実践者:4年科学担当 塩原 一成
桐蔭学園小学校がアクティブラーニング型授業を取り入れて7年近く経ちます。子どもたちは、得た知識を言葉に変えて、「友だちに伝え」、「相手の意見」も取り入れる様子は、もはや日常です。そんな中、新型コロナウイルス感染症が広がった影響で2020年より教育方法もガラッと変化することとなりました。ICTの観点から見れば、「YouTubeで配信した1600本授業動画。」「1年生から6年生まで一人一台のiPadの配備。」「ロイロノートスクールを活用したアクティブ双方向授業の導入。」「各家庭とZoomでつないで実施されたオンライン授業。」と、少し前では想像しなかった変化が起こった2年間だったと思います。
科学を担当している身としては、この学びの場の変化は大変刺激的で、今こそ新しいやり方を取り入れ、子どもたちが今まで以上に科学に触れ、自分で科学の世界を広げるチャンスをつかんでほしいと思っています。
9月よりオンライン授業が明け、学校に来て、対面授業をすることができるようになりました。科学は実験をして、科学現象を直接目にして、自分の感じた思いや、自分の想像との違いをまとめ、次の不思議へとつなげていく教科です。
学校では、できるだけ実験をたくさんして、仲間たちとたくさん議論して、科学の世界を深めたいと思います。しかし、基礎知識が不十分な状態での実験や話し合いは、あまり効果がありません。そこで、「活動」と「知識」の二つを満たすために、コロナ禍の2年間で得た「新たな力」を使い、反転授業を展開しています。
①学校では、できるだけたくさんの科学活動を取り入れる。
もちろん基礎実験もしますが、「子どもたちが疑問に思った点を深堀する活動」、「新しい実験の導入」なども行っています。
②科学動画を作成し、自宅学習で基礎知識の向上を目指す。
基礎知識は、撮影した科学動画をロイロノートで配信し、児童たちは自宅で閲覧し、所定の課題に取り組み、提出する。 動画にすることで、何度も見ることができ、一度止めてノートに書いたり、飛ばしたりすることもできます。
【ものの温まり方の実践例】
①学校では、できるだけたくさんの科学活動を取り入れる。
ベーシックな実験ももちろん行いますが、この日は、アルコールランプがどうやってアルコールを吸い上げているのかを実験しました。ポンプなどの動力を使わずどうやって液体が上昇するのかは、興味深い点です。液体の色を変えたら吸い上げる速度が変わるか?アルコールにつける紙を変化させたら吸い上げる速度が変わるか?アルコールを吸わせるものが太いのと細いのではどちらが吸い上げるのが速いか?など、子どもたちはあれこれ実験し、それをiPadでまとめ発表しました。事前学習を行い、実験時間に余裕が生まれたことで取り組めた活動です。
②科学動画を作成し、自宅学習で基礎知識の向上を目指す。
授業で取り組んだ分野の問題プリントをロイロノートで配信します。科学用語確認問題、漢字問題、記述問題など出題しました。下のように子どもたちからどんどんロイロノートで提出されてきました。
配信した問題プリントの解説動画などをロイロノートで配信します。問題の解答はもちろん、どのような表現が良いか、次の実験の注意点なども入れ込みます。これを見れば、問題が理解でき、次回の実験のポイントなども意識することができます。動画は10分程度で作成しました。
家に帰ってからの時間や、土日などの休日に、問題に取り組んだり、その解説を見たりすることで、限られた学校での時間をより効率的に活用することができるようになりました。
子どもたちも、この「反転授業の良さ」と、「この取り組みで気を付けること」が理解できたので、とても助かっています。学校でみんながいないとできない活動をたくさんすることができることが、大変いいところです。より効果を上げるためには、動画や課題に取り組まないと成立しないという点を十分に配慮し、気を付けなければなりません。
4年生の子たちは、よく理解し、前向きに取り組んでくれていてありがたいです。