授業実践」カテゴリーアーカイブ

桐蔭学園小学校「子どもたちの深い学びを追求!~シンキングツール導入の全体像~」


(小学校 教育研究部主任 瀬山 郷平)
桐蔭学園小学校では、子どもたちの深い学びを実現するための方法の一つに、シンキングツールを導入しています。導入にあたっては以下の3つのポイントを大事にしました。

A.シンキングツールを活用できる場を多く用意すること。
B.シンキングツールを子どもたちが活用してよかったと実感を得ること。
C.シンキングツールで思考を可視化したことで、子どもたちの学びが深まること。

このことを踏まえ、以下の図のようにシンキングツールを活用する場を3つ設定しています。

 1つ目は、「シンキングツールタイム(T3)」です。シンキングツールを使っていくためには、まずその使い方を学ぶ必要があります。その指導時間を教科学習や行事指導の時間とは別枠で設定しました。1・2年生は週1コマ授業時間を、3~6年生は朝学習の時間(週2回)をそれぞれシンキングツールの使い方を学ぶ時間としています。ここで指導するテーマは、例えば「リンゴとトマトを比べると?」といった簡単で身近なものにしています。些細なものでも改めて考えてみることで、子どもたちは意外な発見があるということに気づいていました。こうした時間を通じて、シンキングツールの使い方が分かり、教科学習や行事活動に活用することができました。ここでは、上記の3つのポイントのAとBの要素があり、特にAの要素が強い活動です。
2つ目は、「行事における思考の変化」です。「シンキングツールタイム(T3)」で学習したシンキングツールを、行事の中で活用します。「アイデアを創造する」や「ここまでの活動を振り返って、今後の活動を考える」などといった場面でシンキングツールを活用し、思考を可視化して整理します。すると、子どもたちは自分たちのアイデアが整理されてやるべきことが明確化され、行動を振り返って次に生かしたり、面白い発見に出会ったりして、活動が活性化するようになりました。ここには、上記の3つのポイントのBとCの要素があり、特にBの要素が強い活動です。
3つ目は、「教科学習における思考力の向上」です。例えば、算数で何気なく見ていた形を、分類していくことで、自分が着目していることが言葉としてあらわれ、特徴を見て整理することができます。また、総合学習での話し合いで、自らの主張の理由を書きあげていくことで、主張のポイントや足りないことが分かり、さらに主張の論理を強くすることができます。このように学びを深めている様子が見られました。思考を可視化することで、自らの思考を構造化し、単元の目標に、子どもたちが自発的、自律的にたどりつくことができるようになりました。教科での実践は、教員間でも共有しており、より効果的な指導方法を模索し、実践しております。これは、上記の3つのポイントのCに特化した活動です。

こうした取り組みによって、現在子どもたちが徐々に自然とシンキングツールを自発的に活用し、思考を深める様子も見られるようになりました。アクティブラーニング型授業の「個→協働→個」の展開における、「個」の場面でも「協働」の場面でも今までに見られなかった思考の深まりが見られるようになっています。
いろいろな場面やすべての教科で使う場面を設定する組織的な取り組みによって、シンキングツールの導入と活用が、子どもたちに思考させることを活性化させています。

      

      

 

体育「持久走」

11月の体育では、各学年持久走に取り組みました。
友だちより“速い” “遅い”ではなく、自分のペースやタイムに着目して練習を積み重ねてきました。3年以上の授業では、下の左写真のような、「ペース表」を使用し、1周ごとのペースがどうなっているのか、視覚的にわかるようにしました。子どもたちは、「ペースが一直線になっている!」「ラストスパートで少しペースが上がった!」「1周から2周のペースが落ちているな・・・」など、自分の走った軌跡を振り返っていました。
   

   

また、「駅伝」を行い、持久走をチームで走る楽しさを味わいました。みんな、次の走者になるべくいい順位でつなごうと最後には自然とダッシュになっていました。いいラストスパートの練習になりました。

また、授業以外に希望者のみで行う「自主練習」の時間(4~6年)を設け、集まった友だちと切磋琢磨しながら練習する様子も見られました。「自主練習」は朝の自由時間に行いました。朝の涼しい空気を感じながらの練習はよい1日のスタートになったようです。
   

持久走の授業のまとめとして、12月1日に「校内マラソン大会」を行いました。
学園のサッカー場・野球場・ラグビー場の周りを走る1周およそ1kmの“特設コース”にてレースを実施しました。大会に参加した全員が完走することができました。多くの子どもたちが自分の持てる力を十分に出し切って最後まで走り切ることができました。順位がどうこうというよりも最後まで全員が完走できたことは、素晴らしいことでした。順位や勝ち負けだけにこだわらず、自分が精一杯行った取り組みに対し自信を持てる子どもたちであってほしいと思います。
   

 

3年科学・図工・行事「からだいっぱい秋を感じよう!」

一つの木の実がつなぐ子どもたちのストーリー

桐蔭学園の鉄(くろがね)の森に秋の訪れを知らせてくれる「どんぐり」を使って、教科横断的な学びを経験しました。

●3年科学「どんぐりGO!」
「今日は、このどんぐり図鑑(1人1人にどんぐりが調べられる冊子)を使って、この桐蔭学園に落ちているどんぐりの種類を調べてみましょう!」
大自然に囲まれる桐蔭学園は、季節を感じ創造力を目一杯高めることのできるエリアがたくさんあります。
幼稚園から小学校6年まで、科学(理科)の授業で、季節ごとにフィールドワークをしています。

①まずは鉄の森の中へ
「どんぐりGO! First stage スタート!」
   
「うわ!どんぐりたくさん落ちている!」「こっちのは帽子つきだ!」
早速、森の中で、どんぐりを見つけ、楽しそうに子どもたちはどんぐりを拾っていました。
「拾ったどんぐりは、図鑑を見て、どの種類なのか、みんなで調べてみてね。」
   

   

②次は、桐蔭学園実習田の方へ
「次はこちらが Second stageです!」
   
「あれ?さっきと形が違う? すごく細長い!」「こっちにまんまるのがあるよ!」
「ここが夏に5年生がお米を作る田んぼか~」
   
桐蔭学園の「秋」をたくさんGETすることができました!

③そして、ここからが本番です。理科室に帰ってきて、どんぐりたちを分別し、種類ごとにタブレットPCで写真を撮り、自分だけの「どんぐり図鑑」を作ります。
   

   

   
「これとこれは同じ種類だね。」「でもここが少し違うよ? 違いが分かるように写真に撮っておこう」
みんなで話し合いながら、どんぐりたちを仕分けするのは楽しいようで、黙々と分けては写真に記録していました。
レアな形があると、みんなで共有しました。こうやって実際に秋の自然に触れながら、興味を持って見ることができると、ただの知識ではなく、他にも活用できる「生きた知識」の育成につながります。

みんなで集めた、このどんぐりの山。この後いったいどうなるのでしょうか…?
●図工 造形遊びの日

桐蔭学園の自然を駆けまわり、科学の授業でみんなで集めた「どんぐり」たちは、子どもたちの創造力を爆発させる活動に一役買いました。このどんぐりは、「造形遊び」という行事に使います。3年生の造形遊びは、「あつまれ桐蔭の島!~みんなでつくろう秋の島~」と銘打って、自分の想像する自分だけの秋の島を目の前の素材に触れながら作りました。
「あっ!僕がとってきたどんぐりだ!」
「これはコナラかな?ミズナラだな!」
先週科学の授業え自分たちで図鑑を見ながら取ってきた影響もあり、興味津々でどんぐりを手に取りながら、どう使おうかと考えていました。
   

   
科学と図工の融合がフロア全体で起きていました。科学的知識に裏付けされた物体を、芸術・造形活動に活用する心の動きは、教科横断的活動学習の良いところで、子どもたちののめり込む深さは桁違いです。
   

   

午前中は個人で自分の思い描く秋の島を作りましたが、午後は、各自が作った島を友だちとつなげる活動を入れました。「それぞれの良さが光る島を、どうやってつないでいくか?」これもとてもより思考となりました。

「うわぁ~ キミの島、いいね!なるほどそうやってどんぐりを使うのか~」
「これを、ここに使ったら、2つの島をつなぐいい感じの橋になるんじゃない?」
「真ん中に置くモニュメントのために一緒にねんどをこねよう!」
「これはみんなの島につながるいのちの木ね♪」
   

   

数週間にわたる大きな思考の流れが創造力を刺激し、その成長を支えます。科学科の教員と図工科の教員がそれぞれ協力し、見事に融合しました。とても3年生が作ったとは思えない素晴らしい島がたくさんできました。あらためて子どもたちの創造力が無限大なことに驚かされました。
例えば、松ぼっくりが落ちているのを見た時、子どもたちは「この松ぼっくりは種なのかな?そして何か作れないかな?」という発想になるのに間違いありません。

 

桐蔭学園小学校「子どもたちの深い学びを追求!~シンキングツールの活用~」

桐蔭学園小学校では、子どもたちの「学び」を深めるために「思考力の育成」を目指した授業改革に「シンキングツール」を導入して、組織的に取り組んでいます。関西大学の黒上晴夫教授をアドバイザイーとして迎えてご指導いただきながら、日々実践と研修を重ねています。
本校では、シンキングツールを導入した新たな授業展開を今年度4月から開始しようと、昨年度中から黒上教授に指導を仰ぎながら準備を進めてきました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響による休校や自宅学習対応等のため、学校再開後の7月から授業で導入し始め、9月より本格的に取り組んでいます。そして、10月からは児童に1人1台のタブレット端末を導入し、現在、デジタル版のシンキングツールを授業等で活用しています。
今後の本校の新しい教育展開に大いにご期待ください。

◯ 桐蔭学園小学校が挑戦する『考える文化』の醸成に期待(関西大学 黒上晴夫 教授)

世界中を襲ったパンデミックが、学校に落とした影響はとても大きい。ただ、前向きにとらえることができる影響もある。遠隔での授業や、個人学習などを視野に入れた教育の在り方を、否が応でも考えざるを得なくなったことだ。そして、全ての子どもにタブレット端末を与える施策が一気に動いた。そこには、AIドリルなどを使った個人学習への期待もあるが、もっと大事なのは、どこにいても一人一人が考え、それを一気に共有する学びがサポートされることだ。
桐蔭学園小学校は、今年度から、シンキングツールを活用した授業改善を目指すことになっていた。しかも、当初想定していなかった「デジタル版
シンキングツール」を年度の半ばを過ぎてから使い始めた。
シンキングツールの活用は、学校全体で長期間取り組むことがとても大事だ。使い方を学び、それに慣れ、一人一人が考えをつくり出し、それを共
有してブラッシュアップしていく。それにどの学年も取り組み、入学時から卒業するまで使い続けることで「考える文化」が学校に根付く。公立学
校では、これが難しい。一貫教育の中で、「考える文化」をじっくりと醸成していってほしいと思う。
◯ シンキングツールの導入と活用(小学校カリキュラムマネージャー 小林 勉)

本校では、アクティブラーニング型の授業を積極的に実践しています。その中で「個→協働→個」の展開をより深めていく方法を試行錯誤してきました。子どもたちに「思考力」をつけさせることを系統立てて、組織的に取り組むことは学校としての大きな課題でした。教員の中には、ベン図を使ったり、クロス表を使ったりして、子どもたちの学びを深めようとチャレンジする人もいましたが、教科を越えてつなげることはなかなかできませんでした。
そのような中、シンキングツールと黒上先生との出会いが、本校の抱える悩みを解決する方向に導いてくださいました。現在、黒上先生から多くのアドバイスをいただきながら、シンキングツールを積極的に活用して授業改善に臨むというミッションに学校全体で組織的に取り組んでいます。

 

2年 算数「フラッシュ計算から気が付く計算のポイント!」

ロイロノートの画面共有機能を使うと、クラスの子どもたちのタブレットPCに瞬時にデータを送ることができます。それを活用して、2年生の算数ではフラッシュ計算を行っています。

「さぁいくよ! 問題は6問、どんどん答えよう。送りました!」
「あっ!来た! 8+32=40!」

   

子どもたちはどんどん答えていきます。前回の授業の復習や、1年生の時の復習なども織り交ぜて、出題します。一人一人がタブレットで、自分の目の前の画面を見るので集中して取り組めます。
行った計算は、その後に振り返ります。
「さぁ続いて、『どうして、そのような計算をしたのか』を、頭のなかの仕組みをピラミッドチャートを使って目に見える形にしてみよう!」

それぞれの子どもたちが、シンキングツールを使って、自分の考えをまとめます。

   

   

ここが桐蔭らしさです。機械的に計算を行い鍛えるのではなく、出てきた答えが「なぜなのか?」というところを大切にし、「生きた知識」へと定着させる取り組みです。
瞬時にできた自分の答えをシンキングツールを使い振り返ることでメタ認知力の向上につなげます。

 

6年科学「酸とアルカリ!話し合って同定実験 最短距離を狙い撃ち!」

6年科学の「酸・アルカリ」の分野の一コマです。
5つの無色透明の水溶液を判別します。
「塩酸」「水酸化ナトリウム水溶液」「アンモニア水」「炭酸水」「食塩水」
これら5つの水溶液を、最も少ない手順で同定する方法は何か?みんなで予想し実施しよう。
   
先週行った実験の結果が載っているワークシートをタブレットPCで確認し、手順と結果を予想し、フローチャートを作成していきます。
「先にBTB溶液のほうがいいんじゃない?」
「それだと、みんな染まってしまうから見えづらいかも。」

話し合いの結果を各班ともロイロノートで共有しながら、今日の実験手順を決めていきます。
   

たくさん並ぶ指示薬の中で最低限必要なものを選ぶのも、話し合いの賜物です。

「きっと3ステップで判明する!」
「いや2ステップだっ!」

   

実験のステップをタブレットPCを使って班内で共有したのち、自分たちで決めた実験フローチャートに沿って安全に実験を行いました。

「うぁ!この匂いはアンモニア水だ!」
「…そうか、匂いをかぐという選択肢があった!」
「BTB溶液がどっちも青くなったので、この2つはアルカリ性だな。さて次はどうしよう」

   

与えられた実験を正確に行う力も必要ですが、「知識と手順」を自分たちで選択し、答えにたどり着く「問題解決能力」を高めていくのが桐蔭小の『科学』です。

実験結果と手順は、ロイロノートでクラスメイトと共有して次の実験に臨みます。

 

3年算数「不思議な四角形が見えるかな」

3年算数「タングラム」の学習です。この「タングラム」は、ホテルや民宿にも置いてある子どもも大人も楽しめるパズルです。これを算数的に見て、いろいろな形を作っていきます。
前回までに正方形に補助線を引いていくことで、「すべての形は三角形がもとになっている」ことを学びました。
   
今日は、タングラムの中に不思議な四角形(台形)が入っていることが見えるようになるために、不思議な四角形(台形)に注目しました。

長方形に1本補助線を入れたり、正方形と直角三角形を組み合わせたり、もう一つの四角形(平行四辺形)と直角三角形を組み合わせたりしてみました。

「えー!そんな形見えないよ~」、「いやいや!!見えてきたぞ!!」、「これとこれを合わせると…?なったー!」
   
という声が聞こえてきました。そうやって、不思議な四角形を作り出すことができました。


「すべての形は、三角形がもとになっている」
そのことに、違う角度からまた少し気付ける授業となりました。

 

3年科学「私が出題者!光の反射をフル活用!」

「光の反射冒険」→「鏡文字の世界」→「ミラーアーティスト」という流れで、光の性質を学んできた3年生たちは、興味・関心の高まりとともに知識もどんどん増えてきています。

ここで、ペーパーテストをすれば、個々の知識の定着は測れますが、一人一台タブレットPCがある今なら、それ以外の選択肢もあります。

「今日は、皆さんに、先生になってもらいます!」
「君たちの資料箱には懐中電灯とクリスタルの画像データを入れておきます。」
「懐中電灯の光をクリスタルに当てるという活動は2週間前に実際にやりましたね!」(※教育実践「3年・光を反射し、お宝をGETしよう!!」参照)

「今日はロイロノートを使い、光の反射問題を作ってもらいます!」
「おお!やった!どんな問題にしよう??」
「条件は懐中電灯とクリスタルは所定のデータを使うこと。鏡は青線、光軸は蛍光ペンの黄色。それ以外の工夫は全てきみたちに任せます。」

「まずは、問題作成タイム!開始!」
   

   
子どもたちは、今までの実験結果を基に、光の直進と鏡の入射角、反射角が同じという特徴を上手に使いながら、問題を作成していきます。

「ここをこうして、一度光をまげてもらおう!」
「これは難しすぎるかな?これだと問いてもらえないかも…」


(5分後)「一度終了。そこまでで出来た問題をロイロノートで提出しましょう。」
「では、友だちの問題に挑戦タイム!開始!」
子どもたちは、友だちが作った問題を開き、盛り上がりました。
「〇〇さんの問題、難しい! …でもできた!やった!」
「〇〇君の問題、かっこいいな どうやってそのマーク作るの?」

自分が作った問題と友だちが作った問題とを見比べて、良いところを吸収し、さらに新しい工夫を思いつく瞬間です。この時間がとても大切です。
「個→協働→個」の流れの中で、なぜ仲間のアイディアを吸収したいと心が動くのか?それは、自分が主体的に問題をつくり友だちに届けようと気持ちが前を向いているからです。

「それでは、2回目の問題作成タイムです!開始!」
ここから先、子どもたちの作った問題の内容は、多様性が一気に上がります。
まさに百花繚乱!

学んだ知識を「問題作成」という形で具現化し、さらに仲間の工夫に刺激を受けて創造力を上げていく取り組みになりました。

この反射問題は、授業終了後も、たくさん提出されました。
「先生、土日に問題作って提出しました! 海に沈んだクリスタルをタコとイカをよけながらGETする問題です!」
   

子どもたちの創造力は無限大ですね。

 

3年科学「誕生!ミラーアーティスト」

鏡の導入の授業です。

今日は皆さんには「ミラーアーティスト」になってもらいます!
そう伝えると、子どもたちは「はて?ミラーアーティスト????」と不思議そうな顔をしていました。

そこで、合わせ鏡の中に一本線を引く様子を、タブレットPCのライブカメラで見せました。

すると、「おぉ凄い!線は何本にも見える!」
線をふやすと「きれい!」という声が上がりました。

二人で合わせ鏡をつくり、角度を変えながら、どのような世界が広がるか確認してみよう!
そして、「これはクラスのみんなと共有したい」と思う作品ができたら、ロイロノートで提出するよう、呼びかけました。それは即座に電子黒板に映るので、みんなにとっていい刺激となります。

この説明をしている段階で、子どもたちはやりたくてウズウズしている様子。
「では、ミラーアーティストのみなさん!みんなが感動する作品をめざして、鏡の世界へ入っていきましょう!」の合図で、実験開始。
   
「先生!角度を狭くすると、たくさん増えます!」→「カメラに撮ってみんなに見せてあげよう!」
「きれいなのできました!」→「ロイロノートで提出し、みんなと共有しよう!」→「〇〇さんのコレ、きれい!真似しよう!」→「真似することは第一歩として大切です!そして自分のアイディアも出せたらさらに素敵です!」
   

ここでは一人一台のタブレットPCとロイロノートが効果的に子どもたちの創造力を刺激します!
ものの数分で、提出箱は無数のアイディアで溢れかえりました。
さらに、これも!これも!と仲間から刺激を受けた自分のアイディアをどんどん投稿してきました。

鏡の世界は左右が反対になること。二枚の鏡の角度が小さくなると、反射する像の数が増えること。
   


そういった科学的知識は、自分たちで活動しながら、自然と身についていきます。中には、鏡の中でしか読めない字を書いて、それをなぞなぞにして友だちに出している子もいました。
あふれる子どもたちの創造力には毎回驚かされます。

 

3年科学「光を反射し、お宝をGETしよう!!」

鏡を使って、光の入射角と反射角が同じであること学ぶ単元。
懐中電灯の光を太陽光として、その光軸を考えて手鏡を使い反射していく実験です。

教員が導くのではなく、自分たちで気が付くためには、思考のストーリーが大切です。

そこで、この授業は、全員に「インディージョーンズ」になってもらいました。

「君たちは、考古学者。(考古学とは…)」
「この宝石(ビー玉)に、太陽の光が当たるとき、古代エジプトの財宝が手に入るであろう!」
「この宝石は堅牢な洞窟(段ボール箱)の中に隠されている。さぁ未来の考古学者たちよ。知恵を絞り、仲間と協力しmissionをクリアしたまえ!」

太陽と洞窟の入り口には4つの難易度があり、それぞれの班が一つずつクリアを目指します。
   
「よ~し!やるぞ!」「どうやってやる?」と子どもたちは謎解きにのめり込んでいきました。
実際に鏡を動かして、光がどのように反射されるのかを体験しながら学んでいき、それを自分の知恵としてみるみる活用していきます。
「先生!できました!」→「まだまだ光が足りぬ。」→「え?まだまだ明るくなるの?」
試行錯誤の繰り返し……
「本当だ!すごく宝石が輝いた!」「よし!mission2へ行こう!」
   
「光が直進する」ことと「入射角と反射角が同じなる」という知識を、自分たちで考えて活用した結果、生きた知識として身に付けることができたようです。
仲間の小さなひらめきや工夫が自分の良い刺激になる経験も、実験の良さです。

一度成功したmissionも、「ちがうルートの光の道も探してみよう!」と貪欲に挑戦する姿は、まさに小さな考古学者でした。

子どもたちの創造力を育むためには、授業の設定と思考のストーリーが大切だと思います。