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「改革へ!①~新しい小学校になるために~」

桐蔭学園小学校 教育研究推進部

 私たち桐蔭学園小学校教員は、『真の「生き抜く力」を養い、使命感溢れるリーダーとして、主体的、能動的に未来を開き、世の中に貢献できる人材の育成』を目指し、改革を行っています。そのために、児童主体の活動を重視し、授業や生活の中でコミュニケーション能力、責任感、企画力、そしてリーダーシップを養うための教育活動を展開しています。その実現のためにカリキュラムマネジメントを実行しています。
マネジメントの流れは、(カリキュラム・チェックリスト作成)➡(長期的ルーブリック作成)➡(課題ルーブリック作成)です。これにより、「思考・判断・表現」「深い学び」をきちんとアセスメントします。
現在では、小学校が子どもたちの資質能力として育みたい「6つのキーコンピテンシー」について「カリキュラム・チェックリスト(行事版)」と「カリキュラム・チェックリスト(教科版)」が作成できました(下参照)。それと共に「長期的ルーブリック」を作成しています。この「長期的ルーブリック」を基に教科ごとの「課題ルーブリック」も同時進行で作成しています。実践を重ね完成に向けて今後も取り組んでいきます。
カリキュラム・チェックリストとは、「6つのキーコンピテンシー」のどの項目と関連するかを一覧表の形で示したものです。このカリキュラム・チェックリストによって、「6つのキーコンピテンシー」の各項目が、具体的にどの項目によって実現されるのかがわかります。

行事編
(カリキュラムチェックリスト行事編)
※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

行事編
(カリキュラムチェックリスト教科編)
※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

 

使いこなそうシンキングツール!(T3の取り組み)


(桐蔭学園小学校教諭 大塚 愛実)

桐蔭学園小学校では、子どもたちの「深い学びを実現する」ための方法の一つとしてシンキングツールを導入しています。それにあたり、2020年度9月より「シンキングツールタイム(T3)」を設けました(内容の詳細は、教育実践「子どもたちの深い学びを追求!~シンキングツール導入の全体像~」をご覧ください)。この時間はシンキングツールの使い方を学ぶことを目的としており、1・2年生は週1コマの授業時間に、3年生以上は朝学習の時間(週2回)に行っています。シンキングツールを活用する場を多く設け、身近なことをテーマにして、ちょっとしたことでもシンキングツールを用いて考えていくことで、考えが広がったり、深まったりして、意外な発見もあることに気づく子どもたちも多く見受けられます。

シンキングツールタイム(T3)では、段階を踏みながらシンキングツールの使い方を学んでいます。最初は、シンキングツールの使い方について学びます。身近なテーマについて、子どもたち自身の考えをシンキングツールに書きこみ、思考の整理をします。これまで漠然と考えていたことも、シンキングツールに書き出すことで思考を可視化できるようになり、これまでよりも自分の考えを整理し、まとめることができるようになりました。そして、自分の考えが整理されたことで共通点や相違点、関連することに気づくこともあり、さらに新しいアイデアが生まれて考えが深まっていきます。
例えば、「外遊びと室内遊び」についてベン図を使いました。相違点と共通点を見つけやすくするシンキングツールなので、外遊びと室内遊びの種類を挙げていくうちに遊び方の違いに目を向ける子もいて、思考の広がりが見られました。また、どちらも「友だちと一緒に遊ぶことで一層楽しくなる」「遊びを通して友だちとつながることができる」などの共通点も見つけることができました。また、外遊びも室内遊びも「ルールを守ることが大切」ということも挙がり、提示されたテーマについて深く考えようとする姿が見られました。

一通りシンキングツールの使い方を学ぶと、次は、テーマに沿って自分の考えを説明する文章を書きます。その後、シンキングツールを使ってその文章に書かれている内容を整理して考えを再構築し、それを反映する形に文章を推敲するという流れで進めました。この取り組みでは、自分自身の書いた文章の変化にも気づけるようにしました。この取り組みによって、文章量が増えたことや、わかりやすく整理できたこと、具体例や関連することを明確にしながら論理的に説明できるようになったことを子どもたちは実感し、手ごたえをつかみました。

      

      

「進級に向けてチャレンジしたいこと」について考えた際には、「ダイヤモンドランキング」という順位付けをするシンキングツールを使って文章の内容を整理しました。最初に文章を書いたときは「頑張りたい」という思いでさまざまな項目を挙げていましたが、ランキングにして順位付けをしたことで取り組むべき優先順位が見え、具体的に頑張っていくことがわかったようでした。中には、自分が大切に考えていることに気づき、目標が変わったという子もいました。

   

この半年間のシンキングツールタイム(T3)の取り組みをふり返り、「文章をすらすら書けるようになった」「自分の考えを具体的に書けるようになった」「同じことをくり返し書かなくなった」「きちんと理由を書いて説明するようになった」といった、文章を書く際の変化を実感している声が子どもたちから挙がっています。また、テーマに対して考える際に「こういうことだからこうなるのか」「つながりを見つけてひらめくようになった」「たくさんの視点で見ようとするようになった」「具体的か抽象的か考えるようになった」などの意見も挙がりました。

シンキングツールタイム(T3)や授業などの与えられた場面以外でも、子どもたちの中には、日常生活の中でもシンキングツールを活用して思考の整理をしている子もいるようです。班の活動がうまくいっていないときにプラス面(Plus)、マイナス面(Minus)、気になる点(Interesting)に分けて考えられるPMIを使って班の様子をふり返っていた子もいました。うまくいかないことが続いていたのでマイナス面ばかりに目が向いていたけれど、プラス面も考えようとしたことで班の良さに気づくことができ、改めて取り組むべき課題を意識することができたようでした。その後、班のメンバーに声をかけて改善を図る様子が見られました。また、クラスでのイベントを企画してトラブルシューティングをする際に、「もし~なら…なぜなら~」と仮定して考えることのできるキャンディチャートを活用して、起こりそうな場面を想定して事前に防ぐ手立てを考えたりするチームもありました。あらかじめトラブルを想定していたため、当日も臨機応変に対応することができていました。順序立てて物事を進めていきたいときや、きちんと理由を伝えたいときにシンキングツールを使って可視化し、頭の中を整理しているという子もいます。
子どもたちにシンキングツールタイム(T3)について聞くと、「使う場が増え、少しずつ楽しくなってきている」「集中して文章を書く時間が面白い」「生活にも生かせる時間」と前向きにとらえているようです。この取り組みが始まってからまだ半年ですが、子どもたちに考え方の選択肢は広がり、「思考すること」を楽しむ姿が見られるようになってきています。
桐蔭学園小学校のシンキングツールの取り組みは、まだ始まったばかりです。これからさらにシンキングツールを活用する場面を広げ、子どもたちの学びを深められるよう、子どもたちとともに楽しんで取り組んでまいります。

 

3年 科学「音の大科学実験から生まれる子どもたちの発想力!」

生活するうえで、「音」は科学を理解するのにとても大切な要素です。音は、私たち人間にはコミュニケーションや表現方法として「言葉」や「音楽」として使われます。目には見えない「音」をどのように感じるか。身近なものを解き明かすのが3年科学の大切な要素です。

●糸電話による学習
「糸電話」という教材は、音を伝えるのに「糸」という一つの素材に絞ることで、特性に気が付きやすい教材の一つです。まずは、友だちと一対一で糸をどのような状態にすると、音が相手にうまく届くかを調べました。
2人で相談しながら「一番よく聞こえる状態」を目指して試行錯誤しました。
「糸をしっかり張ると良く聞こえる。」
「話しているとき、糸に触るとビリビリしている。」
「ゆるむとダメだね…」

   

そして、自然と「糸電話同士を合わせると、みんなで聞こえるんじゃない?」という意見が出ました。それは、糸が振動していることを実感するからこそ生まれる発想です。
「糸を絡ませると、みんなで聞こえるようになる!」

   

振動する糸によって声が相手に伝わるということを確認したら、次は、糸の素材を変えてどのように変化するか体験してみました。用意したのは「たこ糸(綿糸)」「銅線」「ビニールひも」です。それぞれ協力して制作し、思うまま実験をしては、結果をタブレットPCへとまとめていきます。

   

   

「銅線にすると、お風呂で話しているみたい!」「すごく響いてい聞こえるね」「土管の中みたいだね」「銅線がたるんでも少し聞こえる!」
「ビニールひもは音がきれいだ!」「クリアに聞こえる!」

      

自分の声がさまざまな素材を介して相手に届く感覚を得た子どもたちに、いよいよ本題を提示しました。

「今、話をしている先生の声は、どうやって君たちの耳に届くでしょう?」

 

●音の大科学実験
この問題に答えるために、次の実験を行いました。
①クラスの半分が一列に並ぶ。
②笛の音が聞こえたら、すぐに手に持っているスモックを上げる。
③その様子をタブレット型PCで撮影する。
実験班と撮影班を入れ替えながら、それぞれどのように音が伝わるのかを確認しました。

   

   

   

「笛の音が聞こえたら、すぐに振り上げようね!いくよ~」「ピッ!!」 バサバサ!
「おわぁぁ! 波みたいに順番に上げていく!その様子が動画でとれたぞ!」
「しまった!この角度の撮影だとわかりづらい!先生、もう一回やってください!」
実験での撮影方法の詳細は教えず、自分たちでどうやったら現象をわかりやすくGETできるか、試行錯誤するチャンスとしました。
「こっちの角度のほうが、全体が見えてわかりやすい!」「僕は一直線に映るようにするから、キミは真横から撮って!」「スローモーション撮影するとわかりやすいかも!」

実験は何度も繰り返し、音が伝わる様子を最も上手にGETできたものをロイロノートで共有し、みんなで分析し、考察を考えました。

 

●テストでの発想力
このように、子どもたちが実際の体験で感じ取った知識は、決められた問題を解決するだけでなく、ほかの発想を生み出し、応用していく「エージェンシー」につながります。

以下の問題は、3年生が3月に行ったテストの一部です。

この問題で重要な問題は(4)です。
「A君からD君の4人が同時に旗を上げるためには、先生と4人をどのように並べればよいか、図を描きなさい。」

実験を踏まえて、音が伝わる様子のイメージが強くついている子からは、新しいアイディアがたくさん出てきます。
まずは、「横に並べば、音は同時に伝わる」と、知識を変換することができたチーム。

   

縦に並ぶのではなく、「横に並べばよい」ということをテスト中に思いつき、しっかりと記述されています。
しかし、多くの子はこの発想では止まりませんでした。「この4人は本当に同じ距離なのか…。」と、さらに深めました。
そして、たどり着いた答えが以下のようなものです。

      

   

つまり、等距離になるように先生を中心に円を描くということです。

この思考までたどり着いたグループの考え方は、横一直線の解答から、まずは、少しカーブさせてくるようになっています。そして、「ハッ!」とひらめき、「先生から同じ距離の集まりは円になる!そうか、この答えは、『円を描く』ということなのだ!」というゴールにたどり着いたのでした。
実際に体験し、タブレット型PCで動画を撮り、みんなでじっくりと振り返る活動を通して、「音は空気が震えて、波のように伝わる」性質を持っているということを実感し、それを3年生ながらしっかりと活用することができました。この音の問題の正答率は80%を超えていました。

「見えないものを見えるように工夫する」ことで、子どもたちの身の回りにあるさまざまなものが不思議に見え、もっともっと知りたいという好奇心が湯水のように湧き上がってきます!

 

ラーニングスペース、拡大中!その1

2020年10月20日に、小学校に今年度からラーニングスペースができました、というご紹介をしました。
あれから5か月がたち、ラーニングスペースはその間もどんどん進化しています。どのような変化があったのか、ご紹介します。

まず、季節に合わせた飾りなど、ラーニングスペースは時期に合わせていろいろな様子に変わります。12月はクリスマス飾りでにぎわっていました。
保護者会役員の方々が飾ってくれた大きなツリーもありました。社会科資料コーナーの土器もクリスマス仕様です。

   

2月からはこちらも保護者会の役員の方々が立派なひな人形を飾ってくれています。なかなか家庭では見られないサイズで、多くの子どもたちが驚いていました。中には、「これに刺激を受けて自作した」という子もいたり、興味を持って雛飾りのことを調べたりした子もいました。

10月末はハロウィン飾りがあったり、お正月には鏡餅があったりしました。暖かくなってきたら花の飾りなども出していこうと思っています。一面の窓から見える景色の移り変わりとともに、季節を感じられるようになっています。

展示もかなり充実しました。ラーニングスペースは本を読むだけではなく、いろいろな刺激を受けてもらいたいので、子どもたちが興味を持ちそうなものを、教員がたくさん展示しています。
以前、教育実践でも取り上げた記事になった「いそはた水族館」もその一つですが、他にもたくさんの展示があります。
先程のクリスマス飾りでの社会の土器以外にも、社会関係では石器なども展示されています。地図もいろいろ掲示されており、電車の路線図などは子どもたちに大人気です。
また、古代米という、昔から食べられてきたお米の実物などもあります。

   

他にも珍しい石や、植物なども展示されています。石はポスターに貼り付けて写真と実物が見やすいように展示しています。植物は時期によって変わりますが、今はこんにゃくや春の七草などがあります。この春の七草は七草粥のセットに入っていたものなのですが、鉢植えに植えるとどんどん成長して、葉っぱがこんなに伸びました。

   

社会関係のものは主に玉井先生が、植物などは「いそはた水族館」管理人の磯畑先生がお世話をしてくれています。水族館と並んで大人気の展示です。
音楽科の先生にも協力していただき、電子ピアノも設置しています。こちらは自由に弾くことができるので、休み時間はいつも誰かのピアノの音が聞こえてきています。先生たちも時々弾きに来ていて、音楽の岩井先生がピアノを弾いて、まわりで子どもたちが曲に合わせて歌ったりもしています。

このように、ラーニングスペースはさまざまなことに活用される場所です。授業でも活用していますが、休み時間は他にもいろいろなことに活用しています。課外活動の練習などでも使い、図工科の作品展示にも活用しています。

   

この5か月間、ラーニングスペースはいろいろなことに活用され、その時々に合わせて大きく様子が変わってきました。
これからもラーニングスペースはどんどん変わり続けていきます。
こうした多くの活用があることから、校内の他の場所にも少しずつ、ラーニングスペースの機能が増えています。

 

1年国語 常時活動「かんじマスターへのみち,さいしょとぽん,ロッカーベン図」

●かんじマスターへのみち

「子どもたちがもっと前向きに漢字に取り組むには?」と考えて導入したのが、『かんじマスターへのみち』です。
『かんじマスターへのみち』では、出題された文章の中で、知りたい言葉をできるだけ漢字に直します。漢字に直したところは全て得点になります。習った漢字の範囲で、知っている漢字がたくさん文章に使われています。もちろん100点を取って終わりではなく、一つでも多く漢字に表すことで、200点、300点と点数がアップしていきます。そのため、「これまで習った漢字」も「これから習う漢字」もきちんと書けば全てが得点です。積極的にチャレンジしている子は700点を超えることもあります。100点で終わらないので、自分の限界までトライすることができます。
「はながさいている」「はながかゆくなる」など、おなじ「はな」でも「花」なのか、それとも「鼻」なのかをしっかり読み取らなければなりません。そんな「ひっかけ」に「先生、今度は引っかからないよ!」と心強い言葉も聞けるようになりました。

取り組み方の流れを説明します。
まず、授業で単元ごとの漢字を習います。その後、その漢字をふくんだ「かんじマスターへの道(練習用)」がロイロノートで配信されます。その文を自分なりに漢字に直してロイロノートで提出します。提出されたものはクラス全員が見ることができるようになっています。友だちが提出したものを見て、こんな字も漢字にできるの?とさらに漢字に直してみる子どもが出てきます。もちろん習っていない漢字も含まれるので、間違っていることもあります。それでも自分で調べた漢字なので、前向きに取り組んでいます。

   

毎日の日記でも習っていない漢字にチャレンジする子どもが出てきました。

   

 

●さいしょとぽん

認知トレーニング(Cognitive Training)として話題の「コグトレ」を取り入れています。
教員が読み上げる3つの文章をよく聞いて、最初に出てきた言葉を覚えます。同時に、動物が出てきたら手を叩きます。手をたたくという干渉課題が入ることで、集中して聞いて覚える必要があります。これにより聴覚ワーキングメモリ―をトレーニングしています。(出典:教室で使えるコグトレ)

   

   

覚えた動物はロイロノートに答えを書き込みすぐに提出します。それにより、クラスの子どもたちの現状把握がすぐに行え、即座に成長を認めることができます。手を叩くのに精一杯だった子どもたちも、3つの言葉を覚えて、ロイロノートに書いて提出することが少しずつできるようになってきました。お話をしっかり集中して聞くという学びの基本を育てています。

 

●ロッカーベン図

(先生)「ロッカーをきれいにしましょう!」
(こども①)「きれいですよ〜!」
(こども②)「整理しておきました!」

(先生)「あらあら、もっと整えることができるのに。自分でしっかりと整理できるようになるにはどうしたらいいのかな?」

というやりとりをこれまでこどもたちとしていましたが、それをシンキングツールで取り組んだのが、「ロッカーベン図」です。

「きれいなロッカーとはどうなっていますか?」という問いに、クラスのみんなで話し合った結果、

①帽子がきちんと入っている。
②スモックがしっかりたたんである。
③教科書やノートの背中がしっかり見える方に向いている。
④探検バックやくつ袋のひもがだらんと落ちていない。

と気がつきました。

ベン図にすると真ん中に自分のロッカーがあると最高だね。とみんなで話し合いました。

この話し合いのあとに「自分のタブレットで自分のロッカーの写真を撮ってみよう!」
撮る前に整える子もちらほら出てきました。写真を自分で撮るからこそ、もう一度整えようという気持ちが生まれました。それも立派なメタ認知のスタートです。

   

   

次に、ロイロノートの「ロッカーベン図」に自分のロッカーがどの位置にあるかを当てはめてみます。
「しまった。ひもが出ていた!」
「背中が見えない教科書があったよ!」
と、観点を持って見たからこそ、気が付いた子どもたちも増えてきました。

最後にロイロノートで提出してみんなで共有して、「きれいなロッカーとは」をまとめました。

 

1年国語 シンキングツールの切り替えに挑戦

・じどうしゃくらべ(クラゲチャート→プロット図へのチャートの切り替え),説明文作り,スピーチ

「『じどうしゃくらべ』ではたくさんの車が出てきましたね。その車をクラゲチャートにまとめてみましょう!」
「教科書の中で、トラックの説明は3つありました。」
「そうでしたね!先生は、その3つをクラゲチャートにまとめました。」

   

1年生は、クラゲチャートをまとめることが上手になってきました。
ここで必殺技を伝授しました。

「では、今日はチャートの切り替えをしてみます。」
「チャートの切り替えですか?」
「そうです。チャートの切り替えをすると、クラゲチャートで使ったカードをそのまま他のチャートで使えるようになります。今回はプロット図を使います。」
ここからがロイロノートの真骨頂です。
クラゲチャートで振り返った「車の特徴」をプロット図で文章に戻してみます。今回は元の文章の順番にするので、初めての子どもたちにも簡単でした。それでも、順番に並べ替えてみることで、「なぜ、この順番になったんだろう?」と説明文で重要な「説明する順番」を気にし始めた子どもも出てきました。

   

最後に、
「自分で説明文を書いてみたくなりませんか?」
「え~、できるかなあ?」
「やってみたい!」
ということで、最後は自分で調べた車の説明文を書きました。
最初に、クラゲチャートに「車の特徴」をまとめました。そこで「チャートの切り替え」をして、プロット図で文章にします。
自然と説明する順番に気を配るような説明文ができ上がりました。

      

 

次に、冬休みが終わり、「冬休みの思い出発表会」を行いました。
コロナ禍でなかなか外出もできず、外での思い出を作ることが難しい時期だからこそ、「チャレンジしたこと」の発表も大歓迎です。
まずは「伝えたいこと」をまとめました。まとめるときはクラゲチャートを使いました。クラゲチャートに伝えたいことをまとめていきます。この頃には「クラゲの足が足りないので、付け足しました」という子もちらほらでてきました。
ここから、チャートの切り替えを使って、文章にしました。伝えたいことの順番に気をつけて、台本にすることができました。

   

そして、発表をしました。
発表の時にはiPadを手に発表をしました。発表する時にはiPadばかりを見ていてはうまく伝わらないので、みんなと「目が合うか?」をテーマに行いました。

発表の様子は、録画してロイロノートですぐに送りました。自分の発表を見直して振り返ることでメタ認知も進みます。もちろん、発表の振り返りもシンキングツールを使いました。Yチャートで観点に分けての振り返りです。
次の発表が楽しみです!

   

 

「図工・作品展示会鑑賞」

本校では例年1月下旬の授業参観に合わせて「展覧会」を実施しています。在園、在校生の保護者をはじめ、一般の方にも本園、本校の1年間の教育の成果をご覧いただいています。今年度は残念ながら新型コロナウィルス感染症拡大のため、保護者の方のご来校と一般公開ともにかないませんでした。しかしながら、児童の鑑賞の場として平面作品のみ展示しました。

昨年までも鑑賞の際に、以下のワークシートを用いて各学年とも文章で自分の感想をまとめることを行ってきました。

※昨年までのワークシート

今年度は児童用iPadが導入されたので、ロイロノートというソフトを活用し、新しい鑑賞の方法を取り入れました。

ステップ1:「これは良い絵です」というのは簡単だけれど、「何が、どこが」良いのかという理由がわかると相手にも伝わるし、自分の作品作りにも生かされます。そこで、この「理由」を想像して、作品の良いところを表す言葉をたくさん考えてみよう、という問いをしました。まず、各自が思いつく「作品をプラス評価する言葉」を挙げてロイロノートで提出をしました。

   

   

ステップ2:ロイロノートは、提出されたカードが共有されるので、自分の考えた言葉だけでなく、友だちが考えた言葉も使いながら、自分が作品を鑑賞するときの4つの観点を決め、シンキングツールのXチャートに設定をしました。
観点を決める際、どうしても教員は定型の言葉を使ってしまいますが、子どもたちが自分で観点を設定することで、より自分の想いに沿った鑑賞ができたのではないかと思います。

ステップ3:ここまでの準備ができたら実際に作品を鑑賞します。まずはiPadに頼らず、自分の「眼と心で感じる」時間をつくり、その後、自分の心に響いた作品を自分のiPadで撮影し、Xチャート上に配置しました。

      

   

   

ステップ4:完成したチャートを見ながら、自分が特に気に入った作品を選び、文章で感想をまとめました。

   

鑑賞の授業は、「見る」活動は楽しくても、「感想を発表する」活動が児童によってはハードルが高くなる場合があります。今回、シンキングツールを用い、4つの観点を子どもたち自身が設定して鑑賞に臨んだことで、積極的に鑑賞に臨む児童が増えたように感じました。まとめの文章も、例年より子どもらしい自然な表現の文章が多くみられました。
作品を「眼と心で感じた」ときの第一印象を、シンキングツールを用いたことで具体的に言語化することができるようになったのではないかと思います。
図工は「制作」「鑑賞」の両面を学ぶ授業であると、子どもたちによく話しています。この特別な1年の中で、週1回の授業も例年とは進行が大きくことなりましたが、最後に鑑賞の時間をもつことができたことで有意義な時間と貴重な経験を得ることができました。
子どもたちの生活も制限がつづく日々ではありますが、鑑賞の眼を養うことで日常の中から小さな喜びを発見していける心を育てていきたいと考えています。

 

桐蔭学園小学校「子どもたちの深い学びを追求!~シンキングツール導入の全体像~」


(小学校 教育研究部主任 瀬山 郷平)
桐蔭学園小学校では、子どもたちの深い学びを実現するための方法の一つに、シンキングツールを導入しています。導入にあたっては以下の3つのポイントを大事にしました。

A.シンキングツールを活用できる場を多く用意すること。
B.シンキングツールを子どもたちが活用してよかったと実感を得ること。
C.シンキングツールで思考を可視化したことで、子どもたちの学びが深まること。

このことを踏まえ、以下の図のようにシンキングツールを活用する場を3つ設定しています。

 1つ目は、「シンキングツールタイム(T3)」です。シンキングツールを使っていくためには、まずその使い方を学ぶ必要があります。その指導時間を教科学習や行事指導の時間とは別枠で設定しました。1・2年生は週1コマ授業時間を、3~6年生は朝学習の時間(週2回)をそれぞれシンキングツールの使い方を学ぶ時間としています。ここで指導するテーマは、例えば「リンゴとトマトを比べると?」といった簡単で身近なものにしています。些細なものでも改めて考えてみることで、子どもたちは意外な発見があるということに気づいていました。こうした時間を通じて、シンキングツールの使い方が分かり、教科学習や行事活動に活用することができました。ここでは、上記の3つのポイントのAとBの要素があり、特にAの要素が強い活動です。
2つ目は、「行事における思考の変化」です。「シンキングツールタイム(T3)」で学習したシンキングツールを、行事の中で活用します。「アイデアを創造する」や「ここまでの活動を振り返って、今後の活動を考える」などといった場面でシンキングツールを活用し、思考を可視化して整理します。すると、子どもたちは自分たちのアイデアが整理されてやるべきことが明確化され、行動を振り返って次に生かしたり、面白い発見に出会ったりして、活動が活性化するようになりました。ここには、上記の3つのポイントのBとCの要素があり、特にBの要素が強い活動です。
3つ目は、「教科学習における思考力の向上」です。例えば、算数で何気なく見ていた形を、分類していくことで、自分が着目していることが言葉としてあらわれ、特徴を見て整理することができます。また、総合学習での話し合いで、自らの主張の理由を書きあげていくことで、主張のポイントや足りないことが分かり、さらに主張の論理を強くすることができます。このように学びを深めている様子が見られました。思考を可視化することで、自らの思考を構造化し、単元の目標に、子どもたちが自発的、自律的にたどりつくことができるようになりました。教科での実践は、教員間でも共有しており、より効果的な指導方法を模索し、実践しております。これは、上記の3つのポイントのCに特化した活動です。

こうした取り組みによって、現在子どもたちが徐々に自然とシンキングツールを自発的に活用し、思考を深める様子も見られるようになりました。アクティブラーニング型授業の「個→協働→個」の展開における、「個」の場面でも「協働」の場面でも今までに見られなかった思考の深まりが見られるようになっています。
いろいろな場面やすべての教科で使う場面を設定する組織的な取り組みによって、シンキングツールの導入と活用が、子どもたちに思考させることを活性化させています。

      

      

 

体育「持久走」

11月の体育では、各学年持久走に取り組みました。
友だちより“速い” “遅い”ではなく、自分のペースやタイムに着目して練習を積み重ねてきました。3年以上の授業では、下の左写真のような、「ペース表」を使用し、1周ごとのペースがどうなっているのか、視覚的にわかるようにしました。子どもたちは、「ペースが一直線になっている!」「ラストスパートで少しペースが上がった!」「1周から2周のペースが落ちているな・・・」など、自分の走った軌跡を振り返っていました。
   

   

また、「駅伝」を行い、持久走をチームで走る楽しさを味わいました。みんな、次の走者になるべくいい順位でつなごうと最後には自然とダッシュになっていました。いいラストスパートの練習になりました。

また、授業以外に希望者のみで行う「自主練習」の時間(4~6年)を設け、集まった友だちと切磋琢磨しながら練習する様子も見られました。「自主練習」は朝の自由時間に行いました。朝の涼しい空気を感じながらの練習はよい1日のスタートになったようです。
   

持久走の授業のまとめとして、12月1日に「校内マラソン大会」を行いました。
学園のサッカー場・野球場・ラグビー場の周りを走る1周およそ1kmの“特設コース”にてレースを実施しました。大会に参加した全員が完走することができました。多くの子どもたちが自分の持てる力を十分に出し切って最後まで走り切ることができました。順位がどうこうというよりも最後まで全員が完走できたことは、素晴らしいことでした。順位や勝ち負けだけにこだわらず、自分が精一杯行った取り組みに対し自信を持てる子どもたちであってほしいと思います。
   

 

桐蔭学園小学校ラーニングスペース 「ようこそ!いそはた水族館!」

本校にはマルチパーパスホールというフリースペースがあります。そこには、学びにつながる種がたくさん散らばっています。
そこを今年度からは「ラーニングスペース(学びに向かう場所)」として子どもたちに提供しています。

今回は、その一角にある「いそはた水族館」を紹介したいと思います。
本校では理科を「科学」と称しています。理科の各専門分野を持つ4人の教師が、子どもたちを科学的観点から、知的好奇心をくすぐる学習指導をしています。

このラーニングスペースの一画にある「いそはた水族館」を管理する磯畑先生は、生物のスペシャリストです。みんなが見たことも無いような生き物を各地を飛び回ってGETしてきては、子どもたちに紹介しています。
   

下の左の写真は、ビーシュリンプです。品種改良をした結果、白と赤のシマシマ模様になった綺麗なエビです。今は子どもたちのアイディアで、クリスマスツリーに見立てた藻を入れました。赤と白のシマシマなエビと藻のクリスマスに向けたコラボレーションになりました。
下の右の写真はマタマタというカメです。普段は落ち葉に擬態していて動きませんが、餌を食べる時だけ、とても素早く動きます。
   

こちらはマリモです。昨年の6年生が教室で育てていたものです。みんなへの紹介文も書きました。今では、この水族館に仲間入りです。飾っていると、子どもたちが集まってきてジーッと眺める子もいれば、自分でその生物を調べて写真のような説明文をじっくりと呼んでいる子もいます。

こちらは食虫植物です。とっても珍しい品種で、生育させるのは難しいのですが、そこは専門家です。しっかりと元気に育っています。虫を食べる植物に子どもたちも興味津々です。
   

理科室にはもっとたくさんの生き物がいますが、このラーニングスペースの良さは、休み時間などに低学年から高学年までが交流しながら一緒に学べるところです。各学年には生き物の知識にとても詳しい子、とても興味をもった子がいます。ラーニングスペースではそんな子たちが大活躍しています。他の学年の子に教えてあげたり、意見交換したりしながら、生き物を通して「学びの輪」ができています。
このような、子どもたちだけの空間を準備することも「学びに向かう力」の育成には大切だと感じています。