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【思考力】低学年-生活科「移動動物園」探究学習について

1年生の国語科『うみのかくれんぼ』の発展学習として行われた、「移動動物園」と連動した授業実践についてご紹介します。

単にかわいい動物と触れ合うだけでなく、子どもたちが「小さな研究者」として目を輝かせた、その学びの裏側にある工夫と成果をご報告いたします。

1. 実践の背景と工夫

教科書を飛び出し、「本物」で学ぶ

国語の授業で学習した「問い(なにが)」と「答え(どのように)」という文章構成。これを定着させるために、実際に学校へやってくる「移動動物園の動物たち」を題材にしました。

架空の動物ではなく、「明日、会える動物」について調べることで、子どもたちの中に「飼育員さんに質問したい!」「友達に教えたい!」という目的意識が生まれました。

「情報の海」で溺れさせない環境づくり

低学年の子どもたちにとって、分厚い図鑑から必要な情報を探し出すのは至難の業です。そこで本実践では、教師が事前に必要な情報のページを「切り抜き資料」として準備しました。

あえて情報を限定することで、子どもたちは迷うことなく「文章を読んで、欲しい情報を見つける」という本来の学習活動に集中することができました。これは、情報過多な現代において必要な情報を取捨選択する「環境設定」の一つです。

2. 子どもたちの姿と成果

「ただ見る」から「観察する」へ

事前の国語学習を経たことで、当日の移動動物園における子どもたちの目の色が明らかに違っていました。

「かわいかった」という感想だけで終わらず、

  • 「図鑑には『硬い草を食べる』って書いてあったけど、本当にバリバリ音がする!」
  • 「ウサギの足の裏はどうなっているのかな?」
    といった、書かれている言葉(知識)と目の前の事実(実体験)を結びつけようとする姿が見られました。

 

  1. この授業を通して、子どもたちが手に入れたもの

今回の授業は、単に「動物と遊んで楽しかった」という思い出づくりだけではありません。教室での勉強と、実際の体験をセットにしたことで、子どもたちに3つの大きな成長が見られました。

① 「知っている」からこそ、もっとよく見える

国語科で知識と視点を持ってから生活科(動物とのふれあい)へ移行したことで、子どもたちの活動の質が向上しました。

国語(調べる)⇨ 生活(確かめる)

何も知らずに見るのと、「ここはどうなっているのかな?」と知りたくて見るのとでは、深い洞察への可能性が違います。 国語の授業で事前によく調べていたからこそ、子どもたちの目は「ただ眺める」のではなく、「真剣に観察する」目になっていました。 「勉強したことを確かめに行く」という目的があったからこそ、いつもの行事が何倍も充実した学びの時間に変わったのです。

② 本と実物の「答え合わせ」が生む感動

本で読んだことを、自分の目で確かめる。この「あ!本に書いてあった通りだ!」という感動こそが、学びの原点です。 また、「本にはこう書いてあったけど、実際はちょっと違ったよ」「なんでだろう?」という不思議に出会えるのも、実体験ならではの良さです。 「調べる→確かめる→また不思議が見つかる」という経験は、これからの学年で必要となる「自分で学ぶ力」の土台になります。

③ 「好き」を追求する力

クラス全員で同じことを覚えるのではなく、一人ひとりが「自分がもっと知りたい動物(推し動物)」を決めて取り組みました。 自分で決めたことだからこそ、子どもたちは驚くほどの集中力を発揮します。「好き」という気持ちが、一番のやる気スイッチになることを、子どもたちが改めて教えてくれました。

「1年生だから難しい」ではなく、適切な支援と興味を引き出す仕掛けがあれば、1年生でも高度な思考と表現が可能であることを、子どもたちが証明してくれました。
今後も、一つの教科にとらわれず、教科書の学びを教室の中だけで完結させず、豊かな実体験と往還させることで、子どもたちの「確かな学力」と「豊かな感性」を育んでまいります。