創造力」カテゴリーアーカイブ

【思考力 創造力 チャレンジ力】科学『夏休みの自由研究』

毎年、3年生以上の科学では夏休み中の自由研究を課題として出しています。夏休みの自由研究がどの課題よりも大変。テーマが決められなくて困っている。関わる保護者も大変という声をよく耳にします。大変、難しいと思う理由の1つに物事に対して常に「なぜだろう。不思議だな」という感覚で観る習慣がないことが原因ではないかと思っています。何事もそうですが、習慣化されていないことを急に取り組もうとすると無理が生じてしまいます。科学では、こちらがすぐに答えを提示してしまうのではなく、「なぜだろう。不思議だな。」という目を日頃から育てるように意識しながら授業に取り組んでいます。そして、その疑問や不思議に感じたことを、そのまま通りすぎてしまうのではなく、立ち止まって調べる、考える、追求することを習慣化できるように授業内でも重要なポイントとして位置付けています。

自由研究は、子ども自身が興味や関心、不思議に思うことを追究し、世界を広げていくことが目的です。見栄えや出来にだけこだわってしまいその広がりこそが、豊富な知識の獲得と広い視野が育っていくものと考えています。

5年生の科学では今年も夏休みに自由研究に取り組みました。3年目ということもあり、子どもたちのテーマ設定や研究の手順やまとめ方にも上達がみられています。

毎年テーマ設定に悩む児童もいれば、新しいテーマに「今年は何にしよう」とワクワクしている児童もいます。そんな中、1年生から1つのテーマで研究を続けている児童がいます。

研究テーマ『ニワトリの観察』 5年3組 小林 めぐみ

1年次 「烏骨鶏のお母さんとひよこのかんさつ」

第2部 2年次「烏骨鶏のお母さん、お父さんとひよこのかんさつ」

第3部 3年次 「卵からひよこがかえるまでのかんさつ」

第4部 4年次 「ニワトリの種類とらんかく色の観察研究」

第5部 5年次 「ニワトリの卵の観察」

1年生か5年生にかけて第5部にわたるニワトリの研究ですが、研究を重ねていくことで興味の幅がより広がっているのが研究内容から見て取れます。この研究のスタートはお父様から「ニワトリを飼ってみないか。」という勧めがあって。1年生の時は、単純に可愛いという理由からはじめたものが、研究をしていくといつも同じ状態ではないことに気が付いたそうです。その状態の変化を感じたことで、ニワトリの成長やニワトリのことをもっとよく知りたいと思うようになっているようです。そして同時にニワトリの不思議や謎がたくさんあることに気が付き、その謎を解き明かしていくために研究することが楽しくなっているとのこと。小林さんにとって、ニワトリは今となっては大切なパートナーと言っているほど家族同然の存在です。今後の研究は現時点では未定ではありますが、「ニワトリ同士のいじめについて」「卵を突然産まなくなった理由」「ニワトリのすごい能力」について研究してみたいとお話してくれました。まだまだ小林さんの研究は続いていきそうです。

 今回はある児童の自由研究の1例をご紹介しましたが、子どもたちの中の探究心を揺さぶり、その探究心をもとに幅広い視点で物事を見つめ、思考力、創造力を育てていくとともに、新たなやりたいことを見つけ出しやり抜く力、チャレンジ力も科学という教科通じて育てていければと思っています。

 

 

【思考力、創造力】 桐蔭学園小学校国語科の「探究」の取り組み

今回は、1年生と3年生の国語で取り組んだ『探究学習』の要素を取り入れた実践について紹介します。

≪1年生≫

4月の入学から9月までの学習を通して文字を書くことから始まり、文節を使った文章づくり、自分の体験を言葉にして表現する活動を行い、「まとめ・表現の力」の土台となる力を育成してきています。

「『は』『を』『へ』をつかおう」や「すきなことなあに」の教材を通し、文章を作る練習を行いました。子どもたちは、自分の思いや感じたことを簡単な文にまとめる活動を行うことで、自分の考えを整理し、言葉で表現する力を身につけていきました。

 

【夏休みの宿題「マイチャレンジ」】

夏休みの宿題として実施した「マイチャレンジ」では、ここまで学習してきた内容をいかし、児童それぞれが自分の興味や関心に基づいた挑戦を行い、その取り組みの様子を日記形式で記録していきました。絵が得意な子は毎日一枚ずつ絵を描き、その絵についての感想や発見をまとめたり、ランニングや体操に挑戦し、その結果や気持ちの変化をまとめたりする子もいました。これまでに経験したことのないような分野に挑戦することを通して、その過程で感じた喜びや困難を言葉にまとめたり、結果的にうまくいかなかったことについても、その経験から得た学びをふり返り、次にどうすればうまくいくかを考えたりと、探究的な問いを自ら立て、次の挑戦につなげていく様子が見られました。

【読解の中での探究的なアプローチ】

『やくそく』という物語の題材の中で、話の展開や登場人物の気持ちの変化に注目しながら物語を読み進め、グループでの音読活動に取り組みました。話の展開や登場人物同士の関わりから状況や気持ちを探究し、物語を自分なりに解釈することに挑戦しました。読み取って考えたことを表現するために、声の大きさや強さなどの使い方を工夫したり、「なぜこのような声で音読したのか」という理由を話し合ったりと、自分たちの表現に工夫を加えていきました。

また、物語の続きを考える創作文づくりの活動では、「この先、このあおむしたちはどうなるだろうか」を考え、物語の展開を自分なりに想像して創作文をまとめました。物語の背後にあるテーマやキャラクターの動機について深く探究する活動を通し、物語の中で問いを見つけ、登場人物や物語の未来を自分なりに考え、表現することに取り組みました。物語の続きを考える過程で、児童は自分なりのアイデアを形にし、それを他者に共有するという「創造的な学び」に取り組みました。

 

≪3年生≫

「言葉の探究」(自分のイメージに近い言葉を「頭の中の引き出し」から探す、探る試み、姿勢)

(1)単元『初めての国語辞典』で、自分で選んだ言葉を自分なりに説明する活動

「消しゴム」という物(言葉)の一つの説明として、「まど みちお」さんの『けしゴム』という詩を紹介し、物(言葉)の説明することのイメージを持ちました。

 

『けしゴム』 まど みちお

「自分が書きちがえたのでもないが

いそいそと消す

自分がよごしたよごれでもないが

いそいそと消す

 

そして、けすたび

けっきょく自分がちびていって

きえてなくなってしまう

 

いそいそと、いそいそと

 

正しいと思ったことだけを

美しいと思ったことだけを

身がわりのようにのこしておいて」

その後、「言葉当てクイズ」をしました。自分で選んだ物(言葉)について、①その言葉の意味を自分なりのイメージで説明→②その言葉の辞書的な意味の説明→③答え合わせという順で一人ひとりがクイズ形式で発表し、答えを共有しました。

(2)夏休みの宿題「夏を感じたものについて書きましょう」

教科書の「夏を感じたものについて書きましょう」について夏休み前に授業で読み合わせをし、各自が「夏を感じたもの」を詩や絵日記や説明文の形で書きました。その中では、1学期にやった「言葉当てクイズ」の学びを活かして文章をまとめてきたり、様子に注目し、擬態語などの表現の工夫をしたりする子もいました。

 

「台所から『シャクッ。』と何かを切る音がする。何だろう?」

と「音の『実況中継』」をして「聴覚」で感じたものを表現し、読んだ人の「聴覚」を呼び起こし、「何だろう?」で自分が思ったことを書き、それによって読んだ人にも「何だろう?」と思わせたり、答えを考えさせたりして引き込み、

 

「少し待つと、赤くてみずみずしいものが運ばれてきた。」

 

と今度は「視覚」に入ってきた情報を書き、読んだ人の「視覚」に「赤くてみずみずしいものが運ばれてきた」と様子を想像させ、

 

「私は『それ』を食べてみた。」

 

で読んだ人に「それで、どうだった?」と思わせ、

 

「うん、『シャキッ。』としていて夏にぴったりだ。」

 

と今度は「触覚・味覚」の感覚を表現し、「五感」のうちの「四感」で「夏の季節感」を伝え、最後に、「(『シャキッ。』としていて)夏にぴったりだ。」と「夏の季節感につながるまとめ」をしていました。

 

そして、「ウリ科の一年生つる草。水分に富んで、甘い。実は、夏の代表的な果物。」と辞書の説明も載せて、「スイカ」に「夏を感じたこと」を表現していました。

 

 

同じ「スイカ」の「スイカ割り」の観点から「夏はスイカ ザクザク食べて、種を『プッ』ってふき出すのがおもしろい。」という感じで「夏の楽しい季節感」を表現してきていた子もいました。

 

 

また、「そうめん」を

 

「暑い夏の昼。今日も食べたい白いめん。つゆに入れて、ツルツル食べる。口はさっぱり、冷たくなる。」

と「擬態語」も使ってイメージを表現し、「『暑い夏』に食べたくなる」という「冷たくてさっぱりした食べ物」で「夏の季節感」を表現していました。

 

また、「夏の海」で、

「岩についている藻を食べていました。」

という「魚の様子」を観察して書き、

「捕まえられそうだったのに、届きませんでした。またいると、いいです。」

と、その魚への「捕まえてみたかった…。」という想いを「事実」を書いて「またいると、いいです。」とダメ押しをして表現していました。

 

また、他の人が、「とんぼ」についても、同じように、「思ったより~だった。」という感覚を

「飛んだり、とまったり。なかなか飛ばないと思ったら、追い付けないくらいブ~ンと飛ぶ。」

 

と表現していました。

 

 

(3)夏の季節感を「五・七・五」の「十七音」で表現した(教科書に掲載されている)「俳句」の表現効果を考える

 

「閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声」

 

という松尾 芭蕉さんの句。季語は「蝉」だから、「夏」の様子・季節感を表現した俳句。

「蝉の声」という「音」は、「ハウリング」して、「エコー」みたいにその余韻が耳に響く。その「夏特有の騒々しさ」を、ただ「うるさい。」と大雑把にとらえて終わらずに、その余韻が消えていく感じを、「どこに消えていくのか?」と一歩踏み込んで「心の目と耳」で「探究」し、(周りが閑かだから?)「岩にしみ入っていくようだ…。」ととらえ、それを「岩にしみ入る蝉の声」と「十二字」で表現しているところにも気付きました。

また、「『蝉の声』と書いてあるのに、なんで『閑かさ』で始まっているのだろう?」ということを考えてみました。「蝉の鳴き声以外の生活音などがしないほど『閑か』だから、芭蕉さんは、蝉の声が岩にしみ入っていくように感じられるほど『蝉の声の余韻』に集中していたのではないか?」というような解釈になりました。

 

他にも、小林 一茶さんの句では、「夏山」の頂上に近付いてきて、「疲れた~。」とか「頑張るぞ~。」とよくある感想・気持ちを書いたのでは、どういう「疲れ」や「頑張る」気持ちなのかがわからないので、

 

「一足づ(ず)つに海見ゆる」

 

と「状況描写」をすることで、その「達成感」も「疲れ」も「あと少しだ。頑張るぞー。」という気持ちも合わせて「夏山登山で感じていること」を表していたり、

 

与謝 蕪村さんの

 

「菜の花や 月は東に 日は西に」

の句などは、「菜の花」の東に「月」が、西に「お日様」があると詠んでいることから、「菜の花」は、作者の視野いっぱいに咲いている情景が目に浮かぶ句となっていることにも気付きました。

 

さらに、そんな「夏の季節感」を書いた昔の有名な文章として、「枕草子」(清少納言さん)の

 

「夏は夜がすてきだ。月が出ていればもちろん、闇夜でも、ホタルがいっぱい飛び交っている様子。また、ほんの一つ二つ、ほのかに光っていくのもいい。雨の降るのも、また、いい。」

 

という季節感(現代語訳)を紹介。

 

「秋に感じるもの(秋の季節感)」も

 

「秋は夕暮れがいい。夕日が赤々と射して、今にも山の稜線に沈もうという頃~すっかり日が落ちてしまって、風の音、虫の音などがさまざまに奏でるのは、もう言葉に尽くせない。」

 

と紹介し、参考にしてもらいました。

 

こうした学習を通して、絵で表現することができる部分と絵では難しい部分があることを知り、言葉による表現の精度を上げるにはどうすればよいかを考えていきました。自分の見たもの、聞いたこと、感じたこと、考えたことなどを、どんな言葉を選んで表現すればよいか考え深めることで、(「子どもらしい」)、しかし「一歩踏み込んでみた」表現ができるようになってきました。

 

「夏~秋の俳句・詩(子どもたちの作品)」

〈夏〉

・暑い夏 アイスを食べて 元気出る

・くたビーチ サンダルさらわれ 砂だらけ

・暑い日は 涼しい風が いい感じ

・太陽が 雲にかくれて 涼しいな

 

〈夏 VS 秋〉

・太陽はジメジメと 風はヒューヒューと

どちらも負けてはいないが そろそろ

風の方が 強いんじゃない

いやいや太陽も 負けてはいない

 

〈秋〉

・風がヒューヒュー 涼しいな

夜の風は 気持ちいな

朝の風は寒いけど

それはそれで ちょっといい

・紅葉だ 木々に染み入る 秋色が

・雨の後 空いっぱいの うろこ雲

・おとなりの 声が聞こえる 風さやか

・夕暮れで 森の中から 鈴の音

・朝起きた。布団を取ると、少し寒い。

まだ寝たいけど、外に出る。

フューフュー風が吹く。

みんな長袖を着ている。

電車に入ると、温かい。

・さわさわと シロダモの実が おどってる

 

〈日常〉

・トントンと ほうちょうの音 聞こえるよ

・遠足で 時間割なし うれしいな

 

 

【創造力、思いやり、エージェンシー】2年生学校探検

4月24日(水)に、2年生が1年生に、校舎内の案内をして回る「学校探検」が行われました。2年生の子たちは1年生の時から、自分たちは入学してくる1年生にどんなことを伝えることができるだろうか、考えを深めていきました。幼稚園や保育園と小学校の違いを考え、伝えるためのメッセージカードを作ってみたり、学校のどんな場所を教えてあげた方がいいかを考えたりしていきました。そして2年生となり、実際に1年生が入学してきたので、1年生の時に考えたことを生かして学校探検に臨みました。

気持ちを思いやりながら計画を立てていきました。すると、まずは案内する1年生に自分のことを知ってもらわないと仲良くなれないと気付き、オリジナルの名札を作ることにしました。それぞれの好きなものや個性の分かる、素敵な名札が出来上がりました。この名札は、当日はシールにして胸に貼り、1年生に見てもらいました。

そして迎えた当日。2年生自身もきちんと案内できるか不安な気持ちもありましたが、学校探検を楽しみに待ってくれていた1年生が元気に迎えてくれるとすぐに仲良くなることができました。グループとなる1年生と一緒に、さっそく探検スタートです。

 1年生もはぐれないように手をつないだり、きちんと付いてきてくれたり、協力をしてくれました。廊下もきちんと歩いて、「ここは保健室だよ。けがをしちゃったり、ぐあいがわるくなったりしたら来るんだよ。行くときは先生にちゃんと言ってね。」「ここは体育館。雨の日でも運動ができるんだよ。」など、校舎内のいろいろな場所を、一生懸命紹介していました。1年生もよく話を聞いてくれました。校舎内の紹介が終わってスタート地点の教室へ戻ってきたら、一緒に塗り絵をしたり、折り紙を作ったりして遊び、さらに仲良くなれました。昼休みにはだるまさんが転んだをして一緒に遊んだり、1年生が2年生の教室に遊びに来たりする様子が見られました。1年生と2年生は同じフロアで生活しているので、この学びをきっかけに、これからも仲良く過ごしてもらいたいと思います。

 

【創造力・チャレンジ力・メタ認知力・思いやり】教育実践「音楽会」~みんなで一つの作品をつくりあげよう~

音楽会は、2月13日(火)~3月1日(金)に行われました。

インフルエンザなどの影響で1週ずれ込みましたが、何とか無事に終えることができました。

鼓笛隊と合唱団の発表において、学級閉鎖となった4年2組が参加できなかったことは、とても残念でした。

しかし、今年度は、コロナが落ち着いたこともあり、全学年の保護者の皆様に直接ご覧いただくことができ、子どもたちの喜びも大きかったと思います。ありがとうございました。

 

1年生は、「はるなつあきふゆ」と「きらきら星」を演奏しました。はじめての音楽会という中で子どもたちは1年間での学びを最大限生かして演奏に取り組んでくれました。「はるなつあきふゆ」では、季節ごとにイメージを持ち「強弱」という表現方法を一生懸命考え、「きらきら星」ではフレーズごとの旋律の特徴に合せて表現の変化を考え、歌と鍵盤ハーモニカで演奏しました。音楽会当日は、自分たちが学んだことを表現に生かすことが出来た素敵な演奏でした。

 

2年生は、「こぎつね」と「赤いやねの家」を演奏しました。昨年の学びに加えて2年生では「拍子」や「音楽の構成」などを学びました。その力を活かして「3拍子にのれるように」や「ABA構成のBの部分はもりあげたい」など2年生だからこそ出てくる音楽表現がたくさんありました。当日は、歌と鍵盤ハーモニカで見事にこだわりの音楽表現を実現してくれました。

 

3年生は、「山のポルカ」をリコーダーで演奏し、「赤いやねの家」「世界中の子どもたちが」を歌いました。曲想を思い浮かべて音色や声の出し方を工夫し、表情豊かに表現することに重点を置いて練習しました。少し難しい指使いにも慣れ、明るい声や優しい声など変化をつけて歌うことで、自分でイメージした雰囲気を伝えたいという思いがあふれる演奏になりました。

 

4年生は、「茶色のこびん」の合唱奏を行いました。授業で積み重ねたものを発表する、ということから、教科書の中の曲を選んでいます。リコーダーでは、息の使い方やタンギングのよる音色や響きに気を付けて、表現を考えました。拍にのって楽しい雰囲気で演奏し、歌うことができたと思います。また、子どもたちのサプライズ企画として、「2分の1成人式」も行いました。

こちらでは、子どもたちが保護者の皆様へ感謝のスピーチをし、「ありがとうの花」の歌をプレゼントしました。

 

5年生は、合奏「威風堂々」と二部合唱「気球に乗ってどこまでも」を演奏しました。合奏は耳慣れた旋律をリコーダーで堂々と演奏するために、タンギングや強弱をイメージして取り組みました。伴奏となる鍵盤楽器も単なる和音ではなく、行進曲をイメージして合わせました。合唱では歌詞の表現する世界をのびのびと歌うために想像を広げ、手拍子などで明るい雰囲気を作ってくれました。

 

6年生は、「いのちの歌」の合唱と合奏を行いました。合唱は、一人ひとりが歌詞の意味を考え、理解することから始めました。「人との出会い、共に生きていくことの喜びと尊さ」これをテーマに想いを込めて歌いました。

合奏は、楽器ごとに小グループを作り、お互いに聴きあい、サポートしながら練習を重ねてきました。譜読みの苦手な友だちのために、拍を言葉で刻んだり、オリジナルのカタカナ楽譜を作るなど、子どもたちの思いやりあふれた一面も見ることができました。

小学校生活最後の演奏は、とても良い記憶になったと思います。

 

合唱団は、「ペガサス」「リフレイン」「卒業の季節」の3曲を演奏しました。どの曲も、一つ一つの表現にこだわり「語頭」「語尾」の歌い方についてもたくさん考えて、子どもたちは素敵な音楽表現を披露してくれました。その中でも「リフレイン」はアカペラという難曲でしたが子どもたちは諦めることなく全力で練習に取り組んでくれました。その練習でのプロセスに大きな価値を感じる時間となりました、

 

鼓笛隊は、「ボギー大佐」「涙そうそう」「リトル・マーメイド・メドレー」の3曲を演奏しました。伝統的なマーチと、心にしみる歌、そしてミュージカル映画と、今までにない選曲でしたが、新しい世界にチャレンジしようとする様子が見られました。

今回の音楽会では、子どもたちはみな堂々と精いっぱいの自己表現ができました。これは、保護者の皆様のご協力はもちろん、子どもたち自身が、普段の授業をしっかり積み重ねてきた証です。

保護者の皆様に発表する、という目標に向かい、みんなで考えながら、協力して大きな家を築き上げるように音楽を作ってきました。

子どもたちにとって、大変大きな力になったと思います。

これからも、子どもたちのコンピデンシーの育成のために、音楽科は努力を重ねていきます。

 

【思考力・創造力】2年生国語「せつめいのしかたに気をつけて読み、それをいかして書こう 馬のおもちゃの作り方 おもちゃの作り方をせつめいしよう」

おもちゃの作り方を説明する時に「おもちゃの説明の本を写して終わってしまう。」「子どもたちが思ったように工夫をしてくれない」ということはありませんか?ここでは題材の工夫で楽しく文章を書くようになる授業の実践を紹介します。

 

①まず「馬のおもちゃの作り方」を読み解きます。

 「馬のおもちゃの作り方」で工夫しているところはどこでしょう?教科書を見ながら工夫しているところを見つけていきました。「写真や図がある」「まず、つぎに、それから等の言葉で順序を表している」「〇cmと長さが書いてある」「見出しがある」「最初に「読んでみたいな!」と思うような文がある」などを押さえました。

②次に、紙飛行機大会をしましょう。

 みんなで紙飛行機を折って各々で飛ばします。飛ばすときには「遠くに飛ばす」「長い時間飛んでいる」「曲がったり、急に上がったり、面白い飛び方をする」など、自分なりに目的を決めて進めました。最初は自分なりの折り方(個)、次に友達との相談もあり(協働)、最後は自分なりに折ること(個)にしました。こんなところでも「個」→「協働」→「個」の流れは活かされています。

楽しい大会が終わると、「どうやったの?」「教えて!」「見てみて!」と子ども達はみんなに伝えたいモードでした。「みんなの折り方を知りたいけれど、一人ずつ聞く時間はないね。」ということで、紙に書いて貼るということになりました。

 そこで「馬のおもちゃの作り方」の書き方の工夫を振り返りました。

③それから、文章のルーブリックを作成します。

 よりよく書きたい子ども達がポイントを押さえやすいようにルーブリックにまとめて、文章を書く際にいつでも見直せるようにしました。どこまでできるかな?は子どもたちと考えて、レベルという形で表しました。レベル②まではみんな書けるようにしましょう!を合言葉に頑張りました。

④最後に、作品を作ります。

 白い紙に自分で図や文章の配置を決めるようにしました。題名は「○○な紙飛行機」とすることで、他の子との差別化も図りました。紙飛行機なので、「図が書きやすいこと」「本の丸写しにならないこと」などのメリットを感じました。こちらの思いもよらないような工夫をする子ども達もおり、伝わりやすいようにどのようにするかを考えている様子がうかがえました。

 これで「おもちゃの作り方をせつめいしよう」の実践報告を終わります。

 

【創造力・メタ認知力】3年国語「組み立てにそって,物語を書こう」

3年生の国語で「組み立てにそって書く」を目標に,物語を作りました!

一つ前の単元,「組み立てをとらえて,民話をしょうかいしよう」で,「三年とうげ」を通して《起承転結》という物語の組み立てを学習しました。また,民話をさがして友だちに紹介する活動では,さがしてきた民話の起承転結を簡単にまとめ,友だちに紹介しました。

そこでの学習を踏まえ,物語を作ります。以前,「読んで,そうぞうしたことをつたえ合おう」の単元で「きつつきの商売」の続きを作成した経験のある子どもたちは,その時に味わった創造の歓びや友だちからの言葉の嬉しさを思い出し,とてもワクワクしている様子でした。

《起承転結》を意識するあまり,登場人物の行動ばかりに意識が向かい,心情の移り変わりが希薄になっては意味がありません。まずは,これまで学習してきた物語文を思い出し,プラスの気持ちやマイナスの気持ちに関わりそうな言葉をたくさん見つけました。

次に,物語のあらすじを考えます。その際,

①起承転結にそってあらすじを考える

②それぞれの場面で使いたい言葉(気持ちにかかわる言葉)を1つ以上あげる

ことを約束として考えました。

そして,このあらすじをもとに物語を作っていきます。骨組みを作ってから肉付けをしていったこと,また,そこに付随する気持ちを先に想像していたことで,すんなりと作品づくりに入っていくことができました。完成した作品を見ると,同じような出来事の羅列になってしまっている話や,オチや結びのない話がほとんどなく,起承転結を意識した作品にすることができました。

このあとは,実際に本の形にしてみんなで読み合います。作品づくりの前にそれを伝えたところ,あるクラスの児童から「ラーニングスペースに置いて,1・2年生にも読んでほしい!」という意見が出ました。他クラスにもその意見を紹介したところ,どのクラスも大賛成。どうやらそれも執筆意欲につながったようでした。ラーニングスペースに置くということで,予定していたよりもしっかりした形で本にすることになりました。そこで,ここから先は読書の授業で形にしていきます。子どもたちの言葉から,より多くの人に作品を見てもらう機会を作ることになりました。本の完成が楽しみです♪

 

 

桐蔭まつりをふりかえって

桐蔭学園小学校で 2回目の行事となる「桐蔭まつり」が12/ 2に開催されました。このおまつりは3年生以上の各クラスが低学年や桐蔭幼稚園生、保護者の皆様などを招いてそれぞれイベントを行うというものです。このおまつりの大切なポイントは子どもと大人がチームとなって開催に至るまでのプロセスも共にし、子どもの考えを中心に大人はサポートに徹するという視点です。三年生以上の子どもたちの企画段階から役員・代議員の保護者の方にも入って頂き10月から活動が始まりました。今年は 2回目ということもあり、昨年の経験をもとに一人ひとりの子どもたちの中にイメージがさらに広がっている様子でした。
例えば、3年生ではお化け屋敷の企画の中で「怖すぎると低学年が泣いちゃうかもしれないから教室を暗すぎないようにしよう」といった考えが出たそうです。そのほかの学年でもテーマに沿った空間を演出したり、レモネードスタンドという企画で小児がん支援プロジェクト・募金活動に取り組んだり、昨年どうしてもお客様に味わってほしく考えた中で実現出来なかったジェットコースターを実現させたりとそれぞれに昨年の経験を生かして広がった企画がたくさん見られました。また、これらの一つ一つの企画が桐蔭学園小学校が掲げている6つのキーコンピテンシー育成へと繋がっていきます。新たな企画への取り組みではチャレンジ力、創造力を磨き、低学年への配慮などが思いやりを育みます。昨年度のふりかえりからの新企画はメタ認知力を構築し思考することも必要となります。そして何よりお客様により楽しんでもらいたいと考える取り組みはエージェンシーを育ててくれます。これらのプロセスにこそ大きな価値があると感じています。
今年度は、低学年が保護者の方と一緒に来校することが出来たことから家族団欒といった暖かな光景をたくさん目にしたり、卒業生や転校生との再会の場になったりもしました。年によって変化していく桐蔭まつりが、来年・再来年とさらに変化していき、子どもたちにとっても子どもたちを支える大人にとっても幸せな一日となれる行事になっていくことを心から願っています。

 

ラーニングスペース

吹き抜けの広いフロア。珍しい虫や水辺の生物が並んだ、「磯畑水族館(通称イソスイ)」。窓際に展示された、化石や鉱物。思わずゴロンと寝転んで本を読みたくなるハンモック。そして、本棚に並べられたたくさんの本―。

 初めてラーニングスペースに足を踏み入れた時、筆者は思わず立ち止まって、キョロキョロと辺りを見回してしまいました。見ているうちに、気持ちがワクワクしてきて、好奇心の赴くまま、色々な物を見たり、手にとったりしたくなってしまう―。ラーニングスペースってずっと居たくなる不思議な場所だなあと、思ったことを思い出します。でも、それは筆者だけではなく、桐蔭の子ども達にとっても同じ思いのようです。

ラーニングスペースは休み時間になると、たくさんの子ども達で賑わいます。色々な生き物をじっと観察しながら、理科の磯畑先生に矢継ぎ早に質問をする子。床やビーズクッションに座り込んで、本に没頭する子。友達とおしゃべりしながら、新刊コーナーの表紙を眺める子。きっとどの子も、「Learning」(勉強)しているつもりは全くないでしょう。でも、ここでキョロキョロとする中で好奇心を広げ、自分の好きなことを自分で深める。この時間が、子ども達の自ら学ぶ力を育んでいることを感じます。筆者が本の貸出カウンターに立っていると、よく子ども達が本を読んで仕入れた知識を教えてくれます。「ねー知ってる?」と話しかけてくる子ども達の顔は、ちょっと得意げです。

読書の時間は、1年生から4年生までの子供達と週に1回のペースで行っています。このラーニングスペースを拠点として、自由に本を読んだり、読書から派生した様々な活動を行っています。

1年生は様々なジャンルの絵本の読み聞かせを楽しんでいます。影をテーマにした絵本を読み聞かせた時は、色々な影の写真を見ながら、何でできた影なのかを子ども達と予想しました。その後で、実際の影を探して写真を撮るためにラーニングスペースに移動しました。いつも見てはいるけれど、あえて意識して見たことはない、影。あえてそこにスポットを当てて観察する中で、子ども達は発見がたくさんあったようです。一つの物の影でも色や形が違うことに気がつく子どももいました。また、ラーニングスペースでは飽き足らず、自宅で色々な影を探したり、色々な物を組み合わせて面白い形の影を自分で作る子どももいました。

2年生は読み聞かせを楽しむだけでなく、本を使って興味のあることを調べることにもチャレンジしています。虫の顔の写真を集めた絵本を読み聞かせた時は、顔を見て、なんの虫か当てるクイズを楽しみました。その後で、図鑑などの本を使って、それぞれが興味をもった写真を使ってクイズを作りました。虫、動物、魚、などの生き物や、宝石などの鉱物。中には歴史上の人物を取り上げる子供もいて、子ども達の興味の幅の広さに驚かされました。

3年生は、言葉のない絵本を皆で楽しんだ後で、その絵本に言葉をつける活動をしました。同じ絵を見ても、そこにつける言葉は10人10色。語り方がナレーターの視点の子どももいれば、登場人物の視点で言葉をつける子どももいます。描かれる情景の捉え方も、皆それぞれで、「そういう見方もあったんだ!」と驚かされます。クラスで友達の作品を見る時間は、子ども達から「面白〜い!」という声や、時に笑い声の上がる楽しい時間となりました。

4年生は、幅広いジャンルの本に目を向けてもらうため、子ども達が自分ではなかなか手に取らないような本をあえて紹介する時間をとっています。先日はアフガニスタンに日本からランドセルを送る取り組みについての写真絵本を読みました。アフガニスタンの現状を通して、なぜ勉強をするのだろう、とそれぞれ考えました。勉強する、という子ども達にとって当たり前のことを、違う角度から考えてみる機会になったようです。

読書の時間は、一見すると国語のようですが、理科や社会、算数に図工に音楽…と全ての教科に通じるユニークな時間です。本や記事を自分で手に取り、読む。これはこの先、どんな事を学ぶ上でも、絶対に必要な力です。子供達が大人になってどんな道を選んだとしても、前向きに自ら学び続けられる人になってほしい。そんな願いを込めて、日々読書の時間を展開しています。

 

 

 

【チャレンジ力・創造力・思いやり・メタ認知】 ~4年宿泊行事 三浦~ 

7月17日(月)18日(火)に4年生の1泊2日の宿泊行事が実施されました。子どもたちは昨年度、野島青少年研修センターにて、初めての1泊2日の宿泊行事を経験しています。

昨年は、初めてということもあり、自分の事や泊まるということだけで精一杯だった子どもたちでしたが、今年は昨年の経験もあることから、子どもたちの姿にも少し余裕が見られました。その姿や、日々の子どもたちの様子をみて、もっと子どもたちが主体となって取り組むことができるのではないかと、初の試みである「宿泊行事実行委員」を立ち上げてみました。子どもたちの反応を見てみると、「やってみたい。」という子が多数上がり、実行委員の希望を募ったところ、希望者数は学年でなんと23名も集まりました。実行委員としては、人数が若干多いようにも感じましたが、まずは子どもたちの「やってみたい」という気持ちを優先し、23名で宿泊行事の具体的な内容を決めていくことになりました。

 

人数も多いということで、

【全体の企画・しおりを作成するチーム】

【ホテル、バス、公共の場所での過ごし方を考えるチーム】

【バスやホテルでの部屋での過ごし方やレクリエーションを考えるチーム】

の3つに役割を分担し取り組んでいくことになりました。

 

初めての経験でありながらも、朝休みや、他の休み時間に声を掛け合って集まったり、自宅で調べてきたことを持ち寄ったりと、子どもたち自身で、考え、協力しながら進める姿を目にすることができました。時には各クラスへ協力を呼びかけるなど、全員で宿泊行事を作っていく、成功させるという想いも伝わりました。特に、子どもたちが力を入れていたのは宿泊行事のしおりです。教員に行程を確認して、全くの白紙の状態からロイロノートを使って1ページ1ページ作り上げていきました。宿泊行事のねらい、目標、決まり、施設紹介、レクリエーションなど構成やレイアウトまで子どもたちだけで取り組み、ついにしおりが完成しました。学年会では、そのしおりをもとに、実行委員のみんなから説明があり、これで、宿泊行事の準備が整いました。

【8月17日(月)1日目】

当日は、通常よりも少し早い集合ではありましたが、子どもたちは全員笑顔。ワクワクして朝早く起きてしまった子や、ドキドキしてなかなか眠れなかった子もいたようです。大きな荷物を背に元気にバスに乗り込みます。1日目の最初の目的地は新江ノ島水族館です。

バスを降り、集合写真を撮ったあとは、グループ行動(調べ学習)と体験活動です。体験活動は前半後半に分かれての実施ですので、後半グループには集合時刻を伝えた後、別行動となります。

体験活動では、小さなビンの中にカラフルな小石を入れ、植物やプラスチックの魚を泳がせます。なかなか細かい作業で手こずっている子も中にはいましたが、1つだけのミニ水族館です。できあがった世界に、子どもたちの目もキラキラしていました。

グループ行動では、事前に新江ノ島水族館について調べてきたことをもとに、計画してきたことを確認しながら、見学(調べ学習)します。中には新江ノ島水族館へは家族で来たこともある子もいましたが、友だちと行動したり、水族館にいる生き物の種や生態を調べたりすることで、また違った楽しさを感じているようでした。

学校でお互いのやりたいことや行きたい場所を、事前にみんなで話し合ってきたものの、実際に現地に来たことで、計画してきたことをその場で変更することもあったと思います。自分の事だけではなく、グループみんなのことを考え行動していくということが今回のグループ行動でのおおきなねらいでもあります。どのグループもみんなが納得し、楽しめる方法を模索しながら時間いっぱい水族館を満喫することができたようです。

新江ノ島水族館を出て、いよいよ子どもたちが楽しみにしている宿泊先に向かいます。

ホテルに到着した後は、入館式を行い各部屋に移動しました。

ホテルでは、自分のことは全て自分でやらなければいけません。布団を敷く、荷物の整理、お風呂の準備、片付けまで全て自分たちで行います。時には、友だちと協力してやらなければいけないこともあります。順番を守ったり、我慢をしなければいけないこと、意見がぶつかることもあったことでしょう。その他、食事のマナーや、公共の場所での態度など、子どもたちの「自ら考えて行動する」場面をたくさん目にすることができました。

 

【7月18日(火)2日目】

2日目の目的地はソレイユの丘。ここでの活動はかなりの広範囲になるため、各グループ事前に施設マップをみながら話し合う時間を設けました。

当日は、とても気温が高かったため、グループ行動となると、子どもたちの体調管理を私たち教員が把握するのが難しいということもあり、急遽当初の予定を変更し、時間を区切って教員が子どもたちの安全を確認しながら活動することになりました。そのような、急な状況の変化にも子どもたちは理解を示し、話し合って予定を組み直している姿を見ることができました。

2日間の宿泊行事を終え、子どもたちがこんなにも主体的に行動し、何でも自分たちで解決していけるのかと改めて子どもたちの可能性、力を感じました。私たち大人は勝手な物差しで子どもたちの力を判断するのではなく、もっと子どもたちの持っている力や可能性を信じ、子どもたちに任せる、考えさせる、やらせてみるということが必要であると改めて実感した2日間となりました。

 

4年生も2学期がスタートしています。今回の宿泊行事で得た達成感や課題こそが、次へのやる気、行動力に繋がっていくことでしょう。今後も無限の可能性に満ち溢れた子どもたちを全力で見守りサポートしていきたいと思っています。

 

【子どもたちの宿泊行事のふり返り】

 

この宿泊行事で得た経験は、今後の学校生活や様々な行事にもきっと活かしていけることでしょう。2月には第2回宿泊行事を予定しています。子どもたちの更なる成長を楽しみにしています。

 

【創造力】 造形遊びの日

6月6日と7日に「造形遊びの日」がありました。この行事は、今年で12回目を数える図工科の行事です。素材ととことん向き合い、文字通り「遊び」ながらの造形表現活動を通して、児童の表現力を豊かにしていくことがねらいです。各学年の様子をご覧ください。

 

【1年生】  『いろみずあそび』 『おおきくかこう』

1年生は2本立てで行いました。『いろみずあそび』では水性絵の具と食紅を使用して、さまざまな色の調合に挑戦しました。何度も繰り返しながら色をつくっていくことで、色相、彩度、明度といったことを感覚的に感じられるようになっていったのではないかと考えます。『おおきくかこう』では、校内のスクールバスロータリーにある大きな壁にチョークでのびのびと絵を描きました。全身を使って表現する面白さ、楽しさを感じながら、壁いっぱいに絵を描くことができました。

 

【2年生】  『だんボールに はいってみると?!』

段ボール箱に触ったり中に入ったりして、素材の特徴を体で感じ取り、その特徴を生かしながら造形活動に展開していくことがねらいです。子どもたちは大小様々な段ボール箱から好きなものを選び、最初は中に入ってみたり、頭から被ってみたり、友達の箱と組み合わせたりしていました。しばらくすると、段ボールカッターで箱をどんどん切り始め、思い思いの活動に入っていきました。友達と協力して大きな家をつくる子や、乗り物づくりに挑戦する子、ロボットのようなものをつくって自分がその中に入って歩き回る子など、アイディアの豊富さに目を見張るものがありました。活動場所のラーニングスペースが、みるみるうちに子どもたちの熱気と造形物で満たされていきました。

 

【3年生】  『ひもひもオーナメント』 『ひもひもワールド』

3年生がとことん向き合う材料は「ひも」です。材料に触れながら「!」と「?」を大切にし、自分のやりたいことを見つけよう!と意気揚々に活動が始まりました。

『ひもひもオーナメント』では、自然のものとひも(毛糸)を組み合わせて“いい感じ”のかざりをつくろうという活動をしました。まずはみんなで、小学校の周りに落ちているいい感じの枝を探しにいきました。みんなでひもの結び方を確認し、つくり始めました。色の組み合わせを工夫する子、みんなで大きい枝に挑戦する子、枝を組み合わせて立体的な形をつくる子、活動はどんどん広がっていきます。手編みができる子の周りに集まって、自然と手編み教室も開店しました。ひもの結び方、ひもの可能性や美しさをみんなで共有しました。

『ひもひもワールド』では、「教室をひもで結び、変身させよう」を合言葉に、自分たちの教室の各所にひも(スズランテープ)を張っていきます。ものすごい勢いで教室がひもで埋め尽くされ、活動の場は教室の外まで広がっていきました。「クモの巣みたい!」「オーロラみたいだね。」「ここで寝転ぶといい感じ!」子どもたちのつぶやきも聞こえてきました。高いところは先生の力も借りて、子どもたちも大人たちも息を切らしながら取り組みました。心も身体も全部使って、終わった時はみんなヘトヘト…。最後の力を振り絞り、みんなで協力して片付けをすることができ、創造力だけではなく思いやりも発揮することができました。

 

【4年生】  『ここにいたい』

校内の身近な場所をお気に入りの場所につくりかえることがねらいです。材料は段ボールとガムテープというシンプルなものでしたが、子どもたちのアイディアで校内の色々な場所に「秘密基地」がつくられていきました。4年生くらいの児童にとって「秘密基地」をつくるのは大変楽しい活動です。自分たちの体くらいある段ボールの束を一生懸命運んでいる姿は、微笑ましくも頼もしい光景でした。お昼にはそこでお弁当を食べたり、友達の基地を訪問したりと楽しく過ごしていたようです。片付けには一苦労しましたが、この活動が身の回りの物事、さらには社会をより良いものにつくり変える将来への活動に繋がっていくことを願います。

【5年生】  『ミラクルレンズ』 『光と場所のハーモニー』

『ミラクルレンズ』では初めに、様々な材料が入ったファイルを子どもたちの机上に配布しました。「見て、眼鏡みたい!」「キラキラしているね。」など様々なつぶやきが聞こえてきました。仲間分けしているグループもありました。カラーセロファンやミラーシート、ホログラムシートなどの透過性や反射性のある材料を組み合わせて、レンズフィルターをつくる活動を提案しました。紙コップの穴の形を工夫した子、カラーセロファンを重ねて自分だけの光の色を表現しようとする子など、形や色を工夫しようとする子どもたちの様子が見られ、そのうちミラーシートを三角柱の形状に組み立てレンズをつくった子が現れました。途中結果をみんなで共有すると「わぁ、きれい!」「万華鏡みたいだね。」というつぶやきが聞こえてきました。試行錯誤を経て完成したレンズ。最後はiPadにレンズを装着し、屋外で光を撮影しました。

『光と場所のハーモニー』では、光と材料を合わせて、ハーモニーホールを変身させる活動をグループで行いました。ハーモニーホールに入ってきた子どもたちは、目の前の様々な材料や光源に興味津々でした。材料を自由に使うと思いきや、なんとチケットと交換制!一人2枚のチケットを配布した後、買い物が始まりました。この空間で光と組み合わせたときの様子を想像しながら、材料を吟味する表情が印象に残っています。友達の持ってきた材料と組み合わせることで、新たな表現を見付けることができたグループもありました。材料を返品しながら、様々な材料と光を組み合わせ、試行錯誤をしていく子どもたち。次第に自分たちが表現したいことが見えてきました。自分たちが考える和風を表現したグループ、海のような空間をつくりあげたグループ、なんだかホッとするような空間をつくりだしたグループなどがありました。中には寝転びながらボーっとしている子もいました。最後はみんなで鑑賞タイムを設けました。いつもとは違うハーモニーホールを堪能しました。

 

【6年生】  『学校のある場所を〇〇な××にかえてみよう~インスタレーションに挑戦~』

6年生は「インスタレーション」に挑戦しました。インスタレーションの定義はさまざまですが、今回は「空間ごと作品にしよう」をテーマにしています。難しいテーマではありましたが、普段は手元サイズの作品では考えない大きなスケールでの表現に取り組もうとしたことに意義があったと考えます。また、グループ制作も、自由度の高い題材である分、意見の食い違いなどがあり、それを乗り越えていくことも良い経験となりました。例えば文化祭など、進学後は授業以外でもグループ制作をする場面が増えていきます。自分の役割をみつけ、チームのためになにができるかを考えられるためにはこういった経験も生きてくるはずです。