月別アーカイブ: 2023年5月

【思考力・思いやり】2年遠足 (よこはま動物園ズーラシア)

2年生の遠足が、4月28日によこはま動物園ズーラシアで実施されました。クラス替えが行われたばかりの4月に実施された遠足でしたので、新しいクラスメイトと仲を深められる行事となりました。

ズーラシアは大変広い施設で、たくさんの魅力ある動物がいます。その園内のうち「サバンナエリア」を、自分たちで見たい動物のルートを決めて、回っていくことにしました。

まずは、「グループでなかよくこうどうしよう」を目標として、そのために気を付けたいことは何かを考えてグループ内で共有していきました。気を付けたいことを意識したことで、どのくらい時間がかかりそうかを計算しつつ、お互いが見たい動物を見られるように調節をして、動物を見るルートを決めていくことができました。

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当日は天気にめぐまれ、青空のもと実施することができました。班の仲間と一緒に見学をスタートし、サバンナエリアを巡りました。

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子どもたちは、目の前で見る動物たちに、「かわいい!」などの歓声をあげていました。また、「あっちに行こうよ。」「待って、まだ〇〇さんが来てないよ。」など、班での行動を意識した声掛けが行われていました。動物に夢中になるあまり、はぐれてしまう班もありましたが、先生たちがポイントごとに立っているので、近くにあるポイントの先生に相談しに行ったり、他の班の人から「あっちにいたよ」と教えてもらったりして、上手に合流をすることができました。みんなが安全に楽しく見学を終えることができました。

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お昼をとり終えたあとは、東南アジアの密林エリアという場所をクラスごとに見学して回りました。オランウータンやスマトラトラ、マレーバクなどの動物たちを目の前で見ることができました。ちょうど、インドゾウの場所では、ゾウが水浴びをするところを見ることができ、その迫力に子どもたちは釘付けでした。

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事後の振り返りでは、より仲良く班行動できるようになるために必要なことや、一緒に回った仲間への感謝の気持ちを書いていきました。これからの仲がより深まる楽しい遠足になったことが振り返りから伝わりました。

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【思いやり】6年生の「学校探検」を通して

4月26日に1年生と6年生とで学校探検を行いました。毎年行っている行事ですが、今回は「他者意識をもって、喜んでもらえる企画を考え、運営する。」を6年生のねらいに設定し、1年生は、「楽しみながら、学校の教室・場所について理解する。」をねらいに設定しました。

準備は、5年生の終わりから始めていましたが、担当の教員も変わり、本格的に準備を始めたのは、6年生になってからです。それでも新学期が始まってから、6年生が1年生を出迎え、学校生活について付き添う活動を行ってきたので、1年生も6年生に心を開き、休み時間になると、6年生の教室に遊びに来るくらいの関係が築かれているので、6年生も1年生の立場になって考えることができました。

6年生は、学校探検の次の日に日台交流の時間があったので、大きく2つのグループに分かれ、学校探検の担当をさらにいくつかのグループに分けて、話し合いました。コースを決める係は、密にならないように移動するコースを決め、シナリオ係は、スタートとゴールで演劇を入れて1年生が楽しめる内容を考えました。空き時間チームは、探検が早く終わったチームが時間を上手に使えるように、「折り紙」「ぬりえ」「なぞなぞ」を考えました。飾り付けチームも短い準備期間で、1年生の各教室の飾り付けをしました。

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学校探検当日は、残念ながら雨が降っていて、「裏庭」や「田んぼ」など自然を楽しみながら探検するコースは中止になりましたが、その分、それぞれの場所でミッションに取り組むことで、1年生が楽しく参加できるように変更しても、6年生がうまく対応したので1年生の笑顔も絶えませんでした。

戻った6年生は、学年で再度集まり、1年生とのかかわりについて振り返ります。

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振り返りでは、まず子どもたちが自由に書きました。以下は子どもたちが書いた振り返りです。

※水色は、「思いやり」がみてとれたところです。

1       自分が担当したこと、ここがよかったなあということ

・勇者役は、ちょっとはずかしかったけど、みんなが「勇者だあー!」って喜んでくれた。

・1年生と6年生が一緒に行動することによって、名前を覚えてくれたり、仲良くなったりしたのでよかった。

・飾り付けの時に、とても頑張って作っていたから、飾り付けチームとして貢献できたと思う。

1年生と趣味があった。

・1年生がちゃんと自分の質問に答えてくれた。

・作ったマップがわかりやすいって言ってくれた。

優しく接して、わがままにもつきあってあげた。

この企画で、さらに1年生との交流が深められたこと。小さい子に寄り添う大切さ。

トイレや水飲みの確認がきちんとできた。

1年生の要望を聞いてあげた。

2         自分が担当したことで、ここをもう少しこうしたらよかったなあということ

1年生が想像以上に活発で追いつけませんでした。そこは反省。

もうちょっと最初から声をかけられたらよかった。

トイレとか水分補給とかで、もっとたくさん声をかけてあげればよかった。

・もうすこし準備ができればよかった。

時間配分を気にしてあげればよかった。

もう少しミッションに時間をかけてあげればよかった。

もっとゲームを用意しておけばよかった。

もうちょっとゆっくり回ったほうが1年生が喜んでくれた気がする。

・自分の名前を覚えさせたほうが良かった。

もうちょっと遅く歩けばよかった。

3          全体の運営の振り返り

・みんなしっかりとやっていた。

・全体的には良かったと思う。

1年生に対してみんな優しく接していてよかった。

1年生がウルトラ楽しんでいたので良いと思う。

・劇など、うまくまわせていたと思う。

・よりよく学校探検ができるように試行錯誤していた。

・意外とマップ作りがスムーズにできた。

・集合時間に集まることができた。

・学校探検のストーリーとかすごかった。

4          相手の表情や反応はどうだった?

1年生は楽しそうだった。

リアクションがすごく激しく、わかりやすかった。

めっちゃ笑顔。

結構喜んでくれた。

時間が迫っていて、急いでハモホに行ったときは、いやそうな顔をしていた。

水筒をなくした(置き忘れた)のを気づいたときに落ち込んでたから、気をつければよかった。

5          その他

・すごく大変だったけど、思い出に残って楽しかった。

・最初は、お互い緊張していてあまり話せなかったけれど、自分から話してみたらだんだんと仲が深まっていったので、とてもうれしかった。

・写真をもっととればよかった。

初めて6年生という実感を持てました。ありがとう1年生!

・ぼくが担当した1年生から手紙をもらいました。

以上の振り返りの中で、1年生と話題を合わせたり、トイレや水飲みを気にしたり、歩く速さを1年生に合わせたり・・・と6年生のめあてである「他者意識をもって、喜んでもらえる企画を考え、運営する。」は、できた子が多く、またできなかった児童も振り返りで気づいていることから、今後の1年生との交流や他学年との交流でも活かしてくれることをしています。

今回の行事で、小学校の最高学年であるという意識が持てたことは、6年生にとって大きな収穫になりました。

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【思いやり】2023年 6年生の「台湾の小学校との交流」を通して

4月27日(木)に、台湾の小学校を迎えて、日本と台湾の文化交流を行いました。海外の学校を迎えての交流は、コロナの影響もあり、久しぶりの実施となりました。「台湾の小学生が来て、交流できる機会があるけれど、どうしますか?」と6年生全員に聞くと、「やります!」「やってみたい!」と前向きな言葉が一斉にあがりました。

6年生は毎年実施している1年生の「学校探検」があるので、学年を半分に分けて準備を進めました。「日本の文化について知ってもらうこと」を目標に定め、そのためにどんなことをすると良いのかと考え、すぐに活発な議論になりました。

海外の人に来てもらうときには、日本の文化について考える絶好の機会です。「そもそも日本の文化って何?」「台湾と日本の違いは何?」「日常生活の中で、日本らしいものって何だろう?」いろいろな問いが自然と湧いてきました。

「水道から出る水が飲めるって世界的に見ると当たり前ではないんだ。」「アニメやマンガは日本の文化として世界に知られているらしい。」「折り紙はどうだろう?」「日本の鉄道は台湾にも導入されている。」などと、調べていく中で自分たちの国に対する理解を進んで深めている様子がそこかしこで見られました。「ソーランは日本の文化としても、桐蔭学園小学校の特徴としても外せないのでは?」という意見も出て、みな納得していました。相手がどんな人たちで、どういった情報を求めているのか。どういったことをすると喜んでもらえるのか。目的がはっきりしていることで、自然と相手意識が子どもたちに芽生えていました。

これらの取り組みと並行して、教科学習でも「異文化理解」をテーマに学習しました。道徳では、道徳教材「フーバーさん」を活用して、世界の国々の文化や歴史についてどのように考えるのかを学びました。総合的な学習の時間では、現代のニュース映像を活用して「台湾」の人々の考え方や現在の状況を学びました。そういった教科横断的な取り組みもあり、自分たちなりに「楽しく交流する」には、相手について深く知ることが必要であるということを感じていました。

文化交流企画では最終的に、「昔遊び」「ソーラン」「アニメ・マンガ」の3つのカテゴリーでおもてなしをすることにしました。台湾の方たちが、心から楽しんでもらうためには、どんな準備が必要か、どんな工夫が必要か、など常に相手意識を持った話し合いが行われていました。

当日は、英語の授業でも学んだ英会話を活用して、一生懸命にコミュニケーションをはかりました。来校した32名の台湾の人たちを3つのグループにその場で分け、グループごとに3つのカテゴリーを回ってもらうこと。日本語で伝えれば簡単だと思っていたことも、初対面の、しかも日本語が通じない人たちに説明することは本当に大変そうでしたが、臆せず自分なりの言葉で誠実に説明し、理解してもらうことができました。

3つのカテゴリー別の場では、どのようにコミュニケーションをとればいいのか、とても困惑している様子も見られましたが、「おもてなしをする自分たちから話す方がいい!」との思いからどんどん交流が生まれ、どの部屋でも台湾、日本双方の子どもたちの笑顔にあふれていました。

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後半は、民生小(台湾)のオーケストラと鼓笛隊・合唱団が音楽交流を行いました。民生小学校はニールセンなどの本格クラシックから台湾民謡や「名探偵コナン」などの日本のアニメ曲まで演奏してくれました。鼓笛隊は、「マツケンサンバ」「Mela」などのJPOP、合唱団は「いのちの歌」「ほらね」などの合唱曲を披露しました。お互いに知らなかった曲から知っている曲まで、子どもたちは楽しく音楽を聴きあっていました。最後には「花は咲く」を合同で演奏し音楽の感動に包まれました。演奏を聴いていた台湾の保護者の方も「your music touched my heart !(あなたの音楽が心に触れた)」という言葉を言ってくださいました。音楽に国境はないという言葉をよく聞きますが、その瞬間を台湾・日本の子どもたちが見せてくれたように感じます。

『子どもたちの振り返りより』

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【思考力・チャレンジ】4年算数~大きな数~

桐蔭学園小学校で掲げているキーコンピテンシーのうち、「思考力」「チャレンジ」を育成するための、ある4年生の3時間分の授業について紹介します。

〇導入

4年算数の最初の単元は「大きな数」です。子どもたちは授業で習う前から日常的に様々な「数」を目にしています。導入は、なるべく子どもたちの馴染みのない事象から、「そうなんだ!」を引き出したいと思い、次のような問いをしました。

「地球上でもっとも多く生息している生き物は?」

すると、「人間!!」と言う子がいました。そして「いや、もっといるよ!」「だって、人間は70億人もいるんだよ!」「アリとか多そうだよ!」と子どもたちの方で想像を膨らませていました。「調べていいですか?」と言ってきた子がいたので、もちろんOKしました。調べている間にもあれやこれやと議論をしています。すると、「ナンキョクオキアミ」にたどり着きます。正確には、総重量でみると世界一数が多いとされています。なんと、総重量およそ10億トンです。1匹あたり2g程度なので、途方もない数が生息しています。子どもたちも「えぇ~!!!」と驚いていました。

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↑子どもが検索して出てきた情報

数の大きいクイズ

 他にも、「ディズニーランドはいくらで貸し切れるか?」や大きな数の定番「日本の面積と人口がいくつか?」をクイズ形式で問いました。

算数で大切なことの1つが、「子どもがいかに“数”に興味をもてるようになるか」だと思うので、それを引き出したいと考えています。

 

〇展開

大きな数の様々な見方を学習するために、まずは小さい数で3年での既習事項を振り返りながら次のように問いました。

「50はどんな数?」

これもやはりたくさんの意見が出てきます。

板書01

子どもが意見を出すときに大切なのは、何でも言ってOKの環境を作ることです。特に、4月の最初の段階でその環境を作れれば、自分のアイディアを生み出そうとします。先生が「それはどうかな?」と子どもの考えを取捨選択してしまったら、子どもは自分の考えではなく、「先生が求めているモノ」を考えようとしてしまいます。それでは既成概念を超えられません。今回でいうと「お父さんの年齢」や「タイヤのインチ数」などが出ました。「そういうのもありなの??」という子もいましたが、いいんです!!

 

さて、今回子どもたちから出た考えを2つに分類しながら板書しました。そして「君たちが出してくれた考えを右側と左側で分けて書きました。どう分けているでしょう?」と問いました。またしても子どもたちは様々なアイディアをぶつけてきます。一番多かったのは「計算しているかどうか」でしたが、タイヤのインチ数がその回答を邪魔してきます(笑)

答えは「ズバリ!“50”になるかどうか」です。

右と左に分けて書いていくと、どちらかが多くなって偏っていきます。すると子どもたちから「なんだか先生の板書がおかしいぞ?」や「先生、黒板のバランスが悪いです!」など、小さな疑問を持ち、「なんでかなぁ~?」とつぶやくと、「何か意味があるのかも!」と子どもたちは考え始めます。こういうところでも子どもたちの思考力をくすぐれればと思います。

 

そして、準備が整いましたので大きな数に突入です。

「640000はどんな数?」

「ただし、考えるのはさっきの左側「ズバリ!640000」になる数だよ」と焦点を絞ります。

個→協同→個のアクティブラーニングの流れにそって、まずは個人で考えを巡らせました。しばらくしてから班で意見を集約します。

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そして、

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〈600000+4000〉〈65万から1万を引いた数〉〈320000×2〉などの計算

〈1が64万集まった数〉〈1万を64集めた数〉などの単位量を決めてそれが何個分か考える

〈十万の位が6で一万の位が4の数〉などの位に注目する

〈6400000の 〉〈64の10000倍〉などの10倍や などの位を上げたり下げたりする

などの意見が出てきます。

その中で、間違っているものには「それはズバリ!の答えじゃないよ!」や「答え間違ってない?」など子ども同士で修正しあいます。子ども対先生で修正していくよりも、近くの友だち同士で話をすることで、一人一人が自分の考えがどうだったかをより考えやすくなることがあります。

ここでの考えを共有した後に、「自分の考えになかったものはノートに記録しておこう!」と伝え、そのノートを写真に撮ってロイロノートに提出してもらいます。うまくつかめていないような子には個別で対応します。

 

 

〇補足

このように全員で楽しみながら算数的思考を深めていけるように、提示や問いかけ・取り組み方を工夫しています。また、このあと出てくる3位数×3位数以上の計算も子どもたちがつまずきやすいところなので、虫食い算や計算アプリで取り組みます。計算力を高めるにはやはり数をこなすしかないので、苦手な子もチャレンジを続けられるよう個別対応していきます。