講生各自が作成したレポート動画を少人数のグループ内で共有し,意見交換ならびにフィードバックを行いました。そして,“協働学習”としてグループのメンバーからの意見や教員からのフィードバックをもとに学習の総括を行いました。さらに、受講生がレポート動画を作成する段階で教科書等にある基礎的な知識は学習していることになるので,授業内では「反転授業」として各受講生に合わせた課題解決型の学び(個の学習)が展開できました。 授業全体の後半は集中授業としての対面授業において,基礎的な技術を教員からの解説や指導を踏まえて習得しました。また,携帯端末等のICT機器を活用した“自身の動作の撮影・分析”という可視化教育教材の活用により,深い理解と改善すべき課題の明確化を促したうえで習得学習を行い,続いて応用度の高い試合形式の攻防を通じて習得した技術を自由に活用し、成功体験と失敗体験を経験する活用学習を行いました。最後に活用学習での経験をもとに,より探求したい技術や改善すべき課題を設定し,ICT機器等の可視化教育教材を活用した動作分析を含めた反復練習および意見交換等を通じた探求学習(協働学習)を行いました。AL型授業を踏まえた「習得-活用-探求の学習サイクル」で体得した技術を駆使して試合を行い,受講生の学習成果の発表の場としました。

授業の様子


受講生の感想

山極 七海 さん(1年生) 授業前には全員が検温から手指の消毒を行い,授業中はマスクに加えてフェイスシールドを装着し,学生同士のソーシャルディスタンスを確保しながら,教室の窓は全開にして換気をするなど慣れない中ではありましたが,自分自身が今の状況を理解した上で授業に取り組めたと思います。少人数のグループになってお互いに意見を交換したり,言葉だけではなく動画撮影の時間があったりしたことで,自身の姿を客観視することができ,改善すべき点を把握しやすかったので,その分,学びが深まりました。また,一通り実践をしたあとに自分が今,何を意識して取り組んだかなどをすぐに文字にする時間があったことで,より良くするためにしたことはもちろん,次は何を課題にして取り組むかを明確にすることができたので良かったです。 ほとんどがオンライン授業だった前期は慣れていないことに加えて,初めて学ぶことばかりでついていくことに必死になっていました。何とか自分自身で理解を深めようと意欲的に取り組めたとは思いますが,それでも理解が追いつかない部分や一人であることからか,どうしても学業に対する意欲が落ちてしまうこともありました。後期がスタートして,対面での授業が始まったりしてきたことでクラスメイトという仲間ができたこともあり,「周りも頑張っているから自分も頑張ろう」とモチベーションをあげて意欲的に取り組めているので,まだまだコロナウイルスの影響は大きく受けることになるとは思いますが,毎日学業に励んでいきたいと思います。 釆澤 稜真 さん(2年生) 今回のこの授業では,授業前に必ず全員が検温と手指の消毒を行い,授業中はマスクに加えてフェイスシールドを装着し,お互いのソーシャルディスタンスを確保しながら授業を行っていました。さらに,教室の窓を開けて換気をするなど慣れない中でも,自分自身を守るためにも今の状況を理解した上で授業に取り組めたと思います。 授業の中ではグループ分けをすることによってお互いに意見を交換しやすくなり,また,言葉だけではなくスマートフォンを活用して動画撮影をすることによって自分自身の姿を客観視することができ,改善すべき点や自分の良かった点を把握しやすかったので,一層学びを深めることができました。そして,習得学習や活用学習のあとに,自分が今,何を意識して取り組んだかなどをすぐ文字にする時間があったことで,自分の中の改善点や気づいた点を忘れないうちに書き留めておくことができました。また,次の授業での課題を明確にすることによって,次に何をするかがイメージできたので良かったです。 自分としては,コロナ禍の中でオンライン授業やオンデマンドの授業が増えたことによって自分の時間を作りやすかったため,学習への意欲が増したと思います。今までは常に学習と隣り合わせの生活でしたが,オンライン授業やオンデマンドが導入されたことにより,自分の時間を有意義に使いやすくなったことで、オンとオフの切りかえがしやすくなりました。ずっと気を張っているとやはり,気を抜いてしまう瞬間が誰しもあると思います。しかし,今回はこのコロナ禍による影響ではありますが,そのオンとオフをしっかり付けることで授業に集中して取り組むことができました。全てがオンラインやオンデマンドにする必要は無いと思いますが,授業によってはそういった形があると気が楽になり,その他の授業に取り組む姿勢が良くなった気がします。コロナ禍によって不自由な生活も続きますが,うまくモチベーションを保ってしっかりと学習に取り組みたいと思います。


教員プロフィール:髙瀨 武志

髙瀨 武志

法学部 法律学科 准教授

 髙瀨 武志 TAKASE, Takeshi – 教員紹介



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