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【思考力】反転授業 ~対面授業とオンライン授業のハイブリット~

実践者:4年科学担当 塩原 一成

 桐蔭学園小学校がアクティブラーニング型授業を取り入れて7年近く経ちます。子どもたちは、得た知識を言葉に変えて、「友だちに伝え」、「相手の意見」も取り入れる様子は、もはや日常です。そんな中、新型コロナウイルス感染症が広がった影響で2020年より教育方法もガラッと変化することとなりました。ICTの観点から見れば、「YouTubeで配信した1600本授業動画。」「1年生から6年生まで一人一台のiPadの配備。」「ロイロノートスクールを活用したアクティブ双方向授業の導入。」「各家庭とZoomでつないで実施されたオンライン授業。」と、少し前では想像しなかった変化が起こった2年間だったと思います。

科学を担当している身としては、この学びの場の変化は大変刺激的で、今こそ新しいやり方を取り入れ、子どもたちが今まで以上に科学に触れ、自分で科学の世界を広げるチャンスをつかんでほしいと思っています。

9月よりオンライン授業が明け、学校に来て、対面授業をすることができるようになりました。科学は実験をして、科学現象を直接目にして、自分の感じた思いや、自分の想像との違いをまとめ、次の不思議へとつなげていく教科です。

学校では、できるだけ実験をたくさんして、仲間たちとたくさん議論して、科学の世界を深めたいと思います。しかし、基礎知識が不十分な状態での実験や話し合いは、あまり効果がありません。そこで、「活動」と「知識」の二つを満たすために、コロナ禍の2年間で得た「新たな力」を使い、反転授業を展開しています。

①学校では、できるだけたくさんの科学活動を取り入れる。

もちろん基礎実験もしますが、「子どもたちが疑問に思った点を深堀する活動」、「新しい実験の導入」なども行っています。

②科学動画を作成し、自宅学習で基礎知識の向上を目指す。

基礎知識は、撮影した科学動画をロイロノートで配信し、児童たちは自宅で閲覧し、所定の課題に取り組み、提出する。 動画にすることで、何度も見ることができ、一度止めてノートに書いたり、飛ばしたりすることもできます。

【ものの温まり方の実践例】
①学校では、できるだけたくさんの科学活動を取り入れる。

        

ベーシックな実験ももちろん行いますが、この日は、アルコールランプがどうやってアルコールを吸い上げているのかを実験しました。ポンプなどの動力を使わずどうやって液体が上昇するのかは、興味深い点です。液体の色を変えたら吸い上げる速度が変わるか?アルコールにつける紙を変化させたら吸い上げる速度が変わるか?アルコールを吸わせるものが太いのと細いのではどちらが吸い上げるのが速いか?など、子どもたちはあれこれ実験し、それをiPadでまとめ発表しました。事前学習を行い、実験時間に余裕が生まれたことで取り組めた活動です。

②科学動画を作成し、自宅学習で基礎知識の向上を目指す。

授業で取り組んだ分野の問題プリントをロイロノートで配信します。科学用語確認問題、漢字問題、記述問題など出題しました。下のように子どもたちからどんどんロイロノートで提出されてきました。

配信した問題プリントの解説動画などをロイロノートで配信します。問題の解答はもちろん、どのような表現が良いか、次の実験の注意点なども入れ込みます。これを見れば、問題が理解でき、次回の実験のポイントなども意識することができます。動画は10分程度で作成しました。

   

家に帰ってからの時間や、土日などの休日に、問題に取り組んだり、その解説を見たりすることで、限られた学校での時間をより効率的に活用することができるようになりました。

子どもたちも、この「反転授業の良さ」と、「この取り組みで気を付けること」が理解できたので、とても助かっています。学校でみんながいないとできない活動をたくさんすることができることが、大変いいところです。より効果を上げるためには、動画や課題に取り組まないと成立しないという点を十分に配慮し、気を付けなければなりません。
4年生の子たちは、よく理解し、前向きに取り組んでくれていてありがたいです。

 

4年算数「折れ線グラフと表」~班活動で、まとめよう!~

4年の算数で『折れ線グラフと表』の学習をしています。
この単元では,以前習った『棒グラフと表』との共通項や違いなどを比較したり,その読み取りや作図をしたり,様々なデータの表し方について学びます。
今回は,3~4人の班で何について調べたいかを決め,それを表や折れ線グラフにまとめていきます。
例えば,以下のようにまとめた班がありました。

最初は「何にしよう」「どうしよう…」と戸惑っていた子どもたちも、これまで習ってきたことをノートやロイロノートで振り返ったり,班の友だちと相談したり調べたりしていくうちに,どんどん気持ちが前向きになり、活動につなげることができました。
自分たちが気になったテーマに必要な情報を集め,表にしてから折れ線グラフで表します。横軸や縦軸はそれぞれが何を表しているのか,どこからどこまで値をプロットするのかをみんなで確認しながら作業を進めました。
そして,完成したものを一班ずつ発表しました。

発表者は,自分たちが調べたもの、そこから作成した表やグラフをプロジェクターに映しながら,調べたものから何がわかったのか発表していきます。聞く側も,発表している班が何について調べそれについてどう思ったのかを書くワークシートがあります。友だちの発表を聞いて「そんなことを調べたのか!」「なるほどー」と楽しがっていました。

ビッグデータという言葉がありますが,これからを生きる子どもたちにとって、そのデータや情報を扱えることは、とても大切なものになっていきます。これからは、あらゆる情報を,何のためにどう生かすかを自分たちで考える可能性が増えてきます。今回はその練習となったのではないでしょうか。まだまだ子どもたちが知らないグラフやデータのまとめ方はたくさんあります。日常生活にある様々な数字や形などに興味をもって,いろいろなことを分析し、理解することで楽しむことができたなら子どもたちの毎日は小さな発見でいっぱいになるのではないでしょうか。

 

 

5年家庭科 お弁当の日 ~お弁当でつながる感謝の気持ち~

 家庭科 三柴 里江子

 9月のオンライン期間中、ご家庭のご協力のもと、調理実習を行うことができました。子どもたちは、事前の計画の重要性や調理の楽しさ、そして食事を作ってくれる家族に感謝を感じられたようです。子どもたちからは、以下のようなコメントが寄せられました。

【コメント】
・調理をして感じたことは、調理は材料の買い物や準備など、作るのに時間がかかって大変なことがわかった。毎日ご飯を作ってくれることはすごいことなんだと思った。
・1回に3つの料理を作るのはかなり難しいなと思った。時間を器用に使わないと料理はできないと思った。
・家族が、僕の作った料理を食べてくれるのもすごくうれしいです。みんなが「おいしい!」と言ってくれたので、すごくうれしかったです。
・料理は思っていたより簡単だし、時間はかかるけど楽しかった。女子がやるイメージだったけど、男子も意外とできるんだなって思った。イメージで決めつけるのはよくないことで、男子もどんどん楽しんでいけたらと思いました。
・今日はすごくたのしくやれましたが、実際にこれを毎日やると大変だと思いました。これからもしっかりお手伝いしていきたいです。

この授業を振り返り、その後の学習で、「旬の食材、栄養バランスのとり方」を学び、献立の立て方を考えました。また、どんな調理法があるかも考えました。
これらの学習の総まとめとして、「お弁当の日」を設け、無理のない範囲で、できる限りお弁当作りにかかわる、という計画を立て、取り組みました。

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基本的な流れは以下の通りです。
①お弁当の献立や必要な買い物リストの作成までは、全員が取り組む。
②お弁当作りにどのようにかかわるかは選択制とする。
〈例〉「おにぎりを作る」,「お弁当のおかずをお弁当箱につめる」,「おかずを1品作る」,「全部自分でやってみる」など

まずはお弁当の献立を作成し,栄養バランスが取れているかチェックしました。そこから必要な食材などを考え、すでに家にあるものかどうかを確認し、買い物リストを作成しました。また、作るのに必要な時間を考え、学校に行く前の時間を計画したり、見映えのするお弁当の詰め方なども考えたりしました。

朝の眠い忙しい時間帯に、30分早く起きるだけでも大変だったと思いますが、子どもたちはそれぞれ自分のできる範囲でお弁当作りに取り組むことができました。前日からおかずの下ごしらえをしている子も多数いました。

今回もご家庭のご協力のもと、行うことができました。調理実習もお弁当作りも、ご家庭のご理解とご協力なしにはできませんでした。感謝の気持ちでいっぱいです。

そして当日。子どもたちはとびきりの笑顔でお弁当箱のふたを開けて、お弁当を見せてくれました。「自分で作ったお弁当は最高においしい!!」という気持ちと一緒に、お弁当を作るに至るまで、いろいろな人のかかわりがあったことも実感できたようです。
一番多かった感想は、「お家の人が毎週作ってくれることの大変さと感謝の気持ち」でした。「自分が作ってみてうまくいかなったことをリベンジし、また作ってみたい」、「うまくできたことをまた生かして作ってみたい」という感想もありました。

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【子どもたちの感想より】
・お母さんがいつも朝早起きをして、お弁当を作ることがこんなに大変ということがわかったから、感謝の気持ちを込めて食べる。
・もっと時間をかけて、じっくり作りたい。
・いつもお母さんはおかずの場所を決めてつめていると気づいた。
・予定していた時間よりすごくかかったから、もっと余裕を持って設定しないと間に合わないと思った。
・一番簡単だと思っていたお弁当つめが難しかった。
・自分の好きなメニューにしたけど、コロッケは意外と大変だった。
・思ったよりもとても難しかった。
・おにぎりを作るのに(自分は)5分かかった。お弁当を10分で作ってしまうお母さんはすごい!

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3年国語「班で意見をまとめよう」~進行を考えながら話し合おう~

実践者:三年三組担任/三年国語担当 平岡 拓

本単元は、「班で意見を出し合う過程を学習する」ことと、「司会を立ててお互いの意見を聞き合い、まとめていく」ということが目標です。各自一冊ずつの絵本を持ってきて、その中から自分たちで話し合った「決め方」に沿って『班の一冊』を選びました。そして、その一冊を一年生に向けて読むときにどのような工夫をしたらいいか話し合い、実際に二十分の時間の中で読み聞かせをし、交流活動を行いました。

今回の話し合いでは、初めて司会を立てて進行をしました。子どもたちの中には戸惑いを見せる子もいましたが、話を進めていく中で「進行の助けとなる人」や「うまい言葉を使うこと」が話し合いをスムーズに進めてくれることを実感している様子でした。「絵や文字をきれいだったり、絵本の中の文字が大きかったりしたらいいんじゃない?」「一年生だから短い時間で読める本がいいよね!」「一年生に集中してもらうためにダンスをしてみよう!/かぶりものをしてみよう!」「読むときは目線を合わせたほうがよくない?」「最後に感想を聞く時間を取ろう!」など、子どもたち同士で話している様子は、どれも三年生らしく、よく考え、相手(一年生)のことを思いやろうとする、大変優しさのあるものばかりでした。

☆話し合いの様子


 

 

実際に行った「一年生への絵本の読み聞かせ」では、三年生の一班(3~4人)と一年生の一班(同じく3~4人)とがペアとなり、行いました。自分たちが話し合った成果を出すために意気込んで向かう姿は、大変微笑ましく感じました。
最後には「緊張した!でも、一年生がよろこんでくれていたからよかった!」「ぼくの/わたしの話を一生懸命聞いてくれてうれしかった」「自分の話し方がよくないことが分かったし、〇〇くんを見習いたい」「たくさん話し合った成果が出てよかった」など、たくさんの声が聞かれ、経験したからこそ得られることがたくさんあったようです。今回の授業を通して、話し合いの難しさやみんなで創っていくことの楽しさ、そして他学年と交流できたことによって、次につながる新しい学びを得ることができたと思います。

☆一年生へ読み聞かせの様子

 
  
 

4年国語「アップとルーズで伝える!」~自分で理解を深めるって、楽しい!~

「思考力」「チャレンジ力」「メタ認知力」

4年の国語で説明文『アップとルーズで伝える』の学習をしました。
前回学習したことを踏まえて、今回は自分で文章の内容をイメージマップに整理していくことに挑戦しました(「チャレンジ力」)。段落ごとの要点を自分で見つけて書き出し、それに関する情報を文章中から探して整理していきます。

   

最初は「むずかしい…」と戸惑っていた子どもたちも、前の教材のノートや板書を参考にしたり、くり返し文章を読んだりしながら試行錯誤をくり返して図にまとめていきました。途中で先生からのヒントカード(問題)がロイロノートに届くと、それを活用しながらさらにイメージマップを書き進めていました(「思考力」)。

完成したイメージマップを見て、段落同士の関連を発見したり、文章の構造に気づいたりする子も現れ、自分の力で読み取りを深めることができたことに手ごたえを感じているようでした。
この日のふり返りカードには、「すごく難しかったけど、自分でやるのって楽しい!」「家でもやってみよう!」「自分がこれだけ集中できることが分かった」「次こそ頑張る」といった前向きな言葉が並んでいました。

   

次は、完成したイメージマップを使いながら、班で話し合って先生から出されたミッションをクリアしていきます。お互いのイメージマップを見せ合いながら議論を交わします。友だちのイメージマップに有力な情報を発見すると、「これいいね!写していい?」と自分のイメージマップに書き写している子もみられました。意見が分かれたときには、イメージマップを見せ合いながら根拠を熱弁する姿も見られました(「メタ認知力」)。
果たして、先生からのミッションをクリアしながら自分たちの力でこの文章の読みを深め、筆者の言いたいことを理解して要約することはできるのか!?4年生の挑戦は続きます。

 

5年 総合(探究)「農業」

「思考力」「思いやり」「エージェンシー」

5年1学期の探究では、農業を題材として、「なぜ(稲作)農家の人は(稲作)農家をやっているのか?」をテーマに活動を行いました。
探究活動は、「課題の設定」→「情報の収集」→「整理・分析」→「まとめ・表現」→「振り返り」を繰り返しながら進んでいきます。今回の単元では、特に「情報の収集」に重きをおいて取り組みました。

はじめに、「農家の仕事」について自分たちの知っていることを挙げてみました。すると、子どもたちはそのことについて思った以上に知らないことが多いのに気づきました。「知らないこと」について調べ、そこから「知らないこと」が見つかり、また調べ・・・、という活動を繰り返していく中で、農家の仕事の大変さに気づき、驚きの声をあげていました。

   

次は、自分たちが「大変そう、困りそう」だと想像したことの中から、その解決方法について1番気になることを選び、調べました。タブレット型PCを導入して半年以上経っているため、子どもたちも手慣れた様子で調べを進めました。しかし、インターネットによる情報収集では、なかなか自分たちの知りたいことの核心にはたどりつけませんでした。そこで、実際に「農」に関係のある方へ、直接インタビューして聞いてみることになりました。

農家の方や農業に関するNPO法人の方へ質問するにあたり、子どもたちは事前に「自分の課題」に関連した質問を1つずつ用意しました。当日は、一般の方へのインタビューということで、緊張している様子もありましたが、全員が自分の言葉で質問をすることができました。

   

   

実際にインタビューすることを経験したことで、子どもたちは「本やインターネットで調べ学習をすること」と、「人から直接話を聞くこと」の大きな違いに気づくことができたようでした。タブレット型PCやスマートフォンといった手軽に情報を得られるツールが身近にある生活だからこそ、それ以外の情報収集の手段にも目を向け、状況に応じて使い分けられるようになってほしいと思っています。

「農」に携わる方々へのインタビューを終えた子どもたちは、次に、自分たちで田植え(6月実施)を行うことで実体験という情報収集を行いました。

   

   

当日は天気にも恵まれ、存分に田植えを体験することができました。今まで調べていたことを実際に自分たちでやってみることができ、とても嬉しそうでした。また、ただ楽しむだけでなく、「苗を傷つけないように持ち方を工夫する必要があるんだ!」、「同じところにたくさん植えすぎると栄養が行き届かなくなるんだね」、「(泥の中が)場所によって温度が違う!」など、田植えをしながらいろいろなことに気づき、学びを深めている様子もみられました。

   

情報の収集が終わった後は、それらを「整理・分析」し、最後に「まとめ・表現」を行います。今回は、タブレット型PCを使い、調べたものをプレゼンテーション形式にまとめて発表しました。得た情報の量が多く、子どもたちはそれらをまとめることやプレゼンテーションに落とし込むことに苦戦していました。今後の探究活動では、自分が探究した課題をどのように整理し、他の人へ表現するかということに焦点を当てて取り組んでいこうと思っています。

☆インタビューにご協力いただいた方々☆
・坂田農園様
https://ja-jp.facebook.com/pages/category/Agricultural-Cooperative/%E5%9D%82%E7%94%B0%E8%BE%B2%E5%9C%92-588659954567618

・川戸農園様
https://kawato-nouen.com/

・青葉みらい農くらぶ様
https://aobamirainou.club/

・桐蔭学園営繕部職員の方

突然のお願いにも関わらずご協力いただきまして、本当にありがとうございました!!

 

使いこなそうシンキングツール!(T3の取り組み)


(桐蔭学園小学校教諭 大塚 愛実)

桐蔭学園小学校では、子どもたちの「深い学びを実現する」ための方法の一つとしてシンキングツールを導入しています。それにあたり、2020年度9月より「シンキングツールタイム(T3)」を設けました(内容の詳細は、教育実践「子どもたちの深い学びを追求!~シンキングツール導入の全体像~」をご覧ください)。この時間はシンキングツールの使い方を学ぶことを目的としており、1・2年生は週1コマの授業時間に、3年生以上は朝学習の時間(週2回)に行っています。シンキングツールを活用する場を多く設け、身近なことをテーマにして、ちょっとしたことでもシンキングツールを用いて考えていくことで、考えが広がったり、深まったりして、意外な発見もあることに気づく子どもたちも多く見受けられます。

シンキングツールタイム(T3)では、段階を踏みながらシンキングツールの使い方を学んでいます。最初は、シンキングツールの使い方について学びます。身近なテーマについて、子どもたち自身の考えをシンキングツールに書きこみ、思考の整理をします。これまで漠然と考えていたことも、シンキングツールに書き出すことで思考を可視化できるようになり、これまでよりも自分の考えを整理し、まとめることができるようになりました。そして、自分の考えが整理されたことで共通点や相違点、関連することに気づくこともあり、さらに新しいアイデアが生まれて考えが深まっていきます。
例えば、「外遊びと室内遊び」についてベン図を使いました。相違点と共通点を見つけやすくするシンキングツールなので、外遊びと室内遊びの種類を挙げていくうちに遊び方の違いに目を向ける子もいて、思考の広がりが見られました。また、どちらも「友だちと一緒に遊ぶことで一層楽しくなる」「遊びを通して友だちとつながることができる」などの共通点も見つけることができました。また、外遊びも室内遊びも「ルールを守ることが大切」ということも挙がり、提示されたテーマについて深く考えようとする姿が見られました。

一通りシンキングツールの使い方を学ぶと、次は、テーマに沿って自分の考えを説明する文章を書きます。その後、シンキングツールを使ってその文章に書かれている内容を整理して考えを再構築し、それを反映する形に文章を推敲するという流れで進めました。この取り組みでは、自分自身の書いた文章の変化にも気づけるようにしました。この取り組みによって、文章量が増えたことや、わかりやすく整理できたこと、具体例や関連することを明確にしながら論理的に説明できるようになったことを子どもたちは実感し、手ごたえをつかみました。

      

      

「進級に向けてチャレンジしたいこと」について考えた際には、「ダイヤモンドランキング」という順位付けをするシンキングツールを使って文章の内容を整理しました。最初に文章を書いたときは「頑張りたい」という思いでさまざまな項目を挙げていましたが、ランキングにして順位付けをしたことで取り組むべき優先順位が見え、具体的に頑張っていくことがわかったようでした。中には、自分が大切に考えていることに気づき、目標が変わったという子もいました。

   

この半年間のシンキングツールタイム(T3)の取り組みをふり返り、「文章をすらすら書けるようになった」「自分の考えを具体的に書けるようになった」「同じことをくり返し書かなくなった」「きちんと理由を書いて説明するようになった」といった、文章を書く際の変化を実感している声が子どもたちから挙がっています。また、テーマに対して考える際に「こういうことだからこうなるのか」「つながりを見つけてひらめくようになった」「たくさんの視点で見ようとするようになった」「具体的か抽象的か考えるようになった」などの意見も挙がりました。

シンキングツールタイム(T3)や授業などの与えられた場面以外でも、子どもたちの中には、日常生活の中でもシンキングツールを活用して思考の整理をしている子もいるようです。班の活動がうまくいっていないときにプラス面(Plus)、マイナス面(Minus)、気になる点(Interesting)に分けて考えられるPMIを使って班の様子をふり返っていた子もいました。うまくいかないことが続いていたのでマイナス面ばかりに目が向いていたけれど、プラス面も考えようとしたことで班の良さに気づくことができ、改めて取り組むべき課題を意識することができたようでした。その後、班のメンバーに声をかけて改善を図る様子が見られました。また、クラスでのイベントを企画してトラブルシューティングをする際に、「もし~なら…なぜなら~」と仮定して考えることのできるキャンディチャートを活用して、起こりそうな場面を想定して事前に防ぐ手立てを考えたりするチームもありました。あらかじめトラブルを想定していたため、当日も臨機応変に対応することができていました。順序立てて物事を進めていきたいときや、きちんと理由を伝えたいときにシンキングツールを使って可視化し、頭の中を整理しているという子もいます。
子どもたちにシンキングツールタイム(T3)について聞くと、「使う場が増え、少しずつ楽しくなってきている」「集中して文章を書く時間が面白い」「生活にも生かせる時間」と前向きにとらえているようです。この取り組みが始まってからまだ半年ですが、子どもたちに考え方の選択肢は広がり、「思考すること」を楽しむ姿が見られるようになってきています。
桐蔭学園小学校のシンキングツールの取り組みは、まだ始まったばかりです。これからさらにシンキングツールを活用する場面を広げ、子どもたちの学びを深められるよう、子どもたちとともに楽しんで取り組んでまいります。

 

1年国語 シンキングツールの切り替えに挑戦

・じどうしゃくらべ(クラゲチャート→プロット図へのチャートの切り替え),説明文作り,スピーチ

「『じどうしゃくらべ』ではたくさんの車が出てきましたね。その車をクラゲチャートにまとめてみましょう!」
「教科書の中で、トラックの説明は3つありました。」
「そうでしたね!先生は、その3つをクラゲチャートにまとめました。」

   

1年生は、クラゲチャートをまとめることが上手になってきました。
ここで必殺技を伝授しました。

「では、今日はチャートの切り替えをしてみます。」
「チャートの切り替えですか?」
「そうです。チャートの切り替えをすると、クラゲチャートで使ったカードをそのまま他のチャートで使えるようになります。今回はプロット図を使います。」
ここからがロイロノートの真骨頂です。
クラゲチャートで振り返った「車の特徴」をプロット図で文章に戻してみます。今回は元の文章の順番にするので、初めての子どもたちにも簡単でした。それでも、順番に並べ替えてみることで、「なぜ、この順番になったんだろう?」と説明文で重要な「説明する順番」を気にし始めた子どもも出てきました。

   

最後に、
「自分で説明文を書いてみたくなりませんか?」
「え~、できるかなあ?」
「やってみたい!」
ということで、最後は自分で調べた車の説明文を書きました。
最初に、クラゲチャートに「車の特徴」をまとめました。そこで「チャートの切り替え」をして、プロット図で文章にします。
自然と説明する順番に気を配るような説明文ができ上がりました。

      

 

次に、冬休みが終わり、「冬休みの思い出発表会」を行いました。
コロナ禍でなかなか外出もできず、外での思い出を作ることが難しい時期だからこそ、「チャレンジしたこと」の発表も大歓迎です。
まずは「伝えたいこと」をまとめました。まとめるときはクラゲチャートを使いました。クラゲチャートに伝えたいことをまとめていきます。この頃には「クラゲの足が足りないので、付け足しました」という子もちらほらでてきました。
ここから、チャートの切り替えを使って、文章にしました。伝えたいことの順番に気をつけて、台本にすることができました。

   

そして、発表をしました。
発表の時にはiPadを手に発表をしました。発表する時にはiPadばかりを見ていてはうまく伝わらないので、みんなと「目が合うか?」をテーマに行いました。

発表の様子は、録画してロイロノートですぐに送りました。自分の発表を見直して振り返ることでメタ認知も進みます。もちろん、発表の振り返りもシンキングツールを使いました。Yチャートで観点に分けての振り返りです。
次の発表が楽しみです!

   

 

2年 算数「フラッシュ計算から気が付く計算のポイント!」

ロイロノートの画面共有機能を使うと、クラスの子どもたちのタブレットPCに瞬時にデータを送ることができます。それを活用して、2年生の算数ではフラッシュ計算を行っています。

「さぁいくよ! 問題は6問、どんどん答えよう。送りました!」
「あっ!来た! 8+32=40!」

   

子どもたちはどんどん答えていきます。前回の授業の復習や、1年生の時の復習なども織り交ぜて、出題します。一人一人がタブレットで、自分の目の前の画面を見るので集中して取り組めます。
行った計算は、その後に振り返ります。
「さぁ続いて、『どうして、そのような計算をしたのか』を、頭のなかの仕組みをピラミッドチャートを使って目に見える形にしてみよう!」

それぞれの子どもたちが、シンキングツールを使って、自分の考えをまとめます。

   

   

ここが桐蔭らしさです。機械的に計算を行い鍛えるのではなく、出てきた答えが「なぜなのか?」というところを大切にし、「生きた知識」へと定着させる取り組みです。
瞬時にできた自分の答えをシンキングツールを使い振り返ることでメタ認知力の向上につなげます。

 

3年算数「不思議な四角形が見えるかな」

3年算数「タングラム」の学習です。この「タングラム」は、ホテルや民宿にも置いてある子どもも大人も楽しめるパズルです。これを算数的に見て、いろいろな形を作っていきます。
前回までに正方形に補助線を引いていくことで、「すべての形は三角形がもとになっている」ことを学びました。
   
今日は、タングラムの中に不思議な四角形(台形)が入っていることが見えるようになるために、不思議な四角形(台形)に注目しました。

長方形に1本補助線を入れたり、正方形と直角三角形を組み合わせたり、もう一つの四角形(平行四辺形)と直角三角形を組み合わせたりしてみました。

「えー!そんな形見えないよ~」、「いやいや!!見えてきたぞ!!」、「これとこれを合わせると…?なったー!」
   
という声が聞こえてきました。そうやって、不思議な四角形を作り出すことができました。


「すべての形は、三角形がもとになっている」
そのことに、違う角度からまた少し気付ける授業となりました。