大学入学共通テストに想う

私(岡田)が高校3年生の担任をしていた頃の話。

センター試験当日の朝、桐蔭生の受験会場となったとある大学の正門前で、続々とやってくる生徒たちを激励していました(今年はコロナ禍によりできませんが)。すると、よく見知ったA君がこちらに向かってくるのが見えました。友人たちと賑やかにやりつつも、学習に対しては人一倍集中力をもって取り組んできた生徒です。当然いつものメンバーと一緒にワイワイやって来るのだろうと思っていましたが、この日は一人。

私の前に立った彼は、口を真一文字に結び、顔はこわばり、握手する手はぎこちない。緊張しきっており、「落ち着いて」「頑張って」などと声をかけるものの、すべては「雑音」としか聞こえていない様子です。センター試験の出来が合否に大きく左右すると言われる難関国立大医学部志望の彼が緊張するのは無理もありません。ただ、この緊張度合いは尋常ではない。結果は惨敗。

本番では、練習でできなかったことができるなどという「奇跡」は起きません。今までに培ってきた力を100%発揮できるかどうかにかかっているのです。そのためには、試験場という「非日常」空間に、いかに「日常」を持ち込めるかがカギになります。A君が失敗してしまった原因は、受験を特別視しすぎた結果、完全に「非日常モード」で突入してしまったことにつきます(後日、見事第2志望の難関国立大医学部に合格した彼もそのように自己分析していました)。

いつも友人たちと賑やかに過ごすタイプなら試験当日もそうすればよいし、逆に一人で行動することが多いタイプなら当日もそうすればよい。受験に向けて気持ちを盛り上げることはもちろん大切。しかし、試験場に「日常」を持ち込み、普段の力を100%発揮するためには、受験を過度に特別視することは禁物と思っています。このようなセルフコントロールができるようになることが受験生としての完成型なのかもしれません。

1/16(土)・17(日)はいよいよ大学入学共通テスト。高校3年・中等6年の皆さんには、ぜひとも桐蔭で培った力を余すところなく発揮してほしい。桐蔭での「日常」を常に胸に秘めて。

【下の写真は、昨年11/19の本ブログから。期末考査前の大学図書館の様子】

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