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【思考力・メタ認知】5年生 遠足

6/27(金)に5年生の遠足が行われました。「今日はどんな魚が獲れるか楽しみだね。」

今回の目的地は、神奈川県中郡二宮町袖が浦海岸(湘南地引網市五郎丸)です。目の前に広がる相模湾を前に、市五郎丸代表の大谷さんから現地での注意点などについてレクチャーをしていただいてから活動をスタートしました。

「この網、結構長いね。」「200mくらい沖に延びているらしいよ。」

子どもたちは網を引き終わったらスタート地点まで素早く移動し、また力いっぱい網引きを開始します。どう動いたら効率的か、作業しながら考え、行動を修正しました。動きに修正を加えて、ローテーションなどが大分上手になってきました。しかし、この日は天気が良く、気温も高かったため、子どもたちの足には徐々に疲れがたまっていきました。

ようやくゴールが見え始め、子どもたちは最後まで集中を切らすことなく、仲間と協力して網を引き終わることができました。引き終わった後、子どもたちは地元の漁師の方たちにチームワークの良さや、作業の丁寧さ、素早い行動などを褒めてもらうことができました。そして、網の中から現れた魚たちの姿に子どもたちは大興奮でした。

この日は、シラスが大漁でした。「獲れたてのシラスはこんなに透き通っているんだね。」子どもたちの新発見です。「シラスは何の幼魚だっけ?帰ったら調べてみよう!」

獲れたての魚を一匹ずつ、名前、特徴などについて漁師の方が丁寧に説明をしてくださいました。「図鑑で見たことがある!」「こんな形をしていたんだね。」「えー、こんな魚も獲れるの?」子どもたちの興味が広がっています。

この日は、シラスの他にも、ハナダイ、キス、カマス、サバ、タカノハダイ、ホウボウ、ハコフグなどが獲れました。エイや小型のサメなども獲れることがあるそうです。

たくさん運動をした後のお昼ご飯は格別の味でした!

終了後、代表の大谷さんから最近の水産業について、現状や課題などについて詳しく話をしていただきました。後日、この日のことを振り返る時間を作りました。「地引き網の時に、その場で動かずに綱引きのようにすれば、もっとスムーズにいったかも。」とか「天気を事前にチェックしておけば水分が足りなくなることはなかったかも。」などと、一人一人が遠足を振り返っていました。今後の行動や生活にきっと役立つことでしょう。そして、子どもたちが今後、魚の生態や、日本の漁業について興味を強く持ち、調べ深めてくれることを期待しています。

子どもたちの作業の様子を見守ってくださった、市五郎丸のスタッフの方々、観光バスの運転士の方々、旅行会社の方、本当にありがとうございました。

今回の地引き網体験では体験を通して、「地引き網の漁師さんの大変さや、やりがいについて考えよう」という課題がありました。後日教室で子どもたちは以下のような生活記を書きました。

~地引き網の仕事をしている人たちは本当にすごいと思いました。なぜなら地引き網はとても重く、舟は小さくて大きな波に揺られていたからです。地引き網の人たち以外でも力や暑さに関係なくやらなければいけない仕事をやっている人たち(大工さんや農業の方など)はとても頑張っているのだなと感じました。~

~地引き網を引くと、とても重くて大変でした。「これを毎日やっている漁師さんはすごいな。」と思いました。~

~網は重く、諦めそうになっている人もいました。しかし、「頑張ろう。」、「あとちょっと。」と自分に言い聞かせている人がいっぱいいました。これが地引き網の良いところなのかもと思いました。「頑張る」ことが漁師さんの目標なのだと思います。「魚を食べてもらう人に笑顔になってほしい」という気持ちがあるから漁師さんは「頑張れる」のではないでしょうか。僕はこの地引き網で深く考えさせられました。~

~振り返って思ったのは、こんなに大変なことを毎日やっている漁師さんのことです。私たちは一日やっただけで疲れてグダーとなっていたのに、これより気温が高くてもやっている漁師さんがすごいなあと思いました。

~釣りと地引き網の違いは、1匹ずつ獲れるかいっぱい獲れるかだと思いました。地引き網は網の設置に時間や手間がかかるけれど、魚を逃がすことなくたくさん獲ることができます。漁師さんは地引き網の設置が大変だけれど、魚はたくさんとれるので、釣りに比べると地引き網の方がやりがいがあるのでは、と思いました。~

 

 

 

 

【思考力・思いやり】2年生-遠足

今年度も2年生の遠足がよこはま動物園ズーラシアで実施されました。(実施日 5月9日)

事前に生活の授業で「マイアニマル」を決めて下調べをする活動と班活動の準備を行いました。

1、事前準備

①マイアニマルをしらべよう

 事前に渡されたズーラシアの地図を見ると、どこに何の動物が飼育されているかがわかります。すぐにわかる動物もいれば、名前は聞いたことあるな、はじめて聞く名前だな、と色々な種類の動物がいることが分かりました。今回はそのなかから1つ動物を選び、事前の下調べを行いました。調べた豆知識と、今自分が気になっていることをロイロノートでまとめて提出し、クラス全体で共有しました。

こうして調べた上で実際の動物に会いに行ったことで、よりしっかりと観察をすることができました。また、それぞれのマイアニマルについて共有することで、1人では気がつかなかったこと、調べなかったことに触れることができるので遠足当日も広い視野を持つことができました。

②班行動の準備

 遠足当日は指定エリア内で班別の自由散策となります。クラス替えから1ヶ月弱での行事なので、新しいメンバーでの活動が良いものとなるよう事前のコミュニケーションを重ねながら当日の散策ルート決めを行なっていきました。お互いのマイアニマルを見に行くことができるように配慮しながらルートを決める様子もあり、思いやりの気持ちも育まれていきました。

2、遠足当日

 当日は晴天に恵まれ、午前中はそれぞれの班ごとにアフリカゾーンで散策を行いました。これまで下調べをしてきたマイアニマルに出会えたときには、嬉しさのあまり思わず駆け寄る姿も見られました。同じ班の友だちのマイアニマルにも興味津々で、お互いの豆知識を披露しあって盛り上がっていました。

 しかし、複雑な道ではないですが、実際に班ごとに歩き出すとズーラシアの広大な敷地ではいろいろなことが起こります。「あれ?まだつかないな」「通り過ぎたかもしれない!」「あれ?○○さんがいない!」など、その度に地図をみながら班で話し合って解決しながら進んで行きました。

1年生の遠足でも班別行動を行いましたが、1年の頃よりも心も身体も成長し、コミュニケーション力も成長してきたことを感じます。こうした校外での経験が5年生宿泊行事のペンション分散宿泊や、6年生修学旅行の京都班別行動へとつながっていきます。

 昼食をはさみ、今度はズーラシア西側のエリアを3つにわけ希望するエリア別に自由散策を行いました。

 午前午後を通していろいろな動物と対面し、観察したり説明の看板を読んだりする中で、多くのことを学ぶことができました。マイアニマルのお気に入りポイントと他の動物のそのポイントを比較する表に記録をしていくことで、一層細かいところまで観察することができ、気づくことも多かったようです。特に本物のマイアニマルと対面した際は、調べた知識と自分で観察して発見したことが組み合わさることで、より深く動物について理解することができたようでした。

3、事後のまとめ

 学校へ帰ってきたあとは、アニマル新聞をつくろうという形式でまとめを行いました。実物をみたときの驚きや嬉しさなどを思い出しながら取り組みました。新聞なので「誰かに読んでもらう」ことが前提になっており、より真剣に取り組むことができたのではないかと考えます。

 行く前に園内マップを見ながら自分なりに疑問をもちそれを調べる、そして実際に現地で本物を見てより自分の考えや知識を深める、さらにそれをクラスで共有することで自分の世界をひろげていくという流れは、今後の探究の取り組みにも生きてくると考えています。

iPadで多くのことにふれることができる世界にはなりましたが、やはり本物にふれてこそ多くのことを学ぶことができます。新クラスのメンバーで充実した1日をすごすことができました。

 

【創造力・思考力】4年図工 「マイギター」

「あ!ギターだ!」今日から新しい題材にチャレンジする4年生は、教卓に置いてあるギターに気付きました。弦を弾くとギターの音が響きます。音を聞いた子ども達からは歓声が上がりました。ギターの基本的な形をみんなで確認した後に、どのようなギターをつくってみたいのかを絵で表現しました。好きな形、食べ物、キャラクターなど、様々なアイディアが生まれました。

 

子ども達は3年生の時にノコギリの使い方を学習しています。つくり始める前に、初めてノコギリを使って木を切っている当時の子ども達の写真をみんなで見ました。「木をおさえる方の手に軍手をするんだよ。」など、写真を見ながら、ノコギリの正しい使い方を確認しました。(以下の写真は、提示した3年生の時の写真です。)

 

 

いざ、ノコギリを使ってベニヤ板を切っていきます。お互いに声をかけながら安全に使おうとする姿が見られました。切り進めていくと「切にくいところがあって…。」「どうやって切ったらいいですか?」という声が聞こえてきました。みんなでノコギリでは切りにくい場所を見てみると、曲線や角などのノコギリでは刃が通らない場所が切りにくいことに気付きました。「でも、僕切ることができたよ!」という児童がいたので、みんなの前で切り方を教えてもらいました。何度もまっすぐに切りながら、少しずつ曲線を切っていく方法や、ノコギリの刃を少し曲げながら切る方法などを教えてくれました。困難にぶつかった時に、自分なりの答えを導き出した子ども達に感心しました。

 

 

「みんなが使っているノコギリとは違う形のノコギリもあるんだよ。」と糸ノコギリを紹介しました。糸ノコギリは、刃が糸のように細いのが特徴です。今までのノコギリでは刃が通らなかった場所でも、切り進めることができます。「大井先生、早く言ってよ〜!」「本当だ!カーブも切りやすい!」糸ノコギリの特徴や得意なところを体感していました。自分が切りたい場所に合わせて、ノコギリの種類を使い分けながら切り進めていきました。丁寧に木を切って形をつくる子や、大きいギターに挑戦した子、切った木を組み合わせて形をつくる子、こだわって着色した子など、自分が表現したいことに合わせて、つくり方を工夫することができました。

 

 

ギターの見えてきた子ども達は、いよいよ音が出る仕組みをつくっていきます。今回はプラスチックコップを接着し、その中に弦(テグス)を張ります。プラスチックコップにキリで穴を開ける時の力の入れ方、テグスの結び方、接着剤が乾くまでズレないようにするための工夫など、様々な技能が必要となる工程です。「何回やってもうまくできないよ〜。」という声も聞こえてきます。すると「あ、私できるよ!」「ここはね、こうやってやるとうまくいくよ。」など、自然と助け合う姿が見られました。自分の知識や技能を友達のために発揮することもできました。弦を指で弾くとポーンと綺麗な音が聞こえてきました。子ども達も良い笑顔です。「見て見て〜!」とギターを見せに来てくれた子。弦とギターの間に木材を挟んでいました。木材を挟むことで弦の張り具合を変え、音を変える工夫が生まれました。ギターの形から、目には見えない音に注目し工夫を始める子ども達。

 

 

材料を見ながら何やら相談している二人組。話を聞いてみると、ギターづくりの経験を活かして「二人で弾けるギター」をつくりたいとのこと。角材を直角に固定するのにも一苦労。試行錯誤から自分たちなりの答えを導き出す姿に感心しました。弦をおさえながら弾くことで、音階を奏でることができることに気付いた子もいました。隣の図工室の外から音が聞こえてきます。音階をメモに残しながら、音をひとつずつ繋ぎ合わせ、作曲をしていました。演奏風景を動画に残していたので、演奏風景をみんなで鑑賞しました。

 

 

「みんなを呼んでライブしよう!」と提案した子。スタッフを募集し、チケットをつくったり、廊下にあったパネルを組み合わせ、ライブ会場を設営したり、みんなに協力してもらいながら準備を進めます。開場の時間に合わせて、ライブ会場に集まってきます。拍手とともに、練習したジングルベルを演奏してくれました。途中演奏が止まってしまった時も、「大丈夫、大丈夫!」と声をかける子もいました。アンコールのきらきらぼしまで大盛り上がりで幕を閉じました。

 

 

クラスの中には、一つひとつの工程にこだわりながら、じっくりギターをつくっている子もいます。教卓にはiPadが置いてあり、制作工程を撮影した動画や、授業のポイントをいつでも振り返ることができるようにしました。一人ひとりの制作ペースを大切にしながら、自分で学習を調整しようとする子ども達の姿も見られました。

 

 

完成したギターは、第55回神奈川県私立小学校「児童造形展」にも出品しました。一人ひとりの個性が輝く作品を、来場者の方々に見ていただきました。

 

 

図工では、子ども達の「やってみたい!」という気持ちを大切にして授業を行っています。表現を通して自分の気持ちに気付き、それらをどのように伝えるかを考えたりする「思考力」、また学んだ知識や経験、自分の感性や想像力を働かせて新たな価値をつくり出す「創造力」の育成を目指しています。自分らしい表現を見つけようと試行錯誤する経験が、変化が著しい社会へと一歩踏みだす力となることを願っています。

 

【思いやり・思考力・エージェンシー】PC科 デジタルネイティブが学ぶ、デジタルシティズンシップ

今の子どもたちは、生まれたときや物心がついたときには既にインターネットやパソコン、スマートフォンが身近にあった世代で「デジタルネイティブ」と言われています。

デジタルネイティブの子どもたちは、インターネットを駆使して様々な情報を集めることができ、多様性を受け入れる特徴などがあります。その一方で、情報リテラシーが低く、ネット情報を鵜呑みにしてしまうことや簡単に他者を傷つけてしまうことなどがあり問題になっています。

iPadを全児童に導入している本校のPC科では、iPadの使用方法とアプリ・シンキングツールなどの活用方法を学んだり、また問題解決に向けて必要な情報を収集し選択判断を適切に行い、プログラミング的思考の情報活用能力を育んだりしているだけでなく、その2つ加えて、情報リテラシーやネット情報の扱いに対して必要な『デジタルシティズンシップ』を育んでいます。

※デジタルシティズンシップとは、ネット上での健全な市民意識を育むことと情報の選択判断を適切に行うことで、責任ある行動を取り安全で円滑なコミュニケーションをとることができるようになるものです。

加えて、以前の情報モラル教育では、トラブル抑止のため、ICTの危険性を教え、守るべきルールを先生から提示されていました。新しい情報モラル教育では、ICT活用を前提として子どもたちが主体となり必要な場面を自ら考え、判断して学ぶものになっています。

以前の情報モラル教育が、受動的でデジタル社会の負の側面を教えていく傾向があるのに対して、新しい情報モラル教育は、子どもたちが主体となり、自律してICTを使えるようになるための資質・能力を養う教育です。本校も新しいスタイルで取り組んでいます。

ここからは、4~6年生に導入しているDQワールド(ブラウザ)を使ってデジタルシティズンシップを学んでいる様子を紹介します。

デジタルシティズンシップには8つのスキルがあり、今回はその1つの「プライバシーの扱い」になります。

①各自がDQワールドを視聴することで「プライバシーの扱い」について学習します。デジタルネイティブの子どもたちは動画から情報を収集することが得意です。

②各自が得た情報をシンキングツールにまとめ可視化します。

そのあとに友だち同士でこのシンキングツールを共有してブラッシュアップを行います。

③②のシンキングツールを基にまとめの文章を作ります。

ここでは情報の選択をしながら、自分が伝えたいものにまとめていきます。

④自分が伝えたいものをポスターという形でアウトプットします。

アウトプットツールとして、CanvaやPages、ロイロノートを使用しています。

①~④により、子どもたちはインターネットの世界での「プライバシーの扱い」について、それはどういうものなのか、そしてどんなメリットがありどんなデメリットがあるのかを学習しました。つまり、知識として身につけました。

今回の学びのプロセスは子どもたちが主体となって取り組んでいるので、子どもたちがこの知識を今後どういかしていくかが大きなポイントになってきます。つまり、「プライバシーの扱い」を分かった上で、どう判断し行動するかということになるのですが、6つのキーコンピテンシー(特に今回は、思いやり・思考力・エージェンシー)を学んでいる子どもたちは上手に判断し行動してくれています。

 

 

 

 

【思考力・チャレンジ力・メタ認知力】 体育の探究的取り組み

1年「鉄棒を使った運動遊び」

逆さ感覚や回転の間隔を身に付けやすい低学年の間に、いろいろな鉄棒を使った遊びを経験させたいと考えています。

①ぶら下がる②飛び上がる③下りる④揺れる⑤回る 遊びを通して、巧みに体を使うことを体験していきます。

①「ぶら下がり」

鉄棒の正しい握り方を学び、自分の体を2本の腕で支えることを行いました。最初は5秒でしたが、「もっと秒を増やして!」とチャレンジしました。「豚の丸焼き」では数の数え方も工夫し「1・2・3・4・5 チーン出来上がり!」と楽しい声掛けも出てきました。

②「飛び上がる」

鉄棒を握る幅について学び、「つばめ」を行いました。1段の高さから始め、2段、3段と高さにチャレンジしていた人もいました。

③「下りる」

逆さ感覚を身に付け、手を離す「こうもり」を行います。最初は怖くてなかなか手が離せなかった人も「がんばって!」という友達の励ましで手が離せるようになりました。「こうもりじゃんけん」では友達とタイミング合わせてこうもりを行い、その状態のままじゃんけんを行います。ゲーム感覚で繰り返し行うことができました。

④「揺れる」

少し高い鉄棒で「ぶらんこ」を行いました。繰り返し行うことで、長い時間鉄棒にぶら下がれるようになっていました。

⑤「回る」

逆さ感覚を身に付け体を丸め、前後,左右に回ります。「足抜き回り(前後)」「地球周り(左右)」に取り組んでいきました。

①~⑤を使って工夫して鉄棒遊びを行いました。「こうもりブランコ」「コアラ」「ブランコきょうそう」等、楽しい遊びを考え行いました。シンキングツール「フィシュボーン」を使ってまとめをしました。

最初は怖かった鉄棒もお友達と一緒に行うことで楽しく行えるようになりました。技の習得だけでなく、「高い鉄棒で行いたい!」「もっとすごいことをしてみたい!」と工夫の幅も広がり、深い学びの実践につながっていきました。

3年「走・跳の運動(かけっこ)」

調子よく最後まで走れるような自分に合った課題を見つけ、動きを身に付けるための活動や工夫を友達に伝えられるような取り組みをしました。

①「かけっこを速く走るために考えたことをクラゲチャートに書いてみよう」

1・2年生までで学んだ速く走るためのポイントや、自分で考えたことをクラゲチャートに書き出しました

②「速く走るための練習方法を考えよう」

走り幅跳びの単元の時はより遠くに跳ぶための練習方法を教員が提示しましたが、今回は、50mのタイムを計った上で、タイムをより縮めるためにはどのような練習をしたらいいのかを自分たちで考え、オリジナルの練習方法を作成し、友達に紹介して一緒に取り組みました。より速く走るために繰り返し練習に取り組む姿や、より良い練習方法を探している姿が見られ、深い学びの実践につながっていきました。

③「振り返りシート」

自分たちで考えた練習を踏まえて、もう一度50mのタイムを計り、これまでの授業を通して良かったこと・改善していきたいことなどそれぞれが感じたことを振り返りました。

3年生の「かけっこ・リレー」では、今までの授業を自分たちで活かしていたり、より良くしようと学びを深めていたりする様子が感じられました。

5年「マット運動」

5年体育での探究的取り組みとして、器械運動の「マット運動」を紹介します。

①「チャレンジしたい技を見つけよう」

初めに「マット運動」の基礎的な運動感覚を高める活動をしたあとに、自分がチャレンジしてみたい技(以下、「チャレンジ技」)を決め、その技の完成に向けて活動を積み重ねていく授業を行いました。「チャレンジ技」の基準として、いまもっている力ではまだなかなか成功しない技とすることで個人個人のチャレンジを促しました。

②「チャレンジ技を練習しよう」

まずは、自分の「チャレンジ技」のポイント(学習シートに書いてあるもの)を見ながら練習をしていきました。この段階の技の精度としては、ポイントを何となく頭では理解しているけど、実際にやってみるとなかなか思うようにできないといった状態です。自分がどういう動きをしているのかイメージするのが難しいため、友達が伝えてくれるポイントのみが頼りになります。

③「ICTを活用し、自分の動きを分析しよう」

ある程度練習を重ねたあとに、ICTを活用し、iPadで自分が「チャレンジ技」をやっている場面を友達に撮ってもらい、それを見ることで、どう動き方を改善していけばよいのか考えていきました。実際に自分の動き方を撮って見てみると、具体的に直さなければいけないポイントが見えてきます。そのポイントを学習シート上で“発見したポイント”としてまとめていくことで、次に「チャレンジ技」の練習をするときに、自分が何を意識して取り組めばよいかわかるようにしていきました。

④「分析したポイントを意識して練習を繰り返そう」

練習→撮影→ポイント分析→練習→…の流れを繰り返していく中で、子どもたちの技の精度もぐんと上がっていきます。撮影することで新たな自分の課題をより具体的に発見することができ、次のチャレンジにつなげていくことができました。技の完成まで辿り着いた子もいればまだまだの子もいましたが、自分の具体的な課題を意識して練習していくことで、多くの子が自分自身のチャレンジ技の精度向上につなげていました。

課題を試し、また新たな課題を発見していく流れを大切にしながら、今後も体育の授業をとおして子どもたちの成長を促していけたらと考えています。

 

【思考力・エージェンシー】社会科 探究:「健康なくらしとまちづくり(ごみはどこへ)」

社会科では、「多角的に見て、情報収集していく」ことを重点目標として、各学年探究活動をおこなっています。その中で、今回は四年生の単元「健康なくらしとまちづくり(ごみはどこへ)」で行った探究活動の実践をご紹介いたします。

まず、昔は「そのままうめたてられていた」を知った子どもたちはびっくりしていました。その様子から、ごみの捨て方の変化に気づき、収集車が来てくれるからごみが回収され、臭いや町の景観が守られていることに改めて気づかされていました。そして、収集の仕事をしている人の一日、収集車について、ごみの種類とゴミを減らす方法(リサイクルなど)を学んでいきました。収集日と収集できるごみの種類が書かれたゴミの分け方、出し方についての表は「〇時までに出してください」や「資源の持ち去り禁止」の記述をあえて隠すことをし、なぜその記述が載っているのか、だれのための記述なのかを考えることなどを行いました。四年生なので、学びを進める中で、自分が見聞きした情報がたくさん出てきます。その中には、リサイクル以外にいろいろなゴミを減らす方法があるということ、収集車は二人乗りじゃないといけないんだということ情報、そしてエコバックってリサイクルなの?以前より段ボールがスーパーに置かれていないのはなんでだろう?などの疑問や気づきから、いろいろな人が関わっているのでは?と投げかけたり、現在世界で注目されているニュースを提示したりしながら、授業を広げていきました。

そこで、夏休みには地域のごみをへらすための工夫を調べたり、自分たちでできるごみをへらすための方法を考えたりして、宿題をおこないました。スーパーの中にはプラゴミの回収を行っていたり、コンビニの中にはペットボトルを回収してポイントを貯める取り組みが行われていたりするなどの調べを提出してくれました。自分たちでできる「ごみをへらすための方法」の単元では、ごみを使った便利グッズ(筆箱や巾着袋)を制作した児童やニンジンの皮、白菜の芯など普段は捨てる生ごみを使って作ったスープなどを調理した児童、段ボールから紙を作り出した児童もいました。この学年の児童の特徴として、「まずやってみよう」ということが存分に発揮された宿題でした。

単元の最後には、自分たち一人一人がごみの量自体を減らすための方法を、授業で学んだこと、自分で調べたこと、友達の提出した宿題から考え、シンキングツールのクラゲチャートでまとめました。その上で「ごみをへらすために大切なこと」をはがき新聞(B6版用紙)に書いていきました。ごみの回収作業の人の視点で改めて調べてまとめた児童、地域の人の視点でまとめた児童、そして実際にゴミを捨てる自分たちが、どうごみを扱わなければいけないかについてまとめていました。

自分たちにとって実はすごく身近な存在である物には、いろいろな人や施設、団体が関わっていることを知り、そして調べを進めると、自分なりに考えたり、友達の考えから学びを深めたりしながら、学習できました。現在では、「では、もっと身近に見える水はどうやって作られ、どう処理されているの?」「日本に多い災害への対策を、自分の住む地域ではどうしているの?」と、まずは子どもたちがquestionを持って授業に臨んでいる姿が見えています。

 

【思考力・メタ認知力】稲を育てよう(秋)

『稲刈りをして思ったことは、田んぼに行く前までは機械を使って稲刈りをすると思っていましたが、カマを使って稲刈りをしたので少し驚きました。切ってみると、茎の部分が筒のようになっていてそこで土から水を吸収しているんだと思いました。今では機械化が進み人力でする事が少なくなってきているので、人力でやっていた昔の人は大変だったんだと思いました。』

上記は稲刈りの後に児童が書いた振り返りです。総合では稲を育てることに取り組んできましたが、そこから子どもたちは科学科の「植物の仕組み」や社会科の「農業」と結び付けて考えていることがわかります。

今年度の5年生の総合では「イネを育てよう」というテーマで進めてきました。稲を田んぼやバケツ稲で育てることを通して、探究的に学びを進めてきました。課題設定、情報収集、整理・分析、まとめ・表現という探究サイクルを子どもたちが自立的に回し、自身の学びを深めてきました。稲刈りにおいても「バケツ稲と田んぼの稲の育ち方の違いは何だろう?」「田んぼの稲は稲刈りした後、どのようになっていくのだろうか?」などとそれぞれが課題をもって稲刈りに臨みました。田んぼの管理は、営繕の安西さんに支援していただいているので、大きく育ちました。一方でバケツ稲は教室近くにおいてあり、自分たちの力だけで育てました。実際に育てることで、できた穂は大きく異なっており、「どうして田んぼの稲はこんなに育つのだろう?」「どうすればよかったのかな?」と自然と自分たちの育て方を振り返っていました。

自分たちのバケツ稲は、脱穀、籾摺りとすべて手作業で行いました。田んぼの稲は機械で脱穀を行う様子を見学させてもらいました。また宿泊学習では、大きな機械(トラクターやコンバイン)で大量の稲が袋詰めされるところも見学できました。多くの体験活動を通して、子どもたちなりに植物としての稲や農家さんの日常、社会の問題と幅広い学びが得られたようでした。

現在はICTも発達し、子どもたちにとっても「情報」は容易に手に入る状況になっております。しかし、実際にやってみることで、得た情報がそのまま役に立つわけではなく、ギャップが存在することを肌で感じることができました。「調べたら簡単に育つ」ということはなく、実践するにはもっと詳細な情報、今の自分たちに必要な情報があることに気づきました。

以下、他の児童の振り返りです。

私が今回稲刈りをしてみてわかったことは、農家さんは私たちのために頑張っているということです。なぜそう思ったかというと、稲を一つ一つ刈っていくという大変な作業を体験したからというのと、脱穀や乾燥などを見たり体験したりして農家さんが自らの手で私たちが食べるお米を作っていることがわかったからです。私は今の日本のお米の自給率が低下し

てるようなのでもっとお米の自給率が増えるようにお米の魅力を色々な人に伝えたいです。

 

稲刈りしている時は楽しかったけどくしゃみが出ました。稲の根元を刈らないといけないので腰が疲れました。2人で協力しながらやりました。稲の穂が結構落ちていてその落ちた穂が靴の中に入ってかゆかったです。1人目は稲を刈って2人目はその刈った稲をまとめる係でした。稲をまとめる時はうまく結べませんでした。でも楽しかったです。

稲を刈る前の田んぼは、ところどころ動物に潰されていましたが、無事に穂が黄金色になっていました。

鎌で稲を切るときは、根本を刈りました。切るときはジョキッと音がしました。稲を束ねる人と協力して、手際よくできました。刈った後、はさがけという稲を干す作業もしました。干した稲はカサカサしていて、触るとかゆくなりました。

稲を育てて、色々なことを学べて良い経験になりました。

 

【思考力、チャレンジ力、創造力】3年生 桐蔭まつり

3年生は、初めての「催す側」に「わくわく」「どきどき」しながら取り組みました。

昨年の自分(たち)を思い出して、どんな「企画」や運営の仕方だったら、特に1・2年生が楽しんでくれるか、を考え、作り、実施しました。

3年1組「自然ワールド」

去年までは上級生の教室を見学して桐蔭まつりを楽しんでいた子どもたちですが,今年はいよいよ開催する側に立つこととなりました。まつり準備の初日,教室は期待と不安に包まれていました。クラスのテーマは「自然」。誰もが親しめる良いテーマです。そして,7班(1班4~5人)に分かれて内容を決めました。1組は,射的,ボーリング,スライムづくり,的あて,つり,輪投げといった低学年の児童が楽しめる内容になりました。やることが決まってからの子どもたちの行動力は実に素晴らしかったです。ある子たちは毎日のように家から材料を持って来てくれました。手持ちが無理な場合はお家の人に頼んで運んでもらってもいました。折り紙の景品を黙々とつくる子も何人もいました。知恵を絞って段ボールの壁作りに挑戦している子たちも。子どもたちのまつりに向かう一途な姿を見ることができました。もちろん時には意見の相違から言い合いや嫌な思いをした子もいたと思います。それも含めてみんなで何かを創ることの手順や醍醐味を知る機会となりました。

このおまつりで,子どもというものはやることが明確でそこに楽しみを見いだすことができれば,こちらが何も言わなくても,自分たちで準備し,工夫し,展開していけるということを実感しました。そのような子どもたちが自分たちの能力をますます発揮できるよう学習環境を整えて,子どもたちを見守り支えていきたいと思いました。

3-2『わくどきルーム』

進行役を立てない全員でのミーティングを重ね、「私はこういう企画・役割で役立ちたい。」と書いた結果、「虫捕り」「お化け屋敷」「射的」「間違い探し」「クイズ」「受付」「説明」に分かれて準備・実施をすることになりました。ですので、どの企画も、クラス全員の想い・アイディアが入っていて、それに応えようとしていました。「自分たちの企画が良ければいい。」という発想になっていなかったので、企画の場所のシェアで揉めることもなく、当日も、たくさん作った手作りの景品・お土産が足りなくなると、他の企画が快く融通してくれて助け合っている姿が素敵でした。

どの企画も、1・2年生に楽しんでもらうための工夫をしていました。例えば、「虫捕り」は、1・2年生の中には虫が好きな人も多いだろうけれど、生きている虫を扱うことはできないルールだということで、どうやって1・2年生に楽しんでもらおうかと考え、段ボールの中からマグネットで、段ボールの上のプラバンで作った虫を動かし、それを捕まえてもらって楽しんでもらおうという発想になりました。「射的」も、輪を通した糸の先に的を下げて滑車のようにし、糸を引くことで的を動かし、喜んでもらう発想に至りました。「お化け屋敷」も「間違い探し」も「クイズ」も、」1・2年生に合わせてレベル別に選べるように用意、実施しました。

子どもたちからは、見るとやるとでは大違い、「丁寧な接客をするとすごく疲れる。」という感想や、「思ったよりも手応えがあった。」という感想が寄せられました。

3年3組テーマ「きけん・こわい」

前文にもありますが、3年生は、初めての「催す側」として参加します。それに向かう子どもたちは「やったー!」、「がんばるぞ!」、「楽しみ!」など、とても前向きで素敵な姿が印象的でした。

3年3組では、今回の桐蔭まつりを桐蔭学園小学校が掲げる6つのキーコンピテンシーの育成を、また、4~6年生に進級していった際に、よりパワーアップしていくための取り組みを目指しました。

・新しいこと(催す側)に挑戦する力〈チャレンジ力〉

・グループごとに企画を考える力〈創造力〉

・自分たちの企画をお客さんの立場になって考える力〈思考力〉

・「自分のやりたい」と「友だちのやりたい」をつなげる力〈思いやり〉

・桐蔭まつりを振り返る力〈メタ認知力〉

・桐蔭まつりを通して自分たちの学習や生活に活かす力〈エージェンシー〉

3年3組のテーマは、全員で話し合い、「きけん・こわい」に決まり、各グループで進めること(グループでやる企画)と、クラス全員で進めること(教室の飾りつけ・看板作り)を決め、準備を進めていきました。

本番では、うまくいったこともあれば、うまくいかないこともありましたが、催す側の気持ちや、同時進行で物事を進めることの大変さを学びとして捉え、皆、一生懸命にがんばっていました。

準備から本番、振り返りと、最後まで前向きに活動していた子どもたちに拍手を送りたい気持ちになる桐蔭まつりでした。

(企画や振り返り文などの一部を掲載いたしました。ご覧いただければ幸いです。)

【3年3組の企画※一部抜粋】

【3年3組児童の振り返り文※一部抜粋】

 

【思考力 チャレンジ力 メタ認知 】5年生  桐蔭まつり

今年の5年生の桐蔭まつりのテーマは「5年生だからこそできること」です。3年次より桐蔭まつりを 二 度経験している子どもたちにとって今回のテーマは初めての挑戦でした。

5 年生全員で1つのものを作り上げていくということが、子どもたちにとってもなかなかイメージがつかない中、何度も意見を出し合い話し合いながら、「新しいものとは何か」を模索しながらスタートしました。

まつりの話し合いを進めていくと、これまで自分たちがやってきたことが基盤として当然あるため、これまでに経験したことや、どこかで見てきた方へとイメージが寄ってしまいます。経験を基にすることは決して悪いことではありませんし、経験を活かしていくことはとても大事なことです。しかし、それでは4年生でやってきたことと何ら変わりはありません。その都度、今回のテーマである「5年生だからできること」これまでにない新しいものを生み出し、挑戦するという気持ちをくり返し確認していくことで、徐々に具体案が出てくるようになりました。

時間をかけての話し合いの結果、「時間的空間」を教室内で表現することに決定しました。その中で当初は「過去、現在、未来」という空間を作ってみてはどうかという案でしたが、それらをイメージ化させていくと「現在」という空間を表現することがどうしても難しく、学年全員で再考した結果、「縄文、江戸、昭和、未来」という4つの空間に挑むことになりました。

クジや射的など屋台などのようなイメージしやすいものではなく、時代に合わせた空間を作っていくというこれまでにない取り組み。いきなり難しい課題に向き合った子どもたちは必死に考え考えアイディアを絞り出しだします。この瞬間こそが子どもたちの思考がより活発になる瞬間です。

「縄文、江戸、昭和、未来」どの時代も経験したことがありません。

想像だけでは作られるものではないため、それをリアルに表現していくためには、その時代の雰囲気や生活をよく調べ、よく知ることがまず必要になってきます。調べたことをもとに話し合いを進めていくわけですが、これには子どもたちもかなり苦戦している様子でした。お客さんがきて、そこでどんなことをやってもらうのかというのがこれまで子どもたちが経験してきた進め方です。そうではなく、空間を先に作るということですので苦戦するのも当然です。でも、そこは柔軟かつ発想力豊かな子どもたちです。互いにアイディアを出し自分たちでイメージをどんどん膨らませていきました。

 

「縄文」は、縄文時代に使っていた家を作ってみたい。設計図を子どもたちが考えそれに必要な材料や自分たちができるところとそうでないところを考えていきます。自分たちが先日刈った稲を使えば雰囲気を出せるかな?でもどうやって藁を積んでいけばいいのか。

考えたことを実現させていくためにどうすればよいかを子どもたちは考えます。

 

「江戸」では、籠や茶屋、お城を作りたい。ダンボールで作れるのかな。かごは人が乗れるものにしてみたい。設計図が必要だし、ダンボール以外の材料も必要になってくるかも。

 

「昭和」は、代議員のお母さんたちやお父さんお母さんにアドバイスをもらうのはどうか。バブルってなに?華やかなイメージ?暗いイメージ?

 

「未来」では、家族の方もここにいる人みんなが経験していない時代。どんな建物があっ

て、どんな地球になっているのか。地球ではなく他の星で生活しているのかも。

 

自分たちのイメージが広がっていく中、それを形にしていくことの難しさの壁に何度もぶち当たりました。そんな時も子どもたちは投げ出すことなくねばり強く取り組んでいました。自分たちだけでは難しい作業においては、お手伝いをしてくれている保護者の方々や先生たちからの手助けも借りながら、桐蔭まつり前日の時間ギリギリまでこだわりを持って進めることができました。

当日は、たくさんのお客さんに来ていただき、自分たちが作った空間を存分に楽しんでいただけました。今回の桐蔭まつりの子どもたちの取り組みをみて、改めて子どもたちの力の無限の可能性を感じることができました。また、そんな子どもたちの発想力や創造力をさらに駆り立てることが出来たのは、陰で支える保護者の皆様のご支援とご協力があってのことだと感じています。

今回の桐蔭まつりは、子どもたちもも保護者の皆様も全員が一体となって臨むことができたからこそ、主役である子どもたちが輝けるものとなったのだと実感しています。

子どもたちは見事にテーマ「5年生だからこそできること」を達成させました。

今回の桐蔭まつりで得た力と、5 生年全員、そして保護者も巻き込んだ団結力を 6 年生でさらに発揮できることを期待しています。

 

【思考力 創造力 チャレンジ力】科学『夏休みの自由研究』

毎年、3年生以上の科学では夏休み中の自由研究を課題として出しています。夏休みの自由研究がどの課題よりも大変。テーマが決められなくて困っている。関わる保護者も大変という声をよく耳にします。大変、難しいと思う理由の1つに物事に対して常に「なぜだろう。不思議だな」という感覚で観る習慣がないことが原因ではないかと思っています。何事もそうですが、習慣化されていないことを急に取り組もうとすると無理が生じてしまいます。科学では、こちらがすぐに答えを提示してしまうのではなく、「なぜだろう。不思議だな。」という目を日頃から育てるように意識しながら授業に取り組んでいます。そして、その疑問や不思議に感じたことを、そのまま通りすぎてしまうのではなく、立ち止まって調べる、考える、追求することを習慣化できるように授業内でも重要なポイントとして位置付けています。

自由研究は、子ども自身が興味や関心、不思議に思うことを追究し、世界を広げていくことが目的です。見栄えや出来にだけこだわってしまいその広がりこそが、豊富な知識の獲得と広い視野が育っていくものと考えています。

5年生の科学では今年も夏休みに自由研究に取り組みました。3年目ということもあり、子どもたちのテーマ設定や研究の手順やまとめ方にも上達がみられています。

毎年テーマ設定に悩む児童もいれば、新しいテーマに「今年は何にしよう」とワクワクしている児童もいます。そんな中、1年生から1つのテーマで研究を続けている児童がいます。

研究テーマ『ニワトリの観察』 5年3組 小林 めぐみ

1年次 「烏骨鶏のお母さんとひよこのかんさつ」

第2部 2年次「烏骨鶏のお母さん、お父さんとひよこのかんさつ」

第3部 3年次 「卵からひよこがかえるまでのかんさつ」

第4部 4年次 「ニワトリの種類とらんかく色の観察研究」

第5部 5年次 「ニワトリの卵の観察」

1年生か5年生にかけて第5部にわたるニワトリの研究ですが、研究を重ねていくことで興味の幅がより広がっているのが研究内容から見て取れます。この研究のスタートはお父様から「ニワトリを飼ってみないか。」という勧めがあって。1年生の時は、単純に可愛いという理由からはじめたものが、研究をしていくといつも同じ状態ではないことに気が付いたそうです。その状態の変化を感じたことで、ニワトリの成長やニワトリのことをもっとよく知りたいと思うようになっているようです。そして同時にニワトリの不思議や謎がたくさんあることに気が付き、その謎を解き明かしていくために研究することが楽しくなっているとのこと。小林さんにとって、ニワトリは今となっては大切なパートナーと言っているほど家族同然の存在です。今後の研究は現時点では未定ではありますが、「ニワトリ同士のいじめについて」「卵を突然産まなくなった理由」「ニワトリのすごい能力」について研究してみたいとお話してくれました。まだまだ小林さんの研究は続いていきそうです。

 今回はある児童の自由研究の1例をご紹介しましたが、子どもたちの中の探究心を揺さぶり、その探究心をもとに幅広い視点で物事を見つめ、思考力、創造力を育てていくとともに、新たなやりたいことを見つけ出しやり抜く力、チャレンジ力も科学という教科通じて育てていければと思っています。