造形あそびの日

5月18日に「造形遊びの日」がありました。この行事は、今年で11回目を数える図工科の行事になります。「造形遊び」とは学習指導要領の中にも記載がある図画工作科の領域のひとつです。素材ととことん向き合い、文字通り「遊び」ながら造形表現活動を通して、児童の表現力を豊かにしていくことが目的です。本校では「五感を育む」をテーマにこれまでの活動を行ってきました。

【1年生】『つちとなかよし』『ならべてならべて』

image1

『つちとなかよし』では、実習田を使って土遊びをしました。始めは「ギャー!」という声が聞こえてきましたが「気持ちいい!」という声も次第に聞こえてきました。最後は、座ったり、寝転んだり、体全体で土を感じていました。

『ならべてならべて』では、10100個の紙コップをならべて遊びました。山のように高く積み上げた子、たくさん重ねてみるとクネクネ動くことに気付いた子、自分の周りに高く積み上げて出てこられなくなってしまった子、様々な「やってみたい」が生まれました。

【2年生】『だんボールに はいってみると?!』

image2

平らな段ボールを箱にするところから子どもたちの活動がスタートしました。段ボールカッターで思い思いに切り込みを入れたり、カラークラフトテープで飾りつけをしたりしているうちに、どのクラスでも友達と自分の作品をつなげて巨大化するグループが出てきます。その一方で、あくまでも自分のつくりたいものを追及する子たちもいます。そして、教室は見る見るうちに家や乗り物、お店屋さん、プラネタリウムといったものたちで埋め尽くされていきました。子どもたちの「見て!見て!」という笑顔が眩しい時間となりました。

【3年生】『ひもひもワールド』

image3

「教室をひもとテープで変身させよう」を合言葉に、子どもたちはグループごとに自分たちの教室の各所にひもを張っていきます。仲間たちと目指すべき光景を思い浮かべながら、一本一本ひもやテープを手で結んでいく様子は、まるで職人さんのよう。普段は日用品として使用されているひもやテープが、環境を美しく変化させるアート的な材料になることも子どもたちにとっては新鮮な経験であったと思います。足元にも張り巡らされたテープは足をとられて危ないように見えましたが、子どもたちは不思議とひっかかりません。さすがです。

【4年生】『いつもの場所を包んでみよう』

image4

新聞紙でいつも自分たちが使用している教室を包む活動を行いました。

世界各所の観光スポットを布で包んでしまうことで有名なアーティストのクリストは、「アートはJOYとBEAUTYだ」という名言を残しています。包むことで、日常の世界を非日常へと変える活動を通し、子どもたちにも大人数で取り組む造形の楽しさや迫力に触れてもらえたらと考えています。

子どもたちは思い思いに机や椅子などを組み、教室内に起伏をつくりながら包んでいきました。新聞紙という単一素材ですが、無限の想像力により洞窟、滑り台、お化け屋敷など多様な空間が広がっていきました。

【5年生】『光と場所のハーモニー』

image5

光と材料を合わせて、ハーモニーホールを変身させる活動を行いました。子どもたちの前には様々な材料や光源が並んでいます。まずは思い思いに材料を手に、光の前に置いていました。予想外の光の表現に驚く声も聞こえてきます。次第に、ペンを使って着色し始めるグループも出てきました。様々な材料の特徴を生かしながら試行錯誤している様子が見られました。様々な色の光をならべて児童が思う「いい感じ」を見つけることができたグループや、キャンプファイヤーをつくり、なんだかホッとするような空間をつくりだしたグループなどがありました。最後はみんなで鑑賞タイム。いつもとは違うハーモニーホールを堪能しました。

【6年生】『世界をかえてみようーインスタレーションに挑戦ー』

image6

絵画や彫刻のように、アートのジャンルの1つに「インスタレーション」というものがあります。比較的歴史の浅いジャンルにはなりますが、現代美術の表現手法としては地位を確立しており、「作品単体ではなく、空間を含んだ造形表現」を行うことが特徴です。

今回は、グループごとに慣れ親しんだ校舎から1箇所を選び、自由にイメージをひろげていきました。教室を宇宙にしたり、廊下が水族館になったり、階段が巨大な滑り台になったり、日頃の授業ではできないさまざまな表現が生まれました。

空間を演出することは、今後中高生活や大人になってもさまざまな場面で必要な素養になります。そういった時に今回感じたことが少しでも生きれば良いと考え題材を設定しました。

ICTが発達した現代社会を生きる子どもたちだからこそ、泥んこ遊びをしたときの土の暖かさ、新聞紙をちぎったときの感覚、友達と夢中になってつくった形の面白さなど、手触りのある、暖かい感覚を大切にしていってほしいと願って題材設定をおこなっています。普段の図工室の授業ではなかなか実施しづらい規模の大きな活動を通し、そういった造形感覚はもちろんのこと、人と協力しながら表現する喜びなども味わってもらえればと考えています。