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5 2024年10月8日 【思考力、創造力】 桐蔭学園小学校国語科の「探究」の取り組み
 
 

ラーニングスペース、拡大中!その2

昨年度の3月に、「ラーニングスペース拡大中!その1」の教育実践記事を公開しました。それから約3か月、ラーニングスペースは、ずっと拡大し続けてきました。機能や役割的な拡大ももちろんですが、今回の3か月の間には物理的な拡大もありました。大きく変わってきたところ、ご紹介します!

まず、ラーニングスペースの面積が大幅に拡張されました。以前は廊下(マルチパーパス)部分のみがラーニングスペースだったのですが、その前にあった通常教室3教室もラーニングスペースとして活用できるようになりました。もともと各学年教室の移動計画があり、ちょうどいいタイミングでラーニングスペースもそこと絡めて計画し、この大幅な拡張へつながりました。空間として3教室使えることになり、どのように使うかを検討し、今回は2教室分の壁面を取り外し、以前からのラーニングスペース空間と一体で使えるようにしました。

写真手前の部屋と奥の2部屋の壁が抜かれ、高い天井と相まって非常に開放的な空間になりました。真ん中の部屋はいろいろ検討した結果、壁面を残し、音を遮りたいときに使用する部屋として壁を残しました。
英語で音楽を流すときや、ZOOMで子どもたちが学校外の人たちとの交流をするとき、または教員の会議時など、様々な用途に利用されています。
   

空間が広がったことで、本当に様々な用途で利用されるようになりました。本を読む、学習する、話し合いに使うなど、こちらがイメージしていたものも多くありましたが、中には異学年の待ち合わせ場所に使う、給食を食べすぎてのんびりしている、その日のスピーチの自主練に来る、裁縫や工作に使う、など、想像もしていなかった使い方がたくさん出てきました。
そして何よりいいな、と思っているのはそうしてくる子たちがみんな楽しそうであり、リラックスしている様子です。大人もそうですが、一日中、頑張り続けることはとても大変なことです。途中の息抜きはとても大切です。ほんの数分でも、クッションに座りのんびりぼーっとすることで、その先の頑張りの源になっているのだと思います。
中には、毎朝学校に来て決まったクッションに座って数分過ごして帰る子もいます。本を読むときもあればただただボーっとしているときも、話しかけられて友だちとしゃべっていることもあるのですが、きっと1時間ほどの通学時間が終わり、これから授業に入るための気持ちを落ち着けるルーティンになっているのだな、と思います。
リラックスした空気からは活発な意見交換なども生まれやすくなります。そのため、休み時間など、数人の話し合いがラーニングスペースのあちこちで見られます。中には勉強会をしている子たちもいます。
   

教員の打ち合わせも、下の写真のような様子で行われることもあります。

ラーニングスペース、前回も書かせていただきましたが、まだまだ進化し続けます。子どもたちの意見、先生たちの意見ももちろんですが、今年度より「日本学校図書館学会」の研究推進指定校にも選ばれました。そのため、外部の学校図書館の専門家の方々のご意見やアドバイスもいただきながら、よりよいラーニングスペースへと進み続けます。
次回、また「ラーニングスペース拡大中!その3」でよいご報告ができるように勧めていきますので、どうぞご期待ください!

 

3年 科学 「チョウをそだてよう」

「チャレンジ力」「思いやり」

 3年では「チョウをそだてよう」の単元でモンシロチョウの幼虫を校内のキャベツ畑にとりに行きました。グループごとにチョウの「幼虫→成虫」まで育て観察しました。3年生の子どもたちは生き物好きが多く、裏庭のビオトープへ行って虫や生き物をさがしています。中には、もちろん苦手な子もいます。しかし、観察したり、毎日キャベツをあげたり、フンをそうじしたりすることで、少しずつ愛着がわいてきている子も増えてきました。
      

 科学の授業ではできるだけ本物をみること、自ら体験することを大事にしています。実物を見ることで、新しい発見や疑問も生まれます。「幼虫がこんなにたくさんキャベツを食べると思わなかった」「食べる葉の色でフンの色が違う」「さなぎになるときに糸を出していた」など、教師が教えるのではなく、子どもたちが自ら経験し発見することで知識を得ていくのです。
   

 同時に小さな生き物の命に向き合うことも大切なことです。毎日お世話をしていると、幼虫のちょっとした変化にも敏感になります。「餌を食べない」「色が変」「動きがおかしい」など、ちょっとでも変わったことがあると子どもたちはびっくりしてとんできます。
お世話をしていく中で、アオムシコマユバチに寄生されてしまったり、うまく羽化できなかったりした幼虫を悲しそうに見つめる子や、「頑張れ!あともう少し」と蛹から出てくるモンシロチョウを緊張した面持ちで見守る子、大空に向かって元気に飛んでいくチョウに「元気でね!」と手を振る子など、小さな命と関わったことで、子どもたちの頭の片隅に少しでも生命の大切さや尊さが残ってくれればと思っています。
   

   

 

《子どもたちの日記》
〇今日、ぼくのモンシロチョウのサナギから成虫(チョウ)が出るところを見ました。出るときにおしりからオレンジのえきたいが2,3てきたれていたので、何かと思ったらそれが科学のじゅぎょうではんめいしました。
〇友だちのサナギも羽化していました。いがいでした。とてもきょうみぶかいです。
自分のチョウが羽化するのを待っています。
〇今日は科学がありました。
今日はモンシロチョウのはなしとスケッチをしました。モンシロチョウのサナギについてやいろいろなことを話してくれました。もともと私は虫がきらいですが、だんだん好きになりました。

 

家庭科室開放!「やってみたい」を大切に

「チャレンジ力」「創造力」

6月から、毎週火・木・金曜日の中休みに家庭科室を開放しています。
道具と材料を用意して、家庭科室に来た子どもたちが「好きなように好きなものを作る」という活動をしています。
主に3年生から5年生の子どもたちが来ています。女の子だけではなく、男の子も来室しています。
6年生も興味はあるようですが、現在は清掃活動や委員会活動と重なってしまい、なかなか来られないというのが現状です。しかし、時間の合間を縫ってきている子たちもみられます。

5年生は、授業では、まだ裁縫について学んでいないので、「初めて針を使う」という子どもたちがほとんどです。「できるところから始める」ということで、予め糸を通した針を用意し、「玉止め・玉結び」からやり方を教えながら教員と一緒に行っています。縫うことで何かができ上がる、ということを楽しんでいます。

「なみ縫い」や「かがり縫い」をやることを楽しんで、フェルトを使ってマスコットやミニクッションを作ったり、小さなポケットを作ったりしています。
      

   

フェルトの作品を1つ作った子は、更に薄手の布を使って枕を作ると言って、あっという間に縫い上げていました。縫い目はまだ上手くいかないようですが、「まずは楽しむこと」を主眼に置き、本人が細かく縫えばもっとでき栄えが良くなるということに段々と気づけばよいと思っています。そのころには縫う技術もきっと上がっているはずです。
   

今、楽しく裁縫活動を楽しんでいる3年生や4年生の子どもたちにとっては、1年後、2年後に家庭科を「学ぶという入り口」になり、現在、家庭科を学んでいる5年生や6年生の子どもたちにとっては、「学んだことを更に発展させる場」になると考えています。1回にできる活動は15~20分くらいですが、この時間を大切にしながら、家庭科を楽しむという気持ちを育んでいきたいと思います。

 

体育行事「スポーツフェスタ」

~「チャレンジ力」「思いやり」「エージェンシー」を育てるために~

6月9日(水)に「スポーツフェスタ」を行いました。この行事は、学年の枠を越えて、多くの仲間たちとスポーツを楽しむ1日です。勝ち負けにこだわらず、純粋にスポーツに挑戦し楽しむこと。普段あまり関わりのない友だちともスポーツをとおして関わること。仲間と協力したり、仲間を励ましたり、応援し合ったりすること。スポーツをとおして笑顔になれること。そんなスポーツの楽しさを存分に味わう行事です。
自分の「チャレンジ力」を高め、関わっている仲間を「思いやり」、そして、学年を越えた集団で活動することで「エージェンシー」を育んでいます。

今年度は、「2学年交流」を実施し、隣り合う学年の仲間と一緒にスポーツを楽しみました。当日は天気に恵まれ、気温が30℃を越える真夏日でしたが、どの学年も一生懸命にスポーツを楽しみ、充実した汗を流していました。

(1年生と2年生の交流)
      

(3年生と4年生の交流)
      

(5年生と6年生の交流)
      

自然と笑顔も溢れ、よい雰囲気で活動を終えることができ、思い出に残る1日になったように思います。この「スポーツフェスタ」での仲間とのつながりを今後の学校生活に活かし、さらに楽しい学校生活につないでいってほしいと思います。

 

「造形遊びの日」

 桐蔭学園小学校では「造形遊びの日」という行事を実施しています。
 「造形遊び」とは表現活動の一つで、作品の完成を目的とせず、「子どもたちが、遊ぶように」造形活動を行う中で、素材の扱い方や表現の工夫などを自ら発見し、表現を深めていくことを目的とした活動になります。
 本校図工科では「五感を育てる」ことをテーマにこの活動に取り組んでいます。
 昨年度からは、それに加え6つのキーコンピテンシーのひとつである「創造力」を育む場のひとつとして活動内容もさらに検討を重ねています。
 ICTを多様に活用するようになった教育現場の中で、手を動かし、素材と格闘し、仲間と相談しながら一つの活動に取り組むことは、私たち人間に備わった「創造力」を育てる格好の機会でもあります。
 今年度は天候に恵まれず、多くの学年が室内活動となりましたが、それでも子どもたちは思う存分活動をし創造力を発揮していました。
 将来、どのような職業につき、どのような活動をするにしても、何かを「表現をする」場面は必ず訪れます。自らが作り手とならずとも、「ものづくりの楽しさ」を理解しているかどうかは、社会を生きる上で大切な要素だと私たちは考えます。その心構えを少しずつ学校生活の中で育めればと思います。
 ひたすら新聞紙と格闘すること、真っ暗な教室でライトを灯してみた時に見えた美しさ、自分の作品が陽光の下で風に舞う美しさ、そういった心の動く体験を幼少期にたくさんしていることは心の奥底で表現力の基盤をり、成長してからも大きく役立つと考えています。

当日の活動の様子を一部ご紹介します。ご覧ください。

【1年】色水あそび
 ペットボトルに赤・青・黄の三原色の絵の具をといてオリジナルの色水を制作しました。
また、もう一本は色ペンで絵を描きました。その後、2本のペットボトルを建物に見立て、街をつくっていきました。(後日晴れた日にグラウンドで並べてカラフルな影を楽しむ予定です)

      
 

【2年】新聞紙遊び・地球と教室に描いてみよう
①ラーニンスペースに設置されたスズランテープを起点に、新聞紙をちぎってつなげていきました。普段見慣れた場所が大きく変わっていく面白さに、子どもたちの制作スピードも加速していきました。
②校舎裏の駐車場や教室で大きな絵を描きました。巨大なキャンパスなので手先ではなく体をつかって絵を描くことができました。

      
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【3年】つなげてみよう
本来は屋上で行う予定でしたが、悪天候のため室内で実施しました。不織布をつなげて教室をカラフルに彩りました。

      
 

【4年】新聞紙あそび
「異世界へ」をテーマに、毎日使用している教室を変身させていきました。

      
 

【5年】光のキレイをさがそう
ハーモニーホールの照明を落とし、その中で活動を行いました。
光と素材を組み合わせることでうまれる様々な光を生かして造形物を制作しました。

      
 

【6年】風の通り道
見えない風を可視化する活動です。校舎内の様々な「風が通る場所」を探し、そこに造形物を設置することで風の動きを表現しました。

      

 

「改革へ!①~新しい小学校になるために~」

桐蔭学園小学校 教育研究推進部

 私たち桐蔭学園小学校教員は、『真の「生き抜く力」を養い、使命感溢れるリーダーとして、主体的、能動的に未来を開き、世の中に貢献できる人材の育成』を目指し、改革を行っています。そのために、児童主体の活動を重視し、授業や生活の中でコミュニケーション能力、責任感、企画力、そしてリーダーシップを養うための教育活動を展開しています。その実現のためにカリキュラムマネジメントを実行しています。
マネジメントの流れは、(カリキュラム・チェックリスト作成)➡(長期的ルーブリック作成)➡(課題ルーブリック作成)です。これにより、「思考・判断・表現」「深い学び」をきちんとアセスメントします。
現在では、小学校が子どもたちの資質能力として育みたい「6つのキーコンピテンシー」について「カリキュラム・チェックリスト(行事版)」と「カリキュラム・チェックリスト(教科版)」が作成できました(下参照)。それと共に「長期的ルーブリック」を作成しています。この「長期的ルーブリック」を基に教科ごとの「課題ルーブリック」も同時進行で作成しています。実践を重ね完成に向けて今後も取り組んでいきます。
カリキュラム・チェックリストとは、「6つのキーコンピテンシー」のどの項目と関連するかを一覧表の形で示したものです。このカリキュラム・チェックリストによって、「6つのキーコンピテンシー」の各項目が、具体的にどの項目によって実現されるのかがわかります。

行事編
(カリキュラムチェックリスト行事編)
※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

行事編
(カリキュラムチェックリスト教科編)
※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

 

使いこなそうシンキングツール!(T3の取り組み)


(桐蔭学園小学校教諭 大塚 愛実)

桐蔭学園小学校では、子どもたちの「深い学びを実現する」ための方法の一つとしてシンキングツールを導入しています。それにあたり、2020年度9月より「シンキングツールタイム(T3)」を設けました(内容の詳細は、教育実践「子どもたちの深い学びを追求!~シンキングツール導入の全体像~」をご覧ください)。この時間はシンキングツールの使い方を学ぶことを目的としており、1・2年生は週1コマの授業時間に、3年生以上は朝学習の時間(週2回)に行っています。シンキングツールを活用する場を多く設け、身近なことをテーマにして、ちょっとしたことでもシンキングツールを用いて考えていくことで、考えが広がったり、深まったりして、意外な発見もあることに気づく子どもたちも多く見受けられます。

シンキングツールタイム(T3)では、段階を踏みながらシンキングツールの使い方を学んでいます。最初は、シンキングツールの使い方について学びます。身近なテーマについて、子どもたち自身の考えをシンキングツールに書きこみ、思考の整理をします。これまで漠然と考えていたことも、シンキングツールに書き出すことで思考を可視化できるようになり、これまでよりも自分の考えを整理し、まとめることができるようになりました。そして、自分の考えが整理されたことで共通点や相違点、関連することに気づくこともあり、さらに新しいアイデアが生まれて考えが深まっていきます。
例えば、「外遊びと室内遊び」についてベン図を使いました。相違点と共通点を見つけやすくするシンキングツールなので、外遊びと室内遊びの種類を挙げていくうちに遊び方の違いに目を向ける子もいて、思考の広がりが見られました。また、どちらも「友だちと一緒に遊ぶことで一層楽しくなる」「遊びを通して友だちとつながることができる」などの共通点も見つけることができました。また、外遊びも室内遊びも「ルールを守ることが大切」ということも挙がり、提示されたテーマについて深く考えようとする姿が見られました。

一通りシンキングツールの使い方を学ぶと、次は、テーマに沿って自分の考えを説明する文章を書きます。その後、シンキングツールを使ってその文章に書かれている内容を整理して考えを再構築し、それを反映する形に文章を推敲するという流れで進めました。この取り組みでは、自分自身の書いた文章の変化にも気づけるようにしました。この取り組みによって、文章量が増えたことや、わかりやすく整理できたこと、具体例や関連することを明確にしながら論理的に説明できるようになったことを子どもたちは実感し、手ごたえをつかみました。

      

      

「進級に向けてチャレンジしたいこと」について考えた際には、「ダイヤモンドランキング」という順位付けをするシンキングツールを使って文章の内容を整理しました。最初に文章を書いたときは「頑張りたい」という思いでさまざまな項目を挙げていましたが、ランキングにして順位付けをしたことで取り組むべき優先順位が見え、具体的に頑張っていくことがわかったようでした。中には、自分が大切に考えていることに気づき、目標が変わったという子もいました。

   

この半年間のシンキングツールタイム(T3)の取り組みをふり返り、「文章をすらすら書けるようになった」「自分の考えを具体的に書けるようになった」「同じことをくり返し書かなくなった」「きちんと理由を書いて説明するようになった」といった、文章を書く際の変化を実感している声が子どもたちから挙がっています。また、テーマに対して考える際に「こういうことだからこうなるのか」「つながりを見つけてひらめくようになった」「たくさんの視点で見ようとするようになった」「具体的か抽象的か考えるようになった」などの意見も挙がりました。

シンキングツールタイム(T3)や授業などの与えられた場面以外でも、子どもたちの中には、日常生活の中でもシンキングツールを活用して思考の整理をしている子もいるようです。班の活動がうまくいっていないときにプラス面(Plus)、マイナス面(Minus)、気になる点(Interesting)に分けて考えられるPMIを使って班の様子をふり返っていた子もいました。うまくいかないことが続いていたのでマイナス面ばかりに目が向いていたけれど、プラス面も考えようとしたことで班の良さに気づくことができ、改めて取り組むべき課題を意識することができたようでした。その後、班のメンバーに声をかけて改善を図る様子が見られました。また、クラスでのイベントを企画してトラブルシューティングをする際に、「もし~なら…なぜなら~」と仮定して考えることのできるキャンディチャートを活用して、起こりそうな場面を想定して事前に防ぐ手立てを考えたりするチームもありました。あらかじめトラブルを想定していたため、当日も臨機応変に対応することができていました。順序立てて物事を進めていきたいときや、きちんと理由を伝えたいときにシンキングツールを使って可視化し、頭の中を整理しているという子もいます。
子どもたちにシンキングツールタイム(T3)について聞くと、「使う場が増え、少しずつ楽しくなってきている」「集中して文章を書く時間が面白い」「生活にも生かせる時間」と前向きにとらえているようです。この取り組みが始まってからまだ半年ですが、子どもたちに考え方の選択肢は広がり、「思考すること」を楽しむ姿が見られるようになってきています。
桐蔭学園小学校のシンキングツールの取り組みは、まだ始まったばかりです。これからさらにシンキングツールを活用する場面を広げ、子どもたちの学びを深められるよう、子どもたちとともに楽しんで取り組んでまいります。

 

3年 科学「音の大科学実験から生まれる子どもたちの発想力!」

生活するうえで、「音」は科学を理解するのにとても大切な要素です。音は、私たち人間にはコミュニケーションや表現方法として「言葉」や「音楽」として使われます。目には見えない「音」をどのように感じるか。身近なものを解き明かすのが3年科学の大切な要素です。

●糸電話による学習
「糸電話」という教材は、音を伝えるのに「糸」という一つの素材に絞ることで、特性に気が付きやすい教材の一つです。まずは、友だちと一対一で糸をどのような状態にすると、音が相手にうまく届くかを調べました。
2人で相談しながら「一番よく聞こえる状態」を目指して試行錯誤しました。
「糸をしっかり張ると良く聞こえる。」
「話しているとき、糸に触るとビリビリしている。」
「ゆるむとダメだね…」

   

そして、自然と「糸電話同士を合わせると、みんなで聞こえるんじゃない?」という意見が出ました。それは、糸が振動していることを実感するからこそ生まれる発想です。
「糸を絡ませると、みんなで聞こえるようになる!」

   

振動する糸によって声が相手に伝わるということを確認したら、次は、糸の素材を変えてどのように変化するか体験してみました。用意したのは「たこ糸(綿糸)」「銅線」「ビニールひも」です。それぞれ協力して制作し、思うまま実験をしては、結果をタブレットPCへとまとめていきます。

   

   

「銅線にすると、お風呂で話しているみたい!」「すごく響いてい聞こえるね」「土管の中みたいだね」「銅線がたるんでも少し聞こえる!」
「ビニールひもは音がきれいだ!」「クリアに聞こえる!」

      

自分の声がさまざまな素材を介して相手に届く感覚を得た子どもたちに、いよいよ本題を提示しました。

「今、話をしている先生の声は、どうやって君たちの耳に届くでしょう?」

 

●音の大科学実験
この問題に答えるために、次の実験を行いました。
①クラスの半分が一列に並ぶ。
②笛の音が聞こえたら、すぐに手に持っているスモックを上げる。
③その様子をタブレット型PCで撮影する。
実験班と撮影班を入れ替えながら、それぞれどのように音が伝わるのかを確認しました。

   

   

   

「笛の音が聞こえたら、すぐに振り上げようね!いくよ~」「ピッ!!」 バサバサ!
「おわぁぁ! 波みたいに順番に上げていく!その様子が動画でとれたぞ!」
「しまった!この角度の撮影だとわかりづらい!先生、もう一回やってください!」
実験での撮影方法の詳細は教えず、自分たちでどうやったら現象をわかりやすくGETできるか、試行錯誤するチャンスとしました。
「こっちの角度のほうが、全体が見えてわかりやすい!」「僕は一直線に映るようにするから、キミは真横から撮って!」「スローモーション撮影するとわかりやすいかも!」

実験は何度も繰り返し、音が伝わる様子を最も上手にGETできたものをロイロノートで共有し、みんなで分析し、考察を考えました。

 

●テストでの発想力
このように、子どもたちが実際の体験で感じ取った知識は、決められた問題を解決するだけでなく、ほかの発想を生み出し、応用していく「エージェンシー」につながります。

以下の問題は、3年生が3月に行ったテストの一部です。

この問題で重要な問題は(4)です。
「A君からD君の4人が同時に旗を上げるためには、先生と4人をどのように並べればよいか、図を描きなさい。」

実験を踏まえて、音が伝わる様子のイメージが強くついている子からは、新しいアイディアがたくさん出てきます。
まずは、「横に並べば、音は同時に伝わる」と、知識を変換することができたチーム。

   

縦に並ぶのではなく、「横に並べばよい」ということをテスト中に思いつき、しっかりと記述されています。
しかし、多くの子はこの発想では止まりませんでした。「この4人は本当に同じ距離なのか…。」と、さらに深めました。
そして、たどり着いた答えが以下のようなものです。

      

   

つまり、等距離になるように先生を中心に円を描くということです。

この思考までたどり着いたグループの考え方は、横一直線の解答から、まずは、少しカーブさせてくるようになっています。そして、「ハッ!」とひらめき、「先生から同じ距離の集まりは円になる!そうか、この答えは、『円を描く』ということなのだ!」というゴールにたどり着いたのでした。
実際に体験し、タブレット型PCで動画を撮り、みんなでじっくりと振り返る活動を通して、「音は空気が震えて、波のように伝わる」性質を持っているということを実感し、それを3年生ながらしっかりと活用することができました。この音の問題の正答率は80%を超えていました。

「見えないものを見えるように工夫する」ことで、子どもたちの身の回りにあるさまざまなものが不思議に見え、もっともっと知りたいという好奇心が湯水のように湧き上がってきます!

 

ラーニングスペース、拡大中!その1

2020年10月20日に、小学校に今年度からラーニングスペースができました、というご紹介をしました。
あれから5か月がたち、ラーニングスペースはその間もどんどん進化しています。どのような変化があったのか、ご紹介します。

まず、季節に合わせた飾りなど、ラーニングスペースは時期に合わせていろいろな様子に変わります。12月はクリスマス飾りでにぎわっていました。
保護者会役員の方々が飾ってくれた大きなツリーもありました。社会科資料コーナーの土器もクリスマス仕様です。

   

2月からはこちらも保護者会の役員の方々が立派なひな人形を飾ってくれています。なかなか家庭では見られないサイズで、多くの子どもたちが驚いていました。中には、「これに刺激を受けて自作した」という子もいたり、興味を持って雛飾りのことを調べたりした子もいました。

10月末はハロウィン飾りがあったり、お正月には鏡餅があったりしました。暖かくなってきたら花の飾りなども出していこうと思っています。一面の窓から見える景色の移り変わりとともに、季節を感じられるようになっています。

展示もかなり充実しました。ラーニングスペースは本を読むだけではなく、いろいろな刺激を受けてもらいたいので、子どもたちが興味を持ちそうなものを、教員がたくさん展示しています。
以前、教育実践でも取り上げた記事になった「いそはた水族館」もその一つですが、他にもたくさんの展示があります。
先程のクリスマス飾りでの社会の土器以外にも、社会関係では石器なども展示されています。地図もいろいろ掲示されており、電車の路線図などは子どもたちに大人気です。
また、古代米という、昔から食べられてきたお米の実物などもあります。

   

他にも珍しい石や、植物なども展示されています。石はポスターに貼り付けて写真と実物が見やすいように展示しています。植物は時期によって変わりますが、今はこんにゃくや春の七草などがあります。この春の七草は七草粥のセットに入っていたものなのですが、鉢植えに植えるとどんどん成長して、葉っぱがこんなに伸びました。

   

社会関係のものは主に玉井先生が、植物などは「いそはた水族館」管理人の磯畑先生がお世話をしてくれています。水族館と並んで大人気の展示です。
音楽科の先生にも協力していただき、電子ピアノも設置しています。こちらは自由に弾くことができるので、休み時間はいつも誰かのピアノの音が聞こえてきています。先生たちも時々弾きに来ていて、音楽の岩井先生がピアノを弾いて、まわりで子どもたちが曲に合わせて歌ったりもしています。

このように、ラーニングスペースはさまざまなことに活用される場所です。授業でも活用していますが、休み時間は他にもいろいろなことに活用しています。課外活動の練習などでも使い、図工科の作品展示にも活用しています。

   

この5か月間、ラーニングスペースはいろいろなことに活用され、その時々に合わせて大きく様子が変わってきました。
これからもラーニングスペースはどんどん変わり続けていきます。
こうした多くの活用があることから、校内の他の場所にも少しずつ、ラーニングスペースの機能が増えています。

 

1年国語 常時活動「かんじマスターへのみち,さいしょとぽん,ロッカーベン図」

●かんじマスターへのみち

「子どもたちがもっと前向きに漢字に取り組むには?」と考えて導入したのが、『かんじマスターへのみち』です。
『かんじマスターへのみち』では、出題された文章の中で、知りたい言葉をできるだけ漢字に直します。漢字に直したところは全て得点になります。習った漢字の範囲で、知っている漢字がたくさん文章に使われています。もちろん100点を取って終わりではなく、一つでも多く漢字に表すことで、200点、300点と点数がアップしていきます。そのため、「これまで習った漢字」も「これから習う漢字」もきちんと書けば全てが得点です。積極的にチャレンジしている子は700点を超えることもあります。100点で終わらないので、自分の限界までトライすることができます。
「はながさいている」「はながかゆくなる」など、おなじ「はな」でも「花」なのか、それとも「鼻」なのかをしっかり読み取らなければなりません。そんな「ひっかけ」に「先生、今度は引っかからないよ!」と心強い言葉も聞けるようになりました。

取り組み方の流れを説明します。
まず、授業で単元ごとの漢字を習います。その後、その漢字をふくんだ「かんじマスターへの道(練習用)」がロイロノートで配信されます。その文を自分なりに漢字に直してロイロノートで提出します。提出されたものはクラス全員が見ることができるようになっています。友だちが提出したものを見て、こんな字も漢字にできるの?とさらに漢字に直してみる子どもが出てきます。もちろん習っていない漢字も含まれるので、間違っていることもあります。それでも自分で調べた漢字なので、前向きに取り組んでいます。

   

毎日の日記でも習っていない漢字にチャレンジする子どもが出てきました。

   

 

●さいしょとぽん

認知トレーニング(Cognitive Training)として話題の「コグトレ」を取り入れています。
教員が読み上げる3つの文章をよく聞いて、最初に出てきた言葉を覚えます。同時に、動物が出てきたら手を叩きます。手をたたくという干渉課題が入ることで、集中して聞いて覚える必要があります。これにより聴覚ワーキングメモリ―をトレーニングしています。(出典:教室で使えるコグトレ)

   

   

覚えた動物はロイロノートに答えを書き込みすぐに提出します。それにより、クラスの子どもたちの現状把握がすぐに行え、即座に成長を認めることができます。手を叩くのに精一杯だった子どもたちも、3つの言葉を覚えて、ロイロノートに書いて提出することが少しずつできるようになってきました。お話をしっかり集中して聞くという学びの基本を育てています。

 

●ロッカーベン図

(先生)「ロッカーをきれいにしましょう!」
(こども①)「きれいですよ〜!」
(こども②)「整理しておきました!」

(先生)「あらあら、もっと整えることができるのに。自分でしっかりと整理できるようになるにはどうしたらいいのかな?」

というやりとりをこれまでこどもたちとしていましたが、それをシンキングツールで取り組んだのが、「ロッカーベン図」です。

「きれいなロッカーとはどうなっていますか?」という問いに、クラスのみんなで話し合った結果、

①帽子がきちんと入っている。
②スモックがしっかりたたんである。
③教科書やノートの背中がしっかり見える方に向いている。
④探検バックやくつ袋のひもがだらんと落ちていない。

と気がつきました。

ベン図にすると真ん中に自分のロッカーがあると最高だね。とみんなで話し合いました。

この話し合いのあとに「自分のタブレットで自分のロッカーの写真を撮ってみよう!」
撮る前に整える子もちらほら出てきました。写真を自分で撮るからこそ、もう一度整えようという気持ちが生まれました。それも立派なメタ認知のスタートです。

   

   

次に、ロイロノートの「ロッカーベン図」に自分のロッカーがどの位置にあるかを当てはめてみます。
「しまった。ひもが出ていた!」
「背中が見えない教科書があったよ!」
と、観点を持って見たからこそ、気が付いた子どもたちも増えてきました。

最後にロイロノートで提出してみんなで共有して、「きれいなロッカーとは」をまとめました。