「子どもたちが安心して登校できる」ために、「登校する前にできる」ことを考えました。4年生という年齢は、大人によくみてもらいたいと思うことよりも友だちとの関係を大切にすることに価値の重きが移行していきます。そういった気持ちの中で、しばらくの間友だちに会っていないという状況に大きな不安感を感じるであろうと考えました。そこで、「登校する前に、互いの考えていることを共有し、ある程度の共通理解がある状態で、安心して登校できるようにする」ことをねらいとして、以下の実践を行いました。
1 1週目(6/2)Zoomによるオンラインのホームルームで、『互いの想い』を出し合う。
始めに、長い自粛期間を経て、6月中に1回、そして順調にいけば7月から登校できるようになる、という事実を話しました。そして「登校することになったとき、ワクワクすることは何ですか?」と問いかけました。子どもたちからは、「友だちに会えること」「友だちと話せること」「先生に会えること」「みんなと授業を受けること」「みんなと遊べること」といった答えが聞けました。ただ、その一方で「みんなに会えることは楽しいけれど、新型コロナウィルスのことを考えると、うまく接することができるか心配です。」「久しぶりに友だちにあったときに、うまく接することができず、誤解されてしまうのではないかと不安です。」といった、心配・不安に関する意見も出てきました。そこで教師から、「心配・不安なことはありますか?」と聞きました。「コロナウィルスにかかってしまうこと」「自分が感染して、友だちに無意識にうつしてしまうこと」「学校生活に戻れるかということ」などの意見が挙がりました。最後の方で、「心配なこともあるけれど、みんなも同じ気持ちだと分かって、少し安心しました。」と言う児童もいました。改めて、「相手の気持ちを共有する」「相手を理解する」ことが「安心」につながるということを、みんなで共有しました。
2 2週目(6/9)Zoomによるオンラインのホームルームで、『解決策』を考える。
前回のZoomによるホームルームでは、一部の子の意見しか時間的に取り上げられなかったので、意見を出していない子も含めて、ロイロノートでみんなの「ワクワクすること」「心配なこと」の意見を出してもらいました。
≪子どもたちが提出したロイロノートのカード≫
このときのZoomによるホームルームでは、「ワクワクすることを実現するためにこれらの心配事をできる限りなくしたいよね。そのためにみんなは、どんなことを心がけるといい?どんなことができる?」と投げかけ、Zoomの「ブレイクアウトセッション」(小グループに分かれる機能)を利用して、話し合い活動を行いました。その後の発表では、「コロナウィルスに対して、すごく不安に感じている子もいるから、その子が安心して過ごせるように、ソーシャルディスタンスを守る。」「友だちがいつもと違う反応だったとしても、誤解しないようにする」などの意見が出されました。発表後、教師から「では、実際に来週の登校日に、①自分が今日のことを踏まえてどれだけ気を付けられたか?②友だちで、気をつかってくれた行動を見つけること の2点について、みんなに一言ずつ話してもらいますね。」と伝え、ホームルームを終えました。
3 6/16(火)分散登校日
子どもたちは、これまでに精神的なことについて、共有したり、共通理解したりすることもあり、教室では安心して過ごしている様子が見てとれました。ホームルームの始めに、子どもたちから一言ずつ、話してもらいました。
・「あまりしゃべれないから、表情で判断した。」
・「距離をとって話すことになるが、離れたときに友だちが嫌な気持ちにならないように考えた。」
・「みんなが元気よくおはようと言ってくれたことがうれしかった。」
・「靴を履くところで、隣の人たちがあまり近づかないようにと考え、バックとか寄せてくれたことが良かったと思う。」
・「みんなが大きな声を出していないのに安心した。」
子どもたちの発言からも、今日の登校が安心して迎えられたことがうかがい知れました。
互いの気持ちを理解しながら、みんなが安心して過ごせる学級づくりに向けて、貴重な一歩を子どもたちは踏み出せたようです。7月からの登校でも、6つのキーコンピテンシーの一つ「思いやり」を育み、一人一人が輝ける学級を目指し、実践していきます。