月別アーカイブ: 2021年3月

3年 科学「音の大科学実験から生まれる子どもたちの発想力!」

生活するうえで、「音」は科学を理解するのにとても大切な要素です。音は、私たち人間にはコミュニケーションや表現方法として「言葉」や「音楽」として使われます。目には見えない「音」をどのように感じるか。身近なものを解き明かすのが3年科学の大切な要素です。

●糸電話による学習
「糸電話」という教材は、音を伝えるのに「糸」という一つの素材に絞ることで、特性に気が付きやすい教材の一つです。まずは、友だちと一対一で糸をどのような状態にすると、音が相手にうまく届くかを調べました。
2人で相談しながら「一番よく聞こえる状態」を目指して試行錯誤しました。
「糸をしっかり張ると良く聞こえる。」
「話しているとき、糸に触るとビリビリしている。」
「ゆるむとダメだね…」

   

そして、自然と「糸電話同士を合わせると、みんなで聞こえるんじゃない?」という意見が出ました。それは、糸が振動していることを実感するからこそ生まれる発想です。
「糸を絡ませると、みんなで聞こえるようになる!」

   

振動する糸によって声が相手に伝わるということを確認したら、次は、糸の素材を変えてどのように変化するか体験してみました。用意したのは「たこ糸(綿糸)」「銅線」「ビニールひも」です。それぞれ協力して制作し、思うまま実験をしては、結果をタブレットPCへとまとめていきます。

   

   

「銅線にすると、お風呂で話しているみたい!」「すごく響いてい聞こえるね」「土管の中みたいだね」「銅線がたるんでも少し聞こえる!」
「ビニールひもは音がきれいだ!」「クリアに聞こえる!」

      

自分の声がさまざまな素材を介して相手に届く感覚を得た子どもたちに、いよいよ本題を提示しました。

「今、話をしている先生の声は、どうやって君たちの耳に届くでしょう?」

 

●音の大科学実験
この問題に答えるために、次の実験を行いました。
①クラスの半分が一列に並ぶ。
②笛の音が聞こえたら、すぐに手に持っているスモックを上げる。
③その様子をタブレット型PCで撮影する。
実験班と撮影班を入れ替えながら、それぞれどのように音が伝わるのかを確認しました。

   

   

   

「笛の音が聞こえたら、すぐに振り上げようね!いくよ~」「ピッ!!」 バサバサ!
「おわぁぁ! 波みたいに順番に上げていく!その様子が動画でとれたぞ!」
「しまった!この角度の撮影だとわかりづらい!先生、もう一回やってください!」
実験での撮影方法の詳細は教えず、自分たちでどうやったら現象をわかりやすくGETできるか、試行錯誤するチャンスとしました。
「こっちの角度のほうが、全体が見えてわかりやすい!」「僕は一直線に映るようにするから、キミは真横から撮って!」「スローモーション撮影するとわかりやすいかも!」

実験は何度も繰り返し、音が伝わる様子を最も上手にGETできたものをロイロノートで共有し、みんなで分析し、考察を考えました。

 

●テストでの発想力
このように、子どもたちが実際の体験で感じ取った知識は、決められた問題を解決するだけでなく、ほかの発想を生み出し、応用していく「エージェンシー」につながります。

以下の問題は、3年生が3月に行ったテストの一部です。

この問題で重要な問題は(4)です。
「A君からD君の4人が同時に旗を上げるためには、先生と4人をどのように並べればよいか、図を描きなさい。」

実験を踏まえて、音が伝わる様子のイメージが強くついている子からは、新しいアイディアがたくさん出てきます。
まずは、「横に並べば、音は同時に伝わる」と、知識を変換することができたチーム。

   

縦に並ぶのではなく、「横に並べばよい」ということをテスト中に思いつき、しっかりと記述されています。
しかし、多くの子はこの発想では止まりませんでした。「この4人は本当に同じ距離なのか…。」と、さらに深めました。
そして、たどり着いた答えが以下のようなものです。

      

   

つまり、等距離になるように先生を中心に円を描くということです。

この思考までたどり着いたグループの考え方は、横一直線の解答から、まずは、少しカーブさせてくるようになっています。そして、「ハッ!」とひらめき、「先生から同じ距離の集まりは円になる!そうか、この答えは、『円を描く』ということなのだ!」というゴールにたどり着いたのでした。
実際に体験し、タブレット型PCで動画を撮り、みんなでじっくりと振り返る活動を通して、「音は空気が震えて、波のように伝わる」性質を持っているということを実感し、それを3年生ながらしっかりと活用することができました。この音の問題の正答率は80%を超えていました。

「見えないものを見えるように工夫する」ことで、子どもたちの身の回りにあるさまざまなものが不思議に見え、もっともっと知りたいという好奇心が湯水のように湧き上がってきます!

 

ラーニングスペース、拡大中!その1

2020年10月20日に、小学校に今年度からラーニングスペースができました、というご紹介をしました。
あれから5か月がたち、ラーニングスペースはその間もどんどん進化しています。どのような変化があったのか、ご紹介します。

まず、季節に合わせた飾りなど、ラーニングスペースは時期に合わせていろいろな様子に変わります。12月はクリスマス飾りでにぎわっていました。
保護者会役員の方々が飾ってくれた大きなツリーもありました。社会科資料コーナーの土器もクリスマス仕様です。

   

2月からはこちらも保護者会の役員の方々が立派なひな人形を飾ってくれています。なかなか家庭では見られないサイズで、多くの子どもたちが驚いていました。中には、「これに刺激を受けて自作した」という子もいたり、興味を持って雛飾りのことを調べたりした子もいました。

10月末はハロウィン飾りがあったり、お正月には鏡餅があったりしました。暖かくなってきたら花の飾りなども出していこうと思っています。一面の窓から見える景色の移り変わりとともに、季節を感じられるようになっています。

展示もかなり充実しました。ラーニングスペースは本を読むだけではなく、いろいろな刺激を受けてもらいたいので、子どもたちが興味を持ちそうなものを、教員がたくさん展示しています。
以前、教育実践でも取り上げた記事になった「いそはた水族館」もその一つですが、他にもたくさんの展示があります。
先程のクリスマス飾りでの社会の土器以外にも、社会関係では石器なども展示されています。地図もいろいろ掲示されており、電車の路線図などは子どもたちに大人気です。
また、古代米という、昔から食べられてきたお米の実物などもあります。

   

他にも珍しい石や、植物なども展示されています。石はポスターに貼り付けて写真と実物が見やすいように展示しています。植物は時期によって変わりますが、今はこんにゃくや春の七草などがあります。この春の七草は七草粥のセットに入っていたものなのですが、鉢植えに植えるとどんどん成長して、葉っぱがこんなに伸びました。

   

社会関係のものは主に玉井先生が、植物などは「いそはた水族館」管理人の磯畑先生がお世話をしてくれています。水族館と並んで大人気の展示です。
音楽科の先生にも協力していただき、電子ピアノも設置しています。こちらは自由に弾くことができるので、休み時間はいつも誰かのピアノの音が聞こえてきています。先生たちも時々弾きに来ていて、音楽の岩井先生がピアノを弾いて、まわりで子どもたちが曲に合わせて歌ったりもしています。

このように、ラーニングスペースはさまざまなことに活用される場所です。授業でも活用していますが、休み時間は他にもいろいろなことに活用しています。課外活動の練習などでも使い、図工科の作品展示にも活用しています。

   

この5か月間、ラーニングスペースはいろいろなことに活用され、その時々に合わせて大きく様子が変わってきました。
これからもラーニングスペースはどんどん変わり続けていきます。
こうした多くの活用があることから、校内の他の場所にも少しずつ、ラーニングスペースの機能が増えています。