思考力」カテゴリーアーカイブ

【思考力】1年「『探究』学習をどうスタートさせるか?

「探究の原動力」は、「探究心」だと考えます。

その事象に対して「探究心」を持っていないのに「探究」の「手続き」や「経験」をするとしたら、それは「課されているから」なのではないでしょうか?

「探究」と「課されている」ことは、本来、矛盾することのように思えます。

では、「探究心」は、どのようなときに出てくる(育つ)のでしょうか?

私たちは、「探究心」を以下のように定義し、以下の3つの「とき」に出てくる(育つ)と考えました。

私たちが考えた〈探究心の定義

「どうなっているんだろう?」「真相」「深い部分」「実際」

知りたいと思うこと

どのような時に?

☆1自分にプラスまたはマイナスの影響(利害)がある(あった)とき

↓↓

もっとあるように探究なくなるように探究

☆2「すごい!」と思った(畏敬の念を持った)とき

ということは、その対象のものに「愛情」がある、ということだから(その「愛情」が探究のエンジンになる)。

☆3「面白い。」「変だなぁ…。」と感じ、「興味」がある場合

自分の認識と違うゾ~…。」

☆1の「現実的探究」は、「自立度が上がるのに比例して行われる探究」だと考えます。ですから、小学1年生には、「探究心」の「☆2」と「☆3」をアシストしよう、と考えました。

ステップ1〈6月〉

一学期に「生活科」の授業で、教材の鉢に、各自が家の人と相談して持ってきた種を蒔き、学校のテラスで水やりをし、育てた際に、観察カードの「吹き出し」で、

「めやはをかんさつして、きづいたことやぎもんにおもったことやすごいとおもったことをかこう!」

と投げかけると、「なぜ、みずやりをするだけでこんなにおおきくなるの?」

「なんで、たねからはながさくの?」という☆2に当たる疑問、気付き、「すごい。」と思ったこと、が寄せられました。

それに対し、まずクラスみんなで討議してみました。

すると、「肥料の玉を入れたじゃん。(だからだよ。)」とか「土も必要だよ。」などの「本に書いてあった。」という知識が披露されました。

それに対し、「え~、でも、水だけでも育つよ。」

という知識も出されました。それに対し、「育たないよ。」という認識も出されました。

そこで、「水だけでも育つ植物」という検索をし、そこから(そのつぼみが国語の教科書の説明文の『つぼみ』でも取り上げられていた)「蓮」を前のスクリーンで共有しました。(1年生には、まだ、各自のiPadで「検索」をすることはできない「前提」のため。)

「でも、このように『なんでたねからはながさくの?』と書いた人がいるけれど、種の中に花の小さいのが折りたたまれたりして入っているの?

と問いかけると、「入っている。」と言う児童や「入っていないよ。芽は入っているけどね。」

と言う児童、「芽や葉っぱの素が入っているだけだよ。」と言う児童が出てきました。

そこで、「じゃあ、後ろに掲示してある、みんなが描いた『種の中の予想図』をもう一度見てみよう。」と話し、確認しました。

添付のように、花の『赤ちゃん』を描いていた児童もいれば、葉や芽の『赤ちゃん』を描いていた児童もいれば、芽や葉の『基』を描いていた児童もいました。

その後、すぐに夏休みに備えての「持ち帰り」期間に入り、授業でのみんなでの「探究」は「小休止」となりました。

ステップ2〈9月〉

夏休みに各自が持ち帰った「鉢植え」の観察の結果、

◇1「ぽんぽんダリアだと思っていた。でも、じつは、けいとうだ。なんでけいとうなのかはわからない。けいとうもきれいだけど。」

◇2「みずやりをまいにちしても、つぼみがつきません。なんでだろう。

くきやははせいちょうしているのに、はながさかないのがふしぎです。」

◇3「つぼみがやっとできました。さいしょは、はなはいきていないとおもったけれど、いきていたので、はなってすごいな、とおもいました。」

というような☆3に当たる「気づき」「発見」「疑問」と☆2に当たる「畏敬の念」が「かんさつはっけんカード」に書かれていたので、それを共有しました。

そして、「『実は』ということは、『本当は』ということだから、『本当はどうなのか』という『真相』に気づいたことになるね。しかも、自分で、ね。まるで、コナンくんみたいだよね。」と「じつは。」の「価値づけ」をしました。

また、授業者の「夏休みの間の探究心」も伝えておいた方がいいと考え、

◆1:一学期に話題になった「蓮」の葉と「種ができたところ」を写した写真と種を割った実物の写真

◆2:シソの茎の断面が四角いことを書いた「まどみちお」さんの詩と実際にシソの茎の断面を写した写真

〈おどろいてしまった立ちがれたシソのくきを切りとってみたら切りくちが四角なのだ〉

《『いわずにおれない』まど・みちおより》を用意しました。

そして、「実は、種の中には、芽の赤ちゃんがいたんだね。生き物ってすごいよね。」と「生命への畏敬の念」と「探究心を持って探究すると『真相』にたどり着ける」ということを、またまた「価値づけ」しました。

ステップ3〈9月〉

以上の「探究心へのレディネス」(探究心の芽生え)を持った状態で、

「今度は、『鉢植え』より大分大きい『学校の周りの『ビオトープ』や『鉄の森』の自然』を観察して、学校の周りの生き物や植物が、実際には自分が今までに思っていたイメージと同じか、違うか、確認してみますか?」と投げかけました。〔ねらいの提示〕

多くの児童が、「行きたい!」と言いました。

結果、以下のような「探究材料」を共有することができました。

ーーーーーーーーーーー

〈「フィールドワークビオトープではっけんしたこと」の用紙より抜粋〉

・虫は、ちかづいただけでにげるから、虫は目がいいんだなぁ、とおもいました。

・なんでわたしのずぼんの上にのってきたのかな。てんとう虫がわたしをすきなのかね。

・じつは、こけは、水にぬれているときはつるつるで、水にぬれていなかったら、ざらざらでした。

・じつは、バッタのつのは、あかだった。まえにきたときは、はっぱがすくなかったのに、きょうは、くさがおおかった。

・バッタのじゃんぷするあしのはじまりをもつと、にげられないことがわかった。

・バッタにはねがあるのはわかっていたけれど、4まいもあるのはしらなかった。

・バッタがあんなにはやいとおもわなかった。

・ちゃいろのバッタもいるんだとびっくりした。

・どんぐりがみどりだった。

・ちょうちょがはやくてつかまえられなかった。

・しょっかくがながかった。

・ショウリョウバッタのしっぽがながかった。

・ショウリョウバッタの子どもにきばが生えていたのがすごい。

・ちょうちょがいがいとはやい!

どんぐりがみどりで、下にとげみたいなものがあった!

・コケはみどりのものだとおもっていたら、じつは、ちかくから見たら、しょくぶつだった。

・なんしゅるいもあった。しろいコケがきれいだった。

・いろんなコケがまざってみどりのもだとおもいこんでいたのかも…。

・どんぐりのぼうしがとれたのがすごいとおもった。

・つかまえてすうふんたつと、なついてくることがわかった。しょくぶつはちがうのに、せいちょうはおなじくらいのスピードだった。

・ありがありにのっている?!

・はっけんしたことは、ばったのあしがはやかったことです。

・はっけんしたことは…ちょうちょのもようは、てんとうむしみたいにてんてんをしていた。

はやいし、たかいし、とおくへとべるし、すごくほそいよ。つかまえるのがむずかしいのに、

じぶんのようふくにとまったから、一かいだけでしたが、そのバッタだけちゃいろだったよ。

すごくみどりでくさみたいだったから、あんまり見えなかったよ。

【くろがねのもりフィールドワーク】

・ふつうだったらどんぐりは一つなのに、二つついているどんぐりがあって、びっくりしました。

・はっぱをたべてる虫もいました。

・このきのこはきのぼうについてる。

・ここはもりの中だから、たいようが見えないよ。

・このきのこは、さわるとすぐくずれてしまうきのこです。

・あんまり見つけられなくて、日かげにありました。

・日なただとかれちゃうとおもいました。

・きのこにもいのちがあって、たいようからかくれているの?

・この虫、わたをもって、どこへはこぶんだろう?

・バッタはびんをひっくりがえしてもおちてこない。

ありはびんをひっくりがえすとおちちゃう。

・じつは、どんぐりの中はかたい。なにかが入っていた。

・きのこがやわらかかった。うらはスポンジのようでした。においは、とてもくさかったです。

・中にめがありました。うらにきいろいものがありました。

・花にきみどりのみがなっていました。きっと花がさくじゅんびをしているとおもいました。

・どんぐりのぼうしからはが出るとおもっていたけど、ぼうしがなくてもはが生えていて、びっくりした。

・くものすがあってもくもがいなくて、ふしぎにおもった。

・ほそい木がはっぱがすくなかった。

・コオロギにしっぽがついててびっくりしました。

・うしろあしにとげが一ぽん一ぽん生えててびっくりしました。

・しょっかくがながくて、びっくりした。

・まゆの中に白いたまごが入っていました。

・どうぶつらしいのがほったあながあった。もしかしたら、どうぶつがそこでねたのかも。

・せみのなきごえがなにかをいっているようにきこえた。

・ラベンダーみたいな花でもみどりのみがついていてふしぎだなぁとおもいました。

・みどりのはっぱは、「ささかなぁ?」とおもったけど、わかりませんでした。

・はっぱをめくったらだんご虫やしらない虫もいました。

・草や木があるところはあついのに、草や木がないところはすずしかった。

・日にあたるときはあつかったけど、日かげだと、けっこうすずしかった。

・木は一かい目より大きかった。

・木がとても大きくて、大きくて、見たら、あとちょっとでくもにとどきそうでした。

ーーーーーーーー

 

これらの「発見」をクラスで共有し、その中の幾つかの「発見」に対し、「探究」へとつながる「道しるべ」が見出されました。例えば、

◎「むしは、ちかづいただけでにげるから、むしはめがいいんだなぁ。」という「予想」に対し、「どうやって確かめる?」と問うたところ、「物を置いて実験してみる。」などの考えが出されました。「でも、それで、物をよけたとしても、『音』でよけたのかもしれないよ。」という考えも出されました。

◎「(落ちていた)どんぐりがみどりだった。」という「発見」に対しては、「どんぐりは茶色。」という「これまでの自分たちの常識」とは違う「発見」だったので、「木に付いているときは緑色で、落ちてから茶色になる。」という「予想」と、「木に付いているときに茶色になって落ちるのだけど、強風などで、緑色のうちに落ちてしまったのではないのか?」という「予想」が出て、「次のフィールドワークで確認しよう!」ということになりました。(これぞ、まさに、「探究」。)

◎「このきのこは、…あんまりみつけられなくて、ひかげにありました。ひなただとかれちゃうとおもいました。きのこにもいのちがあって、たいようからかくれているの?」という「予想」に対しては、「日なたにもあるのかなぁ?」、「きのこに命があるのかなぁ?」「じゃあ、引き抜くと死んでしまうの?」「草にも命があるのかなぁ?」「じゃあ、踏まれると痛いの?」「髪の毛は切っても痛くないから生きていない?」「生きていないのに、なぜ、伸びるの?」などの会話がありました。

これらの「探究材料」の価値は、児童本人(たち)が気付いた、発見した事象である、ということです。(私たち授業担当者が提示したのは、「自然(生き物,植物)」という(探究の)枠だけです。)

かと言って、「探究心」の醸成をせずに「自然観察」をして「疑問に思ったことを書きましょう。」と投げかけるだけだったとしたら、「どんぐりはなんで茶色なの?」などという「素朴な疑問」を持つに止まり、(そもそも「どんぐり」が「茶色」であることに「理由」などないので、)「探究」へとは発展しなかったのではないかと考えます。

それが、☆2のように「すごいと思ったこと」、☆3のように「自分の認識と違うこと」を見付ける喜び(探究心)を味わう姿勢で「フィールドワーク」をしたことにより、緑色のどんぐりが落ちていた際に何も考えずに素通りするのではなくて、「これ、どんぐり?」と自分の今までの常識「どんぐり=茶色」と違う事象を意識し、「どんぐりだとしたら、まだ緑色のうちに風か何かで落ちちゃったの?それとも落ちてから『緑色→茶色』になるの?」という「自分の認識にはなかったこと」を「探究」しようという「探究の材料」を得ることができたのではないかと思います。

実際、このような「探究の材料」ならば、この後、本で調べたり、ネットで探したりしたとしても、そこに書いてある漢字や言葉の意味さえ大人が教えてあげれば、小学1年生でも「探究」をすることはできますし、「書いてあることに専門知識が含まれていたりすれば自力での『探究』は難しい」としても、少なくともこのように、「(本校では3年~始まる)『探究』に向けて、大切な『探究心』(「『すごい。』と思う」「変だなぁ…。」と思う心)を育てることができるのではないか」と考えて行っています。

 

【思考力・思いやり】2年生 町探検

子どもたちが生活をする日々の社会は学年が上がるとともに、家庭や学校といった小さな単位から、自分達が住む地域、そしてより広い社会へと拡張されていきます。

2年生生活科では、「自分たちが生活している場所にはどんなところがあるのだろう?」という視点でまずは学校内を探検しました。「発見メガネ」をかけることを意識すると、いつも当たり前にあるものも「なんでここにこれがあるんだろう?」という発見に変化していきます。その変化を楽しみながら、身の回りの探検の範囲を広げていき、今回は学校を飛び出して、普段登下校で使わせていただいている新百合ヶ丘駅と青葉台駅・江田駅方面の2方面に町探検に行きました。

事前学習では、まずは大半の児童が利用しているスクールバスの経路を思い起こしながら、学校の周辺にありそうなものを予想し、その後実際に青葉区と麻生区の地図をみながら実際にあるものについて調べていきました。予想と実際に地図をみて発見したことはシンキングツールにまとめました。

「学校の周りには緑がいっぱいあるね!」「遠足でいったこどもの国も青葉区なんだ!」「桐蔭学園ってすぐ隣は川崎市なんだね!」「新百合ヶ丘の駅の周りには銀行がいっぱいある!」「新百合ヶ丘は大学が2つ並んであるよ!」など、とにかくたくさんの気づきを得ることができました。地図上での発見から、どんな街なのかのイメージも広がっていきます。

さて、実際に行ってみるとどうなのでしょうか…?

11月12日は新百合ヶ丘駅周辺、26日は青葉台駅周辺へ探検に向かいました。

両日とも事前の予想と地図で調べたことを頭に入れつつ、実際に発見したことをメモしながら町を歩いてみました。

「あっ、薬屋さんあった!」「ラーメン屋さん発見!」「美容院が多いね!」など、地図だけではわからなかったたくさんのことに気づくことが出来ました。また、「これ、僕の町にもある」など、自分の住んでいる街との比較も自然とおこなわれていました。日常生活は私たち大人でも、自分の生活に密接なお店・施設は意識されますが、関わりの薄いお店などはあまり気に留めないものです。今回のように、町全体を学習という視点でみることで、普段はあまり関心のない施設にも興味をもつことができたのは学びのひとつとなりました。

私立小学校は多様なエリアから通学してきているため、「学校がある町」という意識を持ちづらい側面がありますが、今回実際に見学をできたことで子どもたちのなかにも学校周辺地域への意識が高まったのではないかと考えます。

※青葉台駅探検の際は、移動範囲も広いことから各クラスの保護者の方にもボランティアをお願いし、横断歩道の確認など移動中の安全確保にご協力いただきました。

新百合ヶ丘駅、青葉台駅ともに同じ「急行がとまる規模の駅」ですが、2箇所ともに実際に見学をすることで、街の雰囲気は異なる点があることもわかってきます。学校に戻ったあとはまとめの活動をおこないました

3年生になると社会の授業が始まり、そして本校では今年度から始まった3〜6年合同探究ゼミも開始されます。今回の街探検で経験したフィールドワークの基本である「予想→資料調査→実地調査→まとめ」という流れは今後のカリキュラムにおいても生かされる学習形式となります。ともすればタブレットの中でいろいろなことが完結してしまう世の中ではありますが、今後もしっかりと現地、現物から得られる経験を大切にしながら子どもたちがより広い世界へ進んでいくことをサポートしていきたいと考えます。

 

【思考力・チャレンジ力】5年生 稲刈り

5年生は一年を通して「米」に大きく関わっていきます。第一幕は【田植え】。今回はその第三幕【稲刈り】を行いました。晴天の下、多くの保護者や営繕部の方々に見守られながらの活動となりました。
 田植えの時とは違い、かたくなった土や、自分たちが植えた苗の大きな成長に驚きながら、子どもたちは稲刈りの作業に夢中になって取り組んでいました。三クラス総勢約90名での作業でしたが、想像以上の稲の量。そこで、チームに分かれて協力しながら進めました。稲刈りチームは鎌を使って稲をどんどん刈っていきます。一本ならやわらかい稲も、何本も束ねて刈るとかなりの力が必要で、軍手と長靴が欠かせませんでした。袈裟懸けチームは刈り取られた稲を束ね、縄でしっかりと縛って物干しざおに掛けていきます。どの作業も大変でしたが、互いに声を掛け合い、笑顔で取り組む姿が印象的でした。この田植えから始まる一連の活動は、【第二幕・社会科の学習】にもつながっています。社会科では10月ごろから「米作りのさかんな地域」という単元に取り組み、米作りの過程や効率化・安全面の工夫を学びながら、現代の社会課題や今後の展望について考えを深めました。今年は米の高騰が連日ニュースで取り上げられたこともあり、子どもたちの関心はとても高く、「米の高騰を抑える方法って、備蓄米を放出する以外にもあるの?」「どうして農家さんはもっと米を作らなかったの?」など、自ら問いを立てる姿が見られました。これらの問いをもとに、地理的な条件や歴史的な背景を調べ、また、生産者(農家)、消費者、環境保護団体などさまざまな立場の視点から情報を集めて考察しました。友達との意見交流を通して、最初の考えを修正したり、より深めたりする児童の姿も多く見られました。

 今回の稲刈り体験では、「実際にやってみたからこそ感じること」が加わり、社会課題への自分なりの考えを一層明確にすることができました。
子どもたちからは、「ほぼ一年をかけて行う米作りはとても大変だと感じた。桐蔭の田んぼだけでもこの大変さだから、農家さんはもっと苦労していると思う。」「米作りは苗を植えたり除草したり、稲を刈って干したりと重労働。だからこそ米の高騰につながっているのかなと思った。」といった、体験を通して学習内容を結びつけた感想が聞かれました。そして、今年は第四幕【調理実習】へと続きます。自分たちで刈り取った稲を脱穀・精米し、精米されたもち米を使って「おこわ」を作る予定です。「植える」「育てる」「刈る」「食べる」という一連の流れを自分たちの手で体験することで、子どもたちはさまざまな視点から考え、感じ、思いを深めていくことでしょう。営繕部の皆様をはじめ、ご協力いただいたすべての方々に心より感謝申し上げます。

《子どもたちの感想文より》

黄金色の稲穂を刈る作業は、予想以上に重労働で腰が痛くなりました。そして、その刈った、稲を束ねるのも、かなりの力が必要でとても疲れました。この大変さを身をもって体験したことで、スーパーや、お米屋さん、インターネットのショップで見るお米一粒一粒が、どれほどの手間と汗の結晶であるかを実感し、お米を作る素晴らしさを感じました。これからは、食べ物への感謝の気持ちを持って残さずいただこうと思いました。

 私は今回の行事で、食のありがたみを改めて知りました。お米は簡単に育つと思っていましたが、とてもたくさんの工程がありました。毎日のお水の管理や、雑草抜きなど、米作りの一年に欠かせない作業を間近で見て、本当に良い学びになりました。さらに、こんなに多くの作業と多くの稲を普段3人で作業していらっしゃると聞いて改めてすごいなと感じました。この場を設けてくださった先生方、営繕の方々に感謝します。

 私は学校の授業で、はじめて稲刈りをしました‼️初めは、どうやってやるのか分からなかったけど、先生や友だちに教えてもらってだんだんできるようになりました鎌を使って稲を切るのは難しかったけど、きれいに刈れたときはとても嬉しかったですお米ができるまでにはたくさんの人の手がかかっていることもわかりましたこれからはお米を食べるときに感謝の気持ちで食べたいです

 

【思考力・エージェンシー・思いやり】2年 情報探究

iPadでプログラミングをして、レゴを実際に動かしてみよう!

授業の概要

小学2年生を対象に、iPadとレゴ「WeDo2.0」を用いた情報探究の授業を行いました。子どもたちは、身近な生活に隠された「仕組み」に興味を持ち、それをプログラミングとレゴブロックで再現する活動を通して、プログラミング的思考力や問題解決能力を育むことを目指した探究活動をしました。

単元の目標

以下の3つの観点があります。

【知識・技能】

WeDoのプログラミングアイコンの機能を理解し正確に操作すること、そしてレゴブロックの特性を理解し、意図した形に組み立てられるようになることを目指しました。

【思考・判断・表現】

プログラミングの試行錯誤や調整を通じて課題解決に取り組む力、そして結果を予想し、仮説を立てながら学びを深める力を養うことを重視しました。

【主体的に学習に取り組む姿勢】

粘り強く課題に向き合う姿勢や仲間と協力してチームの一員として活動する姿勢を大切にしました。

授業の展開

授業は、まず「身近な『仕組み』に気づく」という導入から始めました。信号機や自動ドアといった日常生活のシステムについて話し合い、「私たちの生活の中にもプログラム的な仕組み(プログラミング)がある」ということに子どもたちが興味を持てるように促しました。その後、WeDoの基本操作を体験しました。

展開は、ミッションチャレンジと自由な探究という二つの段階で進めました。「車を一定距離動かす」などといった簡単なミッションに挑戦するミッションチャレンジでは、グループで協力し、試行錯誤しながらプログラムを調整する中で、課題達成の喜びを分かち合いました。次に、自由な探究(オリジナルミッション作成)では、「日常生活に役立つ仕組み」をテーマに、今ある仕組みに工夫をしてみたり、オリジナリティを加えてみたりして、自分たちで課題を設定し取り組みました。この段階では、試作と改良を繰り返すことで、より良い解決策を追求する姿が見られました。

子どもたちの学びと考察

この実践を通して、子どもたちは知識や技能だけでなく、より深い学びを体験しました。

プログラミング的思考力が育ち、プログラムが思い通りに動かない時には「なぜだろう?」と原因を探り、自ら修正する姿が多く見られました。これは、論理的に物事を捉え、課題を解決する力の育成につながっています。

また、協働性も大きく向上しました。グループ活動では、それぞれが役割を分担し、積極的に意見を交換し合う姿が見られました。「この部分を担当したい」「こういう風に作ってみない?」といった自発的な発言から、チームの一員として貢献しようとする高い意識がうかがえました。

さらに、粘り強さも身につきました。複雑なプログラムや組み立てに何度も失敗しながらも、諦めることなく挑戦を続けました。うまくいかない経験も、子どもたちの「できた!」という達成感をより大きなものにしていると感じました。

見取り

子どもたちの活動は、ルーブリック評価に基づいて多角的に行いました。プログラミングデータや組み立ての完成度だけでなく、課題解決に向けた試行錯誤の工夫や、仲間との協働的な関わり方についても重視しました。これにより、個々の成長を具体的に把握することができました。

今後の展望

今後は、さらに複雑なミッションや、他の教科と連携した探究活動を取り入れることで、子どもの学習意欲と探究心をさらに引き出していきたいと考えています。

 

【チャレンジ力・思考力・メタ認知力・思いやり】1年生 野外活動

この野外活動の「ねらい」の一つは、「五感をはたらかせること」でした。

そのために、「魚のつかみ捕り」「川遊び」をすることのできる「清川リバーランド」さんでの「野外活動」を、今年も行うことにしました。

とはいえ、一般的に「川遊び」には危険も伴いますので、事前に、「生活科」の授業で「安全学習」を行い、当日も保護者の方々にご同伴いただき、「安全」を見守っていただくサポートをしていただきました。また、保護者の方々には、バーベキューの準備と片付けのご協力もいただきました。

その結果として、1年生たちが「どう五感をはたらかせたのか」を、彼らが後日書いた「シンンキングツール」へのメモとそのメモを基に書いた「絵日記」から抽出し、ここにお載せします。

【絵日記の文章に複数の記載があった内容】

・「水が流れる音が気持ち良かった」こと

・「つかみ捕りのニジマスが『にゅるっ』としていて動きが素早くて捕まえづらかった」こと

・「川の水が冷たかった」こと

・「小さなカニや魚が見つかった」こと

・「葉っぱを川に流して遊んだ」こと

・「川の浅いところで友だちとすべり台みたいに水に流れて遊んだのが楽しかった」こと

・「川で水を掛け合って遊んだ」こと

・「つかみ捕りをしたニジマスをバーベキューで焼いたら、しょっぱくてやわらかくておいしかった」こと

「野外活動」を通して、以上のように、「五感をはたらかせること」ができました。

 

【思考力・メタ認知】5年生 遠足

6/27(金)に5年生の遠足が行われました。「今日はどんな魚が獲れるか楽しみだね。」

今回の目的地は、神奈川県中郡二宮町袖が浦海岸(湘南地引網市五郎丸)です。目の前に広がる相模湾を前に、市五郎丸代表の大谷さんから現地での注意点などについてレクチャーをしていただいてから活動をスタートしました。

「この網、結構長いね。」「200mくらい沖に延びているらしいよ。」

子どもたちは網を引き終わったらスタート地点まで素早く移動し、また力いっぱい網引きを開始します。どう動いたら効率的か、作業しながら考え、行動を修正しました。動きに修正を加えて、ローテーションなどが大分上手になってきました。しかし、この日は天気が良く、気温も高かったため、子どもたちの足には徐々に疲れがたまっていきました。

ようやくゴールが見え始め、子どもたちは最後まで集中を切らすことなく、仲間と協力して網を引き終わることができました。引き終わった後、子どもたちは地元の漁師の方たちにチームワークの良さや、作業の丁寧さ、素早い行動などを褒めてもらうことができました。そして、網の中から現れた魚たちの姿に子どもたちは大興奮でした。

この日は、シラスが大漁でした。「獲れたてのシラスはこんなに透き通っているんだね。」子どもたちの新発見です。「シラスは何の幼魚だっけ?帰ったら調べてみよう!」

獲れたての魚を一匹ずつ、名前、特徴などについて漁師の方が丁寧に説明をしてくださいました。「図鑑で見たことがある!」「こんな形をしていたんだね。」「えー、こんな魚も獲れるの?」子どもたちの興味が広がっています。

この日は、シラスの他にも、ハナダイ、キス、カマス、サバ、タカノハダイ、ホウボウ、ハコフグなどが獲れました。エイや小型のサメなども獲れることがあるそうです。

たくさん運動をした後のお昼ご飯は格別の味でした!

終了後、代表の大谷さんから最近の水産業について、現状や課題などについて詳しく話をしていただきました。後日、この日のことを振り返る時間を作りました。「地引き網の時に、その場で動かずに綱引きのようにすれば、もっとスムーズにいったかも。」とか「天気を事前にチェックしておけば水分が足りなくなることはなかったかも。」などと、一人一人が遠足を振り返っていました。今後の行動や生活にきっと役立つことでしょう。そして、子どもたちが今後、魚の生態や、日本の漁業について興味を強く持ち、調べ深めてくれることを期待しています。

子どもたちの作業の様子を見守ってくださった、市五郎丸のスタッフの方々、観光バスの運転士の方々、旅行会社の方、本当にありがとうございました。

今回の地引き網体験では体験を通して、「地引き網の漁師さんの大変さや、やりがいについて考えよう」という課題がありました。後日教室で子どもたちは以下のような生活記を書きました。

~地引き網の仕事をしている人たちは本当にすごいと思いました。なぜなら地引き網はとても重く、舟は小さくて大きな波に揺られていたからです。地引き網の人たち以外でも力や暑さに関係なくやらなければいけない仕事をやっている人たち(大工さんや農業の方など)はとても頑張っているのだなと感じました。~

~地引き網を引くと、とても重くて大変でした。「これを毎日やっている漁師さんはすごいな。」と思いました。~

~網は重く、諦めそうになっている人もいました。しかし、「頑張ろう。」、「あとちょっと。」と自分に言い聞かせている人がいっぱいいました。これが地引き網の良いところなのかもと思いました。「頑張る」ことが漁師さんの目標なのだと思います。「魚を食べてもらう人に笑顔になってほしい」という気持ちがあるから漁師さんは「頑張れる」のではないでしょうか。僕はこの地引き網で深く考えさせられました。~

~振り返って思ったのは、こんなに大変なことを毎日やっている漁師さんのことです。私たちは一日やっただけで疲れてグダーとなっていたのに、これより気温が高くてもやっている漁師さんがすごいなあと思いました。

~釣りと地引き網の違いは、1匹ずつ獲れるかいっぱい獲れるかだと思いました。地引き網は網の設置に時間や手間がかかるけれど、魚を逃がすことなくたくさん獲ることができます。漁師さんは地引き網の設置が大変だけれど、魚はたくさんとれるので、釣りに比べると地引き網の方がやりがいがあるのでは、と思いました。~

 

 

 

 

【思考力・思いやり】2年生-遠足

今年度も2年生の遠足がよこはま動物園ズーラシアで実施されました。(実施日 5月9日)

事前に生活の授業で「マイアニマル」を決めて下調べをする活動と班活動の準備を行いました。

1、事前準備

①マイアニマルをしらべよう

 事前に渡されたズーラシアの地図を見ると、どこに何の動物が飼育されているかがわかります。すぐにわかる動物もいれば、名前は聞いたことあるな、はじめて聞く名前だな、と色々な種類の動物がいることが分かりました。今回はそのなかから1つ動物を選び、事前の下調べを行いました。調べた豆知識と、今自分が気になっていることをロイロノートでまとめて提出し、クラス全体で共有しました。

こうして調べた上で実際の動物に会いに行ったことで、よりしっかりと観察をすることができました。また、それぞれのマイアニマルについて共有することで、1人では気がつかなかったこと、調べなかったことに触れることができるので遠足当日も広い視野を持つことができました。

②班行動の準備

 遠足当日は指定エリア内で班別の自由散策となります。クラス替えから1ヶ月弱での行事なので、新しいメンバーでの活動が良いものとなるよう事前のコミュニケーションを重ねながら当日の散策ルート決めを行なっていきました。お互いのマイアニマルを見に行くことができるように配慮しながらルートを決める様子もあり、思いやりの気持ちも育まれていきました。

2、遠足当日

 当日は晴天に恵まれ、午前中はそれぞれの班ごとにアフリカゾーンで散策を行いました。これまで下調べをしてきたマイアニマルに出会えたときには、嬉しさのあまり思わず駆け寄る姿も見られました。同じ班の友だちのマイアニマルにも興味津々で、お互いの豆知識を披露しあって盛り上がっていました。

 しかし、複雑な道ではないですが、実際に班ごとに歩き出すとズーラシアの広大な敷地ではいろいろなことが起こります。「あれ?まだつかないな」「通り過ぎたかもしれない!」「あれ?○○さんがいない!」など、その度に地図をみながら班で話し合って解決しながら進んで行きました。

1年生の遠足でも班別行動を行いましたが、1年の頃よりも心も身体も成長し、コミュニケーション力も成長してきたことを感じます。こうした校外での経験が5年生宿泊行事のペンション分散宿泊や、6年生修学旅行の京都班別行動へとつながっていきます。

 昼食をはさみ、今度はズーラシア西側のエリアを3つにわけ希望するエリア別に自由散策を行いました。

 午前午後を通していろいろな動物と対面し、観察したり説明の看板を読んだりする中で、多くのことを学ぶことができました。マイアニマルのお気に入りポイントと他の動物のそのポイントを比較する表に記録をしていくことで、一層細かいところまで観察することができ、気づくことも多かったようです。特に本物のマイアニマルと対面した際は、調べた知識と自分で観察して発見したことが組み合わさることで、より深く動物について理解することができたようでした。

3、事後のまとめ

 学校へ帰ってきたあとは、アニマル新聞をつくろうという形式でまとめを行いました。実物をみたときの驚きや嬉しさなどを思い出しながら取り組みました。新聞なので「誰かに読んでもらう」ことが前提になっており、より真剣に取り組むことができたのではないかと考えます。

 行く前に園内マップを見ながら自分なりに疑問をもちそれを調べる、そして実際に現地で本物を見てより自分の考えや知識を深める、さらにそれをクラスで共有することで自分の世界をひろげていくという流れは、今後の探究の取り組みにも生きてくると考えています。

iPadで多くのことにふれることができる世界にはなりましたが、やはり本物にふれてこそ多くのことを学ぶことができます。新クラスのメンバーで充実した1日をすごすことができました。

 

【創造力・思考力】4年図工 「マイギター」

「あ!ギターだ!」今日から新しい題材にチャレンジする4年生は、教卓に置いてあるギターに気付きました。弦を弾くとギターの音が響きます。音を聞いた子ども達からは歓声が上がりました。ギターの基本的な形をみんなで確認した後に、どのようなギターをつくってみたいのかを絵で表現しました。好きな形、食べ物、キャラクターなど、様々なアイディアが生まれました。

 

子ども達は3年生の時にノコギリの使い方を学習しています。つくり始める前に、初めてノコギリを使って木を切っている当時の子ども達の写真をみんなで見ました。「木をおさえる方の手に軍手をするんだよ。」など、写真を見ながら、ノコギリの正しい使い方を確認しました。(以下の写真は、提示した3年生の時の写真です。)

 

 

いざ、ノコギリを使ってベニヤ板を切っていきます。お互いに声をかけながら安全に使おうとする姿が見られました。切り進めていくと「切にくいところがあって…。」「どうやって切ったらいいですか?」という声が聞こえてきました。みんなでノコギリでは切りにくい場所を見てみると、曲線や角などのノコギリでは刃が通らない場所が切りにくいことに気付きました。「でも、僕切ることができたよ!」という児童がいたので、みんなの前で切り方を教えてもらいました。何度もまっすぐに切りながら、少しずつ曲線を切っていく方法や、ノコギリの刃を少し曲げながら切る方法などを教えてくれました。困難にぶつかった時に、自分なりの答えを導き出した子ども達に感心しました。

 

 

「みんなが使っているノコギリとは違う形のノコギリもあるんだよ。」と糸ノコギリを紹介しました。糸ノコギリは、刃が糸のように細いのが特徴です。今までのノコギリでは刃が通らなかった場所でも、切り進めることができます。「大井先生、早く言ってよ〜!」「本当だ!カーブも切りやすい!」糸ノコギリの特徴や得意なところを体感していました。自分が切りたい場所に合わせて、ノコギリの種類を使い分けながら切り進めていきました。丁寧に木を切って形をつくる子や、大きいギターに挑戦した子、切った木を組み合わせて形をつくる子、こだわって着色した子など、自分が表現したいことに合わせて、つくり方を工夫することができました。

 

 

ギターの見えてきた子ども達は、いよいよ音が出る仕組みをつくっていきます。今回はプラスチックコップを接着し、その中に弦(テグス)を張ります。プラスチックコップにキリで穴を開ける時の力の入れ方、テグスの結び方、接着剤が乾くまでズレないようにするための工夫など、様々な技能が必要となる工程です。「何回やってもうまくできないよ〜。」という声も聞こえてきます。すると「あ、私できるよ!」「ここはね、こうやってやるとうまくいくよ。」など、自然と助け合う姿が見られました。自分の知識や技能を友達のために発揮することもできました。弦を指で弾くとポーンと綺麗な音が聞こえてきました。子ども達も良い笑顔です。「見て見て〜!」とギターを見せに来てくれた子。弦とギターの間に木材を挟んでいました。木材を挟むことで弦の張り具合を変え、音を変える工夫が生まれました。ギターの形から、目には見えない音に注目し工夫を始める子ども達。

 

 

材料を見ながら何やら相談している二人組。話を聞いてみると、ギターづくりの経験を活かして「二人で弾けるギター」をつくりたいとのこと。角材を直角に固定するのにも一苦労。試行錯誤から自分たちなりの答えを導き出す姿に感心しました。弦をおさえながら弾くことで、音階を奏でることができることに気付いた子もいました。隣の図工室の外から音が聞こえてきます。音階をメモに残しながら、音をひとつずつ繋ぎ合わせ、作曲をしていました。演奏風景を動画に残していたので、演奏風景をみんなで鑑賞しました。

 

 

「みんなを呼んでライブしよう!」と提案した子。スタッフを募集し、チケットをつくったり、廊下にあったパネルを組み合わせ、ライブ会場を設営したり、みんなに協力してもらいながら準備を進めます。開場の時間に合わせて、ライブ会場に集まってきます。拍手とともに、練習したジングルベルを演奏してくれました。途中演奏が止まってしまった時も、「大丈夫、大丈夫!」と声をかける子もいました。アンコールのきらきらぼしまで大盛り上がりで幕を閉じました。

 

 

クラスの中には、一つひとつの工程にこだわりながら、じっくりギターをつくっている子もいます。教卓にはiPadが置いてあり、制作工程を撮影した動画や、授業のポイントをいつでも振り返ることができるようにしました。一人ひとりの制作ペースを大切にしながら、自分で学習を調整しようとする子ども達の姿も見られました。

 

 

完成したギターは、第55回神奈川県私立小学校「児童造形展」にも出品しました。一人ひとりの個性が輝く作品を、来場者の方々に見ていただきました。

 

 

図工では、子ども達の「やってみたい!」という気持ちを大切にして授業を行っています。表現を通して自分の気持ちに気付き、それらをどのように伝えるかを考えたりする「思考力」、また学んだ知識や経験、自分の感性や想像力を働かせて新たな価値をつくり出す「創造力」の育成を目指しています。自分らしい表現を見つけようと試行錯誤する経験が、変化が著しい社会へと一歩踏みだす力となることを願っています。

 

【思いやり・思考力・エージェンシー】PC科 デジタルネイティブが学ぶ、デジタルシティズンシップ

今の子どもたちは、生まれたときや物心がついたときには既にインターネットやパソコン、スマートフォンが身近にあった世代で「デジタルネイティブ」と言われています。

デジタルネイティブの子どもたちは、インターネットを駆使して様々な情報を集めることができ、多様性を受け入れる特徴などがあります。その一方で、情報リテラシーが低く、ネット情報を鵜呑みにしてしまうことや簡単に他者を傷つけてしまうことなどがあり問題になっています。

iPadを全児童に導入している本校のPC科では、iPadの使用方法とアプリ・シンキングツールなどの活用方法を学んだり、また問題解決に向けて必要な情報を収集し選択判断を適切に行い、プログラミング的思考の情報活用能力を育んだりしているだけでなく、その2つ加えて、情報リテラシーやネット情報の扱いに対して必要な『デジタルシティズンシップ』を育んでいます。

※デジタルシティズンシップとは、ネット上での健全な市民意識を育むことと情報の選択判断を適切に行うことで、責任ある行動を取り安全で円滑なコミュニケーションをとることができるようになるものです。

加えて、以前の情報モラル教育では、トラブル抑止のため、ICTの危険性を教え、守るべきルールを先生から提示されていました。新しい情報モラル教育では、ICT活用を前提として子どもたちが主体となり必要な場面を自ら考え、判断して学ぶものになっています。

以前の情報モラル教育が、受動的でデジタル社会の負の側面を教えていく傾向があるのに対して、新しい情報モラル教育は、子どもたちが主体となり、自律してICTを使えるようになるための資質・能力を養う教育です。本校も新しいスタイルで取り組んでいます。

ここからは、4~6年生に導入しているDQワールド(ブラウザ)を使ってデジタルシティズンシップを学んでいる様子を紹介します。

デジタルシティズンシップには8つのスキルがあり、今回はその1つの「プライバシーの扱い」になります。

①各自がDQワールドを視聴することで「プライバシーの扱い」について学習します。デジタルネイティブの子どもたちは動画から情報を収集することが得意です。

②各自が得た情報をシンキングツールにまとめ可視化します。

そのあとに友だち同士でこのシンキングツールを共有してブラッシュアップを行います。

③②のシンキングツールを基にまとめの文章を作ります。

ここでは情報の選択をしながら、自分が伝えたいものにまとめていきます。

④自分が伝えたいものをポスターという形でアウトプットします。

アウトプットツールとして、CanvaやPages、ロイロノートを使用しています。

①~④により、子どもたちはインターネットの世界での「プライバシーの扱い」について、それはどういうものなのか、そしてどんなメリットがありどんなデメリットがあるのかを学習しました。つまり、知識として身につけました。

今回の学びのプロセスは子どもたちが主体となって取り組んでいるので、子どもたちがこの知識を今後どういかしていくかが大きなポイントになってきます。つまり、「プライバシーの扱い」を分かった上で、どう判断し行動するかということになるのですが、6つのキーコンピテンシー(特に今回は、思いやり・思考力・エージェンシー)を学んでいる子どもたちは上手に判断し行動してくれています。

 

 

 

 

【思考力・チャレンジ力・メタ認知力】 体育の探究的取り組み

1年「鉄棒を使った運動遊び」

逆さ感覚や回転の間隔を身に付けやすい低学年の間に、いろいろな鉄棒を使った遊びを経験させたいと考えています。

①ぶら下がる②飛び上がる③下りる④揺れる⑤回る 遊びを通して、巧みに体を使うことを体験していきます。

①「ぶら下がり」

鉄棒の正しい握り方を学び、自分の体を2本の腕で支えることを行いました。最初は5秒でしたが、「もっと秒を増やして!」とチャレンジしました。「豚の丸焼き」では数の数え方も工夫し「1・2・3・4・5 チーン出来上がり!」と楽しい声掛けも出てきました。

②「飛び上がる」

鉄棒を握る幅について学び、「つばめ」を行いました。1段の高さから始め、2段、3段と高さにチャレンジしていた人もいました。

③「下りる」

逆さ感覚を身に付け、手を離す「こうもり」を行います。最初は怖くてなかなか手が離せなかった人も「がんばって!」という友達の励ましで手が離せるようになりました。「こうもりじゃんけん」では友達とタイミング合わせてこうもりを行い、その状態のままじゃんけんを行います。ゲーム感覚で繰り返し行うことができました。

④「揺れる」

少し高い鉄棒で「ぶらんこ」を行いました。繰り返し行うことで、長い時間鉄棒にぶら下がれるようになっていました。

⑤「回る」

逆さ感覚を身に付け体を丸め、前後,左右に回ります。「足抜き回り(前後)」「地球周り(左右)」に取り組んでいきました。

①~⑤を使って工夫して鉄棒遊びを行いました。「こうもりブランコ」「コアラ」「ブランコきょうそう」等、楽しい遊びを考え行いました。シンキングツール「フィシュボーン」を使ってまとめをしました。

最初は怖かった鉄棒もお友達と一緒に行うことで楽しく行えるようになりました。技の習得だけでなく、「高い鉄棒で行いたい!」「もっとすごいことをしてみたい!」と工夫の幅も広がり、深い学びの実践につながっていきました。

3年「走・跳の運動(かけっこ)」

調子よく最後まで走れるような自分に合った課題を見つけ、動きを身に付けるための活動や工夫を友達に伝えられるような取り組みをしました。

①「かけっこを速く走るために考えたことをクラゲチャートに書いてみよう」

1・2年生までで学んだ速く走るためのポイントや、自分で考えたことをクラゲチャートに書き出しました

②「速く走るための練習方法を考えよう」

走り幅跳びの単元の時はより遠くに跳ぶための練習方法を教員が提示しましたが、今回は、50mのタイムを計った上で、タイムをより縮めるためにはどのような練習をしたらいいのかを自分たちで考え、オリジナルの練習方法を作成し、友達に紹介して一緒に取り組みました。より速く走るために繰り返し練習に取り組む姿や、より良い練習方法を探している姿が見られ、深い学びの実践につながっていきました。

③「振り返りシート」

自分たちで考えた練習を踏まえて、もう一度50mのタイムを計り、これまでの授業を通して良かったこと・改善していきたいことなどそれぞれが感じたことを振り返りました。

3年生の「かけっこ・リレー」では、今までの授業を自分たちで活かしていたり、より良くしようと学びを深めていたりする様子が感じられました。

5年「マット運動」

5年体育での探究的取り組みとして、器械運動の「マット運動」を紹介します。

①「チャレンジしたい技を見つけよう」

初めに「マット運動」の基礎的な運動感覚を高める活動をしたあとに、自分がチャレンジしてみたい技(以下、「チャレンジ技」)を決め、その技の完成に向けて活動を積み重ねていく授業を行いました。「チャレンジ技」の基準として、いまもっている力ではまだなかなか成功しない技とすることで個人個人のチャレンジを促しました。

②「チャレンジ技を練習しよう」

まずは、自分の「チャレンジ技」のポイント(学習シートに書いてあるもの)を見ながら練習をしていきました。この段階の技の精度としては、ポイントを何となく頭では理解しているけど、実際にやってみるとなかなか思うようにできないといった状態です。自分がどういう動きをしているのかイメージするのが難しいため、友達が伝えてくれるポイントのみが頼りになります。

③「ICTを活用し、自分の動きを分析しよう」

ある程度練習を重ねたあとに、ICTを活用し、iPadで自分が「チャレンジ技」をやっている場面を友達に撮ってもらい、それを見ることで、どう動き方を改善していけばよいのか考えていきました。実際に自分の動き方を撮って見てみると、具体的に直さなければいけないポイントが見えてきます。そのポイントを学習シート上で“発見したポイント”としてまとめていくことで、次に「チャレンジ技」の練習をするときに、自分が何を意識して取り組めばよいかわかるようにしていきました。

④「分析したポイントを意識して練習を繰り返そう」

練習→撮影→ポイント分析→練習→…の流れを繰り返していく中で、子どもたちの技の精度もぐんと上がっていきます。撮影することで新たな自分の課題をより具体的に発見することができ、次のチャレンジにつなげていくことができました。技の完成まで辿り着いた子もいればまだまだの子もいましたが、自分の具体的な課題を意識して練習していくことで、多くの子が自分自身のチャレンジ技の精度向上につなげていました。

課題を試し、また新たな課題を発見していく流れを大切にしながら、今後も体育の授業をとおして子どもたちの成長を促していけたらと考えています。