月別アーカイブ: 2021年3月

終了式

3/24(水)は今年度の最終登校日。終了式はシンフォニーホールから私(岡田)の講話を各クラスのスクリーンに配信するスタイルで実施しました。

「皆さんが生きる時代はAIが台頭する時代になります。私たちはAIにはできないことができる力を身につけなければなりません。AIにはできないこと──たとえて言えば、馬車から鉄道を生み出す発想をすること──イノベーションです。私は、今回の新型コロナウイルスの問題を中高の時代に経験した皆さんこそが、次の時代のイノベーションを起こせると信じています。スマホはそれまで『奇跡』と思われていたことを『日常』に変えました。これもイノベーションの成果。次の時代、今はまだ『奇跡』と思われていることを『日常』へと変えるのは、皆さんです」

生徒たち、よく聴いてくれました(写真は高1共学)。

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その後は各学年ごとにさまざまな行事が行われました。

中等1年では「まなび未来PASS」の返却に合わせ、「ふり返り」と短時間での「カウンセリング」を実施しました。今回は特に「コンピテンシー(≒行動する力)」に着目。

まなび未来PASSカウンセリング②

また、高1共学では2年生に進級する際にクラス替えが行われます。つまり、今日は現クラスで集まる最後の日。プログレスコースでは「さよならドッチボール大会」を実施。盛り上がりました。

57期プログレスコース大集合

この1年間は、生徒たちにとって本当に厳しいものであったと思います。それは私たち教員にとっても同じこと。コロナ禍の中、学校の意義、そして教員であることの意味を問い続ける1年となりました。

しかし、限られた行事の折に、卑屈さなど微塵も感じさせない活き活きとした桐蔭生の姿を見るにつけ、むしろこちらが元気をもらってきました。

そんな桐蔭生を改めて頼もしく、誇らしく思う1年でもありました。

来年度もよろしくお願いいたします。

 

卒業式(中学校男子部、中学校女子部)

3/23(火)、中学校男子部と同女子部の卒業式がそれぞれ行われました。男子部は10:00、女子部は13:30開式です。

まずは男子部の様子です。

クラス担任が全員分の名前を読み上げ、一人ずつ起立、代表生徒がクラス全員分の卒業証書を受け取るスタイルです。本来であれば一人ひとりに手渡ししていくところですが、コロナ禍の中、時間短縮を図りました。

クラス代表生徒。

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次に皆勤賞・精勤賞の授与です。桐蔭学園小学校部からの9年間皆勤が1名、中学校3年間皆勤が19名、3年間精勤が13名。大変よくがんばりました。その蔭で、保護者の方のご尽力も忘れてはいけません。

小学部からの9年間皆勤・山田晃生さんが代表して全員分を受け取りました。

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私(岡田)からの校長告辞です。

「人にはそれぞれ使命があります。自分だけの夢を持つのが人間。その夢に向かって生きることこそが、自分の使命を果たすということなのかもしれません。夢を持つこと、夢を語れる情熱を持つこと。私がずっと、皆さんに語りかけてきたことです。中学校で重ねた感動を、夢に変えていこう。そして、高校でも感動を積み重ねていこう。皆さんの可能性は無限です」

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続いて、溝上理事長からの祝辞です。

「すべてのことに『まこと』をつくそう、最後までやり抜く『強い意志』を養おう──この2つは言わずと知れた桐蔭学園の校訓です。多くの卒業生が『この2つは今でもはっきりと覚えている』と言います。それほど印象的で、かつ生きる上で大切なことだと自覚しているということなのでしょう。この2つを自覚して進んでいけば、必ず道は開けます。それを信じて邁進しよう」

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最後は卒業生からの謝辞です。卒業生代表・江川一騎さん。

コロナ禍の中でも決して卑屈にならずに前向きに生活してきた自分たちのことを客観的に見つめ、次の時代に向かって羽ばたいていこうとする決意を、堂々と語りました。

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女子部は13:30に開式です。卒業証書の授与は男子部と同じスタイルで行いました。

クラス代表生徒。

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次に皆勤賞・精勤賞の授与です。

桐蔭学園小学部からの9年間皆勤・田島凛乃さん(下写真・左)と同・藤田和佳さん(同・右)。よく頑張りました。

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続いて中学校3年間皆勤7名と3年間精勤5名の表彰です。皆勤代表・福沢英里奈さん(下写真・左)と精勤代表・関彩花さん(同・右)。

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私の告辞、理事長の祝辞の後は、式のハイライトとなる卒業生謝辞です。卒業生代表の木村日茉莉さん。

3年間のさまざまなシーンを回想しながら、そこで感じたことや考えたこと等を丁寧に語りました。そして、これまで自分たちを支えてくれた方々への感謝の意を述べてくれました。

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なお、彼ら彼女らの一つ下の学年からは、男女共学化した中等教育学校に一本化しています。中学校はこの3月をもって、その長い歴史に終止符を打つことになります。

卒業式終了後、引き続き「閉校式セレモニー」を行いました。

はじめに、中学校男子部、同女子部の発展に大きく貢献してくださった志村邦治顧問(前中学校男子部部長、下写真・左)、木村重夫顧問(前女子部統括部長、同・右)にそれぞれご挨拶いただきました。

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そして最後は桐蔭学園文化センター・シンフォニーホールスタッフが制作した、中学校男子部、中学校女子部の歴史を振り返るスライドを上映しました。

中学校男子部、中学校女子部がこれまで培ってきた伝統と新しい理念は、中等教育学校にしっかりと受け継がれます。私も桐蔭学園中学校卒業生の一人。卒業生の皆さんにも、変わらぬ母校愛を抱き続けてほしいと願っています。

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東日本大震災から10年~そのときぼくらは5歳だった(中等3年 生徒会企画)

3/18(木)、中等3年では生徒会企画として「東日本大震災から10年~そのときぼくらは5歳だった」を実施しました。

震災パネルの展示を中心として、東北復興支援物産の販売なども行いました。また、週に3日(月・火・金)、福島県南相馬市にて医療活動をされている中尾誠利医師(桐蔭学園卒業生)へのインタビュー動画「3.11から10年。~今、僕たちにできることは~」を生徒会が制作。

中尾医師は動画の中で、「被災者の方々と接するときに大切なことはお互いに仲間だという意識を持つこと」「こころはひとつ ふるさと再生! 子どもたちに未来を!」「ありがとう、という感謝からはじめよう!」と強調されていました。

また、被災地への支援については、「できることをやる」「知ること、忘れないことも立派な支援」「次のステップとして物産を買うことも支援」、そして「ありがとうと言って話を聞いてみよう」と「段階を踏んで進んでいけばよい」とも。多くの生徒たちの心に響いたことでしょう。

中尾医師の言に倣い、私(岡田)もさっそく東北復興支援物産を購入。

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大船渡発「ぶりと大根の炊き合わせ」2パック(下写真左)と気仙沼発「ふかひれ姿醤油煮」(同右)です。今夜の楽しみとします。

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卒業式(高校共学)

3/15(月)と16(火)の両日、高校共学の卒業式が行われました。15日の午前中はプログレスコース、午後はスタンダードコース、翌16日の午前中はアドバンスコースのa帯(1組~6組)、午後は同b帯(7組~12組)という日程です。

卒業生入場。コロナウイルス感染防止のため、保護者のご参列は各ご家庭1名様に限定し、会場のシンフォニーホール内では1席ずつ間隔を空けて着席していただきました。

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卒業証書の授与です。本来は一人ひとりに手渡していきたいところですが、やはり感染防止の観点から時間短縮を図るため、担任がクラス全員の氏名を読み上げ、その場で起立、クラス代表が全員分の証書をまとめて受け取るスタイルとしました。

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クラス代表が全員分の証書を受け取ります。しっかりとした所作に3年間の成長がうかがえます。

【写真左下=プログレス、右下=スタンダード】

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【写真左下=アドバンスa、右下=アドバンスb】

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私(岡田)からの告辞。

「『夢を語れる情熱を』──3年間、私が皆さんにずっと伝えてきたことです。夢は、決してはじめからあるわけではありません。感動を積み重ねていくことで、やがてそれが夢へと成長するものなのです。この世界には、君以外に誰も歩むことのできない道があります。その道は、君の夢へとつながるたったひとつの道です。ひたすら進んでいこう。行きつく先を見失わないように」

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溝上理事長からの祝辞です。

「高校生活を終える皆さんは、大学へと進みます。大学では学問はもちろん、サークル活動やアルバイトなど、多彩な生活が待っています。忙しい日々を送ることになるでしょう。桐蔭学園の新しい学びを通じて培った力で、地に足をつけて歩んでいってください。この先、辛いことや苦しいことがあった時には、どうか桐蔭学園の5つの建学の精神を思い出してください。期待しています」

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続いて在校生からの送辞です。高校共学最初の入学者として新しい学校文化の創造を担ってきた卒業生たちの奮闘ぶりを讃え、自分たちも後に続いていく決意がそれぞれの言葉で語られました。

【写真左下=プログレス代表・藤井風花さん(2年)、右下=スタンダード代表・井村夏子さん(同)】

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【写真下=アドバンス代表・稲田拓実さん(2年)】

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最後は式のハイライトとなる卒業生謝辞です。3年間の楽しかったことや辛かったこと、さまざまな活動を通じて学んだこと、そしてお世話になった方々への感謝の気持ちなどが心を込めて語られました。会場が一体となる瞬間です。

【写真左下=プログレス代表・佐藤香弥さん、右下=スタンダード代表・佐藤健次さん】

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【写真左下=アドバンスa代表・塚本里佳さん、右下=アドバンスb代表・川田凛さん】

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卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんは高校共学の1期生として道を切り開き、たしかな足跡を残してきました。それは本当に立派なこと。

3年間で最も心に残る光景、その光景を今一度、脳裏にしっかりと焼き付けてください。この先、辛く苦しい時、その光景は皆さんの心の炎を燃やす燃料となってくれます。それが皆さんのプライドなのです。

どうかいつでも母校に羽を休めにきてください。

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卒業式(高校女子部)

3/13(土)、高校女子部の卒業式が行われました。中学・高校の6年間をともに過ごした107名が旅立ちました。

新型コロナウイルス感染防止のため、会場となったシンフォニーホール内は前後左右十分に間隔をとって着席。保護者の皆さまのご参列は各ご家庭1名様に限らせていただきました。また、ご参列いただくことができない方のために、オンラインによるライブ中継も行いました。

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クラス担任が全員の名前を呼び、起立。代表が私(岡田)からクラス全員の卒業証書を受け取るスタイルです。本来は一人ひとりに手渡したいところなのですが、新型コロナウイルス感染防止のため、時間短縮を図りました。

皆勤賞・精勤賞授与。右から武藤七海さん(幼稚部から14年皆勤)、上林美早紀さん(小学部から12年皆勤)、永留美優さん(同)、棗田嵯和子さん(同)、三須帆花さん(同)。生徒本人の努力はもちろんのこと、保護者の方のご協力あってのことです。

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続いて6年皆勤(10名)、3年皆勤(16名)、3年精勤(5名)の表彰です。右から代表の成瀬有花さん(6年皆勤)、小林菊乃さん(3年皆勤・精勤)。よく頑張りました。

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私からの告辞です。

「生きる上で必要なものは情熱です。万が一、その情熱が消えかかったら、いっぱい笑ったあの校舎を思い出して。いろんなことを話した、君の隣にいる友だち、そしてこのホールにいる仲間を思い出して。桐蔭学園での忘れられない光景を心の炎として。そのために、今、この瞬間をしっかりと心に刻んでほしいのです。このホールを出た瞬間から、君の新たなステージが始まります」

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溝上理事長からの祝辞です。

「桐蔭学園の5つの建学の精神は、1964年の創立以来掲げてきた『自由・求学・道義・愛国』の4項目と、2014年の創立50周年を機に加えられた『自然を愛し、平和を愛する国際人たれ』という項目から成っています。人生では苦しいこともあるでしょう。そんな時、ぜひこの建学の精神を思い出してください。そして、来るべき変化の激しい時代を地に足をつけて着実に歩んでください」

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在校生による送辞です。代表の望月あかりさん(2年)。

「桐蔭学園の新しい姿を切り開いてくださった皆さまは、太陽のような存在でした。困難な時代を生きていくことになりますが、だからこそ桐蔭学園で培った力が生かされるはずです」

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最後は卒業生代表・金森裕花さんによる謝辞です。

「私たちはかけがえのない友人を得て、濃密な6年間を過ごしてきました。そして、私たちを支えてくれた全ての皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです。困難な時代、私たちは未来を担う人間として、まことをつくし、最後までやり抜く強い意志を持ち、学びを続けることが大切だと思っています。自身に誇りを持てる人間になれるよう努めていきます」

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卒業生の皆さん、改めてご卒業おめでとうございます。

皆さんが桐蔭学園で過ごした6年間は、人生100年時代にあって、ごく短いものであったかもしれません。しかし、中高の6年間というのは人生の土台を築く濃密で重い時間であったはずです。

どうかこの6年間を人生の糧として、しっかりと歩んでいってください。

私たちはいつまでも皆さんを応援しています。

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あれから10年

10年前の今日、何とも形容しがたい激しい揺れに見舞われました。そしてようやくそれがおさまった次の瞬間から、私たちがそれまでに経験したことのない事態が次々と発生しました。

首都圏の鉄道がストップし、続々と最寄駅から徒歩で学校まで戻ってくる生徒たち。最終的には600名弱の生徒と130名あまりの教職員が校内で夜を明かしました。幸い停電にはならなかったため、生徒の食事と暖房は無事確保。翌朝は何とか交通機関が復旧したことを確認して解散、ひとまず学校を後にしました。

その後、テレビ等の報道で改めてその惨状に息をのむことになります。東北地方を中心とした甚大な津波被害、避難所の苛酷な状況、物資の不足、原子力発電所の事故…。

震災は中高生にも容赦なく過酷な体験を強いました。

本来であれば、震災翌日の3/12に行われるはずであった気仙沼市立階上中学校の卒業式は10日遅れで挙行されました。そこでの卒業生の答辞に、激しく心を揺さぶられたことを覚えています。

「前日の11日。一足早く渡された思い出のたくさん詰まったアルバムを開き、10数時間後の卒業式に思いを馳せた友もいたことでしょう。『東日本大震災』と名付けられる天変地異が起こることも知らずに…。(中略)天が与えた試練というには、むごすぎるものでした。つらくて、悔しくてたまりません。(中略)でも時は確実に流れています。生かされた者として、顔を上げ、常に思いやりの心を持ち、強く、正しく、たくましく生きていかなければなりません」

衝撃をもって確かに目に焼きつけたはずの光景も、時間とともに確実に薄れていきます。だからこそ記念日を設けて、忘れない努力をすることが必要なのです。それが震災で犠牲になられた方々に報いることにつながるはず。10年という節目にこの日のことを思い起こすとともに、現在の自分の状況をしっかりと見つめることが大切なのだと思います。

「行ってきます」と家を出て「ただいま」と帰ってくる日常が、いかに尊いものであるか──「後輩の皆さん、階上中学校で過ごす『あたりまえ』に思える日々や友達が、如何に貴重なものかを考え、いとおしんで過ごしてください」──先ほどの答辞の一節を噛みしめながら黙とうを捧げたいと思います。