今年の5年生の桐蔭まつりのテーマは「5年生だからこそできること」です。3年次より桐蔭まつりを 二 度経験している子どもたちにとって今回のテーマは初めての挑戦でした。
5 年生全員で1つのものを作り上げていくということが、子どもたちにとってもなかなかイメージがつかない中、何度も意見を出し合い話し合いながら、「新しいものとは何か」を模索しながらスタートしました。
まつりの話し合いを進めていくと、これまで自分たちがやってきたことが基盤として当然あるため、これまでに経験したことや、どこかで見てきた方へとイメージが寄ってしまいます。経験を基にすることは決して悪いことではありませんし、経験を活かしていくことはとても大事なことです。しかし、それでは4年生でやってきたことと何ら変わりはありません。その都度、今回のテーマである「5年生だからできること」これまでにない新しいものを生み出し、挑戦するという気持ちをくり返し確認していくことで、徐々に具体案が出てくるようになりました。
時間をかけての話し合いの結果、「時間的空間」を教室内で表現することに決定しました。その中で当初は「過去、現在、未来」という空間を作ってみてはどうかという案でしたが、それらをイメージ化させていくと「現在」という空間を表現することがどうしても難しく、学年全員で再考した結果、「縄文、江戸、昭和、未来」という4つの空間に挑むことになりました。
クジや射的など屋台などのようなイメージしやすいものではなく、時代に合わせた空間を作っていくというこれまでにない取り組み。いきなり難しい課題に向き合った子どもたちは必死に考え考えアイディアを絞り出しだします。この瞬間こそが子どもたちの思考がより活発になる瞬間です。
「縄文、江戸、昭和、未来」どの時代も経験したことがありません。
想像だけでは作られるものではないため、それをリアルに表現していくためには、その時代の雰囲気や生活をよく調べ、よく知ることがまず必要になってきます。調べたことをもとに話し合いを進めていくわけですが、これには子どもたちもかなり苦戦している様子でした。お客さんがきて、そこでどんなことをやってもらうのかというのがこれまで子どもたちが経験してきた進め方です。そうではなく、空間を先に作るということですので苦戦するのも当然です。でも、そこは柔軟かつ発想力豊かな子どもたちです。互いにアイディアを出し自分たちでイメージをどんどん膨らませていきました。
「縄文」は、縄文時代に使っていた家を作ってみたい。設計図を子どもたちが考えそれに必要な材料や自分たちができるところとそうでないところを考えていきます。自分たちが先日刈った稲を使えば雰囲気を出せるかな?でもどうやって藁を積んでいけばいいのか。
考えたことを実現させていくためにどうすればよいかを子どもたちは考えます。
「江戸」では、籠や茶屋、お城を作りたい。ダンボールで作れるのかな。かごは人が乗れるものにしてみたい。設計図が必要だし、ダンボール以外の材料も必要になってくるかも。
「昭和」は、代議員のお母さんたちやお父さんお母さんにアドバイスをもらうのはどうか。バブルってなに?華やかなイメージ?暗いイメージ?
「未来」では、家族の方もここにいる人みんなが経験していない時代。どんな建物があっ
て、どんな地球になっているのか。地球ではなく他の星で生活しているのかも。
自分たちのイメージが広がっていく中、それを形にしていくことの難しさの壁に何度もぶち当たりました。そんな時も子どもたちは投げ出すことなくねばり強く取り組んでいました。自分たちだけでは難しい作業においては、お手伝いをしてくれている保護者の方々や先生たちからの手助けも借りながら、桐蔭まつり前日の時間ギリギリまでこだわりを持って進めることができました。
当日は、たくさんのお客さんに来ていただき、自分たちが作った空間を存分に楽しんでいただけました。今回の桐蔭まつりの子どもたちの取り組みをみて、改めて子どもたちの力の無限の可能性を感じることができました。また、そんな子どもたちの発想力や創造力をさらに駆り立てることが出来たのは、陰で支える保護者の皆様のご支援とご協力があってのことだと感じています。
今回の桐蔭まつりは、子どもたちもも保護者の皆様も全員が一体となって臨むことができたからこそ、主役である子どもたちが輝けるものとなったのだと実感しています。
子どもたちは見事にテーマ「5年生だからこそできること」を達成させました。
今回の桐蔭まつりで得た力と、5 生年全員、そして保護者も巻き込んだ団結力を 6 年生でさらに発揮できることを期待しています。