桐蔭学園小学校では、子どもたちの「学び」を深めるために「思考力の育成」を目指した授業改革に「シンキングツール」を導入して、組織的に取り組んでいます。関西大学の黒上晴夫教授をアドバイザイーとして迎えてご指導いただきながら、日々実践と研修を重ねています。
本校では、シンキングツールを導入した新たな授業展開を今年度4月から開始しようと、昨年度中から黒上教授に指導を仰ぎながら準備を進めてきました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響による休校や自宅学習対応等のため、学校再開後の7月から授業で導入し始め、9月より本格的に取り組んでいます。そして、10月からは児童に1人1台のタブレット端末を導入し、現在、デジタル版のシンキングツールを授業等で活用しています。
今後の本校の新しい教育展開に大いにご期待ください。
◯ 桐蔭学園小学校が挑戦する『考える文化』の醸成に期待(関西大学 黒上晴夫 教授)
世界中を襲ったパンデミックが、学校に落とした影響はとても大きい。ただ、前向きにとらえることができる影響もある。遠隔での授業や、個人学習などを視野に入れた教育の在り方を、否が応でも考えざるを得なくなったことだ。そして、全ての子どもにタブレット端末を与える施策が一気に動いた。そこには、AIドリルなどを使った個人学習への期待もあるが、もっと大事なのは、どこにいても一人一人が考え、それを一気に共有する学びがサポートされることだ。
桐蔭学園小学校は、今年度から、シンキングツールを活用した授業改善を目指すことになっていた。しかも、当初想定していなかった「デジタル版
シンキングツール」を年度の半ばを過ぎてから使い始めた。
シンキングツールの活用は、学校全体で長期間取り組むことがとても大事だ。使い方を学び、それに慣れ、一人一人が考えをつくり出し、それを共
有してブラッシュアップしていく。それにどの学年も取り組み、入学時から卒業するまで使い続けることで「考える文化」が学校に根付く。公立学
校では、これが難しい。一貫教育の中で、「考える文化」をじっくりと醸成していってほしいと思う。
◯ シンキングツールの導入と活用(小学校カリキュラムマネージャー 小林 勉)
本校では、アクティブラーニング型の授業を積極的に実践しています。その中で「個→協働→個」の展開をより深めていく方法を試行錯誤してきました。子どもたちに「思考力」をつけさせることを系統立てて、組織的に取り組むことは学校としての大きな課題でした。教員の中には、ベン図を使ったり、クロス表を使ったりして、子どもたちの学びを深めようとチャレンジする人もいましたが、教科を越えてつなげることはなかなかできませんでした。
そのような中、シンキングツールと黒上先生との出会いが、本校の抱える悩みを解決する方向に導いてくださいました。現在、黒上先生から多くのアドバイスをいただきながら、シンキングツールを積極的に活用して授業改善に臨むというミッションに学校全体で組織的に取り組んでいます。